ブルーアーカイブ 〜平等の幸せを求めて〜   作:眠り狐のK

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平和的にね


13話 平和的解決

「ただいま」

「あ、おかえりなさい、先生」

 

 アビドスに戻った僕は対策委員会のみんなに迎えられる。

 とは言っても、そこまで時間は経っていないけど。

 

「それで、用事ってなんだったのよ」

「そのことなんだけど……時間があまりないから簡潔に言うけど、みんなにはこれから起こることに目を瞑ってあげてほしいんだ」

「これから……起こること?」

 

 対策委員会のみんなは首を傾げる。

 これから起こることが何かを知らないのだからそうなってしまうのも当然のことである。

 ただ、細かく説明するには時間がない。

 あまり誤解は与えないようにしたいのだが。

 

「一体何が起こるって……」

 

――ドカーン!!

 そのとき、少し離れたところから爆発音が聞こえてきた。

 

「な、爆発!?」

「誰かが近くで爆弾を使ったようですね。あれは……もしかしてラーメン屋にいた……」

「あいつら!!」

 

 セリカさんが怒りを見せながら教室を出ていく。

 それにシロコさん、ノノミさんと続いて外へ出ていく。

 あぁ、今から簡単にだけでも説明しようと思っていたのに……

 

「うへ、もしかしてこれから起こることってこれのこと〜?」

「まぁ、そうなんだけどね……。事情は合流してから話すよ」

「うん、わかったよ」

 

 ホシノさんと僕、アヤネさんも続いて外に出る。

 現場まで到着すると、銃を構えた便利屋メンバーが揃っていた。

 

「あんたたち何のつもり!? せっかくラーメンも無料で特盛にしてあげたのに、この恩知らず!!」

「ぐっ……!」

 

 アルさんはばつが悪そうにしながら目を逸らす。

 

「あははは、その件はありがと! 安心して猫耳っ子ちゃん。今日の仕事はこれで終わりだから」

「誰が猫耳っ子よ!! って……これで終わりって……?」

「こほん……これでいいのよね、先生?」

 

 ムツキさんの言葉にセリカさんは首を傾げるも、その後に続いたアルの言葉によって全員の視線が僕の方へと向く。

 

「うん、無理を聞いてくれてありがとね」

「先生、一体どういうこと?」

 

 セリカさんが少し睨むような目で見てくる。

 まぁ、現状だけ見ると便利屋を差し向けたのが僕って思われても仕方ない状態だし仕方のないところなのだが。

 本当は全部説明してからのほうがこうやって誤解を生まずに事を済ませられたのだけど、それをするにはあまりに時間がなかった。

 

「今から説明するよ。その前に、ここで話すのもあれだし、中でどうかな?」

「えっ……入れちゃって大丈夫なんですか!?」

「んー、いいんじゃない? 向こうももう戦う意思はないみたいだしさ、事情は先生がこれから話してくれるんでしょ?」

 

 アヤネさんはそう言われて便利屋の方を見ると、みんな既に武器を降ろしていた。

 ホシノさんの言葉に僕は頷くと、アヤネさんは渋々という感じで校内へと招き入れた。

 そして、教室に入ると、僕はみんなに事情を話し始めた。

 

 

 

 

 

――数十分前のこと――

 

「それじゃ、その話はちょっと待ったをかけさせて貰おうかな」

「誰!? って、貴方はさっきの……」

 

 芝関ラーメンを後にし、アビドス襲撃について話していた便利屋の4人に先生は話しかけた。

 とりあえず自己紹介でもしておこうと先生は話す。

 

「改めて自己紹介しよっか、僕はシャーレの先生、白神大智です。よろしくね」

「え、えぇ……よろしく……ってそうじゃなくて! どうして貴女がここに?」

「噂に聞くシャーレの先生……もしかして、私達を止めに来たの?」

「まぁ、半分正解かな?」

 

 カヨコの推測に先生は頷く。

 実際アビドス襲撃を止めて貰うためにここに来ている。

 でも、細かいところを言ってしまえば、ほんの少しだけ違う。

 

「君達に依頼をしに来たんだ。君達の雇い主から払われる額以上の……いや、その倍のお金を出す。だから、今回のアビドス襲撃に関してだけ失敗したって報告してほしいんだ」

「倍!?」

 

 先生はそう言って驚いてるアルに契約書を差し出す。

 差し出されるままに契約書を受け取るアルを横目に先生の言葉に引っかかる部分があったのかカヨコが先生に質問をする。

 

「今回だけ?」

「そう、今回だけ。もし次があるなら依頼主の依頼通りにしてくれて構わないよ」

 

 その言葉に便利屋の4人は首を傾げる。

 

「そ、そもそもなんで先生が依頼のことを知ってるのよ」

 

 確かに、さっきの話の中でもアビドスを攻撃するとは言ったが、それが依頼されたものだとは言っていない。

 とは言っても、先程のラーメン屋でのことを考えると少なくとも便利屋の私情で襲撃するとは考えづらい。

 となればあと残る可能性は何者かに依頼されたという可能性くらい。

 

「知ってはないよ、推察しただけ。便利屋のことはちょっとだけ知ってるし、今までのカタカタヘルメット団の動きとしても裏に誰かがいるって考えたほうがしっくりくるからね」

 

 カタカタヘルメット団はアビドスの物資が尽きるまで何度も襲撃を続けている。

 そこまで襲撃を続けているというのに、カタカタヘルメット団の方は銃弾を無駄遣い出来るレベルに物資に余裕があるように先生は感じている。

 極めつけにはこの前の件で見つけた数々の違法な武器。

 少なくとも、唯の不良グループが集められるレベルでないのは明らか。

 これだけの量なら、裏にいるのも相当大きなところだろう。

 アビドスに関して大体裏でやらかしてたのはたしかカイザーだったはずだから、恐らくこれを仕向けたのもカイザーと見ていいだろう。

 つまり「全部カイザーってやつが悪いんだ!」ということだ。

 

 恐らく、裏にカイザーがいることを知らなかったとしても自分ならこの違和感に気付けるだろう。

 そして、自分がもしカイザーの立場にいるとすれば、ヘルメット団でダメなら別の人間に頼む。

 その相手として実践の経験値が高くて、お金さえ払えばどんな依頼でも受ける、そんな便利屋68は絶好の相手とも言えるだろう。

 カイザー軍やその関係者を使わないのもカイザーが裏でやってることをバレないようにするためと考えれば納得はできる。

 

 つまるところ、先生自身の中でこの裏にカイザーがいることは確定はしてなくても確信している。

 

「どうして今回だけ? てっきり、今後アビドスを狙うのはやめろ、って依頼されると思ってたんだけど」

「アビドス襲撃を依頼した人物に便利屋が僕に買収されたってことがバレたら君達まで狙われる可能性があるから、かな」

「ふーん? つまり、私達のこと考えてくれてるってことだよね~? 先生やっさし〜♪」

 

 ムツキが先生に近づき嬉しそうに笑顔を浮かべる。

 実際のところ急に便利屋が「アビドスに付くことにしました」なんて言ってしまえばアビドスと一緒に便利屋も狙われることになるだろうし、変に警戒心を刺激することにも繋がりかねない。

 

「どうするの、社長?」

「わ、私はアル様についていきます!」

「え、えっと……」

 

 アルは悩む。

 便利屋68はお金さえ貰えればどんな依頼だって受ける。

 しかしそれはそれ、大手企業相手に失敗報告をするのは気が引ける。

 そこにムツキが囁やきかける。

 

「ねぇねぇアルちゃん、お金の為に裏切るのだってアウトローなんじゃない?」

「っ……! そ、そうね! 私はアウトローだもの。便利屋68はお金さえ貰えばどんな依頼だって受ける、たとえそれが依頼人を裏切れ、という依頼であってもね」

 

 アルは心の中で「言っちゃったぁぁぁぁ!?」なんて焦りながらも、それを表に出すことはなく、華麗な佇まいで裏切る宣言をする。

 

「流石ですアル様!」

「はぁ……じゃあ、心の準備だけしておないとね」

 

 ハルカは目を輝かせて尊敬の眼差しでアルを見つめ、カヨコは溜息をつきながらも異論はないようだ。

 ただ、先生にとって予想外だったのは

 

「まさかムツキさんが手助けしてくれるなんてね」

「くふふ♪ 先生についたほうが面白そうだし〜♪ それに、アルちゃんもアビドスを襲撃するのに抵抗があったみたいだからね〜」

 

 ムツキは先生に笑顔を向けて呟く。

 理由はともあれ、話が早く済むのは助かるところ。

 ところで裏切る必要はなく今日の襲撃だけ止めてもらえればいいのだが大丈夫なのだろうか?と考える先生であった。

 なるようになるだろうと先生は頭を切り替え話を戻す。

 

「それじゃあ、作戦を話し合おっか」

 

 

 


 

「つまり、先生が便利屋の襲撃を止めてくれたってこと?」

「簡単に言えばそういうことかな」

 

 詳しくみんなに説明したところ、一応は納得して貰えたみたいだ。

 一応、次は襲撃してもいいって言ったとか火種になりかねない部分は省いてるけど、元よりその次が来ないこと前提で動いてるからとりあえずは問題ないということにしておこう。

 爆発の件に関しても、襲撃したという証拠だけ残してできるだけクライアントに不信感を持たせないようにするためと説明しておいた。

 これは便利屋のためでもありアビドスのためでもある。

 もし、便利屋が買収されたとカイザーに知られれば、裏切った便利屋がカイザーに狙われてしまう可能性がある。

 さらに、自分達の雇った相手を買収してしまえるレベルの人間がアビドス側にいると認識されれば何をしてくるかわからない。カイザーに余計な動きされたら少し困ることになるかもしれない。

 そういう意味でもできるだけリスクは減らしておきたい。

 

「そのあんた達を雇った相手って誰なのよ」

 

 セリカさんの問いにアルさんは少し考えて答える。

 

「それは……言えないわ。先生からの依頼はあくまで『今回の襲撃を失敗したという結果にさせる』こと、クライアントの情報を流すことは依頼に含まれてないわ」

「ふざけないで! そいつらが「セリカさん」先生……」

「言えないなら仕方ないね、あまり長居して怪しまれてもいけないから今日は帰ってもいいよ」

「えぇ……わかったわ」

 

 僕の言葉を聞き、便利屋は教室を出ようとして立ち止まる

 

「先生、依頼の件、頼んだわよ?」

「うん、こちらこそ」

「じゃ、まったね〜♪」

「し、失礼します!」

 

 そして便利屋はアビドスを後にした。

 

 


 

「……先生、本当によかったのでしょうか?」

 

 アヤネさんの言葉に首を傾げる

 

「その、雇い主のことです。少しでも情報があれば何か分かったかもしれないと思うのですが……」

「ううん、必要ないよ。タイミング的にヘルメット団の裏にいる人物と同一だろうしね。自分で調べたほうが情報は確実だと思うよ」

 

 便利屋の情報を信用してないわけではないが、これで教えてもらって銀行強盗イベントなくなってもいけないしね。

 先のためにもトリニティとかゲヘナとか繋がりは作っておきたい。

 一応トリニティに知り合いはいるけど、トップと繋がりを作るなら回収しておくべきかな。

 

「さっきの依頼って何?」

「シャーレの先生としてお手伝いを少しね」

「ふーん……」

 




原作の大筋は変えない、その上で出来るだけ平和的に出来る方法を考える、両方やらなくちゃぁいけないってのが作者の辛いところだぜ(?)

次回はあの子が出るよ!!!
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