ブルーアーカイブ 〜平等の幸せを求めて〜   作:眠り狐のK

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ひっひっひふみ


14話 阿慈谷ヒフミ

「……お待たせしました。変動金利等を諸々適用し、利息は788万3250円ですね。全て現金でお支払いいただきました、以上となります。カイザーローンとお取引頂き、毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします」

 

 カイザーローンの銀行員はそう言うと、現金輸送車に乗り込みそのまま去っていった。

 

「はぁ、今月も何とか乗り切ったね〜」

「……完済まであとどれくらい?」

「309年返済なので……今までの分を入れると――」

「言わなくて良いわよ、正確な数字で言われるとさらにストレス溜まりそう」

 

 何度聞いてもとんでもない数字だ。

 そもそもカイザーは借金返済なんてさせる気はないのだから、当然と言えば当然だよね。

 

「ところで、カイザーローンはなぜ現金でしか受け付けないのでしょうね? わざわざ現金輸送車まで手配して……」

 

 ふと、ノノミさんがそんな疑問を口にした。

 それは……ハッキングとかされたら裏のことがバレちゃうとかの理由じゃないかな?

 ほら、カイザーって黒だし。

 

「……」

「シロコ先輩、あの車は襲っちゃ駄目だよ」

「うん、わかってる」

「計画もしちゃ駄目!」

「うん……」

 

 シロコさんは平常運転のようでした。

 

 

 


 

「全員揃ったようなので始めます」

 

 今日も今日とてアビドス会議が始まります。

 

「まず、昨晩の便利屋の件です。あのときは、先生のおかげで襲撃を回避できましたが、少し気になることが……」

 

 気になること、何だろう。

 

「その、先生が『便利屋の依頼人とヘルメット団の裏にいる人物が同一人物』と言っていた件について、少し気になりまして……」

 

 アヤネさんがほんの少し申し訳なさそうな表情でこちらに視線を向けてくる。

 あぁ、確かに引っかかっちゃうか。

 

「推測の域は出ないけどね。まず、ヘルメット団の件、違法な武器をいくつも持ってること、アビドスの物資が尽きるまで襲撃を続けられるほど向こう側には物資があること、このあたりは唯の不良グループで調達できる範囲を明らかに越えている。ここまではいいよね?」

 

 こくりと、黙って聞いている対策委員会の5人は頷く。

 

「じゃあ、どうやってそれらを調達したのか。……もし、ヘルメット団も雇われていたとしたら?」

「雇われていた……?」

「そう、裏の人物は便利屋にアビドスを襲撃するように依頼していた。つまり、アビドスを攻撃することを目的にしている。それを目的にしているなら、ヘルメット団にアビドスを襲撃するよう依頼していたとしても不思議じゃない……寧ろ、それなら異様なほど物資を持っていたことにも説明がつく」

「……つまりうちを攻撃するためにヘルメット団に物資を支給してたってこと?」

「そういうことになるね」

「一体誰が……」

 

 実際は物資じゃなくて資金……いや、物資も支給してるのかな?

 まぁ、そこは置いておいて、資金についての答えはブラックマーケットにある。

 その為の銀行強盗イベント。

 ……ここまで僕が関わったこと以外で大きな変数がなさそうなも気になるけど、このまま彼と接触するまで何もありませんように。

 

「そこまではわからないけど、きっとこのまま調べ続けたらわかるんじゃないかな」

「その、物資の件なのですが……先日の戦闘で手に入れた戦術兵器の破片を分析した結果、現在取引されていない型番だということが判明しました」

「もう生産してないってこと?」

 

 ホシノさんの質問にアヤネさんは頷く。

 

「これらの生産が中止された型番を手に入れられる方法はキヴォトスでは『ブラックマーケット』しかありません」

「ブラックマーケット……とっても危ない場所じゃないですか」

「つまり、先生の推測が正しいとしたら、黒幕はブラックマーケットにいるってこと?」

「たとえ違ったとしても、手がかりは掴めるかもね」

「よし、じゃあブラックマーケットを調べてみよ〜」

 

 こうしてブラックマーケットに行くこととなった。

 

 

 


 

「ここがブラックマーケット……」

 

 裏世界の市場みたいなものならもう少し小さなものを想像してたけど思ったより大きい。

 ブラックマーケット、銀行強盗の件ととある少女と出会うことくらいしかここでのことは知らないからどれくらい規模があるかは知らない。

 だから僕はこの広く賑やかな状況に少し感心していた。

 ブラックマーケットの広さのことに関してはみんなも同じように感じてるみたいだね。

 

「うへぇ、普段私たちはアビドスにばかりいるからねぇ〜。学区外は結構変な場所が多いんだよ〜。外の学区にはちょーでっかい水族館もあるんだって! アクアリウムっていうの!」

 

 水族館かぁ、前世でも行ったことあったかな。

 全てが終わったらみんなで見に行くのもいいかもね。

 その為にも、先生としてみんなを守らなくちゃ。

 

「今度私も行ってみたいな〜。うへ、魚……お刺身……」

 

 水族館ってそういうところじゃないと思うんだけど……と思っていたらセリカさんも同じツッコミをしていた。

 よかった、水族館でお魚を食べるのがキヴォトスの常識なのかと少し思いそうになっちゃった。

 

『皆さん油断しないでください。そこは違法な武器や兵器が取引される場所ですから、何が起こるかわからないんですよ? 何かあったら私が――きゃっ!?』

 

 ダダダダッ! と複数の銃声と足音がこちらに向かって来ていることに気づいたアヤネさんは少し驚く反応をする。

 足音の方を向くと、一人の少女を不良が追いかけていた。

 

「待てー!」

「あぅあぅ、ついてこないでくださいー!」

「そうはいくか!」

 

 あの子が例の少女だね。

 名前はなんて言ったっけ。

 

「あれ……あの制服は……」

 

 トリニティのものだね。

 トリニティはまだ行ったことないからまた時間ができたら行ってみたい。あの子にお礼もしたいしね。

 

「わわわっ、そこどいてくださいー!」

 

 不良から逃げることに夢中になっていたのか、少女はこちらに気づくのが遅れ、ぶつかりそうになるところをぽすんっとシロコさんが上手く受け止める。

 

「あぅ、ごめんなさい!」

「大丈夫……ではなさそうだね」

「あはは……それが……」

 

 不良達がこちらに追いつくと足を止めてこちらに手を払ってくる。

 

「どけ! アタシたちはそこのトリニティの生徒に用がある」

「あぅぅ……私は特に用はないのですけど……」

 

 不良の言葉に少女は困ったように返す。

 

『思い出しました、その制服……キヴォトスいちのマンモス校のひとつ、トリニティ総合学園です!』

「そう、そしてキヴォトスで一番金を持っている学校でもある! だから拉致って身代金をたんまり頂こうってわけさ!」

 

 まぁ、それはどうでもいいのだけど。

 この子、慌ててるように見えて思ったより冷静なようにも見える。

 慌ててるというよりは、面倒事に巻き込まれてしまったと少し困ったような表情。

 なんというか、この状況に少し慣れを感じるような……

 

「どうだ、お前らも乗るか? 身代金の分け前は――うぎゃ!!」

 

 気がついたらシロコさんとノノミさんが銃を撃ち込んで不良を気絶させていた。

 

 


 

「ありがとうございました。みなさんのおかげで問題にならずに済みました……」

「えっと、ヒフミちゃんだっけ? それにしても、トリニティのお嬢様がなんでこんな危ない場所に来たの〜?」

 

 彼女の名前は阿慈谷ヒフミ。

 明るい栗色のツインテールを揺らしながら感謝の言葉と共に頭を下げる。

 その肩にはかわいい? 個性的? な鞄を下げている。

 

「あはは……それはですね……実は、探し物がありまして……もう販売されていないので買うこともできない物なのですが、ブラックマーケットでは密かに取引されているらしくて……」

「もしかして……戦車?」

「もしくは違法な火器?」

「化学兵器とかですか?」

「い、いえ……えっとですね、ペロロ様の限定グッズなんです」

 

 それぞれの反応にヒフミさんは少し苦笑いを浮かべながらも答える。

 しかし、ペロロ様を知らない約1名を除いたアビドスメンバーは首を傾げる。

 

「えっと、これです。ペロロ様とアイス屋さんがコラボした限定ぬいぐるみ!」

 

 ヒフミさんがぬいぐるみを取り出すとこちらに見せてくれる。

 ヒフミさんの持ってる鞄と同じっぽいマスコットの口にアイスが突っ込まれている。

 これはこれでまた個性的な見た目だね。

 

「限定生産で百体しか作られていないグッズなんです。ね、可愛いでしょう?」

 

 満面の笑顔でペロロ様を見せてくるヒフミさんにシロコさんは困ったような反応をする。

 仕方ない、誰にでも好みはあるからね。

 ちなみに僕はユニークでいいんじゃないかと思う。

 ただアイスの突っ込まれ方が雑すぎてちょっとかわいそう。

 

「わぁ☆ モモフレンズですね! ペロロちゃん可愛いですよねぇ! 私はミスターニコライが好きなんです」

 

 約1名、ノノミさんはモモフレンズが好きな子の一人みたいだった。

 そして、ノノミさんとヒフミさんの2人でモモフレワールドが展開されていくのだった。

 

「いやぁ何の話だか、おじさんにはさっぱりだな〜。最近の若いやつにはついていけん」

「歳の差ほぼないじゃん……」

 

 ホシノさんとセリカさんのおじさんコントが繰り広げられている。

 

「というわけでグッズを買いに来たのですが、先程の人達に絡まれまして……一人でなんとかするのも大変なので助かりました」

 

 大変だけれど一人でなんとかできるんだ。

 見た目によらずこの子強い?

 

「……ところでアビドスのみなさんはなぜこちらへ?」

「私達も似たようなものだよ、探し物があるんだ〜」

「なるほど……似たような感じなんですね」

 

 話しているとふと、辺りから僅かに複数の足音がこちらに向かってきていることに気がついた。

 そして、その瞬間アヤネさんからの通信が入る。

 

『皆さん大変です! 四方から武装した人達が向かってきています!』

 

 足音が近づいてくると、その正体が見えてきた。

 どうやら、先程気絶させた不良の仲間のようだ。

 

「あぅ……仕方ありません、治安管理の人達に見つかったら大事になってしまいます。ここは逃げましょう!」

「ふむ、ヒフミちゃんのほうがここは詳しいだろうし、従おう」

 

 みんなを見渡し頷き合い、そのままダッ!――っと一斉に逃げ出した。

 

「あっ、待て!!!」

 

 こちらに来ていた不良達が一斉に追いかけてくる。

 このまま鬼ごっこするのも良くないだろうし、どうやって撒くつもりなのだろうか、そう考えたその瞬間――

 

「ペロロ様!!」

 

 ヒフミはカバンの中から何かを取り出し後ろに投げた。

 投げられた物が地面に接触すると、ブワッと勢いよく辺りを煙で埋め尽くしていく。

 なるほど、煙幕か。

 

 しかし、先頭にいた何人かの不良は煙幕から飛び出し、こちらに突撃してきた。

 

「ごめんなさい!」

 

 それを予測していたのか、ヒフミは瞬時に振り向きダダダッ!――っと銃を数発撃ち込む。

 その銃口から発射された弾丸は正確に不良達の額に命中していき、倒していった。

 

「おぉ〜、やるねぇ〜♪」

「今のうちです!」

 

 ヒフミに先導されつつ逃げていると、いつの間にか不良達の騒がしい声も聞こえなくなった。

 どうやら上手く撒けたようだ。




原作のヒフミはここまで強くないはずです

っていいたいけどファウスト様のことだしペロロ様が関わればできるのでは……????
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