正直今回の部分は原作とほぼ同じなので全部カットしちゃってもよかったのですが、流れの中での主人公の心情や性格を描くために書きました。
飛ばしても多分影響はありません
「……い」
何か、声が聞こえる気がする
「……先生、起きてください」
少しずつ聞こえてくる声ははっきりしてくる
「大智先生!!」
はっきりと自分の名前を呼ばれ、目を覚ます。なにか夢を見ていた気がするがどんな内容なのかは覚えていない。なにかを頼まれたような、悪い夢を見ていたような、そんな感覚がするが、思い出せないので気にしないことにした。
「……少々待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは。」
夢のことは忘れて起こしてくれた人物を見る。正直、ここがどこなのかわからないし、どうしてこんなところで眠っていたのかもわからない。でも、目の前の女性はどこか見覚えがあるような気がする。うーん、とりあえず
「おはようございます」
軽く微笑みかけながら挨拶を返しておいた
「……おはようございます、夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください。」
「もう一度、改めて今の状況をお伝えします。私は七神リン、学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部です」
学園都市キヴォトス、知っている。
とはいっても確か僕の記憶の通りなら『ブルーアーカイブ』の舞台となる場所だ。透き通るような世界で送るRPGだったかな、あまりしっかりやってなかったからうろ覚えだけど。これはよくある異世界転生とかそういう類のやつかな?それにしてもこれは自分の原作知識を当てにしてとかは難しそうだ。
……普通は創作物の世界に飛ばされて焦るなり喜ぶなりする場面なんだろうけど、予想以上に冷静な自分がここにいた。思ったよりこういう状況に慣れてるのかな、僕って。
そんなことを考えている間に七神さんは言葉を続ける。
「あなたはおそらく、私達がここに呼び出した先生……のようですが。……あぁ。推測形でお話したのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです。」
「そっか、既に知ってるかもしれないけど一応自己紹介しておくね。僕の名前は
とりあえず考え事は後回しにして自己紹介した。意味はなかったかもしれないけど。
「はい、先生のお名前は既に把握しています。問題ありません。……それにしても思ったより落ち着かれていますね。話が早くなるのは今は助かりますが。」
「僕も意外に思ってるよ」
「ふむ……いえ、あの連邦生徒会長が選んだ方ですから、そういうものなのでしょう」
そのまま七神さんは背を向けて歩き出す
「では、私についてきてください。どうしても、先生にやっていただかなくてはいけないことがあります。」
「やっていただきたいこと、ね」
今、先生と呼ばれているのは僕だ。ということは今の僕は、あの作品の主人公とも言える先生のポジションにいるということ。つまり、僕はこれからこの世界で先生として生徒達を導いていかなければならないのだろう
「……学園都市の命運をかけた大事なこと……ということにしておきましょう」
うん、もしそういうことだとすればこれから僕が選ぶ選択がこの物語を大きく左右することになる。そうなれば選ぶ道は一つしかないだろう。僕はあの先生みたいに善人ではない、あの先生みたいに優秀なわけでもない、それでも先生として呼ばれたからには出来る限りのことをするしかない。
そんなことを考えながら七神さんについていく。考え事ばかりだとは思うが今後の動きのために多少は整理しておきたかった。あとの細かい部分はシャーレについてからでもいいだろう。
暫くついていくとエレベーターにたどり着く。七神さんに言われるままエレベーターに乗るとそこには透き通るように美しい景色が目の前に広がっていた。
「『キヴォトス』へようこそ、先生」
やはり画面で見る景色と現実でこうして自らの目で見る景色とでは迫力とか美しさとか、色々なものの感じ方が違うように感じる。これを見れただけでもこの世界に来れてよかったと思う。もう少しちゃんと作品に触れておくべきだったかな。
っと、そろそろまた七神さんが説明をくれるころかな
「キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります」
うん、こういう基本的な部分は覚えている。プロローグしか覚えてないっていうのもなんだかなって感じだけれども。
「きっと先生がいらっしゃったところとは色々な事が違っていて、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが……。いえ、先生ならそれほど心配しなくてもいいでしょう」
そうこうしてるうちに目的の階にたどり着いたようだ。エレベーターを出ると周りの人達がざわざわと慌ただしく動いていた。そういえばこの作品はこういう始まり方だったな。プロローグだけは覚えてる?全部とは言ってない。
「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」
くだらないことは置いておいて四人の生徒がこちらに来た。この四人は知っている。知ってるだけ。
「……うん?隣の大人の方は?」
「首席行政官。お待ちしておりました。」
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています。」
「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね。こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余してる皆さん」
七神さんの本音がうっすら出てきて……いや普通に出てきてますね
「こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よく分かっています。今、学園都市に起きてる混乱の責任を問うために……でしょう?」
「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
「連邦矯正局で停学中の生徒達について、一部が脱出したという情報もありました」
「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒達を襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」
「戦車やヘリコプターなど、出所のわからない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」
ユウカ、チナツ、スズミ、ハスミの四人が続けて語る。これだけのことが起こるって普通に考えてキヴォトスってすごいところだよね。こんな世界でごく普通の僕がどこまで頑張れるのか
「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」
「……連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました。」
「……え!?」
「……!!」
「やはりあの噂は……」
連邦生徒会長が行方不明になったと聞いてそれぞれ驚きの表情を見せる。
「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。」
とりあえずはストーリー通りに進めることにする。流れに身を任せると言ったら悪いけど、この物語はシッテムの箱を入手してシャーレの顧問になってからが始まりのはずだ。だからここはこのままでいい。
「認証を迂回できる方法を探していましたが……先程まで、そのような方法は見つかっていませんでした」
「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」
「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」
「「「!?」」」
それぞれが再び驚きの表情を見せる。そりゃ連邦生徒会長が行方不明になったので代わりの人が来ましたって唐突に言われたら何度も驚くよね
「ちょっと待って。そういえばこの先生はいったいどなた?どうしてここにいるの?」
「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね」
「はい。こちらの大智先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」
「行方不明になった連邦生徒会長が指名……?ますますこんがらがってきたじゃないの……」
青髪の子、ユウカさんが困惑したような反応を見せる。とりあえずは挨拶をしておこう。先生だしね。
「こんにちは、先生としてここに呼ばれた白神大智です」
「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイレンススクールの……い、いや、挨拶なんて今はどうでもよくて……!」
「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと…「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」
「あはは、よろしくね早瀬さん」
元気なことはいいことだよね、銃弾が飛び交う世界とはいえまだ子供なんだし。とはいえこの世界のことにそこまで詳しくないから、生徒達の名前もしっかり覚えていかないといけないね。
「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました。連邦捜査部『シャーレ』。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制約なしに戦闘活動を行うことも可能です。」
七神さんが長々と説明してくれる。改めて説明を聞くと自分がどれだけの立場を与えられるのかを再認識させられる。生徒達には平等に幸せになって貰わないといけないから、正しい使い方をしなくてはならない。
「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかはわかりませんが……。シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんどなにもない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に『とある物』を持ち込んでいます。そこに先生を連れて行かないといけません」
とあるもの、シッテムの箱のことだ。アロナが居てくれればかなり心強い。本来の先生と同様に銃弾一発で致命的になりかねない自分にとってアロナの存在は死活問題にもなる。
そうすると七神さんが誰かに連絡を取り始める。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」
『シャーレの部室?……あぁ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?』
「大騒ぎ……?」
『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』
「……うん?」
『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを戦闘に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?』
『それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?』
「……」
『まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大したことな……あっ、先輩、お昼ご飯のデリバリーが来たから、また連絡するね!』
ブツッと通信が切れる音が響く。静寂の中感情を抑えるように七神さんの身体が震えている。
「七神さん、大丈夫?」
「……だ、大丈夫です。……少々問題が発生しましたが、大したことではありません。」
そのまま感情を抑えたまま七神さんは眼鏡を押し上げつつこの場にいる四人の生徒を見る。
「な、何?どうして私達を見つめてるの?」
突然視線を向けられ困惑している四人に構わず七神さんは続ける。
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」
「……えっ?」
「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」
そう言って七神さんは再び足を進める。
「ちょ、ちょっと待って!?ど、どこに行くのよ!?」
四人も困惑したまま七神さんの後を追っていく。その後を僕もついて行く。
さて、これから最初の大仕事だね
正直この作品は対策委員会編からが本番なのでプロローグに関しては割と適当に終わらせてしまっても問題はないんです。
なのでプロローグは久しぶりに戦闘描写を書くためのチュートリアルとして書こうかと思ってます。
とはいっても銃撃戦の描写は書いたことないんですけどね
ちなみに余談なんですけど今考えてるのは銃撃戦よりもアロナをどう甘やかし倒そうかってところなんですよね(えっ)