誰も私を追わないでください(涙目) 作:明負悟
side アンナ
部屋を去った後、まだ成人もしていないような背格好の女の子が月明かりの差し込む廊下を1人で歩いている。その目には目的の為であれば自らの命をも惜しまない覚悟を決めた光を灯して……
(今なんだ……ヤツを倒せるのは今しか無いッ!)
何故だかわからないが「今」はヤツのことを仲間に伝えても、ヤツに殺意を向け捜索しても何の影響もない。
それに…私だって何の考えもなしにヤツを討伐しに行くわけじゃぁないっす
私の考察として今ヤツの能力の影響がない理由は恐らく限界があると考えた
人の思考・行動に反応して自動で発動する能力なんて何の縛りもなく無制限に使えるわけがない!
だけど……ヤツが襲撃に気づいたり、自分の身の危険を察知したら再び発動。当然私は無事では済まない
「勝負は一瞬でつけなくちゃいけない
ヤツが反応すらできない不意打ちの一撃で刈り取る。これしか勝ち筋はないっす」
この作戦は人数が増えれば増えるほど潜伏がバレるリスクも失敗した時の被害も大きくなる…
(だから私単独で行うッ!)
それに私の能力は一撃が大きい
通常の戦闘でまともに当てられれば決着が直ちにつくタイプだ
「ヤツの能力………今まで出会ったどんな能力よりも最強で最恐のように感じたっす……
でも、だからこそ!!能力が発動してない今ッ!ヤツを倒す最大のチャンスッ!」
自分の意思を再確認するように言葉を紡ぐと、足を早め力強く拳を握る。
ヤツが逃げてからあまり時間が経っていない、つまりあまり遠くに行っていない
そして今、能力が発動していない
もはや彼女を止める理由はなかった。仲間に何も言わずに出向くことに罪悪感はあったが、伝えれば当然却下され、可決されたとしてもその間にヤツは遠くへ逃げてしまうだろう。
そうなればいつかまたヤツが現れ、全てを破壊する厄災のように私達を襲うッ!
「待っててくださいね…リーダー……」
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side 院長(仮)
どこからか杖を持ってきて鏡の前で院長のジョジョ立ちを練習しながら、彼は今からのことを考えている。
さて、まず決めなきゃいけないのは今後の立場だよな〜
人類側に立つのはほぼ無理ゲーってか何人か厄災で死んじゃってそうだしなぁ
じゃあ魔族側か?
そもそもある程度知性あるって書いてあったけど街とか国あるのかね?うーーん……
このままどっちつかずって手もあるなぁ〜
よし決めた!
コソコソ隠れながら世界でも旅してみようか!
魔族側のことも知りたいし、国とかあったら姿隠さなくて良さそうだし人類圏より楽そうだよなー
まぁ取り敢えずはこの国の観光でもしようかね?黄色マフラーでぐるぐる巻きにして顔隠せば大丈夫大丈夫
何でそんなに余裕があるのかって?
このスラムっぽい場所って問題の場所から大体3〜4kmぐらい離れてるんだけど、魔族が出たって話聞かないんだよね
多分隠蔽されてるんじゃないかな?
防衛チームってのはこの国の能力者の精鋭が集まってるって話だったから、そこが「ミスで魔族入れちゃいましたー」なんて洒落にならないでしょ
ぱっと見スーツとかかなり人っぽいし目撃者そんなにいなかったから禁口令出せば何とかなりそう
そう言うわけだから、人と話したり大通り堂々と歩いたりしなければ大丈夫でしょ!
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これは数日後の一幕
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『ふむ……初めましてかな?お嬢さん』
『いや…折角だ、私が名乗らせてもらうとしよう。』
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『わたしは『ワンダー・オブ・U』
厄災の流れが君を襲う』
あぁ……神よ……試練を与えるスピードハイテンポすぎませんか?
軽率な行動は慎めとアレほど......(呆れ)