Fate/Cosmic Light   作:双子烏丸

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第四節 親友同士

 

「タケル! おはよう!」

 

 通学路で、俺はタケルに声をかけた。

 

「おはよう、彼方。……セイバーも」

 

 今は霊体化して実体ではないけれど、セイバーが共にいることは知っている。

 同じようにタケルもランサーを同行させているのも。

 

「学校にも大分慣れたんだな、その制服姿も様になっていると言うか」

 

 俺の言葉にタケルは照れくさそうに顔をそらす。

 

「よしてよ、全く」

 

 そう言いながら、こんなことも呟いた。

 

「でも、ようやく学校も楽しく思えるようになって来た。

 こんな感情も忘れていたなんて。勉強も……それに」

 

 丁度、別の路地から弘明も現れた。

 

「やぁ彼方! それにタケルも!」

 

 手を振って来た彼に、俺達も手を振り返す。

 

「何の話をしてたんだよ? 俺にも教えろっての」

 

「別に大した話じゃないよ。ちょっと一言、二言話しただけだ。だろ? タケル」

 

「うん。弘明こそ、朝から調子良さそうだね。何か良いことでもあった?」

 

 弘明とも大分仲良く話せるようになったタケル。

 ずいぶんと打ち解けていると言うか、弘明のコミュ力の高さと言うべきか。

 

(アクサリーに金髪に染めた髪と、服装もチャラついた見た目も中身も陽キャラな弘明。真逆な俺やタケルとも仲良くしているのも今更ながらも不思議ではある。

 ……まぁ、おかげで助かっているわけだけど)

 

「おう! 昨日は映画を観に行ってさ、何を観たって言うと──」

 

 弘明とタケル、二人して仲良く話しているのを聞く。

 同じクラスと言うこともあるんだろうな、ちょっと羨ましい。

 あんな風な会話は俺でも無理、弘明の対人スキルの高さ故だな。すっかり友達同士って感じだ。

 

「ははっ、何だよそれ! そんな映画も観るんだ」

 

 年相応の笑いを見せるタケル。

 ──良い笑顔だと、ふと思った。

 

 

 

 ────

 

 実を言うと、今は学校でも大切な時期だ。

 

(何々……『宇宙航行における本年度の法改定』か。法律関係は暗記で済むからまだ楽だ)

 

 俺が将来目指しているのは宇宙。そのために学校を卒業し、宇宙航行士官校への進学を目指しているけれど、必要な資格もある。

『宇宙航行基礎検定』。卒業までに検定合格資格を得るのが必須で、検定試験が一月後先にある。天宙学園で希望者は検定、および検定勉強を受けることが出来、何を考えているのか弘明も検定を受けていると言う話だ。

 

(あいつ、勉強はあまり得意じゃないのに変に興味持つ所があるしな。ただ勉強は真面目にしているみたいで、『受けるからにはやっぱ合格だな』とも話してもいた)

 

 まぁ俺も頑張らないとな。聖杯戦争とも両立して勉強は思ったより進められていない……ちょっと不味いとは思っている。

 それでも『宇宙を目指す』ことが俺の夢だ。遅れなんて取り戻せば済む。

 大丈夫、勉強の方はまだ何とかなるレベルだ。

 

 

 

 ────

 

「──やっぱ難しいわ。気になって受けることにはしたけれど、合格する自信はないな、これは」

 

「ったく、だったら最初から止めとけば良かったのに」

 

 学校の帰り、参ったなと言う態度の弘明に突っ込む。

 すると少し笑みを見せて、俺に語った。

 

「彼方が目指す『宇宙航行士』ってやつ、前々から気になっていてさ。だから良い機会と思った。

 どうして宇宙を目指すのか、その理由が分かるかもしれないし」

 

 あいつの言葉に一緒に歩いていたタケルまでも反応する。

 

「そう言えば彼方の夢、宇宙に行きたいって話……僕も気にはなっていた。

 まだ理由は聞いていなかったけれど」

 

 気になるタケルに弘明は苦笑いで答える。

 

「なんだけどな……どうしてそんな夢を持っているのか、彼方本人も分からないと来たものだ。

 正確には忘れている、みたいなんだけどな。あいつが施設にいた頃の記憶の一部を忘れているのは聞いただろ? その頃に何かあったみたいなんだ」

 

「あまり話さないでくれよ。記憶喪失の下りは俺も恥ずかしいし」

 

「別に良いだろ、タケルだってもう知っている事なんだし」

 

 かと言ってあまり話されるのは気恥ずかしい。

 この辺りで別の話題に変えるべく、俺はこう声をかけた。

 

「ところで、今からスポーツセンターに遊びに行くんだろ? 俺達」

 

 そうそう、俺と弘明、タケルはこれから街のスポーツセンターに遊びに行く予定だ。

 個人的には検定資格の勉強を進めたくあったけれど、『息抜きだって大事』と言われ押し切られた。

 

「当然だろ。ふふっ、彼方とタケルに俺のピッチングスキルを見せてやるぜ!」

 

 気合が入っている弘明、対してタケルは好奇心を覗かせた様子で呟く。

 

「スポーツセンター……スポーツを楽しむ所、なのか。僕には初めてだ」

 

 三人でのスポーツセンターは楽しみだ。

 これから向かおうとした時、後ろの道路から何台ものバイク音が聞こえて来る。

 もしかして……これは。

 

「激轟団の連中か!?」

 

 街の暴走族『激轟団』、そしてリーダーのアルス。

 バイクを俺達の横に止め、降りて取り囲む暴走族の面々。

 

「な……何だよ、まさかカツアゲってやつか」

 

「んな訳あるか! そんな真似するほど俺達激轟団は落ちてねぇよ、ナメんな!」

 

 弘明の言葉に団員の一人が噛みつく。

 

「じゃあ俺達に何の用だよ。要件があるなら早く言ってくれ」

 

「要件があるのはウチのカシラだ。空上彼方、お前にな」

 

 そして団員たちの間から、アルスが姿を見せる。

 

「よう、彼方」

 

「……アルス、先輩」

 

 正面から向かい合うとやはり威圧がある。

 

「俺達に……何の用ですか」

 

 彼女は澄んだ青い瞳で俺を見つめ、答えた。

 

「他二人には用はない。用があるのは彼方、お前一人だけだ。

 今から少しだけ付き合ってもらう、一緒に来て貰おうか」

 

 単刀直入な切り出し。怪訝に感じた俺を察したのか、こうも付け足す。

 

「心配しなくても危害は加えない。ただ話をするだけ、簡単に言えばデートみたいなものと思えばいい。

 ま、あくまで例えでタイプってわけじゃない。変な勘違いはするんじゃないぜ」

 

 そんな勘違いするわけないだろ。

 内心突っ込みつつも、状況を整理する。

 

(アルスは嘘や騙し討ちはしないはず。同じマスターであるタケルではなく俺一人に用があるのは気にはなるが、それでも彼女の言うように話をするだけのはず)

 

 それに今はアルス一人ではなく、彼女の手下達も一緒だ。

 断って刺激なんてすれば面倒な事にもなりかねない。

 

「分かった。言う通りにする」

 

「礼を言うぜ彼方。じゃあ用意が出来次第、アタイに声をかけてくれ」

 

 俺は弘明、タケルの方へと向く。

 

「そう言うことになった。悪い、一緒にスポーツセンターに行けそうにない」

 

「気にすんなよ! そんくらい、また時間を作るからさ」

 

 弘明は明るく言う一方、タケルは真剣な眼差しで一言。

 

「──気をつけて」

 

 タケルも聖杯戦争に関わっていると悟っているみたいだ。

 

「ありがとう、二人とも。じゃあ行って来る」

 

 話は十分。再度アルスへと向きかえる。

 そして彼女に同行するため、前へと進み出た。

 

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