魔法世界の陰陽師   作:おにぎり41

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モンハンやってたら投稿遅れたwwww


シャーマンキング9

 僕の潔白を晴らし『完全なる世界』を表舞台に引きずり出すためには、不本意だがあのじゃじゃ馬の力が必須だ……

 

 帝国を出た後のハオの動きは迅速だった。

 

 帝国内に張り巡らせたネットワークを活用し、また連合には姿を隠し侵入することで、連合・帝国双方から情報を収集する。

 

 入手できた機密情報は二つ――

 

 交渉へ向かったテオドラ行方不明と

 

 オスティアの姫が消えたということだ。

 

 『紅き翼』が指名手配になったのか……あいつらも何らかの組織を探っていたという話だ。

 

 仮にこれが『完全なる世界』だとすれば、関連性は強固なものとなる。

 

 指名手配になった僕と『紅き翼』、調査を報告していたテオドラ。

 

 『紅き翼』が調査を報告していた相手がオスティアの姫ならば、監禁されている場所は『完全なる世界』の拠点のどこかだ。

 

 攻めてくる連合・帝国軍をまとめて吹き飛ばす訳にはいかない。

 

 この僕が姿を隠し情報を収集する羽目になるとは何と情けない――

 

 仕方がないな。

 

 

 

 

 ハオが調査を始めて一か月を過ぎた頃であった。

 

 古代遺跡が並ぶ『夜の迷宮』に監禁されていたテオドラはもう一人と楽しそうに話していた。

 

 「それでの、ハオがの!」

 

 「もうよい、何度も聞いたわ」

 

 これで何度目か分からない自分の騎士の自慢話に、オスティアの姫アリカがため息をつく。

 

 「むう……そう言うでない!」

 

 「相当その騎士とやらに気があるようじゃの?」

 

 「なっ!? 馬鹿を言うでない!! 妾にはそんな気はないのじゃ!!」

 

 顔を真っ赤にしたテオドラが言う。

 

 「こちらの騎士も、もう少しまともであれば良かったのじゃが……」

 

 「主の騎士はあの『千の呪文の男』なのじゃろう?どこに不満があるのじゃ?」

 

 「いや……その……何でもない」

 

 真剣に考え込むアリカにテオドラが尋ねるが、反応は薄かった。

 

 「それにしても奴は本当に助けに来んの……主の一大事なのじゃぞ!?」

 

 ハオの姿を思い出すテオが言う。

 

 「他に良い主でも見つかったのでは?」

 

 イタズラをする子供のような顔でアリカが笑と、テオドラの妄想が加速した。

 

 脳裏に浮かぶのは、豊満なボディを持つ美しい女性……ふざけた顔を見せずにエスコートするハオ。

 

 「許さぬ! 許さぬぞ!!」

 

 テオドラの眼の奥がメラメラと燃える。

 

 北東戦線とグレート=ブリッチでの戦果、優雅に勝ち進む拳闘大会の過去の映像を見た女性達が、惹かれない訳がない。整った顔に圧倒的な強さを持つハオは、敵国であるはずの連合側の女性も熱狂しファンクラブまであると聞く。

 

 「ハオは妾の騎士じゃ! 絶対に他の者に渡したりはせぬ!!」

 

 からかわれる事が殆んどであったが、時に本気で相談に乗ってくれた優しさ、知らぬ間にテオドラは惹かれていた。

 

 一方、変なスイッチを押してしまったアリカは困惑する。

 

 これではまた1~2時間は奴の騎士の話を聞かされる……何としてでも話題を変えねばならぬ!!

 

 口を開こうとした瞬間、牢の外から何かが崩れる音がする。

 

 轟音と共に壁から赤い棘が生え、壁を崩していく。

 

 日光を背景に長い黒い髪をした少年現れ、言った。

 

 「助けに来てやったぞ、テオドラ」

 

 テオドラが顔を真っ赤にし固まっている様子を見ると、こやつがテオドラの騎士なのだろう。

 

 その立ち振る舞いは、騎士と言うより姿は王と言った方が正しいのかもしれぬ……

 

 我が騎士もこれくらいの事はやって欲しいものじゃ。

 

 「オイ、何を固まっている?」

 

 「う、うむ。よくやった……褒めて遣わす」

 

 「昔言ったことの責任を取っただけだ、助けてやるとな。冗談のつもりだったが、まさか本当になるとは……」

 

 囚われの姫を助けに来るイケメン騎士。

 

 この年齢のテオドラには核兵器並の火力があることだろう。

 

 褐色の肌を真っ赤にしたテオドラが、俯いたまま動かなくなる。

 

 「それでこっちがオスティアの姫様か」

 

 ハオが心の中を見透かすような目を向ける。

 

 「うむ。礼を言わねばな……助かったとだけ言っておこう」

 

 「これのついでだ、気にする必要はない」

 

 テオドラを指さすハオは考える。

 

 なるほど、一本芯が通った強い人間だな、シャーマンになるには素晴らしい素質だ。

 

 そんなことを考えると、ハオが入って来た反対側の壁が崩れた。

 

 「よぉ、来たぜ姫さん」

 

 瓦礫をかき分け、赤毛の少年が侵入する。

 

 「遅すぎるぞ、我が騎士」

 

 非常に残念そうな目でアリカがナギを見ていた……

 

 「ハオ兄さん!? なんでここに!?」

 

 周りを見渡していたナギが、見覚えのある顔に驚愕する。

 

 後ろにいた詠春が気を纏い戦闘態勢へと移行した。

 

 「今はそんなことをしている場合じゃないだろう? ここから出たら好きなだけ相手をしてやる、優先順位を間違えるな」

 

 ハオの言葉に詠春が一瞬止まった。

 

 「今の言葉忘れんなよ……兄さん! 行くぞ詠春!!」

 

 不敵に笑うナギがアリカを抱え脱出する。

 

 「いつまで固まっているつもりだ……行くぞテオドラ」

 

 首根っこを捕まえスピリット・オブ・ファイアに投げつけ、ハオ自身もそれに飛び乗る。

 

 崩れ去る『夜の迷宮』を見ながら、ハオと『紅き翼』の救出劇は幕を閉じた。

 

 

 

 

 タルシス大陸極西部オリンポス山にある『紅き翼』の隠れ家へ、ハオとテオは同行していた。

 

 『紅き翼』の中には初めて見る髭のオヤジに二人の少年もいる。

 

 『無音拳』を使うヒゲ、才能を努力でカバーしようとする少年、その少年とは正反対に何でも卒なくこなす『神鳴流』入門の少年。

 

 新たなメンバーを紹介され、目的地に付いた一行の中から声が漏れた。

 

 「これが噂に聞く『紅き翼』の隠れ家か。どんなとこかと思えば掘立小屋ではないか!!」

 

 「俺ら逃亡者に何期待してんだ、このジャリはよ」

 

 騒ぐテオドラに褐色の筋肉が答える。

 

 「何だ貴様は!無礼であろう!!」

 

 「へっへーん、生憎――」

 

 筋肉と皇女のバトルが始まった。

 

 「あの元気な少女が……」

 

 「ええ、ヘラス帝国の第三皇女ですね。後ろに騎士もいますし」

 

 詠春の問いにアルビレオが答える。

 

 「なーなー、兄さん! あの赤い巨人は何なんだよ!? 変身みたいなこともしてたよな!? あれどうやるんだ? 俺にも出来る? なーなー兄さん聞いてる!?」

 

 ご主人に構って欲しい犬のような動きをしながら、ナギがハオの周りをグルグル回る。

 

 『夜の迷宮』を出て落ち着いてから、ずっとこの調子である。

 

 「うるさいぞ! 少し黙っていろ!!」

 

 ナギの脳天めがけ拳を振り下ろすが、あっさりと避けられてしまう。

 

 「へっへーん、当たんねぇよ!ねぇねぇ、それより俺の質問に答えてくれよぉ~」

 

 ナギは再び回りだす。

 

 久しぶりにハオの中の何かが切れた。

 

 「スピリット・オブ・ファイア!!」

 

 熱で空間が歪み、赤い巨人が現れる。

 

 「おお!出た出た、コイツいったい何なんだ「燃えろ」」

 

 ナギに炎が迫る。

 

 「熱ち、熱ち、熱っちいいいいいいい!! 兄さんタンマ、タンマ!! シャレになってねぇよ!?」

 

 「うるさい!!」

 

 「ぎやぁぁぁぁあああああ!?」

 

 後ろでナギが燃えていた。

 

 一時の間を空け、ナギが口を開く。

 

 「さーて姫さん、助けてやったは良いけどこっからは大変だぜ。連合にも帝国にも、あんたの国にも味方はいねぇ」

 

 「お主に助けられた覚えはない。帝国の騎士が来る方が早かったからの」

 

 アリカから掛かる棘のある言葉が、燃えて真っ黒になったナギに刺さる。

 

 「恐れながら事実です、また最新の調査ではオスティアの上層部が最も黒いかと」

 

 髭の男がナギの補足をする。

 

 「やはりか……我が騎士よ」

 

 「何だよ我が騎士って!?」

 

 「もう連合の兵ではないのじゃろう?ならば主は私のものじゃ」

 

 「な……」

 

 「連合に帝国。そして我がオスティア……世界全てが敵という訳じゃな。じゃが主と主の『紅き翼』は無敵なのじゃろう?」

 

 『紅き翼』のメンバーが驚く。

 

 「世界全てが敵――良いではないか。たった8人だがこちらは最強の8人じゃ」

 

 ハオが見渡す。

 

 ナギ、筋肉、ヒゲ、アルビレオ、ゼクト、詠春、オスティアの姫様……ん?

 

 「オイ、僕は協力するなんて言ってな「良いぞ! 世界の危機じゃ、ハオも貸してやる!」」

 

 笑顔で言い放つテオドラに――

 

 「主ならそう言ってくれると思っていた」

 

 アリカが嬉しそうに答える。

 

 閉じ込められていた期間は、友情を育んでしまっていた。

 

 「我らが世界を救おう。我が騎士ナギよ、我が盾となり――剣となれ」

 

 「やれやれ、相変わらずおっかねぇ姫さんだぜ!!」

 

 「良いぜ……俺の杖と翼、あんたに預けよう」

 

 騎士の礼をとるナギとアリカ。

 

 本来なら、あのクソガキが成長した姿に感動するべきかもしれないのだが、今のハオは違っていた。

 

 「なぜ僕がこんな目に……」

 

 

 

 

 『紅き翼』の反撃が始まった。

 

 世界の誰が分からない状態だったが、ハオの作っていたネットワークと髭のオッサンの情報網を駆使して『紅き翼』の頭脳たちが動き始めた。

 

 敵のほとんどは、戦争で利益を貪っていた害虫共。

 

 武装マフィアや武器商人、私腹を肥やしていた役人を潰していく。

 

 敵を倒し、味方を増やしていくと言う極めて単純な作戦であったが、かなり有効であった。

 

 捕虜が情報を吐き、さらなる捕虜が捕まる。

 

 無限ループのような状態が続き、数か月後には『完全なる世界』の本拠地の特定に成功した。

 

 その間の出来事であるが『夜の迷宮』脱出の際に言った「ここから出たら好きなだけ相手をしてやる」と言う言葉を、あの馬鹿が奇跡的に覚えており魔法球の中で空き時間にはバトルが始まっていた。

 

 その情報を聞いたジャック・ラカンが俺もやると騒ぎ立て乱入する。

 

 これまでの戦いで経験値を得たナギとラカンを相手にするには、甲縛式は必須。

 

 あの黒いフードの男の存在を考えれば『紅き翼』の強化も必要になってくる。

 

 良い戦闘経験になるかもしれないと考え、仕方なく修行のようなものを付けていたのだが一つの問題が発生した。

 

 修行の内容を記録しようとしたのだが、いろいろ試した技の映像が流出してしまえば手の内をさらけ出すこととなる。

 

 映像は速やかに消されたのだが、音声ファイルだけは残っていた。

 

 「ハオと今日戦う(ヤりあう)のは俺だ!!」

 

 叫ぶラカンに――

 

 「俺だってずっと待ってたんだこの日を!譲れるか!!」

 

 ナギが返事をし――

 

 「二人まとめてかかって来い、いつも通り果てるだけだろうがな!!」

 

 ハオが言った。

 

 別にどうという事はない修行の一環なのだが、ハオのファンクラブの女性の創作意欲を刺激した。

 

 女性のみ特定の部分が見えるような魔法が施されたファンクラブの公式ブックが、『魔法世界』中に散布される。

 

 純粋なナギファン、ラカンファンを取り込み、表の姿は「ファンクラブ」として裏では『完全なる薔薇の世界』という集団が、爆発的に患者を増やして行った。

 

 後に『英雄』の息子すら被害者となり、ハオが生涯戦い続ける組織の原型である。

 

 「不気味なくらい静かだな奴ら」

 

 「なめてんだろ、悪の組織なんてそんなもんだ」

 

 最終決戦を目の前に崖に立つナギにラカンが答えた。

 

 目の前に見えるは、世界最古の都・王都オスティア空中王宮最奥部『墓守り人の宮殿』、ラストダンジョンと言っても過言でないものの前に『紅き翼』とハオはいる。

 

 「どうしましたハオ?」

 

 尋ねるアルビレオにハオは答えない。

 

 先ほどから座り込み、手に雑誌を持ったまま固まっている。

 

 目には影がかかっており。その様子はよく分からない。

 

 ハオが目を通した本には――

 

 『だらしないな、ジャック……元気が有るのは筋肉だけかい?』

 

 ハオが迫るシーンが描写された本。

 

 『兄さん! もう……!!』

 

 『ハハハハハ、ちっちぇえな、ナギ』

 

 ナギとハオが描かれた卑猥な公式ブック。

 

 前回『完全なる世界』の基地だと思われるところを襲撃した際、自分のファンブックがあり持って帰ってみればこんな物体だった。

 

 これから何かしらの魔法が掛けられるような痕跡もある。

 

 ご丁寧に発行団体まで表記されている。

 

 「見つけたぞ……世界の歪みを……」

 

 ハオの手にあった本が燃える。

 

 「どうしたハオ!?」

 

 焦った様子で詠春が話しかける。

 

 「なに『完全なる世界』より優先しなければならない事が出来ただけだ……」

 

 幽霊のように立ち上がるハオに、詠春が恐怖を覚える。

 

 「ま、まて! もう作戦が!!」

 

 ゼクトと詠春がハオを取り押さえる。

 

 「はぁなぁせええええええええええええ!!」

 

 見たことが無いような表情でハオが叫ぶ。

 

 「ナギ殿! 帝国・連合混成部隊配置完了しました」

 

 背後から女性の声が聞こえる。

 

 「あんたらが外の召喚魔や自動人形を抑えてくれりゃ、俺たちが本丸に突入出来る。頼んだぜ!」

 

 「は! それで……ナギ殿……サインを」

 

 「いいぜお安い御用だ」

 

 「ずっとファンでした……それとハオ様も……」

 

 真っ白い色紙がハオに渡される。

 

 ファンブックならば見た瞬間、この女ごと燃えていたかもしれない。

 

 シャーマンキングともあろう者の精神がそれほどまでに揺らいでいた。

 

 「ほら」

 

 サインを書いて手渡すと、少女は幸せそうに去って行った。

 

 何か嫌な予感がしないでもないが、考えがまとまらない内に入電があった。

 

 「連合の正規軍の説得が間に合わん。帝国の姫様とタカミチも同じだろう……決戦を遅らせることは出来ないか?」

 

 画面の向うに居るのは髭のオッサン。

 

 「無理ですね、私たちでやるしかないでしょう」

 

 「既にタイムリミットだ」

 

 アルビレオと詠春が答える。

 

 「彼らはもう始めています『世界を無に帰す儀式』を……世界の鍵である『黄昏の姫巫女』は彼らの手の中にあるのです」

 

 「ああ!!」

 

 冷静にいうアルに、何かを決意したようなナギが続いた。

 

 「行くぞ野郎ども!!」

 

 ナギが掛け声と共に戦場に出る。

 

 その前に黒い鎧を装着した少年が現れる。

 

 「道を開く。お前らは直進しろ、僕も後で追いつく」

 

 「に、兄さん!? 作戦と違――」

 

 「先に行けと言っている。今日の僕は機嫌が悪いんだ……殺しちゃうよ?」

 

 「ナギ、今はハオに従いましょう……この作戦は速度が命です」

 

 「分かった、ちゃんと来いよ兄さん!!」

 

 笑いながらハオを信じた『紅き翼』が直進する。

 

 「誰に言っている?」

 

 目を細めた少年が目の前に映る大量の人形のカーテンに狙いを定める。

 

 背中のブースターがハオの肩に背負われエネルギーが集まる。

 

 「吹き飛べ『鬼火』」

 

 ブースターから射出された超高温の炎弾が『紅き翼』の両脇を通り抜け、十数万の大軍が一瞬にして消し飛ぶ。

 

 カーテンに台風の目が出来た。

 

 「消えろぉ……虫ケラどもぉ……フ、フフフ、フフフフフ、ハーハッハッハッ!」 

 

 ハオの何かが壊れたような声が戦場に響く中、先行する『紅き翼』の背中が冷や汗で濡れる。

 

 「今日の兄さんヤバいぞ……」

 

 「俺たちと魔法球で闘ってた時も手抜いてたな……まいったぜ……」

 

 ハオの豹変に怯えるナギ、あまりの威力に驚愕するラカン。

 

 「まさかここまでとは……あなたたちの訓練を見ていましたが、チートやバグ何て代物じゃないですね」

 

 「俺殴られて死ぬ思いしたけど手加減してくれてたんだな……」

 

 「ワシも指で刺されただけで良かったわい」

 

 アルが話すと、詠春・ゼクトのトラウマが蘇る。

 

 「たどり着く前に、後ろからの援護射撃に当たったら終了だ! 気ぃ引き締めろ!!」

 

 ナギが叫んでさらに速度を上げ前進した。

 

 次々と『黒い鍵』の効力で自動人形が出現するが、その度核兵器でも使用されたような大きさの穴が開く。

 

 戦場には笑い声が響く。

 

 『紅き翼』が突破に成功し宮殿に入るのを確認したハオが、大軍に突撃する。

 

 「消えろ、消えろ、消えろぉおお!!」

 

 腕を毟り消し炭にする、指で貫き消滅させる、上半身を切り落とし燃やす。

 

 黒い腕から噴出した溶岩は多くの敵を飲み込む。

 

 「す、すごい……」

 

 後方にいた混成部隊が声を上げる……

 

 「ハオ様に続け!!」

 

 誰が言ったのか分からない言葉が、部隊の士気を上げ突撃させる。

 

 飛び交う魔法攻撃。

 

 相手から繰り出される攻撃は全てハオが始末する。

 

 一方的な戦況に自動人形が減ってきている。

 

 混成部隊の誰が勝った!

 

 そう思った時どこからともなく声がする。

 

 「『完全なる世界、全記録書庫より強制召喚――再生・古龍龍樹』」

 

 声が響くと空間が歪み五体の龍樹が出現した。

 

 「龍樹が五体も!?」

 

 「終わった……」

 

 「もう終わりだ……」

 

 「こんなのどうしろってんだよ……」

 

 混成部隊の様々な場所から絶望的な声が上がる中、ハオが一言呟いた。

 

 「ちっちぇえな……」

 

 口角が釣り上がる。

 

 龍樹の一体に向かって高速で距離を詰めた後、認識できない速度でラッシュを繰り出す。

 

 見ている方からすれば黒い腕が消えたように見え、次々と龍樹の体に穴が開いていく。

 

 「燃えろ」

 

 龍樹の体に空いた無数の風穴から次々と炎が上がる。

 

 「一匹目……」

 

 二体の龍樹の口元にエネルギーが集中する。

 

 「二、三匹目」

 

 黒い腕が消え、次の瞬間二体の龍樹の首がずり落ちる。

 

 頭をなくした龍樹の体を巨大化した黒い手が握り潰し、火が噴出する。

 

 「ハハハハハ! 燃えろ、燃えろぉ!!」

 

 五体の龍樹があっという間に残り二体だ……

 

 後ろで見ている混成部隊は開いた口が塞がらない。

 

 「あと二体もいるのか……目障りだ」

 

 龍樹の攻撃を踊るように回避しながら近づき、胸に黒い手が当てられる。

 

 「操られる事ほど情けない事はないな……龍樹よ」

 

 当てられた手から溶岩が噴き出し、龍樹を溶かす。

 

 振り向き、攻撃を繰り出そうとしている龍樹に狙いを定める。 

 

 「ラストだ! 『鬼火』!!」

 

 数十万の人形を吹き飛ばした炎弾が、最後の龍樹に直撃する。

 

 「弾けろ……ゴミめ」

 

 龍樹の体に巨大な虫食いの様な跡が二つできた。

 

 「五体の龍樹でも……相手になってない」

 

 「すげぇ……これが『帝国の剣』」

 

 「『森羅万象の男』ハオ・アサクラ――」

 

 「『最強の拳闘士』次元が違う……」

 

 静かになった混成部隊が歓喜の声を上げる。

 

 「僕はこれから『紅き翼』を追う。残りのゴミ掃除は頼んだぞ……」

 

 一瞥もすることなく、ハオは本陣へ向かう。

 

 混成部隊の士気は際限なく上昇し、戦場が沸き上がる。

 

 さて、あとはあの黒い奴を消し飛ばすだけだな……

 

 最終決戦が近づいていた。




全知全能の行動理由の裏付けが欲しくて、こんな雑誌の設定入れてみた…

手加減って何なんだろうね?
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