Fate/Cosmic Light   作:双子烏丸

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第七章 聖杯戦争の終わり
第一節 思い出した記憶


 

 コンビナートの戦いの後、目が覚めると病室のベッドに横たわっていた。

 目の前にはセイバーの姿。ずっと待ってくれていたらしい。

 

「……セイ……バー?」

 

「お目覚めですか、主さま」

 

 安堵した表情を見せるセイバー。俺も安心した。

 

「ここは病院……だな。ハルがここに搬送してくれたのか」

 

 状況から考えてそう考えるべきだろう。

 そしてあの戦いの後、起こった状況についても教えてもらった。

 

 

 まず一つ、俺達が取り逃がしたアーチャーと巨大人型兵器アラハバキ。

 宇宙に昇りコズミック・セントラル本社に向かったものの、別兵器によって撃破されたらしい。何の兵器かは企業秘密で教え貰えなかったけれど、仕方がない。

 

 そして二つ目、その後の俺達について。

 俺は戦闘の最中で頭を打ち気を失った。その後病院に搬送、半日程経った今、目を覚ましたとのこと。セイバーも傷を受け、俺同様に意識を失っていたもののいち早く目覚めることが出来たと話していた。

 続けてアルス。アルス本人は特に傷はなかった、けれどサーヴァント・バーサーカーのダメージはアーチャー、セイバーと比べても相当なものだったらしく……。今は別の場所で回復に努めているとのこと。

 そして──。

 

 

 

 ────

 

 俺はセイバーを伴い、ある場所へ足を運んでいた。

 

「……アナタたち」

 

 ランサーは振り向き、俺たちに気づく。

 

「今さっき起きたばかりなんだ。タケルの様子は──」

 

「見ての通りよ。とうとうこの時が来た、と言う感じね」

 

 かの状況は薄暗いこの部屋にある、大窓に視線を投げかける。

 向こうには複雑な治療機器があって、点滴と呼吸器で繋がれたタケルの姿があった。

 

「……近くにいたのに気づかなかったなんて。タケルがこんな状況で、今まで戦っていたなんて」

 

「マスターは話す必要がなかったから伝えなかった、それだけよ。仮に知っていた所でどうする事も出来なかったでしょ?」

 

 ランサーが言った通り、俺に出来ることはなかった。

 

 

 

 端的に言えば、タケルは不治の病を患っていた。

 それも昨日今日の話じゃない。聖杯戦争が始まるよりもずっと、何年も前から。

 

「病気が発覚したのは、マスターが小さかった頃……ガイアスが起こした爆破テロに巻き込まれた時よ。

 病院に搬送された時の検査で、脳に変異性の腫瘍があると確認されたみたい。最初は何の症状がなくても、月日を追うごとに着実に侵食……やがて頭痛に襲われて、悪化に伴って更なる痛みを伴う。最後には意識を保つことも出来なくなって、命を落とす。

 医者には十七歳までは生きられないと診断されていたみたいね」

 

「いつから知っていたのでありますか?」

 

 セイバーの言葉に、彼女は当然と言うように答えた。

 

「契約してすぐの頃に、ね。

 タケルは限られた命だからこそ、全てを賭けてガイアスの復讐を遂げようとしていた。アタシに出来ることはその助けになることくらい。

 ──でも、限られた命だとしてもマスターには、復讐で人の道から外れた……アタシのようになってほしくなかった。手を汚すのはサーヴァントだけで十分だから」

 

 真摯に呟くランサー。セイバーとしても思うところがあったようで。

 

「……その忠義は偉いであります。主の全てを受け入れて、それでも最善を、忠義を尽くそうとするランサーのあり方。誇るべきだとボクは思います」

 

 素直に称賛する言葉に、彼女は寂しげに微笑むと言った。

 

「そんなものじゃないわ。アタシは、アタシがしたいようにしているだけ」

 

 それから目を閉じているタケルに再度視線を投げかけると、俺達に伝える。

 

「マスターの事は気にしないで、三、四日経てば目覚めると話していたから、それからまた会えるはずよ。……その後は」

 

 口を閉ざし、沈黙する。

 症状は確実に悪化している。そして『十七歳まで生きられない』という言葉。

 

(タケルは俺と同じ十六歳だ。残りの寿命は、もう少ないと言うこと)

 

 病気だけじゃない。彼には今まで仇を討つ目的があった。

 限られた命を賭けた、まさに生きる目的そのもの。それが消えた今、保ってきた命の灯火が揺らぐのは道理かもしれない。

 聖杯戦争が終わった後、タケル自身はどうなる?

 

 

 

 そしてもう一つ。

 俺は僅かにセイバーに視線を向ける。

 

「……」

 

 セイバーの事、もはや知らないフリは出来ない。

 

 

 

 ────

 

 改めて精密検査を受けた後、その日の内に俺は退院した。

 意識を失いはしたものの、傷は大したことはなく、後遺症も見られなかったと言うことで安心した。

 

 

 時刻は夜、俺とセイバーは自室に帰宅した。

「やっぱり家が落ち着くな。とりあえず、一休みしようか」

 

 リビングで二人で過ごす。

 帰りにコンビニで買ったポテトチップスを開けて、テレビのバラエティ番組を見たり。

 

「主さまは勉学の方は、大丈夫なのですか?」

 

「今日は別に気にしないさ。問題ない」

 

 何気なく過ごしながら、セイバーの様子を伺う。

 俺自身、話すタイミングを見計らっていた。そして丁度良いと思った瞬間、俺は言った。

 

「セイバー、君に話したいことがある」

 

「はい、何でしょうか」

 

 これは話しておくべきことだ。一呼吸ついて言葉を続ける。

 

「実は思い出したことがある。

 多分、頭を打ったショックか何かだと思う。同じようにして記憶を失ったから」

 

「記憶……それって」

 

 俺は頷く。

 

 

「記憶喪失で失っていた、幼かった俺とセイバーとの思い出だ。

 俺達はずっと昔に出会っていた──あの場所で」

 

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