Fate/Cosmic Light   作:双子烏丸

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第八節 敵陣突入

 天宙市外周部にある工業区の、さらに外周。

 その海上には幾つかの企業がコンビナートを有していた。俺達が向かうのはその一つ、アース・エンジニアリング社が所有する人工島だった。

 見た目は石油コンビナートのそれに近く、海中から金属の支柱が伸び、大規模な建造物を支えている。

 

「──ここがガイアスの本拠地か」

 

「でありますね! このまま突貫します、主さま!」

 

 コンビナートは都市から隔絶された孤島。

 ハルの指揮するドローン部隊とともに、俺達は襲撃をかける。セイバーが駆るボードに相乗りしてコンビナートに上陸、甲板上にはガイアス所有のロボット、人型機体が多数出現していた。

 

「敵の拠点なだけあって兵隊の数も多いわけですか。でも、鉄クズがいくらいようとも!」

 

 敵機も多いけれど、俺達を支援するドローンの数も多い。

 空中からも援護射撃、それに乗じて太刀を振るい人型機体を倒してゆく。

 各機体の腕にはライフル、キャノン、ミサイル等がアタッチメントとして搭載され、火器による砲火が放たれる。

 

「今更そんなのっ!」

 

 当然防ぐ。短刀を抜き、ビームの刃を鞭のように振るい、弾幕を全てかき消す。

 宙で連鎖的に爆発が起こる。つかさず迫り太刀で大横薙ぎ、並んでいた敵機の上半身と下半身を泣き別れさせる。

 

「ムダであります──」

 

 別方向からのミサイルの着弾。華麗に跳躍し、攻撃を放った機体に迫り袈裟斬りにして始末する。

 

「よっと!」

 

 それでも数が多い。甲板に出ている人型機体は半数も減らせておらず、まだまだ減らさないと先に進めそうにない。

 

「まずは内部に入れないと話にならないか」

 

 セイバー単独でこれだけの人型機体を片付けるのは骨が折れる。俺はそう思った。

 

「──消し飛ばしてあげる!」

 

 上空からの破壊音波。多数の敵機をまとめて粉砕する。

 

「遅いでありますよ、ランサー」

 

「大体アンタたちが早く来すぎなのよ。一応共闘しているわけだし、周りと合わせたらどう?」

 

 翼を広げて宙に浮かぶランサーの姿。彼女のマスターであるタケルもコンビナートに到着していた。

 

「僕たちも手を貸すよ、彼方」

 

「数が多くて進めなかったから助かる! アルスとバーサーカーは?」

 

 俺とタケルのサーヴァントは飛行が出来るからここまで連れて貰えはした。

 ただ、バーサーカーだけは空を飛ぶ事が出来ず、別で送り届ける話になっていた。

 

「心配しなくてももうすぐで到着するはず──ッ」

 

 別働の人型機体による奇襲、人間大の小型機が電磁ナイフを展開して迫る。

 狙いはマスターであるタケル。彼は身を躱し攻撃を回避、護身用のライフルを構えて放つ。至近距離の一撃で上半身が吹き飛んだ。

 

「マスターに対しても容赦もない。気を抜くと命に関わる」

 

「みたいだな……!」

 

 さっきのような小型機もゾロゾロと湧いている。

 通常の人型機体は約三メートルサイズで重火器の装備がメインに対し、小型機の場合は小回りと速度があって、近接用の装備もある。

 

「主さまに手出しなんて、させないでありますよ!」

 

 俺たちに迫る小型機に、セイバーが割って蹴散らす。

 引き続き人型機体の排除に務めるランサーは振り返って言う

 

 

「セイバー! 立ちふさがるガラクタは潰してあげるから、アタシに代わってマスターを守りなさい!」

 

「分かっているであります。主さまの傍にいるのですから、一緒に守ってみせます」

 

 確かに小型機は俊敏性の性能が高いもののセイバーには及ばない。

 武器を太刀から短刀に換え、周囲に残像を残しながら瞬く間に俺とタケルを狙っていた小型機を斬り捨てていく。

 

「このくらいなら全然余裕でありますよ。……って、今度は何でありますか!」

 

 

 

 コンビナート奥のハッチが開き、大型の何かがせり上がる。

 それは計三台の巨大砲塔。狙いを俺たち全員のいる甲板上に定め、エネルギーの充填を始める。

 

「ヤバい! この距離と邪魔者の多さ……破壊は間に合わないであります!」

 

「ならマスターを連れて一旦退避しかないでしょ!」

 

 セイバー、ランサーが言っていた時だった。左の巨大砲台が一台、突然爆発した。

 続けて右の一台、最後に中央奥の残り一台が──何かの影に頭上から叩き割られ、炎を噴き出す。

 

「合流にちょっと遅れちまったが、裏から回り込んで正解だった。だろ、バーサーカー?」

 

「大物退治は得意だからな。三台まとめてブッ潰してやったさ!」

 

 壊れた砲台の上に立ち、腕を組んでみせているバーサーカーと、その近くで佇むアルス。

 

「これで全員合流……だな」

 

「敵も大分減って来ましたし、戦力も揃いました! そろそろ突入出来る頃合いです」

 

 突入口は今なお人型機体を出現させている建物内に続く大型ハッチ。そこからコンビナートの奥に進めるはずだ。

 

 

 

 その後も俺達は残存する敵機を倒し、さらに減って来たころ。

 

「ナイス! 今なら行けるはずだ!」

 

 アルスが言い放ち、続けてバーサーカーに指示を出す。

 

「頼むぜバーサーカー! 切り込みなら得意だろ!」

 

「応っ! 俺達が道を切り開くから、後は黙ってついて来ればいい」

 

 俺とタケル、それにセイバーとランサーに自身げに言う。と同時に、剣をブンと振るい目前の敵機を斬り潰した。

 味方でいれば頼もしい。バーサーカーはそんな奴だ。

 

 

 先頭はバーサーカーとアルス、続けて俺達。

 ハッチをくぐり、いよいよガイアスの拠点内に潜入する。

 

「どけどけっ! 俺のお通りだっ!」

 

 内部にも敵機が待ち構えていてもお構い無しに、難なく蹴散らすバーサーカー。

 防衛機構で壁から小型タレットが出現する。倒した機体の破片を掴み、投擲。出現した瞬間に破壊する。

 

「これじゃボク達の出番がないでありますね」

 

 走りながらやや不服そうに言うセイバー。

 

「そんなこと言うなよ。その分力を温存出来るって考えるなら、安いものだろ?」

 

「でもバーサーカーに合わせるより、ボクの飛行能力ならあっという間に先に進めますよ。

 街の人々の魔力吸収は続いてますし、こうしている間にも敵の秘密兵器が動き出すかも。グズグズしていられないのは主さまだって……」

 

 セイバーの言うことは間違っていない。けれど、そう言うわけにはいかない。

 

「だとしても今はまとまっていた方がいい。ここは敵の本拠地で、どんな危険があるか分からない。

 ……この先何があるか」

 

 話しているうちに、俺達は広い空間に出た。

 待ち受けていた人型機体、それに小型機体は軍隊のように整列し、その正面に指揮官さながらに立つ青年の姿。

 

 

 

「やぁ諸君! ようこそガイアスの本拠地へ。マスターに代わって歓迎しようじゃないか」

 

 ガイアス総帥のサーヴァント、アーチャーは爽やかな笑顔をもって俺達を迎えた。

 

「セイバー、ランサー、バーサーカー。そして君たちマスター。

 成る程、僕を含めたら残る聖杯戦争のサーヴァントは勢揃い、と言うわけだ」

 

「マスターは、一緒じゃないのか」

 

 タケルはアーチャーに問いかける。

 

「君は……そうか。僕のマスターを仇として狙っていた少年か。

 悪いね、マスターは大将らしく奥に構えている。テロ組織の首領で、高位の魔術師殿。偉い人なんて往々にしてそう言うものなのさ」

 

 やや含みがある様子の答えだ。彼は改めて俺たちを見回すと。

 

「にしても、君たちは実に若い。若いっていいものだぞ。それだけ勇気があって、思いもよらない無茶も出来る。

 その勇敢さと、ここまで来てくれたご褒美だ。教えてあげようじゃないか──僕のことを」

 

「……何だって?」

 

 軽快に語るアーチャーの姿。彼は俺達に自分の真名を告げた。

 

「僕の名前は高杉晋作、維新の英傑の一人だとも」

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