Fate/Cosmic Light   作:双子烏丸

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第三節 究極のオートマタ(Side 総帥andアーチャー)

 ────

 

 儂の勝利は……絶対なのだ。

 ガイアスの組織と資本力は無論の事、アーチャーの能力もある。約束されたも同然だ。

 

 

「喜びたまえ、マスター。僕達の最終兵器は後少しで完成だ」

 

 得意げに話す和服を纏った赤毛の若人姿の、アーチャー。使い魔の分際で生意気な態度、実に腹立たしい。だが構いはせん。サーヴァントである以上令呪には逆らえはしない、用済みとなればいつだろうと自害させられる。……幾ら力があろうと生殺与奪の権は儂にある、むしろ利用しつくしてやるわ。

 その背後に聳えるのは、奴が自慢する最終兵器と称する──巨大な木偶の坊よ。

 外見のみを見れば既に完成しているようには見えるな。……だが。

 

「……気に入らぬな」

 

「ほう? マスターの絶対勝利のために作ったのに、気に入らないとは?」

 

「理解しているだろう。科学技術などと言う低俗なモノで形作られた。あれそのものよ。

 魔術と神秘こそが崇高たると言うに……」

 

 儂は由緒正しき魔術師の血統なのだぞ。その儂が科学なぞの力を借りるなど、屈辱以外の何者でもないだろう。

 

「マスターが侮蔑する科学、自らの願いと天秤にかけてそれすらも利用すると決めたのは、他ならぬマスター自身だろう。

 君の野心は僕も評価はしているんだぜ? ──けれど、そっちのモノだって似たようなものじゃないか。作ったのは君かい?」

 

 

 

「お初にお目にかかりますな。ミスター・アーチャー」

 

 儂の傍におる片眼鏡を右目にかけた、禿げた肥満体型の中年男。奴はレルケン卿……歴代に渡り自動人形、オートマタ製作に携わって来た魔術師の一族の当主であり、儂と同盟を結んだ魔術師一派の一人だ。

 

「吾輩の一族は究極のオートマタを生み出す事に代々全てを捧げたのです。……それに比べれば、科学のみで作られたロボット、人型機体などは子どもの玩具同然。

 吾輩が作りたるこのオートマタ……アルビ・マキナの前には!」

 

 レルケン卿自慢のオートマタ。全長は人間と同程度のもので、人型には近いが長い尾と鋭い手足に、縦長に長く後方に伸びる直線の二本角……さながら竜と人間を合わせた、リザードマンのような姿であるな。

 彼は自らの最高傑作に酔いしれるかのように自慢する。

 

「この鋭くも流線型の容姿、まさに至高とは思いませんか? 美しく──同時に最強の戦闘能力を兼ね備えたアルビ・マキナ。いかなる兵器にさえ敵わない私の傑作……無論、サーヴァントにさえも」

 

 最後の言葉はアーチャーへの当てつけだろう。奴もレルケン卿の言葉に反応し、腰の刀に手をかける。

 

「面白いことを言うじゃないか。挑発は下手だが敢えて乗ってあげよう、君の傑作とやら……どれ程のものか直々に試そうか」

 

 レルケン卿は満足げな様子を見せ、端末を取り出し何やら操作を行う。オートマタはバイザーを青く発光させ両腕のガントレットを可変、鋭く長い槍剣へと形状を変える。

 

「両腕の槍のように長い剣ねぇ。サーヴァントで言うならランサーか、それともセイバーか?

 まぁいいさ。お手並み──拝見!」

 

 刀を抜いてアーチャーはオートマタに迫る。流石はサーヴァントと言うべきか、その動きは常人を超えるものである。……だが。オートマタは左腕の剣先で容易く受け止めた。

 同時に片方の剣で突き技を放つ。アーチャーは飛び退くも高速機動で背後に回り込む。

 

「何だと!」

 

 続く攻撃を切り払って防ぎ、再度距離を離す。それさえも瞬間に追いつきすぐ目の前にまで。

 

「オートマタがここまでの動きをするなんて──っ!?」

 

 瞬間に、アーチャーの顔間近に剣の一突き。攻撃をかすめ驚愕する奴の頬からは血が滴り流れ、赤い髪がぱらぱらと落ちる。

 アルビ・マキナ。このオートマタの性能はサーヴァントにすら負けないものだろう。

 

 

 

 この結果にレルケン卿は大いに満足したかのようにほくそ笑み言った。

 

「いかがですか、総帥。吾輩のアルビ・マキナはサーヴァントなどよりも遥かに強力です。

 役に立たないあんな物などにかまけ、本人の力量もこの程度。アーチャーなどより吾輩に任せて頂ければ他のサーヴァントどももなぎ倒し、聖杯は我々の悲願のために──」

 

「……」

 

 確かにレルケン卿のオートマタは流石と呼べる強さだ。サーヴァント以上の強さ……ともなればアーチャーも不要、切り捨てるべきだろう。

 

(使い魔がいい気になりおって、これで貴様も用済みだ)

 

 ……だが、儂はアーチャーの言葉を思い出した。

 聖杯戦争を起こせるほどの、聖杯と同等の力を握っている天原銀星。単にサーヴァント以上のでは足りぬ……圧倒的なまでの力こそ、儂の勝利には必要なのだ。

 

「レルケン卿、貴殿の協力には心より感謝しよう。

 ……だが、アーチャーの計画もまた儂には必要だ。最終兵器の完成まであと僅か……その為には最後の部品を奪いに行く必要がある。

 貴殿のオートマターにはその随伴を任せよう」

 

「──何ですと!? アルビ・マキナの実力は十分に証明されたはず……なのにまだサーヴァントなどを頼るなど!」

 

 強く抗議するレルケン卿。当然の反応だろう……だが。

 

「無論、貴殿のオートマタも頼りにしている。襲撃は大規模なものとなるだろう、恐らくはあのランサーとマスターも邪魔に現れるはずだ。

 我々の崇高な使命に仇なす愚か者の排除……それが役目だ」

 

 なおも不服そうだが、儂の言葉を彼は受け入れたようだ。

 

「かしこまりました。我らに逆らう邪魔者の排除、確実に遂行してご覧に入れましょう」

 

 ふふ、利用出来る駒は多い方がいい。

 加えて散々邪魔して来たサーヴァントも、これで終わりだ。レルケン卿のオートマタの性能はサーヴァントさえも超える。

 今度こそマスター共々、報いを受ける時だ。

 

 

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