Fate/Cosmic Light   作:双子烏丸

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第六節 分断

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「鉄クズどもっ! 尽く切り捨ててやるであります!」

 

 ガイアスの襲撃により半壊した研究施設。砲撃によって壁や天井も崩落し、火の手も周囲で上がっている。

 

(顔は出してはいるけれど息苦しさや暑さは感じない。しっかり密閉されているんだな)

 

 戦闘用ボディスーツはコズミック・セントラルの新型宇宙服を元に作られたらしく、防御性や気密性も高く動きやすい。まさに科学の粋の一つってわけだ。

 最も生身の俺やタケルと違いサーヴァントはそんな物さえ必要としない。未だ破壊活動を続けている人型機体を次々と撃破して突破口を開いている。

 

「あの男はまだ先にいるはず。──ランサー! 障害は排除しろっ!」

 

「オーケーっ!」

 

 ランサーは行く手を阻む人型機体をまとめて槍で薙ぎ払い撃破する。

 

「魔力の量も申し分なし、アタシの力も溢れているわ!」

 

「ようやくの機会だ……今度こそ逃がしはしない!」

 

「でも飛ばす過ぎには注意しなさい、マスターの魔力も有限なんだから」

 

 タケルとランサーは俺達に構わず先に突き進んでいる。

 

「おいタケルっ! あまり先行し過ぎるな!」

 

 俺の言葉にも耳を貸さない。研究施設の奥に向かっているとされるアーチャーとそのマスター、ガイアスの総帥を追うことしか頭にないようだった。

 人型機体を太刀で袈裟斬りにしながらセイバーはため息をついて言った。

 

「本当に面倒くさいであります、あのマスターは。

 主さまも主さまですよ。あんなヤツなんて放っておけばいいのに」

 

「──セイバー」

 

「分かっているでありますよ。そこが主さまの良いところですし、ボクもとことん付き合うであります」

 

「そっか。セイバーは本当に…………っ!」

 

俺が言葉を続けようとした、その瞬間。倒しそこねた人型機体が砲口をセイバーに向けているのに気付いた。

 セイバー本人が反応するよりも早くとっさに俺はホルスターからビームガンを抜き、狙いを定めて引き金を引いた。

 

「!!」

 

 撃ち放たれた凝縮されたAエナジーの弾は人型機械の胴体、丁度動力部がある胸部中央に命中して爆発した。

 人型機体は胸に大きな穴を残し倒れる。セイバーも俺が敵を倒したことに驚いたようで。

 

「今のは……主さまが?」

 

「ああ、みたいだな。と言ってもこの武器のおかげだが」

 

 この銃もコズミック・セントラルの最新武器の一つだと言った。科学と言うのは一般人でさえもこんなふうに、戦う力を持つ事が出来ると改めて実感してしまう。

 少し恐ろしくも思ってしまうけれども、同時に俺でも相手を倒すことが出来る事に、少しだけ安心も覚えた。

 

 

 

 

 ガイアスによるコズミック・セントラル直轄の研究施設の襲撃。

 この研究施設では新型のAエナジー生成炉の開発がされていた。Aエナジーはこれまでの石油、ガス、電力に代わる新エネルギー。天宙市の機械、設備もすべてAエナジーによって稼働をしているが、それは外部からのエネルギー供給やバッテリーによってだ。

 

(天宙市で消費されている莫大なAエナジーは軌道エレベーター『アマノバシ』を経由して終点から、宇宙空間にあるコズミック・セントラル本社から大部分が賄われている。

 Aエナジーの生成技術はコズミック・セントラルの独占だ。他にも少数ながら企業直轄の炉心はあるにはあるが、炉心だけでも規模が巨大建造物一つ分もある。いくらなんでも無駄に大きすぎる)

 

 だからこそ研究施設では小型化された新型の炉心が開発されていて、試作品も既に完成させていたらしい。

 試作炉心は百分の一以下にまで小型化に成功し、さらには従来のものより生成量も増加したとの事だ。Aエナジーの試作炉心、それこそガイアスが直接襲撃してまで手に入れたいものだろう。

 

(十分に小型化出来たなら、最悪大型兵器なら直接搭載する事も出来そうだ。ガイアスがテロ組織と考えるならその可能性は十分にある。

 恐ろしい何かを造り出すつもりなら……本当にここで食い止めなければ)

 

「……ハル、あいつがいるのはまだ先なのか」

 

『はい。アーチャーと総帥本人が指揮しているとされるガイアスの先遣隊はまだ先を進み、施設の最終防衛線を突破しようとしています。

 試作炉心は施設最奥の保管区に守られてはいますが時間の問題です。急いでください』

 

「分かっている!」

 

 ヘルメット越しに届くハルからの指示のもと、俺達は先を行っているガイアスに追い付くため急いでいた。焦燥に駆られ必死なタケル。今度こそ逃さないと言う、強固な意志を感じさせる。

 タケルにも理由があるのは分かっている。が、傍から見てもその激情は危ういものに思えてならなかった。……そんな時に。

 

「こんな所で、分かれ道が二つか」

 

 目の前の道が左右二手に分かれていた。俺は早速指示を仰ぐ。

 

「どっちが正解の道だ?」

 

『道筋は違うものの、どちらも保管区へと合流する道です。通路構造上では右側が近道となりますが……』

 

「分かった。なら右を行く」

 

 タケル、ランサーはそれを聞くやいなや右の通路を進んだ。

 

「くそっ!? だから勝手にどんどん行くなって!」

 

 構わず行こうとするタケルを追って俺も通路に向かおうとした、その時に。

 

 

 ──通路入口の爆発と、激しい崩落音。

 

「「!!」」

 

 タケル達が進んだ先の通路が爆発で崩落、行く手を塞がれた。

 

『……一足遅かったですね。右側通路に異常があると伝える前に……爆発物だとは。嫌な仕掛けを施したものです』

 

「それよりもタケルは無事なのか! まさか生き埋めになってるんじゃないよな!?」

 

 さっきまであった通路は瓦礫で埋まっている、可能性は十分にある。俺の言葉にハルはこう答える。

 

『いえ。今の爆発は入口を塞いだ程度で、タケルさまは無事です。現在は構わず先を急いでいます。

 ……しかし道が塞がれては同行は不可能。カナタさまはもう一方の、左の通路から進むしかありません』

 

 ……厄介だな。タケルとランサーとは別行動になるとは。今のあいつは特に危なっかしい。心配ではある、けれどどうしようもない。

 

「分かった。俺とセイバーはもう一方の道を行く」

 

 ならせめて、急いで合流するだけだ。

 大丈夫。あいつにはサーヴァント、ランサーがついている、いざと言う時には。

 

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