修羅がダンジョンで冒険を求めるのは間違っているだろうか 作:赤城灯火
ダンジョンに蓋をするようにそびえる巨塔バベル。
そこは都市をまとめる冒険者ギルドが居を構えてダンジョンに入る冒険者を管理している。
「ダンジョンに入りたい!」
「お元気ですね!それでは所属しているファミリアはどちらでしょうか。」
鈍色の美しい受付嬢さんが元気に返してくる。
「え?ファミリア?」
「はい!どちらに所属しております?」
「、、、」
知識が足りない俺は答えに詰まる。
「恩恵を持たずにダンジョンに入ろうとしてたんですかー」
明るく可愛い受付嬢さんの視線が一気に冷たくなる。
「うーんと」
「探索系ファミリアの紹介になりますと、おすすめはこちらですね。」
どうやら冒険者でないとダンジョンに入れず、冒険者になるにはファミリアという物に入らないといけないらしい。
そういえば、アーディもガネーシャ・ファミリアだと言っていた気がする。
「つまり、ここに書いてる場所を回ってファミリアに入れてもらえばいいんだな。」
鈍色の受付嬢さんが肯定の意味を兼ねて頷き、言葉を発しようとしたとき軽薄そうな声が流れてきた。
「おやー、シルちゃん今日はギルドの受付嬢さんかい?シルちゃんと合法的にお話しできるなんて冒険者が羨ましいぜ。」
「ヘルメス様、そうなんです、酒場のお仕事は危ないって言われちゃって、テヘッ♪」
「くぅー、いい!とてもいいよ!シルちゃん、俺もダンジョンに入る!だから、無事に帰還したら俺をシルちゃんのお日様のような笑顔で見下ろして膝枕で癒して、、」
ゴン!
「アター!アスフィ!何でここに、今日はアストレアファミリアにお使いを頼んだはずなのに。」
「みはり、こほん、護衛のルルネからヘルメス様を見失ったと連絡がありましたので、すぐに済ませてきました。それで一人でギルドに来てなんの用件ですか?」
「アスフィ?今見張りって」
「言ってません。送還を狙うイヴィルスは多いのです。主神の護衛は必須ですから。」
いきなり話しかけてきた旅行帽の二枚目が眼鏡の綺麗な青髪の女性に拳骨をくらい、そのまま痴話喧嘩を始めてしまった。
「ん?よく見たらなんだこの気配、人じゃない?」
「新人さん、まさか神様も知らなかったんですか?恩恵やファミリアを知らないわけですね。」
神様が人に恩恵ファルナを与え、ファミリアを結成し、この都市のダンジョン攻略を多岐に渡る様々な側面から進めているらしい。
「落ち着いてくれアスフィ俺は旅を司ってるところがあるだろ、だから、その、えーと、あの、あっ!シルちゃんその子は見ない顔だけど新しい冒険者かい?」
「はい!都市に来たばかりみたいなんですけど、きっと面白い人ですよ。」
鈍色の受付嬢シルさんは痴話喧嘩を終わらせるように、旅行帽の二枚目と会話を始めてしまった。
俺が、置いてかれてるようで非常に居た堪れない。
「ほー、今オラリオに来るなんてなかなか気骨のある奴じゃないか。君なまえ、、、」
やっと俺の存在が拾われたと思ったら、軽薄そうな二枚目は空気を一変させて瞳を細めた後、不敵に笑った。
「フッ、面白い気配だ。改めて名前は?どこから来た?あーその前に俺はヘルメスファミリアの主神、ヘルメスだ。」
「俺はカムイだ。ここから走って一週間ほど離れたオーガ山からダンジョンを求めて来た。」
「ダンジョンね、冒険者志望か眩しいね。君は今どこにも所属していないと聞いたが本当かい?」
「ああ、よかったら入れてくれ。」
「そうかそうか、うちのファミリアは商業系の側面が強いが、探索系としてダンジョンにも入れる。どうだろう、もし君がよければ」
「入れてくれ」
「君が良ければうちに、、、」
俺は変なこと言ったのか、言葉が通じずにこの場が凍り付いた。
「カムイさんでしたか、ヘルメスファミリアは単なる探索系ではなく、ヘルメス様のお使いもこなす必要が出てくるでしょう。はっきり言って、ダンジョンに入りたいだけなら他をお勧めします。というより、うちはお勧めしません。」
「シルさん、ギルドはおすすめしてないのか?」
「、、、ギルドの紹介用紙には記載されておりませんね♪」
「俺が言うのもなんだが、正気かい?お使い(契約)と悪知恵(交渉)を体現した神物の俺に頭下げるなんて、、、まぁいいだろう!歓迎しようじゃないか!カムイくん、ヘルメスファミリアへようこそ!」