どうせなら、笑っていようぜ。 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
ネルが好きな人にも謝らないといけないのか…クソッ、なんでこのクソ蛇はムダに動き回るんだ!ヤメロ!くたばれ!
やだ!拙僧やだ!ネルは常識人!こんな下らないおふざけになんて付き合わないの!解釈違いでござる!解釈違いでござる!うわぁぁぁぁん!!
「対処って…今までは違ったんですか?」
「今までのはその場凌ぎだ。一応、ずっとワタシ達の隠蔽と気配の撹乱はしてたけど」
「そうだったんですね」
「だから正直、ワタシも限界に近い」
実はワタシ、普通に疲れてます。
昼からずっと簡易解釈使ってるからね、いくら簡易とは言っても、使いっぱなしはキツイんだ。
でも、このツラさってのは、演技では出せないリアリティがあるだろう?役作りの一環さ。
それにいつまでも引き籠ってたら、折角のドッキリがもったいない。そろそろイベントも挟んでいくからね、楽しいね。
「限界って…大丈夫、なんですよね?」
「ヒマリのトコへ向かうくらいなら、大丈夫だ。ナニも問題はないよ。必ず、無事にキミ達を送り届けるさ」
はい!
ここらで死亡フラグを建てていこうと思います!
一級フラグ建築士に、ワタシはなるッ!!
心配してくれるユウカちゃんは可愛いね、苦しんで恐怖に追われてね。部屋から出たら、心霊系ホラーからサイコホラーとかパニックホラーも混ざっていくからね。ウヒヒヒ!
「そんじゃ、気休め程度にワタシからのプレゼント、使い切りの防御アイテムだ」
「うげ…これさっき描いてたヤツですよね?」
「なに?コユキ、何か知ってるの?」
今回に限り、応募者の3名にはワタシの血を混ぜたメンヘラ御札を進呈しよう。締切はさっき、プレゼントは今からさ。
スッゴイ嫌そうな顔するコユキ。採血を見られて良かった。
でも受け取るんだよね、呪いが怖いから。
「これぇ…トグロ先輩の血で書いてあるんですよ、不気味じゃないですか」
「あの、トグロ先輩?本当に、無理とかしてないですよね?大丈夫なんですよね?」
今のユウカは、恐怖より心配が上回ってる感じだ。
普段から、もうちょいワタシのコトを心配してくれてもよくない?キミ達、けっこうワタシなら大丈夫だろって思ってるよね。そりゃイロイロ手札は持ってるけど、能力自体は人並みだぜ?
…まぁ、
欠点を認識して、受け入れるコトでヒトは成長するんだ。良くも悪くも。
「おうよ、なんともないさ。そんでその御札だが、カンタンに言えば祓魔の効果がある。とりあえず持っといてくれれば大丈夫だ。呪いにぶつけりゃ攻撃にもなるから、困ったら投げてくれ」
訓練もなしに、対象に向かって御札を真っ直ぐ投げられるかは知らないけどね?当てなきゃ意味ないからね?言わないけど。
呪いを前にして、ヒラヒラ〜…っと、優雅に宙を舞って床にポイ捨てされる光景が目に浮かぶぜ!ワクワクが止まらねぇな!
「……」
ノアがシットリとした目でワタシを見てる。可愛い。
ワリと冗談抜きに、ワタシがぶっ倒れそうなのを気づかれたかもしらんね。
あんね、ワタシ、ホントに限界かも……
「フンッ!」
両手でホオを叩いて気合いを入れ直す。
こんな楽しいイベントを、倒れて見逃すなんてありえないからな。そんなコトになったらワタシ、自分を許せねぇ。化けて出る自信があるね。
そんじゃあ今から、
セミナー発特異現象捜査部行き、ミレニアム観光ツアー
〜シェフの気まぐれ怪奇現象を添えて〜
の、開催を宣言します!
「さっ!行こうか」
ちょっと元気が出てきたユウカと、まだまだへっぴり腰のコユキ、見えないようにニマニマしてるノアを引き連れて、いざ出発だ。
最初の怪奇現象と言えば?
そうだね、アイサツだね。アイサツはダイジだって古事記にも書いてあるから、アンブッシュはもうしちゃってるからダメだよ。気を付けないとね。これから全部アンブッシュだけどな!HAHAHAHA!
「こっちだよ、おいで」
「ひぇ」
「見るなよ。ワタシに任せろ」
背後から、耳元で呪いが囁いてくる。
分かっててもゾワッとする。ワタシ、耳元で喋られるのニガテなんだよな。でもやる。どうせならワタシも同じイベントを体験したいからだ。
そんでもってワタシは、あえてソレに引っ掛かる。
「おや、ダレかな」
「えっ?」
「トグロ先輩!?」
さぁさぁコレからしばらく囮になるってあげるからね、だんだんと弱っていくワタシのタメに、ガンバってヒマリのところへ急ごうか。
「スゥ〜ッ…きっつ」
「見た?見た?見てる?見えた、見た、見えるおいでおいでおいでぇぇえええええ」
「行かねぇよ、独りで見てろ」
取り出したるは不気味なメンヘラ御札。コレを人差し指と中指で挟んでピンッと弾くように投げ飛ばす。どうだ、カッコいいだろ?
ワタシ、投擲にはちょっと自信あるんだ。練習したからね。御札とかナイフとかカードとか食器とか扇子とか、上手く投げれたらカッコいいよな。カッコいいって言え。
うわ、手元が震えてらぁ…
コレがまた普通に立ってるのもツライんですよね、笑っちゃうよね。自己解釈レベルの反動はないけど、簡易解釈でもここまで長時間使うと普通にクるんだな。初めて知ったわ。
「あ゙ぁー…」
「あの、大丈夫なんですよね?」
「イケるイケる大丈夫、アレが動き出す前に移動するぞ」
ワタシが投げたメンヘラ御札は、呪いに張り付いて時間を稼いでくれる。3枚投げて、2枚外れた。
でもイイんだ。みんなの背後でやってたから、見られてないもん。手が震えて普通に外したわ。
んでんで、ワタシ達を追っかけてるこの呪い。人工だけどもホンモノの呪いなんだ。だからね、捕まったりすると冗談で済まされないぐらいヤバい。だからコチラ、呪い操作リモコンをご用意しました!
ちょっと前にマエストロと人工天使を造ってお披露目したんだが、制御を手放したせいなのかよく分かんなかったけど、先生にメッタメタに怒られたんだ。今回はその反省を活かして、ちゃんと制御出来るようにしました!イェーイパチパチパチドンパフドンパフ〜!
捕まったらどうなるんだろうね?
ワタシにも分からん。
ただ、キヴォトスの至る所(行ける範囲)から負の感情を集めて貼っ付けてこねくり回した呪いだから、ロクでもないコトになるのは間違いない。
動作試験って言ってゲマサーに見せに行ったら、クロコちゃんが来てなんか地下なんちゃらに向けて解き放ったらしい。たぶん、廃線になった地下鉄とかで使ったんだと思う。いくら
そんな呪いに、ワタシ達はマジで追われてる。
「はぁはぁ…もー!なんでこんなに遠いんですかー!」
「大声を出さないで、
楽しいねぇ、茶番が思い通りに進むのはなぁ!
もうすっかり呪いを信じ切ってる2人。コレにはワタシもにっこり。ノアもにっこり。モニタールームのアホ共もにっこり。先輩達もにっこり、知らんけど。
現在地は、セミナーと特異現象捜査部の中間くらいだな。一気に走ってきたから、ここらで少し休みたいって感じだ。
そして、ワタシはもうダメかもしれん。
おい、ダレだ頭がなって言ったやつ。許さねぇぞネルテメェ、覚えてろよ!ぜってねぇ許さねぇからな!ぶっ飛ばしてやるカクゴしとけよウタハ!
「そういえばトグロ先輩…?トグロ先輩!?」
「ごめん、ムリかも」
先頭に立ってたユウカが声を掛けてくれんだが、すまねえ。ワタシはココまでみたいだ。もうまともに立ってられねぇんだ、壁に手をついて、そのままズルズルと座り込む。
「待ってよ。ねぇ、待って。もう少しだから」
「ひっ…き、来てますよ!立ってください、トグロ先輩!」
さっきまでなかったハズなのに、ナゼかペタペタと足音を響かせてやってくる呪い。そりゃね、お守りに付けたスピーカーから足音が鳴ってますからね。ついさっき思い付いたから鳴らし始めたが、疑問も抱かずにビビり散らかしてくれるユウカはかわいいねぇ。
コユキは目に涙を浮かべてノアの上着の裾を握ってる。
ノア、内心めっちゃ嬉しいだろうな…普段ちょっと避けられてるもんね、怒ると怖いから。怒られるコユキが悪いんだけどね、叱るノアもちょっと気にしてるもんね。
「先に行っておくれ。足止めくらいならデキるハズだ」
「そんな、私達にトグロさんを置いて行けと言うのですか!?」
「そう言ってるのさ。アイツを封印できなきゃ、遠からずみんな喰われて終わっちまうからな」
と、気丈に振る舞うワタシ。
コレから死にゆくカクゴを決めた兵士って感じだ、一回やってみたかったんだ、こーゆう役。
「コレ、預かっててくれ」
そしてコレもお決まりだろう。愛用品の授与。ワタシの形見として、大切に使ってね。
ユウカにはペンダント、コユキに銃、ノアにはネクタイピンを預ける。それぞれ、ワタシが普段から大切にしてるアイテムだし、それを3人とも知っている。
なおコチラ!超小型のカメラ、マイク及びスピーカー、ホログラム発生装置内蔵の普段とは別の品でございます。もちろん、コレを使って呪いの操作も可能になっております。撮れ高を見逃すな!あとついでにドローンも飛ばしておこう、撮影用に。
「情けない姿を見せたくないんだ、先に行ってくれるかい?」
ナニかを察したコユキが泣きながら抱き着いて来たから、優しく撫でて引き剥がす。どうも、演技派の仕掛け人です。そしてもう1人、演技派の仕掛け人がいる。
「…分かり、ました。トグロさん、貴女を絶対に忘れません。……ユウカちゃん、コユキちゃん、行きましょう」
「ノア、でも…」
「行きましょう!行くしか、ないんです……!」
ねぇノア、ワタシから見える場所で目薬差すのやめようぜ。笑っちゃいそうになるんだけど。いや、もう笑っちゃったんだけど。笑顔を見られたけど、タイミング的にセーフ!
呪いは空気が読めるので、まだ来ない。
3人が走り去っていくのを確認したら、適当に大声を上げてすぐに黙る。フッフッフ…ココからは守ってくれるヒトがいないよ、はてさてどんな素晴らしいリアクションを見せてくれるんだい?
「おや、ついに脱落しましたか」
「トキじゃん。どこ行ってたの?」
「これだけの距離を移動していて、何故誰ともすれ違わないのか、考えていないのですか?」
「なるほど、素晴らしい機転だ。サスガはパーフェクト大天使のアルティメットメイド、最高の仕事だぜ。どっかのヤンキーとはワケがちげぇな」
「恐悦至極でございます。むふー!」
どーりでドッキリに集中デキたワケね、ナイスすぎる。帰ったらご褒美をあげるね、なんにしようね、なにがいいかな?
ここからはワタシも小細工係を───
───…おん?
「おっと…トグロ先輩、無理をし過ぎです。ただでさえクソ雑魚なのですから、あまり無茶はしないでください」
「言い過ぎだろ…」
「大人しくモニタールームへ行きましょう。ご安心を、座れる程度には片付けて置きましたので」
テンションぶち上げて脳内を誤魔化してたんだが、体の方が先に限界を迎えたらしい。やだやだ、ワタシまだ現場にいたいでござる!生でリアクションを見てたいでおじゃる!
普通にトキに連行されちゃったぜ。フラフラな状態で抵抗しても、なんの意味もねぇわな。ガハハ、目ぇ瞑ったら意識トバす自信あるわ。
「ようトグロ、ついにおまえも脱落したみてぇだな」
「そらそーよ…ってそうだ!ネルテメェなんでナレ死してんだよ、もっと派手に退場して恐怖を煽れよつっかえねぇなぁ」
「あ゙ぁ?知らねぇ間に消えっから怖ぇんだろうが、てめぇこそムダにカッコつけやがって…もっとさっぱりくたばりやがれ」
「2人とも、少し黙ってくれないかい?今結構良い所なんだ」
音楽性の違いでネルと議論を交わしたいトコロだが、ウタハに止められちゃった。なになに、今ユウカ達はどんな感じなのさ。おら、そこどけそこどけモニターが見えねぇだろうが。
てかなんでオマエここにいんの?エンジニア部にもモニターあんじゃん。
「ああそれなら、取り付けた自爆装置の威力が高すぎて、部室ごと吹っ飛んで行ったからね。見てくれ、私もボロボロだ」
「ホントじゃん、バカみてぇだな」
「危なかったよ、紙一重でそうなる所だった」
「バカじゃん」
「君に言われたくないな、謝ってくれるかい?自爆した腕時計型醤油差しに」
「ごめんな、次はヘッドライトに付けるから許してくれ」
「うるせぇ!黙って見れねぇのか!」
すまねぇ…
ウタハと喋ってるとさ、無限に中身の無いタワゴトが脳ミソを通らずに脊椎から出力されちまうんだ…例えるならそう、かつお節のように甘くて、クリーミーで…特別な……
「「おぉっ!…あぁ…」」
「おいジャマだって見えねぇだろ!」
クソッ!気になるリアクションしやがって、見逃しちゃったじゃん!ちくしょうめが、許せねぇよ。
部屋の隅の方でリオが、心底くだらないと、バカでアホで理解不能な救いようもない珍獣3匹を、冷たい目で見てる。
こんな視線…慣れたもんだぜ!イェア!
ワタシが直接見れなくなったから、こっからはダイジェストな実況と解説をしていくぜ!
ラストスパート、いってみよー!
拳もダメ?ダメボマイナス?
やれやれ、火炎瓶でも粉塵爆発でもフィリピン爆竹でも使えば良いんですよ。それ行け!くたばれ!
大丈夫、我々が正義なのです!
なんも思い付かないから、参考までに……
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