どうせなら、笑っていようぜ。 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
お付き合いいただき、ありがとうございました。
引き続き小話は書いていくつもりです。
良い子のみんな、こんにちは。
ワタシだ、赤蛇トグロだ。
ワタシは今、ヒマリに看病されてる。と言っても、寝転がってるワタシの隣で喋ってるだけだけどな。飲食物はエイミに持ってきてもらってる。ヒマリはふざけて熱いお茶とか持ってくるから解雇だ、大人しくしてろ。
その点エイミって良いよな、多く喋らないだけでユーモアはあるし、自分で考えて動けるから細かい指示もいらないし、状況見て判断できるだけの能力も持ってる。なんていい子なんだ、ヒマリじゃなくてワタシの所に来ないかな?
ま、今は居ないんですけどね。
時間がないことは伝えたから、プレナパテスさんを先生に会わせに行ってくれてるぞ。それと、延命は今日を入れて7日間だけでいいらしい。
決めてすぐに迷惑をかけると言って謝って来たが、元々ワタシはあの人をもっと長く生かすつもりで居たからな、むしろたった1週間ぽっちでいいのかと思ったぐらいだ。
再三確認したけど、ホントにそれだけでいいんだとさ。葬儀やらその後のコトはコッチの先生に任せるらしい。まあ、別世界線まではワタシでも手が出ないし、さすがのゲマサーでも無理があるだろう。ワタシに出来るコトはするが、任せた方が安心だ。
あ、動けた。
「なんだか、昔を思い出しますね。トグロが博覧会に行くと言って怪我をして入院した時、トグロが銃を買ってくると言って怪我をして入院した時、トグロが寝ていた部屋が爆破され怪我をして入院した時、トグロが散歩をしていたら流れ弾が当たって入院した時を思い出しますね」
「それ全部巻き込まれただけだからな?ワタシは普通に出掛けてただけなのに、勝手に銃撃に巻き込まれたんだからな?」
「思い返せば、トグロも私と同じくらい入院してましたねぇ」
「はは、それな」
うっし、動けるようにはなったな。
いったん帰ろう。身を守れるだけの装備を整えなきゃな、まだスカイダイビング用の装備のままだから。
「動けるようになったし帰るわ。ヒマリはどうする?」
「1度ミレニアムに戻って様子を見てきます。その後は…シャーレに行くとしましょう。災難は乗り越えたとは言え、この『全知』の頭脳はまだ必要でしょう」
「そうか、無理はするなよ」
「トグロに言われたくはありません。準備が出来たら、トグロもシャーレに来て下さいね。先生が呼んでいましたから」
「ういうい、世話んなったな」
そんじゃあまあ、帰るか。
あ、その前にウタハの着信拒否を解除しておこう。
…うーわ、知らんまに色んなヤツから連絡きてるわ。面倒くさ…あーね、これはワタシが悪いな。時間的にワタシがフリーフォールしてるときだもん、おっかしいなワタシは先に地上に戻ったって言われてたろうに。
よし、帰ろう。
そして完全に回復するまで引き籠ろう。
なんとか命からがら
さすがキヴォトスだぜ、混乱に乗じた火事場泥棒とか乱痴気騒ぎが始まってやがった。どいつもこいつも揃いも揃ってさ、アタマ狂ってるよ…復興に協力しろよ…
「やっと帰って来ましたか。遅いですよ、トグロ先輩」
「ただいま。遅れてごめんよ」
家に戻ると、トキが居た。
てっきりみんなミレニアムかシャーレに行ってるもんだと思ってたからさ、普通にびっくりしたよね。だってリビングの方から物音がするんだよ?誰か分かんねぇし、火事場泥棒とか見たあとだったしで怖かったわ。
今のワタシはまだ戦えないんだぞ。
警戒しながら覗いて、見覚えのあるメイド服でどれだけ安心したか。
「ところでなんでトキが居るんだい?君も忙しいだろうに」
「許可は取っています。私は、貴女達のメイドですので」
「か、かわいい…天使だ…!」
「大天使メイドの飛鳥馬トキです。ぴーすぴーす」
なんて幸せだ、家に帰ればトキが居る。
思わず抱きしめちゃうよね、トキかわいい。ぴーすぴーす!いえーい!
で、なに作ってたんだ?
「はっ、いけません。カスタードクリームが焦げてしまいます」
ワタシを雑に払い除けてキッチンに戻って行った。
…雑に……まあいいか
てかなんでカスタード?ワタシの分ある?クリームだけでもいいぞ、甘いの欲しい。糖分をくれ。
「なにを作ってたのかな?ワタシの分はあるかい?」
「シュークリームです。たった今数が増えた所なので、おとなしく待っていて下さい」
「あ、なかったのね…」
「私のおやつでしたので」
いいもん食ってんな。
なにワタシん家でワタシの用意してる材料を勝手に使って自分のおやつ作ってんだよ、せめてワタシの分ぐらい用意しててくれ。
まって、工房とかならともかく、完全プライベートの家の合鍵とか誰にも渡してないんだけど!?
ピッキングか?トキおまえピッキング出来るんか?電子ロックはバカ共に壊されるからアナログにしたのに、そんな技術持ってこられたら無理なんだけど。ワタシのプライベートは何処へ?
ま、いいか。
シュークリーム作ってくれるらしいし、許そう。
賄賂はいつでも受け取るぞ、甘いお菓子だとワタシのチェックも甘くなるからな。
ひとまずは装備を更新しよう。
今のフリーフォール用装備とか、戦闘になったとき困りまくりだ。弾丸をいつものセットに取り替えて、小道具も新しく取り出しておく。軽く機腕の整備をして、銃の最終チェック。
おーけーおーけーいつも通りのマイセットだ、やっぱりこの装備が安心だな。落ち着く。
はてさて、目が覚めてから…というよりも反動が来てからほぼ1日経過した。まだ戦えない程度には弱ってるな、どうだろうか?ヘイローのヒビは体感半分くらいは直っているように思う。ちなみに、ヘイローのヒビに気付いたヒマリに、マジビンタを喰らった。動けない状態でのビンタは、想像以上に痛かった…
どうにもワタシの現状は広く共有されてるらしくてな、色んなヤツからのメッセージが届いてた。無事だぜって書いてメッセージを一斉送信しておく。
せっかくの資料だから、ゲマトリア連中にはもう少し詳細なレポートも付けておこう。あれ、解散したんだけっけか?
「失礼してます。トグロ先輩、おやつが出来ましたよ」
「部屋に入る前にノックしような」
「こんこん」
「口で言ってもダメ、……内側からノックしても遅いだろ」
「やれやれ、ワガママですね」
分っててやってるんだよなぁ〜…
見られて困るもんはないからいいけどさ、他のヤツにはやってないよな?さすがにそれは常識を疑うぞ?
ワタシもちょうど手が空いたトコロだ、さあシュークリームを食べようじゃないか。
紅茶とコーヒーはどっちがいいかな、今日の気分は紅茶でいこう。トリニティに通い詰めてたらなんか淹れ方の指導されたからな、そこそこには淹れれるぞ。そりゃ淹れ方あるのは知ってたけどさ、細かい作法とか知らねぇし。コーヒーの淹れ方は調べてやってるぞ、よく行ってた喫茶店のオーナーに教わった。
「あれ?プリンじゃん。シュークリームは?」
「嫌ならあげませんよ」
「シュークリームは?」
ワタシの口はシュークリームの口になってるんだ、この気持ちをどうしてくれる!プリンも食べるけど!
ちょっとそこをどくんだ、オーブンの中を見せてみなさい。
「駄目です」
「駄目じゃないんです、オーブンが気になるんだ」
トキをどかして覗いてみると、膨らんでないシュー生地が並んでる。取り出して割って見ると、しっかり中が詰まっているじゃあないか。
なるほどなるほど…
「失敗したんだな」
「…はい」
「晩飯はそれ使ってキッシュでも作るか?」
普通に失敗したのがショックだったらしい。前回は成功してたもんな。わかるよ、ワタシもシュー生地失敗したことあるからさ。せっかく作ったクリームがもったいないよな。わかる。まぁ使い道は多いからさ、練習しようぜ。
プリンはちゃんと美味しかった。
いや、トキはエージェントとして働いてるけど、普通にメイド業務も出来るからな。なんなら普段は家事の殆どをトキがこなしてるからな。コイツ、生活能力高いからな。
…メイドって家事全部やるんか?
仕事容事に区分けしてなかったか?なんかのカードゲームで沢山種類があったと思うんだよな、ドラゴン融合したような気がする。あれ創作だっけ?元ネタあったんだっけ?
そもそも家事全部やるのって家政婦か?家政婦ってメイドか?ハウスキーパー、女中…色々あるな、こんがらがってきた。メイドでいいな、本人もそう言ってるし。
「トグロ先輩、今後の予定はどうされますか?」
「あぁ~どうするか…しばらくしたらシャーレ行くかね、呼ばれてるし。んで数日はそっちに泊まるわ。トキはどうするんだい?」
「ミレニアムでリオ様のお世話をします。が、シャーレまではご一緒しましょう。戦えないトグロ先輩、などと言う雑魚を放流するわけにはいきませんので」
言い方よ、事実なのが困っちゃうよね。
助かるからそれでいいけどね、
じゃあシャーレに行くのは明日の朝にしよう。
今日はモロモロの研究の準備をしておこう。なにせ参考になりそうな物が多かったからな、詳しい解析は出来なかったけど。それでも研究の余地はあるだろうよ、特に謎タワーの発生とシュレーディンガーバリアだ。
謎タワーはドローンとかデコイの代わりに出来るかもしれないし、神秘なり恐怖なりの外部装置になるかもしれない。
バリアは純粋に防御力として使いたいな、…まぁあの船レベルの演算装置が必要になるし、同じモノは使えないだろうけど。それでも部分的にとかでも使えねぇかな?ケイちゃんに作ってもいいし。挑戦はしてみたい。
まずは机の上でアレコレ考えて見るか。
あっ!
ケイちゃんにヘイロー浮かんだんだった!!
それ自体にはなにも問題ないんだけど、そうなった理由を考えたいな。本人に話を聞きたい。でもこれは後でもいいか、ケイちゃん自身がそれでどうなるかって知ってるだろうからな。さんざん話したもん。これも浪漫だ。
明日の朝一にシャーレに行くって伝えて、ワタシは部屋に籠もるか。
なんて思っていた時期が、ワタシにもありました。
アチラの方からコッチ来たし、なんならそのままシャーレまで連行されましたよ。ちなみにSRT特殊学園だっけか、ウサ耳ヘルメットの子達に銃を向けられての連行中です。
どういうわけか敵意剥き出しなんだよね、対応はマトモだったんだけど…こう、チクチクした空気が漂ってるよね。トキが追い返そうとするレベルだったからなぁ、落ち着かせてワタシが出て護送車に乗り込んだってワケよ。
フフ…ヘタに動いたら撃つんだって、かつてのトラウマが蘇る……昔ね、SRTの子達に捕まった事があってね…めっちゃ怖かった覚えが……
「やあやあ、君たちはワタシのコトを知っているようだけど、自己紹介しよう」
「いらん。黙って座っていろ」
「それは面白くないじゃないか。じゃあ君はウサ耳1号だ、そのヘルメット可愛いね。どこで売ってるんだい?オリジナル装備だったりする?君は2号だね、綺麗な髪をしているね。ところでその自走ドローンかな、とても良いデザインだね。ぜひ見せてはくれないかな。なにを隠そうワタシもドローンをよく使うからね…っと、おやおやどうしたんだい?そんな隅に隠れていないで出ておいで、縮こまっていると埃がついてしまうよ?せっかく可愛いのだから胸を張るといい」
「黙っていろと言っただろう!」
ハッハッハッ!
もう過去のワタシではないのだよ!
ちょっと銃を向けられた程度で大人しくするわけが無いだろう?しかも先生のトコロへ行くんだろう?撃ちゃしねぇだろ、撃ったら先生が怒るもんな。余裕余裕、そんなん脅しにもなんねぇな。
ワタシを黙らせたきゃチヒロかワカモでも呼んで来い。
「黙らないさぁ!さっきまで家で静かにしていたからね。その振り戻しが今来てるのさ!ちなみにだけど、今この車運転している眼鏡の子がいるね。まさかSRTだとは思わなかったよ。ワタシの店に時々来てくれるお得意様なんだけど、ぜひとも会って話したいものだよ。おーい、聞こえているかなー?この前買ってくれた指向性爆薬の使い心地はどうだったかな、要望があればまた仕入れるけれどどうだい?」
「モエ、おまえなにを買ってるんだ!?」
「いーじゃんさ。この前それで助かったんだしぃー?」
なんだなんだ、この子達アレだな?愉快な仲間たちだな?特に運転してる子とは仲良くなれそうじゃん。
常連ってほどでもないけど、たまに店に来てくれるからな。変わった爆薬とかをポツポツ買ってくれるから、顔を覚えちゃったよ。ブラックマーケットのヤバいヤツだと思ってた、ごめん。
あ、よし拘束抜けれた。
縄抜け錠開けはワタシの標準技能だぜ?…出来なきゃ死んでたかも知れなかったからな、ちょっとした特技だ。
「ほーらヨシヨシ、ちょっとごめんよ。いやぁ~やっぱり髪にゴミが付いてると気になっちゃってね。ほら髪の毛触るよー」
「あ、えっと、その……」
「よし取れた。ついでに梳いてしまうよ」
「ふえぁ〜……」
荷物の没収とかはされてないからな、いつも持ってる鞄から櫛を取り出してついでに髪を梳く。ワタシが自分で使う頻度は低いが、誰かに使う回数は多いんだよな、この櫛。結構いいヤツだし、なんなら他に2種類持ってるぞ。髪の質とか長さとか用途別に使い分けれるようにな。
メイク道具も1式持ち歩いてるぞ。化粧直しじゃなくて、ガッツリメイク出来るように。いつどこでコスプレチャンスがあるか分かんないからな。奇跡とは準備している者に訪れるモノなのだよ。
そうそうこの前さ、アリスとケイちゃんにメイク指導したんだけど、一緒に居たミドリが1番喜んでた。ほとんどコスプレメイクの派生とはいえ、普段用に使えるものも多いからな。あとメイクの技術とか知識って知らなきゃ分からないものが多いし、調べることはあっても教わる機会って少いんだよなぁ~。わかるわかる。ワタシは昔、チヒロと一緒にアレコレ試しながら調べながら覚えたもん。その後で2人でヒマリに教えたな。リオはなんか普通に出来てた。懐かしいな。
今でも買い足しに行ったときとか、聞いたことない道具とか方法とか出てくるからな…奥が深すぎるよ。
「…はぁ、先生が言っていた意味が分かりました。RABBIT2、RABBIT3、RABBIT4、作戦は終了です」
「は?どうし──」
「りょーかーい」
「り、了解しました」
「……了解だ」
「オーケーボス、ワタシに任せとけ」
「だからなんなんだよお前は!?」
「ミレニアム2年、赤蛇トグロだ。よろしくな、1号」
「誰だそれは?」
「RABBIT2、君だ」
「じゃあそう呼べばいいだろう!?変な呼び名を付けるな!」
「だってさ、モエ、オマエ怒られてるぞ」
「くひひ…ごめ〜ん」
「なんなんだよお前は!」
ヤベェ、楽しい。
シズコ弄ってる時ぐらい楽しい。
こりゃアレだな、リピート確定だな。
たしかこの子達って公園でデモしてんだろ、廃校回避が目的だったか?別にヴァルキューレの中に特殊科みたいなのが出来るだけじゃないの。変わんねぇだろ。まあ愛着があるんだろうな、ワタシだってミレニアムがなくなりますとかなったら嫌だし。
今度会いに行くか。
「なんだかんだと言われたら、答えてやるのが世の情──」
「彼女はサキ、私はミヤコ、貴女の膝の上にいるのがミユ。運転しているのがモエです」
「なるほど、ありがと。そんじゃあミヤコちゃん。そのドローンを見せてくれるかな?」
「駄目です」
「そっかー」
ほどほどにしろってコトだな、ワタシもこれ以上騒ぐ気ないし。あんまやってもしつこいからな。さっき2年って言った時の反応的に後輩っぽい。次会って失せろとか言われないためにもこのへんで止めておこう。
うん。でももう少しウサ耳ヘルメットのサキちゃんで遊んでいたかったな、やらないけど。
「着いたぞ、降りろ」
「ういうい、段差に気を付けておくれ。手を」
「あ、ありがと…」
「君達もね」
ワタシはね、場の主導権をシレーッと奪うのは慣れてるんだよ。もうどれだけの問題児を相手にしてきてたか、精進が足りてないようだね。
既にワタシは、先頭を歩いてるぞ?
…先生がいるオフィスって、何階だっけ?
やっぱ先頭じゃなくていいや。
“待ってたよ。トグロ”
「なにこれ?」
先生が待っているという部屋に着くやいなやあっという間に取り囲まれて、逃げ道を塞がれてしまった。逃げる気はないから別に良いんだけどさ、まるで罪人にでもなった気分だよね。
あんまりいい気しないな。
「急に呼び出しといてさ、なにがあったんだい?こんなコトせずとも、明日には来るつもりだったのだけど」
“ごめんね。どうしても聞きたいことがあったからさ。みんなに協力してもらったんだ”
「……それ、伝え方間違えてないか?」
見渡してみると、ワタシを警戒してるヒト達がたくさん。連邦生徒会組とSRTとオペレーター組とアビドス組かぁ、ワタシ1人に過剰戦力でしょ。
あ、ユウカだ、やっほー元気してるかい?
“トグロ。聞きたいことがあるんだ”
「なにかな?」
“第2サンクトゥムを沈黙させて、プレナパテスを延命してるのはトグロだよね。君は、恐怖を扱えるんだね?”
「まあな。神秘関連ではトップクラスに扱えてる自信があるぜ」
“反転した子を、元に戻す方法を知っていたら教えてほしい”
あー…黒シロコちゃんのコトだな。
たしかに神秘と恐怖は同じ様なもんだし、片方使えりゃもう片方もなんとかなる。根源が同じだからな。陰陽の2面みたいなものだから。
でもね、反転するとちょっと変わってくるんだよ。平時はコインの表面であるワタシ達だけど、反転ってただ裏返るだけじゃないんだよね。ワタシが実験してる限りで言うなら裏返った挙げ句に表面を巻き込むように折れ曲がる感じ。
だからワタシの答えは
「そんな方法は知らないし、多分戻らない」
“……”
「が、希望は捨てるべきじゃない。現状はそうなだけだ、ワタシも調べておくよ」
“ありがとう!”
「あとな先生、たしかに色彩に触れて反転はしてるだろうが、恐怖自体は神秘と同じようなもんだ。性質がプラスかマイナスって感覚だな、過度に恐れる必要はないから安心しとけ。少なくとも恐怖由来で死ぬとかは無いはずだからな、あの子にはまだ未来があるはずさ」
“よかった~”
そのために呼び出したん?
まぁたしかにプレナパテスさんの延命とその期間は伝えてあるはずだから、黒シロコちゃんのコトも心配になったんだろうな。命が関わるってんなら、そりゃ知ってそうなワタシを引っ張り出すのは理解できる。
「いかつい雰囲気で呼び出すからさ、ワタシはてっきり船から先生を蹴落としたコトで怒られるんかと思ったわ。いや~お説教とかじゃなくてよかった」
「「「!!?」」」
“あ、あー…”
やべ、墓穴掘ったな…
なんだよ話してないんか先生…
「トグロ先輩、ちょっとお時間よろしいですか?」
「やぁユウカ、今日も可愛いね」
「お時間よろしいですね」
まぁね、結果無事だからね。でもワタシも、正直な話し蹴落としたコトについてはどうかと思ってるけど。普通に背中を押せば良かったかも?いやいや、死期を悟るようなヤツには多少乱暴に生かしたほうが良さげじゃない?
別室に連れてかれて、ユウカにお説教されて、戻ってきたら先生達に再度囲まれて事情聴取された。
判決、無罪!
先生が、あの場で死ぬ気だったと証言したおかけで巻き返したな。その代わりに、今先生が事情聴取兼お説教兼カウンセリングを受けてる。
先生さ、嘘でも死ぬとか言うもんじゃないぞ?ホントに後を追うヤツとか出てくるからな?気をつけろよ、と祈っておこう。触らぬ先生に祟りなしだ。
ワタシはこれからも、適度な距離感でいこう。
そう思いながら、カフェエリアで一休みしようと廊下にでたら、個人的に1番会いたくないのが目の前に居た。会えて嬉しいのは間違いないんだけど、会いたくはなかった。
「やぁやぁ、初めましてだね~。おじさんはアビドス高校3年の小鳥遊ホシノだよ〜、よろしくねぇ」
「…おっと失礼、ワタシはミレニアム2年、赤蛇トグロさ。君達の頑張りは聞いているよ、とても活躍したそうじゃないか。会えて光栄だ、名前で呼んでも良いかな?」
「うんうんいいよ~おじさんも名前で呼んじゃうからさ」
これアレだな、これ以上自分に踏み込むなってタイプだな。あの変質者と似たような壁を感じる。
ワタシが1人になったタイミングを見計らって来たでしょ、絶対にそうだ。ワタシの強者センサーがビンビンに反応してるもん、もともと強いのは知ってたけどね。
まあでも争いに来たわけでもなさそうだし、そこは一安心かな。
「ありがとう。…それで、ホシノちゃんはワタシにどんな用なのかな?」
「2つあるんだ〜。1つはあっちのシロコちゃんの事なんだけどねぇ…まだ分からないけど、トグロちゃんのおかけできっと良い方向に向かいそうだからさぁ、お礼を言っとこうかと思ってね。ありがとう」
「んー、まだ早いんじゃあないかな?でも受け取っておこうかな、そうなるように期待を込めてね。もう1つはなにかな?」
「黒服…ゲマトリアに捕まったって聞いてたからさ、大丈夫かなと思ってね〜……本当に大丈夫だった?」
おっふ…え?心配してくれてたんか?
聞いてた人物像と違うからびっくりしてる。黒服からはもっと苛烈な性格だって聞いてたからね、うん。関係者として釘を刺しにきたもんだとばかり……
「ちょっと前なんだけど、おじさんも黒服に目を付けられちゃってねぇ」
知ってます。
ちょっと前どころか、かなり前から貴女は目を付けられてるからね?キヴォトス最高の神秘なのはもちろん、廃校目前の高校だったから手を出しやすかったって本人から聞いたし…
「捕まっちゃって色んな人に迷惑かけちゃったからさ」
知ってます。
捕まえてなにしようとしてたのかも知ってます。なんなら君を無駄に使い潰さないために前段階の実験と検証に参加してました、割合なら2割ぐらいワタシの持ち込み企画でした。こうなるとは思ってませんでした…
「でも自力で脱出出来るなんてスゴイね〜」
そりゃ保護してもらうためにワタシが呼んだからな、帰るのだって簡単よ。ドリンクとお菓子をしっかりと味わってから帰ったぐらいだからな。お土産にそのお菓子持って帰ったし。
「もし変な事されてたら大変だからねぇ、おじさんちょっと心配しちゃって」
「そ、そうだったんだね。心配してくれてありがとう、見ての通りの問題はあるけれど、アイツ等とは無関係だから安心しておくれ」
「そう?あ、これおじさんの連絡先だから、もしなにかあったらいつでも連絡してよ、力になるからさ。んじゃおじさんはこの辺で失礼するよぉ~、ばいば~い」
「ありがとう。今度はワタシから会いにいくよ」
心が痛ぇよぉぉぉお!!
あんないい子に嘘吐きたくねぇよ!どうすんだよワタシ、今なに言った!??
ワタシから会いに行くとか正気じゃねぇ!どうするどうするどうするどうする??
決めた。
明日のワタシがなんとかするだろ。
だってほら、未来への道は守ったんだから。
これ以上は最終編と関係無くなると思いますので、いつか書くであろう小話に任せるつもりです。
一応、最後にホシノちゃんが出てきた理由としては、彼女目線で以下の理由があるからですね。
・単騎で虚妄のサンクトゥムを沈黙させて、復活まで防いだ。
・その後、ゲマトリアに拉致されて実験材料にされる。
・自力で脱出できるだけの胆力を持っている。
・大変な目に合っているハズなのに、空へまで増援に来てくれた。
・自分の知らない神秘関連を良く知っていて、かつ味方である。
・見てわかるレベルでヘイローが損傷しており、辛いはずなのにそれを一切表に出さない強さがある。
・実は名前だけなら黒服から聞いたことがあり、前から気になっていた(同じ境遇の被害者として)。
以上の情報から、ホシノちゃんからトグロへはそれなりに高い好感度になってしまっています。
なんでやろなぁ…?
なんも思い付かないから、参考までに……
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