どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 先達とは、どれだけ盛っても良いモノとする。
 ほら、ゲヘナにも雷帝とか出てるじゃん?雷帝の遺産とか凄そうなモノもあるみたいですしね。
 ならミレニアムにもヤベェ先輩が居ても良いと思うんですよ。格好いい二つ名とか無くても、ヤベェ奴は何時の時代にも居るんスよ!そんな先輩達が残していった、フ…(失笑)の遺産とかがあっても良いと思うんです。




イベント!【オマエ、あの祠を壊したんか…】その3

 

 

「もー、居るならすぐに開けてくださいよ…あっトグロせんぱーい!にははー見てくださいよこれ!さっき壊れた箱みたいなヤツの中から見つけたんですよ!この変な形のキレイな石!」

 

「ん゙ンッ!?ゴホッケホッ…マジかコユキオマエ…」

 

 

 オマエホント、ホントコユキオマエ……

 

 オールウェイズ満点を越える100点を提供する完璧芸人かよ、ほらノアなんか顔背けてるぞ、笑いが堪えきれないってさ。ワタシも笑わないように堪えたらむせたし。

 コユキ、愛してるよ。

 

 視線を切ったノアだが、モチロンここで笑うワケにはいかない。口を押さえて、少し肩を震わせる。その様子は隣に立ってるユウカにも伝わるんたが、ユウカとワタシ達には天と地ほどに感情の方向性が違うんだ。

 ユウカは、ノアがショックを受けたのだと理解したまではイイ、間違ってない。同じ動作でも、その時の状況によってプラスにもマイナスにもなるのさ。

 

 

「ユ、ユウカちゃん…あ、あれ、あの祠に入っていた物です…!」

 

「それって…うそ、コユキ貴女大丈夫なの!?」

 

「へ?これそんなに大事な物なんですか?そーならちゃんと片付けといてくださいね、はいどーぞ」

 

「ちょっとヤダ、近付けないで!」

 

 

 なんでワタシ(仕掛け人)の関わらないトコでこんな面白い状況が作れるんだよ。ワタシ達の苦労を返せよ、ズルいだろこんなん。

 …それを特等席で見られる優越感、気持ちえぇわぁ〜

 

 

「あっ」

 

「ちょいと失礼、紙とペン借りるぞ」

 

 

 ユウカを追っかけ回してるコユキから、変な形のキレイな石を引ったくって回収する。

 ちゃんと調べられたら、ちょっと神秘の籠っただけのオモチャなのがバレちゃうかもしれんからな。籠ってるだけで、別になんの意味もないし、数日でただのガラクタになるけども。

 そもそも、調べられるヤツなんてそうそういねぇがな。神秘か籠ってるってのも、わかるヤツは少ないだろう。鋭いヤツなら、なんかヘンな気配がするってくらいか?

 

 

「トグロ先輩、なにしてるんですか?」

 

「隔離。危険物だからな」

 

 

 なんちゃって方陣を描いた紙の上に置いて、そのままたたんで上着の内ポケットに入れる。

 方陣は過去にも何度か描いたコトがあるから、淀みなくスムーズに描ける。なんで描いたかと言うと、先生と格好いい召喚エフェクトについて議論したコトがあるからだ。その時に色々デザインを描いた。

 

 このなんちゃって方陣にどんな意味があるのか、描いてるワタシにも分からんが、ナニか必要な行為なのだろうと思わせる。そう思う程度には、既にユウカはワタシ達の手の平の上。コイの下のまな板よ!

 

 

「コユキ、オマエこれ拾ってから誰かに声を掛けられたか?」

 

「んえっと…覚えてません。ユウカ先輩達に見せようと思って走ってきたので!」

 

「コユキちゃん?校内では走らないでくださいね?」

 

「気ぉつけまぁす!」

 

 

 気を付けるだけで、守る気ないだろ。

 そんなだから定期的にノアから詰められるんだぞ、そのままのキミでいてくれ。面白いから。

 

 

「それで、コユキが持ってきたのは何だったんですか?」

 

 

 笑ってられるのはワタシとノアと、ナニも知らないコユキだけ。ユウカは少し怯えるようにワタシに近付いて、ガラクタ石について聞いてくる。

 現状、この怪奇現象に対抗デキるのはワタシだけだからね、怖くてもワタシの傍の方が安心デキるのだろう。カワイイね。ワタシが犯人なのも知らずに。バレたら絶対に怒られるわコレ、しばらく口もきいてくれないかも。

 

 

「分割した封印の一部だね。先に回収しなかったワタシも悪いんだけど……かなりマズイ」

 

「ユウカせんぱーい!開けてくださーい!」

 

「えっ?」

 

「わっ、外から私の声がします!あれ?私、鍵なんて掛けましたっけ?」

 

「待って下さいコユキちゃん!開けてはいけません!」

 

 

 扉の外から、声が聞こえる。

 それも部屋の中にいるコユキの声で。

 

 

「開けてください!開けて!開けて、開けて。あけて、あけて、あけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけて──

 

「ヒャ゜!?ななななんですかこれ!??」

 

 

 扉を開けようとしたコユキだったが、ビックリしてノアの背に隠れてしがみついて震えてる。全身で恐怖を表現するコユキに、ワタシは満足…まん、ぞく……デキねぇぜ!

 

 まだまだ続くよ!!

 

 ここからは、物理的なハプニングも加えていくからね、楽しんでいってね。

 

 

「ひっ!?」

 

「きゃぁ!」

 

「ッ…」

 

 

 声に加えて、バンバンと外側から扉を叩く音。そして部屋中の扉と窓が一斉にガタガタと震え出した。

 

 ナンテコッタ!トンデモナイ怪奇現象ダ!

 

 廊下側は仕掛け人の3年達が、部屋の中からは死角になる位置で扉を叩きまくってる。アナログだろ?こーゆうのでいーんだよ、こーゆうので。たぶんすげぇイイ笑顔なんだろうな、あっ叩いてるヤツ等の自撮りがグループに載せられてらぁ。楽しそう。

 建屋の外に向かう窓は、エンジニア部が開発した音波兵器をデチューンして、窓ガラスを共振させて揺らしてる。ワタシも開発手伝ったからな。ガラスを割らないけど、窓を揺らすくらいの波形を探るのは大変だったぜ。

 

 

──あけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけて…ねぇ、

 

  どうして開けてくれないの?

 

 

「ピッキュア!!!?」

 

「いやぁッ!」

 

「…きゃ」

 

 

 外から聞こえてたハズの声がだんだんと大きくなってきて、ユウカとコユキの耳元でハッキリと問いかける。モチロン、ワタシとノアにも聞こえてる。

 そら怖いだろうよ、そこに居るってハッキリ分かるんだもの。いや、ナニもいないんだけどね。いるとしたら、満面の笑みを浮かべたアホだけだ。

 

 ユウカは驚いて近くにいるノアへ抱き着き、コユキはノアに抱き着いたまま腰を抜かした。ノアはそのまますっ転んだ。でもすっごいイイ笑顔だ、2人とも怖くて顔を上げられない。顔を見られないのをいいコトに満面の笑みを浮かべてやがる。やっぱコイツ悪魔だろ、小悪魔ちゃんめ。

 

 この瞬間、リバースカードオープン!

 

 部屋の中央に、青い瞳が映し出される!

 ただのホログラムだが、冷静さを欠いた今ならフシギ現象として認識するだろう。

 

 

「ニョワァァ!?なんかでてます!なんかでてきてますよ!なんなんですかさっきからぁぁあああ!??」

 

「もういや、何でこんな事に…」

 

「あらあら…ユウカちゃん、コユキちゃん、落ち着いて下さい」

 

 

 それはもう美しいまでのパニックを見せてくれるコユキと、ノアに抱き着いて顔を埋るユウカをなんとか宥めて、青い目を認識させる。

 

 ノアはニッコニコ、2人がこっちを見てないのをしっかりと確認したワタシもニッコニコだ。

 

 ドッキリが上手くいってる時ってさ…すっごいイイ気分だよな。今ワタシは、幸せを噛み締めている。

 

 

「あぁぁァァァ…」

 

 

 と、ドップラーな感じでスピーカーの音量を絞って消して、怪奇現象担当のアホ共を撤収させておく。

 開き直って扉を開けられるとバレちゃうからね、撤退は素早く、引き際を間違えないようにだ。

 

 そもそも出てくるな?引く以前に実行するなって?

 んなこたぁ知らねぇなぁぁぁ!

 

 おっといけない、ユウカの御守りの瞳を閉じておく。絵に見えるだけで、ただのディスプレイだからな。変化はダイジだ、不気味さを演出しないといけないから。見てくれるかは分かんないけどね。あー忙しい忙しい。

 

 

「あー…まぁ、うん。とりあえず大丈夫だな。安心してイイぞ、たぶん…今夜くらいまでこの場所は安全だな、うん」

 

「歯切れが悪いですね、もう少し詳しく教えて下さい」

 

「えぇ…イイけどさ…ノア、後悔しない?」

 

「しますよ!ですが聞かない方が怖いじゃないですか!」

 

「ノア?」

 

 

 ユウカちゃん、不安だよね?

 ワタシ達、動きます。

 

 ノアはかなりノリが良いからね、ダテに普段からワタシと寸劇を繰り広げてないのよ。今回は、ノアが取り乱す役を買って出てくれるらしい。いいだろう、ワタシはあえてそれを刺激する言い回しで応えてやろう。

 

 さぁ2人とも、冷静そうなヤツ等が切羽詰まって声を張り上げるからね。

 

 聴いてください。

 ワタシ達で、言い合い。

 

 

「さっきからずっとそうです!私達は、この意味のわからない現象に出会ってしまっているんです。どうして曖昧な説明しかしてくれないんですか!」

 

「ノ、ノア?ちょっと落ち着いて」

 

「ユウカちゃんだって、そう思っているのではないんですか?受け取った御守りだって、ヒマリ先輩は使い方や効果を、納得のいく水準で教えて下さいましたか?そうではありませんでしたよね?……トグロさん、何か、隠しているのではありませんか?」

 

 

 や、やるじゃねえか…

 説明?効果?使い方ぁぁ?

 

 しょーがないじゃん、ないもん!

 そんなの、存在しないんだもん!

 

 怯むなよワタシ、全力で回すぜ口車。

 

 

「…ごめん……ただ、この()()は半端に関わるべきじゃあねぇんだよ」

 

「関わってるじゃないですか!私達はもう、引き返せない深さにまで関わってしまってます!どうしてそこまで頑なに、話す事を拒むのですか?確かに…私は、先輩方と比べて特異現象への知識は少ないかも知れません。それでも、何か、お役に立てる事があるはずです。お願いします、トグロさん。私達に、この()()について教えて下さい」

 

「…………分かった。話すが、少し時間をくれ」

 

「分かりました。ユウカちゃん、コユキちゃん、あちらで少し休んでましょう」

 

 

 ぶっちゃけ、話す内容はすでに決まったんだが、思ったよりもノアが演技にのめり込んでいたらしい。あの子、こーゆうの好きだよね。ワタシも好き。ワタシはノアが好きだよ、茶目っ気があって可愛いよね。

 

 んで、ケンカ別れ風にその場から離れる。

 

 ワタシとノアの性格的に、そもそも言い争いってのが起こりにくい。お互いに熱くなった時点で、いったんクールダウンの時間取るのは自然なコト。それがこんな状況ならなおさら。

 

 けど、こんな状況だからこそ、ワタシとノアがピリピリとした空気で背を向け合っている事実が不安を加速させる。

 

 今回の主演女優賞はノアに譲ろう、キミがナンバーワンだ。

 

 どれくらい黙ってようかな?

 たぶん、ノアの方からは声を掛けては来ないハズだ、ユウカも同じ。シビレを切らしたコユキならありえる。

 

 ただ、早すぎてもいけない。

 この無言の時間は、心理的プレッシャーを与えるいい機会だ、大切に使っていこう。

 

 空中に映ってる青い目のホログラムは消しておく。

 

 

 それからしばらく、ノア達はお茶を淹れたり、軽食を食べたり、イタコ先輩なる存在について調べたりして時間を潰してた。

 ワタシはワタシで、ガラクタ石を包んだ方陣とか、インクに血を混ぜてテキトーな御札を量産してた。

 

 血は給湯室のシンクで出したんだが、なんも言わずにやったせいで一緒にいたコユキがビビり散らかして騒いじゃって、無言の時間はそこで終了したよ。

 

 だから結局、昼過ぎくらいからは元の空気に戻って、もうすぐ日が暮れる。ホラーってのは日が落ちてからが本番だからね、そろそろ本気でやらせてもらおう。

 

 

「お待たせ、説明の準備ができたから聞いてくれるかい?」

 

「やっとですか、随分と時間を使いましたね」

 

「ごめんて。ある程度の対抗手段もまとめて伝えようと思ってさ、御守りも起動してたから今しかなかったんだよ」

 

 

 そう、昼過ぎくらいに御守りモドキを起動してから、一回も霊障が起きていないのだ。部屋の外では、今か今かとアホ共が待機しているが、ナニも起きていないのだ!

 

 そしてなんでだろうね、普段ならそこそこの訪問者が来るのに、今日に限って来ないね。なんでだろうね。

 

 

「じゃあまずは、カイブツとか怪談とか言ってたヤツの正体から。アレは『呪い』。正確には、ミレニアムの校舎を建てるタメに開発した土地にあった土着神、土地神にあたるモノだ」

 

 

 うんうん、ここまでノアが主導権を握ってたもんね。ノアが黙ってれば、他は口を開きにくい。

 ノア、恐ろしい子…!助かる!

 

 土着神とか土地神とか、ワタシもよく分かってないから。違いとか知らねぇもん、その辺の言葉狩りされたらワタシ、困っちゃうぜ。

 

 

「みんなも知っての通り、ここミレニアムは科学や技術なんかを進歩、発展、開発に重き置いているだろう?未知を解明するってのもそうだ、これはミレニアムサイエンススクールの設立当初からナニも変わらない。だからかな…その土地への信仰みたいなモノを無視してしまったんだ。リアリストな理系の、悪い部分が存分に出てしまった感じと言えば伝わりやすいかな?」

 

 

 あたかも過去からありましたと言いふらしておく。

 こーゆう怪談はね、古ければ古いほどイイから。熟成された深みってのがどーこーでイイ塩梅だから。

 

 

「さて、それだけならよくある話さ。地鎮祭なんて、イマドキやらない方が多いくらいだからね。問題があったのはココから。1つは、この土地への信仰がホンモノだったコト。2つ目に、祀られていた理由が『悪さをしないで下さい』だったコト。そしてソレは今、信仰を失い、人々の記憶から薄れ、存在が消えてしまいそうだったコトだ」

 

「消えてしまうのなら、それで良かったのではないですか?」

 

「そうだな。だからワタシ達は、自分達よりも下の代…キミ達には教えていなかっただろう?語る者が消え、記憶から薄れてしまえば、いずれは完全に消滅していたハズだからね」

 

 

 よしよし。

 コレでユウカ達は、自分で藪をつついたのだと思ってくれるハズだ。ザンネンだね、知らなければ良かった話なのにね。あ~あ、ノアが余計なコトを聞いちゃうからぁ〜、ノアにはアトでご褒美をあげよう。

 

 まだ引き返せるかも?なんて希望はあげないよ、やっと口車が暖まってきたところなんだから。

 

 

「呪いの名は『アルザチィ・ユーラウォンタット』、これに関しては意味も綴りもナニも分かってないんだ。ただ、音としてこの呼び名だけが伝わっている。…まぁ名前はイイんだ、どうせ呪いとしか呼ばないから」

 

 

 ここでひと呼吸。

 絶対に噛んだり、躓いてはいけない演説だな。

 キンチョーするぜ。

 

 名前は思い付き。

 でもちょっと考えれば、カンタンに由来が分かるタイプのヤツだ。

 

 

「その呪いがこうしてヒトを狙っているのは、自身の存在をより強固なものにするタメだ。ヒトを喰らい、名を喰らい、影を喰らい、自身を世界に繋ぎ止めるのに使うのだろう。呪い自体はじきに消えるってレベルで弱っているのだから、それはもう執拗に狙ってくるだろう」

 

「何故です?ただ喰らう為だけなら、ユウカちゃんが狙われる理由にはならない筈です」

 

「それがそうとは言えねぇんだ。祠、壊しちゃったろ?それでユウカには『封印を解いた』とか『封印を破れる』みたいな概念が宿っちまったんだ。祠は複数に分けて処理されてるから、ユウカさえ喰うコトが出来れば、おそらく封印の解放と自身の固定を同時にこなせると思われてるんだろうな…」

 

「そ、そんな…」

 

 

 怖いねぇ、恐ろしいねぇ…ワタシも初めて知ったよ…

 んでコユキちゃん?キミも無関係ではないんだ、仲間ハズレにはしないからね、安心してね。

 

 

「最優先で狙われるのはユウカだ。だからヒマリも、ユウカに御守りを預けたんだ。けどな、他のヤツが狙われないとも限らねぇ。昼前、ワタシも呪いに声を掛けられたのを覚えてるかい?さっきは全員に扉を開けるようも言っていたね」

 

「…私だけ呼ばれてません」

 

「呼ばれねぇ方が良いんだから拗ねんな。まぁ…先輩曰く、ワタシ、呪い的にはスゲー美味そうらしいんだよな、しかもめちゃんこ目障り。排除ついでに美味しく食べちゃおうって感じだと思う」

 

「待って下さい…それじゃあ、私が祠を壊してしまったせいでトグロ先輩も狙われるって事ですか?」

 

「大丈夫、ユウカのせいじゃないよ。前回はウタハがやらかしたんだけど、その時の再封印にも関わってるからたぶん恨まれてるんだろうね。それがなくても、ユウカが危ないってんならナニがナンでも首突っ込んで助けに行くさ」

 

 

 ユウカちゃんはねぇ!

 すっごいイイ子なんスよ!

 

 安心させるようにユウカの頭を撫でながらカッコ付けてるんだけど、その手をキュッと握ってくれてるの。

 

 あはぁぁ↑↑

 この不安げな感じ、ドッキリミョーリに尽きるぜぇぇ!

 楽しいぃ!!

 

 じゃあワタシ、イイ感じのタイミングで、目の前で無惨に喰われて退場するから。約束だから。

 送られてやるよ、地獄に。

 

 

「どこまで話したっけ?あぁ…っと、狙われるヤツだったな。ユウカ、気に病まないでほしいんだが、キミが今日名前を呼んだヤツは全員狙われる可能性がある。特に、ユウカと一緒にいる時間が長いほど…な」

 

「私、呪いに呼ばれてませんけど?」

 

「ワタシがいるせいだって。なんで呼ばれたそうにしてんだ」

 

「ちょっと悔しくて…」

 

 

 ノアもユウカを撫でたかったのか?

 イイだろ〜、ユウカはワタシがもらった!

 

 おや?

 来客らしい、今アホ共から連絡がきた。クモの子を散らすように持ち場を離れてんだろうな、あほくさ。撤退したんじゃねぇのかよ。

 

 

「すみません、何方かいらっしゃいませんか?」

 

 

 丁寧に扉をノックして声を掛けてくれるのは、アカネだな。メイド部の子達は基本的に、部屋の扉が閉まってたらノックをしてくれるんだ。一般常識があるからね。

 さてさて、ノックに過剰な反応して後退るユウカとコユキからしか得られない栄養は間違いなく存在する。

 

 コユキの時と同じく、端末を取り出して通話を開始。どうせホンモノだからな、軽く本人確認をしてから扉を開ける。

 

 が!それだけじゃあない!

 扉を空けた瞬間、アカネの背後をナゾの影が通り過ぎた。

 

 この緊張状態。誰もが扉を、その向こうのアカネに注目しているよね。きちんと目撃してくれたね、でも無関係なアカネがいるから、口を噤んでいる。イイ子達だ。

 

 

「やあアカネ、ナニか用かい?」

 

「用と言う程ではありませんが…皆さん、リーダーを見かけませんでしたか?」

 

「…悪いね。ワタシ達は今日ずっと一緒にいたが、ネルのヤツは見てないな。違うトコにいるんじゃないかな?」

 

「そうでしたか。うーん…おかしいですね、リーダーに限って銃を置いて何処かへ行くとも思えませんし……ありがとうございます、もう少し探してみますね」

 

 

 そう言ってアカネは帰っていった。

 ちなみに、ネルは隠しモニタールームにいるぞ。前にセイアが来た時に使った部屋だ、そこからワタシ達のコトを眺めてる。

 こんなコトもあろうかと、あの部屋の存在は誰にも話していないんだ。しばらくは見つからないだろうね、ついでにウタハとリオ、エイミもそこにいる。

 

 あれ?トキのヤツどこ行った?

 

 

「…トグロ先輩、ネル先輩は…もしかして」

 

「アイツ…声に応えたっぽいな、マジか……結構アテにしてたのに」

 

「当てにしていた、とはどういう事ですか?」

 

 

 ワタシは大仰な動作でアタマを押さえて考える。フリをする。ワタシは冷静で余裕を持ってる様に見えて、ギリギリだと思ってほしい。たぶんそう思ってるハズ。かなり口調も崩してるし、態度も変えてるつもりだからね。

 

 

「ネルは一応、ワタシと同程度には対抗デキるハズなんだよ…だから、封印かユウカの護衛のどっちかを任せるつもりだった。見積もりが狂っちまった」

 

 

 突如明かされる衝撃の事実!

 なんとネルは怪奇現象への対抗手段があるらしい!

 

 そ、そうだったのか…知らなかったぜ…

 サスガは暴力装置だ、隙がねぇな。

 

 それが知らない間に姿を消していたなんてな。ワタシも気付かなかった。せめてもう少し派手に退場しろよ。なんでナレ死してんだ、解釈違いだ。アトで文句言っておこう。

 

 

「こうなったら仕方ねぇ。3人とも、ヒマリの所に行くぞ」

 

「えぇ!?ココから出ちゃうんですか?ココは安全なんじゃないんですかぁ!やだぁぁー!」

 

「じゃあコユキは置いていくとして…」

 

「やぁぁだぁぁぁああうわぁぁぁーーん!」

 

 

 フフ…心地良い…

 疲れた脳ミソに、コユキの悲鳴と泣き声がスゥ~…っと染み渡る。疲労回復、これだけで2日は戦える。

 ワタシに任せろ、もっと楽しくなるからね。

 

 

「ほら落ち着け、みんなで行くから。この部屋もそろそろ安全じゃあなくなるからな、ユウカの御守り、あと30分くらいで効果切れるだろうし」

 

「これ…役に立ってたんですね…」

 

「そりゃモチロン、起動してからナンも起こってないだろ?」

 

「それは、そうなんですけど」

 

 

 わぁー複雑そうなカオ、ナニか裏があるって疑ってるな?大丈夫、裏ドコロか表すらないから。

 

 

「ちゃんと対価を与えれば、ソレについては気にしなくてイイよ。そっちはワタシ達でやっとくから」

 

「対価がいるんですか!?」

 

「うん。まぁそれは置いといて、そろそろ本格的に呪いへの対処を考える必要がある」

 

 

 

 

 第4フェーズだ、緊張感を高めていこうね。

 

 





 あれ?石足りない?
 仕方ありませんね、《拳》での代用を許可します。
 それでは1D100をどうぞ。あ、成功値に+50の補正があります。

なんも思い付かないから、参考までに……

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