修羅がダンジョンで冒険を求めるのは間違っているだろうか   作:赤城灯火

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聖女の癒し

「ヘルメス様!彼の動向を掴めました。現在ダンジョン12階層にて未知のモンスター複数と交戦中。濁った魔石が12階層にいくつもドロップしています。」

「12階層?ダンジョンの異変か。アスフィ、すぐにドロップアイテムを回収し、目撃者を出来る限るマークしておくんだ。」

「人員は?」

「オラリオにいる全団員。現行の任務をすべて中止して全員で当たれ。」

 

 

団長リディス・カヴェルナを先頭を進むヘルメスファミリはすぐに12階層に辿り着いていた。

ダンジョン12階層の洞窟は深く鋭い傷跡がいたるところに刻まれていた。

 

「なんという惨状、これがダンジョンに初めてアタックした者の出来ることだというのですか。」

「第二級以上の冒険者が化け物と戦ったとしか思えないね。」

「う、嘘じゃないぞ!見たんだ、いきなり走って下に潜ったと思ったら、黒いドラゴンと緑の化け物を魔法でぶっ飛ばしたところを!」

 

ダンジョンに明らかな異常が起きている。

自然と皆の視線は団長に集まり、このまま進むかどうかの判断を問うた。

 

「新たな家族がこの先にいるんだろ、進むぞ。」

「ええ!!」

 

しばらく、破壊を辿って魔石を回収して進み、剣を振る背中が見えた。

彼は洞窟を埋め尽くす緑の植物のモンスターと対峙していた。

 

「見たことない、新種か?あれは強いすぐに援護に、、、はぁあ?」

「あれがレベル1の力?いえあれは、レベル3の、もしかしたらそれ以上の。」

 

明らかな強化種であるモンスターを相手に、件の少年の一刀で縦一線に綺麗に両断してみせた。

彼が言うには、オラリオに来る前に二度力が大きく伸びた記憶があると言っていたけれど、これを見ては事実と認めるしかない。

 

こちらに気付き、多くの傷を刻んだ少年の振り返った顔には修羅が宿っていた。

見た者全員が自分の首が飛ぶイメージを想起して、首に手を添えてしまうほどの鬼気。

しばらくこちらに視線を向けた修羅は、突然力を抜いてどさっと倒れた。

 

 

翌日、カムイの姿はディアンケヒトファミリアの診療所にあった。

 

「イッタァァーーー!もう無理!ギブギブ!やめて~~!」

「少し黙っててください!それに何やったら、何やり続けたらこんなに体がボロボロになるんですか!」

「昨日だけじゃありません!これはひどい、骨の変形、爪は剝げ落ち、肌なんて裂傷の変形回復を繰り返してこんなにも突っ張って、筋肉すら歪んでいるじゃないですか!」

 

カムイは都市に来る前も戦い続けていた、それを歪み切った体が証明していた。

 

「ヘルメス様にあなたの体を出来るうる限りの治療、いえ改造を施すように依頼を受けています。こんなボロボロで生きていること自体信じられません。ふふふ、腕が鳴ります。こうなったら何でもやってやります、ふふふ。」

「イヤァァーー!」

 

この日、聖女の壊れた笑いと悲鳴が収まることがなかった。

 

 

ヘルメスファミリアの眷属アスフィは大きなカバンを持ってカムイの運ばれた診療所を訪れていた。

持ってきた大きなカバンをゴスンッと重過ぎる音を立てて置いた。

 

「重過ぎる、それにいきなり過ぎます!こんな大金担いでここまで持って来いなんて、少しは説明してもいいじゃないですか!」

「まさか、理由も聞かずに持ってきたのですか?」

 

荷物の中身は大金。

 

「そうです!これは確かにヘルメス様個人のお金ですが、いきなりこんな大金を動かすなんて!いったい何が起きているのですか!カムイをあれから見てないし、都市とダンジョンで走り回されるわ。少しは相談してくれてもいいじゃないですか!」

「私は新しくあなたのファミリアに加わったカムイさんの改造依頼を受けています。まさに体を作り直す処置です。無理に無理を通しているので法外な前金を頂いております。ご迷惑おかけして申し訳ありませんが、ちょうど骨格と筋肉の矯正はあらかた終えたのでお会いしていきますか?」

 

 

アスフィは文句の一つでも言ってやろうとカムイを訪ねることにした。

 

「ななな、誰ですかあなたは!何をされたのですか!」

 

アミッドの治療もとい、改造を受けたカムイは見違えるほど生まれ変わっていた。

伸びるまま放置していた灰の髪は整えられ、黒白アッシュの短髪に。

傷だらけだった顔は骨から形を整えられて、包帯を巻かれた体は必要な筋肉のみが発達した刃のような鋭い肉体美があった。

一言でいえばイケメンである。

 

「肉を切られて骨削られて、治されて、斬られて折られて、治されて、、、繰り返されて。」

「拷問じゃないですか!それにアミッド、なんですかあの見た目、あなたの趣味ですか、趣味全開じゃないですか。」

「元の姿です。」

「いや、それにしても、」

「元の姿です。」

「元々、元の姿を知っているんですか。」

「治療したら元に戻る、当然では。」

「さっきは改造って」

「元の姿です、きっと。」

やはり、ディアンケヒトの治療院では患者を改造していると噂が広まった。

 

 

アスフィは今日あったことを主神ヘルメスに報告していた。

 

「ハハハ、やはりおもしろい子だねカムイくんは。」

「いろいろありすぎです。ダンジョン初アタックで上層踏破、強化種を何体も討伐をしたと思われる破壊跡と濁った大きな魔石の数々、返ってきたら生まれ変わってて、もう何が何だか。」

「ほんとにおもしろい、実は今日人形姫と九魔姫が話がしたいって訪ねて来たんだ。」

 

アスフィの頭がパンクした。

少し落ち着いてヘルメス様が真剣な顔をしていたことに気付いたアスフィは問いかけた。

 

「俺はね、昔から気になっていたことがあるんだ。」

「何が気にかかっているのですか?」

「冒険者には、第二級や第一級冒険者のように強くなればなるほど、外見が整った者が多すぎるんだ。不思議に思わないか?」

「は?」

「ステータスは俺たち神が与える力でありながら、下界の未知に愛されている。そう!きっとファルナには!見目麗しい美女や、とびっきりキュートな美少女を目覚めさせる解き明かさなければいけない未知が、きっと未知が!グァァアアアアア、何するんだアスフィ!男神が下界の未知に感動しているというのに!」

「真剣に聞いた私がバカでした!もう知りません!今日は休暇を取りますので失礼いたします!」

 

バタン!と扉を勢いよく閉めてアスフィは去ってしまった。

 

「やれやれ、今回は無茶振りで振り回しすぎたかな、今のアスフィにこれを見せなくて良かったぜ。」

その手にはステータスの書かれた用紙。

 

カムイ 14歳

Lv.1

力:I0→E487 耐久:I0→F376 器用:I0→D592 敏捷:I0→E493 魔力:I0→E489

剣士:B 集中:I

《魔法》

【カムア・セレス】

第一魔法:カムア・スレイン

・武器に雷属性付与魔法

・雷の斬撃を放出可能

第二魔法:未発現

《スキル》

【至天渇望】

・単独戦闘時、成長速度超域補正

・経験値をどこまでも蓄積できる

 

頬杖をついた男神は思案にふける。

 

「単独行動スキルもあるから勝手にさせていたけど、いくら何でも伸びすぎだ。」

 

恩恵を得る前にランクアップを二度経験し、今ではスキルと魔法を備えている。

英雄になる準備は既に済んでいる、いや、知名度さえあればとっくに英雄かもしれない。

カムイくんの魔法が呼び水になったかのようにダンジョンが不穏な動きを始めた。

目の前にあるのは山のように積みあがった濁った魔石。

眷属に急いでドロップアイテムを回収するように頼んだ結果だ。

 

「手元においてこっそりジョーカーでも育てようとも思ったけど、これは少し手に余るかもしれないな。」




カムイ 14歳
Lv.1
力:I0→E487 耐久:I0→F376 器用:I0→D592 敏捷:I0→E493 魔力:I0→E489
剣士:B 集中:I
《魔法》
【カムア・セレス】
第一魔法:カムア・スレイン
・武器に雷属性付与魔法
・雷の斬撃を放出可能
第二魔法:未発現
《スキル》
【至天渇望】
・単独戦闘時、成長速度超域補正
・経験値をどこまでも蓄積できる
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