ブルーアーカイブ 〜平等の幸せを求めて〜   作:眠り狐のK

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こちらでは一ヶ月ぶりとなりますね


21話 カイザーPMC

「ここがアビドス砂漠、その中でも捨てられた砂漠か」

「砂だらけの市街地に行ったことはありますがここからは初めてです」

 

 ノノミさんの言葉にこくりと頷いて返す。

 僕もこの辺りの話は原作知識としては知っているが、相変わらずの見るのは初めてと言うやつだ。

 市街地も相当だったけど、この先はほんとにほぼ全てが砂である。

 使われることのないであろう鉄道とか、何かが建てられてたであろう瓦礫とか、僅かに残ってはいるものの、最早残っているのはそれだけだった。

 

「いやぁ、ここも久しぶりだねぇ」

「ホシノ先輩はここに来たことがあるの?」

「前に委員会の仕事で何度かね〜。もう少し進めばかつては砂祭りが開かれていたオアシスが!」

「え、オアシス? こんなところに?」

「まぁ、今は全部干上がっちゃってるんだけどね〜」

 

 砂祭りにオアシスかぁ。

 少し見てみたいという気持ちはある。原作知識でも見たことのないものの一つ。

 いつかは見られるようになるのだろうか? といっても実現するならアビドスの生徒をもっと増やしてからになるのだろうか。

 そんな雑談をしながら、僕達はアビドス砂漠を進んでいった。

 道中、オートマタや警備ロボットと接敵することもあったが、そこは流石の対策委員会。僕の指示がなくとも普通に突破できている。

 

 

 

『っ……皆さん、前方に何かあります。まだ砂埃ではっきりとは見えませんが……町……工場……? なにか……施設のようなものが……』

「施設? 見間違いとかじゃなくて?」

『いえ、確かに何かあります。肉眼で確認できるところまで進んでみてください』

 

 施設、そこが今回の目的地であるカイザーPMC。きっともうすぐで見えてくるのだろう。

 そして、暫く歩いていくと、それは見えてきた。

 

「……何……これ」

「これは……工場……なのでしょうか?」

「こんなの……昔はなかった」

「カイザーコーポレーションが企んでいたっていうのはこれのこと?」

「カイザー……」

 

 自然な流れで真実に近づけていく。

 こここそがカイザーPMC、カイザーの運営する民間軍事会社。

 その目的は宝探しがどうとか、あまり詳しい話は覚えてないが、そんな感じだったはず。

 そんな考え事をしていると、突如銃声が聞こえてきた。

 

「な、なに……?」

「侵入者だ!!! 直ちに包囲しろ!!!」

 

 警報と共にカイザーのオートマタ達が続々とこちらに向かって来る。

 この戦いが最初から勝ち目のない戦いだということは理解している。だけど、原作通りにカイザー理事と会話するためにある程度暴れさせて貰おう。

 そうしてアビドス対策委員会は迫りくるオートマタ相手に反撃を開始した。

 

 ここまでかなり戦ってきたが、流石はカイザーの兵なだけはある。ヘルメット団に比べて実力も連携も段違い。アビドスのみんなの方が能力的には上、その上僕の指揮も込みで戦えてはいるが、それでもやはり多勢に無勢、遠くない内に限界が来るだろう。

 

「結局こいつらなんなのよ!!」

「そうですね、こんなところで何をしているのでしょう?」

『施設に何らかのマークを発見しました! ……これは』

「カイザーPMC」

「え?」

『は、はい。先生の言う通り、カイザーPMCです』

「またカイザーなの? カイザー、カイザー、カイザー、カイザー、カイザーばっかり!!」

 

 それも仕方ない。今回は相手がカイザーとわかってて行っているのだから。

 

「それに、『PMC』ということは……」

「え、何かまずい言葉なの?」

「PMCとは、民間軍事会社のことです。退学した生徒や不良を私設兵として雇ってるなんて噂がありましたが……まさか」

『相手はヘルメット団とは訳の違う訓練された兵、その軍隊のようなものです』

「軍隊!?」

 

 まぁ、驚くのも無理はない。そんな相手に侵入者として追われているのだから。

 ……僕の場合はそのあたりも全て承知の上だった訳だが。

 

『っ! 大規模な兵力がそちらに向かっています! これは、戦車にヘリまで……ものすごい数です!』

 

 うん、まぁ、こうなっちゃうよね。

 

『包囲される前に脱出してください! 先生、指揮を……先生?』

「え、先生、何を?」

 

 この戦いは最初から負け戦、戦ったとして包囲されるのは分かっている。だから僕は両手を上げて降伏の意思を伝えた。

 当然アビドスの面々からは驚きや困惑の声が上がるが、今回の目的はカイザー理事と話すこと、だから無駄に弾薬を使う必要はない。

 流石のカイザーも戦う意思のない相手に意味もなく銃を撃つようなことはしないらしい。もしそんなことをされるようなら原作同様に最後まで足掻くことも考えていたが。

 少し経つと、車に乗って誰かが来た。

 

「侵入者と聞いていたが、アビドスだったとは。それに、随分と潔いのだな?」

「これだけの兵を相手に逃げ切れるとは思ってないからね」

「そうか、シャーレの先生とやらは随分と賢いようだな」

「な、なによあいつ……」

 

 アビドスの子達は直接的な面識はないのか。となれば知っているのは僕とホシノさんくらいなのか。

 

「まさかここに来るとは、不法侵入にここで暴れた分の損害……借金に追加してもいいが大して変わらないか」

「……あんたは」

「ふむ……確か例のゲマトリアが狙っていた生徒会長……いや、副会長だったか?」

 

 例のゲマトリア……黒服のことですか。

 

「貴方は一体……」

「カイザーコーポレーションの理事、だよね」

「ほう、シャーレの先生に私のことが知られているとは。アビドスの生徒が私のことを知らないというのは逆の意味で驚いたがね。その通り、私はカイザーコーポレーションの理事を務めている者だ、君達アビドスが借金をしている相手でもある」

「な……!?」

 

 うん、やはり戦闘態勢は解除してくれないか。そこは仕方がないとして、話し合いには応じてくれそうなので、ひとまずはいいかな。話し合いとはいっても、今回は負けが決まっているが。

 

「つまり、貴方がアビドスを騙して搾取した張本人ってことでいい?」

「……ほう?」

「あんたがヘルメット団や便利屋をうちに仕向けた犯人ってことでしょ!? あんたのせいでアビドスは……!!」

「……ここに来て最初に出る言葉がそれか」

 

 カイザー理事は少しため息を付きながらぼそりと呟く。

 

「くく……面白い。だが、口の利き方には気をつけたほうがいい。ここはカイザーPMCが合法的に事業を営む場所、そこに君達は今不法侵入しているということを理解するべきだ」

「っ……!!」

 

 その言葉を聞いてシロコさんとセリカさんは口を紡ぐ。

 そこから、ここについての話をカイザー理事から聞かされた。原作知識で知ってはいたが、宝探しの為にこれだけのものが用意されているという話も。

 結局、借金の利子は跳ね上げられてしまったが……そこに関してはあえて原作と同じように動くようにさせているのだから割り切るしかない。

 本当のことを言えば未然に防いで処分してしまいたかったが、ホシノさんを動かし、その上でカイザー理事を追い出すなら必要な工程である。

 当然、アビドスの面々は納得するはずもなく異議を唱えるが、ホシノさんが制止を入れる。

 

「副生徒会長、流石に君は賢そうだな……あぁ、思い出したよ。賢そうな君と一緒にいたバカな生徒会長のこともな」

「っ……! ……ぁ……先生……」

 

 流石に生徒会長のことを馬鹿にされたのにはホシノさんの怒りが爆発しそうだったので優しく腕を掴んでゆっくりと首を振る。ホシノさんも落ち着きを取り戻してくれたみたいだ。

 

「では、来月からの支払いについてよろしく頼むよ。さぁ、お客様のお帰りだ、入り口まで案内して差し上げなさい。ふふ、ふははははは!!」

 

 ……このお返しは近い内にするよ。




さて、実質的にこの作品のプロローグはここまでとなります。
ブルーアーカイブのプロローグではなく、平等の幸せを求めてのプロローグです。
このプロローグでは、少しずつ伏線を散りばめながらある程度原作をなぞっていく作業でしたが、次回からは少しずつ物語が傾き始めていきます。
原作をなぞるだけなら必要ないと思う方もいるかもしれみせんが、先程言った細かい伏線を仕込みたかったっていうのと、もう一つ大きな理由があって敢えてこうして書いているわけであります。

ここからが本番となっていくので、是非お楽しみに
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