どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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アンケートの割合を見る感じ、本編とその他でキレイに割れてましたね。答えてくれてありがとうございます。
とりあえず、小話ぐらいは時々書こうと思います。

それと、なんかサイキッカーが多いですね。
こわ…皆さん、戸締まりはしときましょうね。私もしておきますので…


戦え、趣味の為に

 

 

「おい、蛇。居ますか?このお店、ぶち壊しますよ?」

 

「ちょい待てやボケギツネ!」

 

 

 良い子のみんな、こんにちは。

 ワタシだ、赤蛇トグロだ。

 

 実はワタシ、ブラックマーケットの片隅でぼったくりショップを開いている。何でも屋、鉄蛇。キャッチコピーは『悪意、売ってます』だ。なかなか気に入ってる。

 

 そして、閉店の危機が訪れているがワタシは元気。

 レジのカウンターに腰掛けたワカモが、銃を構えてワタシを待っていた。うん。次の店舗探しとくべきかな?

 

 

「居るではありませんか。何故さっさと出て来なかったのですか?」

 

「テメェは数秒すらも待てねぇのか?躾がなってねぇんじゃねぇかオイ野生動物ですかぁ?」

 

(わたくし)を待たせるなと言っているのですが、その程度も分からない愚図でしたか……やはり取引相手は選ばないといけませんね」

 

「選べる相手が居ねぇのに強がるなよ、その仮面と一緒に頭蓋ぶち抜いてやろうか?……今日はなんの用だ。まぁ茶でも飲んでけ、最近トリニティで緑茶が売り出されててな、誰も買わないから安いし、金持ちが多いからか品質だけは最高なんだよ」

 

 

 とまあ、割りといつも通りの対応をしてる。

 七囚人で、厄災の狐なワカモさん。コイツにこんな口聞いてるのは、付き合いがそこそこ長いからだ。

 これに関しては、完全に巻き込まれた側だからな。コイツのせいでヴァルキューレに誤認逮捕されたのがキッカケ。なんで会ったこともないワカモの協力者になってんだよ、ワタシ。昼寝してたら武装したSRTが突入してきて、そのままボッコボコにされた時の事はまだ忘れてない。めっちゃ焦ったし、混乱したし、怖かったぞ。SRT特殊学園ってな、マジで特殊部隊のエリートなんだわ。

 

 そのまま矯正局にぶち込まれた。

 

 あん時はギリギリセミナーに所属してたし、リオがミレニアムとして正式に抗議してくれて、ヒマリとチヒロがキレてが連邦生徒会、特に矯正局辺りをハッキングしまくって大混乱に陥れたおかげで、早めに出てこれた。脅迫したようにも見えるが、ワタシはやってないし頼んでないからセーフでいいだろう。

 出てきた時、ウタハに指さされて爆笑されたのは許してない。どう考えてもオマエ等の方がヤバイ奴だろうがよぉ…

 

 ネルは普通に心配してくれてた。

 その日初めて、ネルの中身がマトモな奴だって気付いた。

 

 その後、ワカモに報復しに行った。

 まぁ…痛み分けってトコロに落ち着いて、今に至るワケよ。

 

 そのせいか知らんが、矯正局を正面からぶち抜いて脱獄した挙げ句、七囚人に喧嘩売りに行ったとかいう噂が流れてるぞ。未だに消えないから、もうそれは諦めてる。

 

 そして今は、ズブズブな関係者になってる。

 ごめんみんな、好奇心には勝てなかったよ…

 

 さて、お茶を淹れ終わったし、一緒に出すのは……羊羹があったな、こし餡のやつと栗のやつ出しとくか。これもいいやつだからな、しっかり味わえ。

 

 

「相変わらずこういうのは揃っているのですね。…あら、食器が増えていますね」

 

 

 奥の棚にある増えた食器に、目聡く気付いたワカモに言われて思い出した。

 そういやコイツ、勝手にココを宿にしてる時あったな。住むなら用心棒しろって言ったら、軒先に狐のお面をぶら下げられた。

 

 なかなか効果のある魔除けだぞ、あれ。数の多い中堅程度のチンピラならそれだけで暴れなくなる。あのお面を見ても暴れるのは、それすら理解出来ない小物か、かなりの大物のどっちかだ。

 大物が釣れたら?そりゃぁもうお祭りよ。試作品を試しまくれるし、ワカモは支援を受けてぶっ壊し放題のフィーバータイム突入する。チョー楽しい。いつでも待ってるから。

 

 

「最近、新しい用心棒を雇ったんだよ。4人な、普段は3人だけど。後で顔合わせとけ、一応ワカモもこの店の用心棒だからな」

 

(わたくし)が居るにもかかわらず、新しい用心棒…?」

 

「テメェ普段居ねぇだろが、なんでちょっとプライド持ってんだよ。ちゃんと常駐してくれる奴が欲しかったんだ」

 

「なるほど、では仕方ありません」

 

「店に居ても勝手に〝Close〟の看板立てやがるしな、オマエは」

 

「騒がしいのは好きではありませんので」

 

「今も立ててから入って来てるだろ?」

 

「当たり前じゃないですか」

 

 

 今日はこのまま店仕舞いだな。

 客、そこそこ来るんだけどなぁ…

 

 まあいいや、元から趣味の店だし。そもそも店開いたのも、業者向けに大量販売してる資材を買う為だしな。

 

 

「そんで、なんの用だよ。武器のメンテはこの前したろ?」

 

「それは、その…シャーレのパーティに、呼ばれして…しまいまして……」

 

「ん?」

 

「どのような装いで向えば良いのかと……」

 

 

 はぁ〜…カワイイなぁコイツ。

 こんな事聞きに来たんか。まぁ、他に聞けそうなヤツ知らなさそうだしなぁ…

 

 脱獄囚がパーティに行くってのは理解に苦しむが、まぁワタシには関係ないしいいか。

 

 

「ふーん。そういうのって一緒に説明されてるんじゃないのかい?」

 

「…くて…」

 

「は?」

 

……先生と、2人きりは…その、はずかしくなってしまい…途中で逃げてしまったので……」

 

 

 

 くそッ…カワイイなぁコイツ!

 でもからかうのはこの辺にしとくか。ネルと違って手加減とか、常識的な限度を知らないからな。普通に殺されそう。

 

 

「堅苦しくはない、ホームパーティーのようなモノ。とは聞いております」

 

 

 オッケー。だいたい分かった。

 なんならワタシも誘われたから、日程どころか細かいスケジュールも知ってる。断ったけどな、その日用事あるし。

 

 どーしよっかなぁー。

 

 

 

 決めた!半殺しぐらいは覚悟しよう!

 

 そうと決まれば話は早い。

 そして時間が無い。

 

 

「日程は……2週間後か、あんま時間無いな。ワカモ、急いで採寸するぞ」

 

「やはりドレスコードがあるのでしょうか?」

 

「どうせ見てもらうなら、キレイな姿の方がいいだろう?」

 

「…ッ!」

 

「安心しろ、ワタシは服も作れる!!」

 

 

 しゃあ!承諾ゲットォ!

 着せ替え人形ゲットォ!

 

 クハハハハ!

 忘れているようだなぁ、知らないだけかもしれんが。

 

 ワタシは、コスプレ趣味だぞ?

 そして、着せるのも好きなタイプだ。むしろ着せる方が好きと言っても過言じゃない。……だってワタシ、身長が高すぎてカワイイ系の衣装とか着にくいからな…悲しみ…

 

 それに、自分で着ると全体図が見にくいからな。技術者の端くれとして、自分が作ったものが()()使()()()()()()姿を見たいんだ。自分で使うのとは満足度が違うんだよ。

 

 

「先に採寸だけ済ませてしまおうか。数字があればなんとかなるから」

 

「流石は何でも屋、その辺りはお任せします」

 

「見た目も?」

 

(わたくし)、貴女のセンスだけは評価していますの」

 

 

 そう言って、銃剣と牡丹の花飾りを揺らすワカモ。どっちもワタシが作った物だ。

 花飾りは色んな種類作ったから、それも込みかな。一応、花言葉とかにも気にしたからな。何故かコイツはその辺詳しいんだよ。無駄に教養持ちやがって、見た目だけで作ったら文句言われたもん。なんか悔しかったから勉強した。

 

 素直に嬉しい。モチベが上がってきたぜ。

 多分今のワタシ、ニッコニコなんだろうな。ニコニコしながら採寸してるんだろうな。変態じゃねぇかよ…

 

 

「よし、早速デザイン作ってくるわ。出来たらデータ送るから確認してくれ。まぁしなくても作るけど、意見があればちゃんと言えよ、直すから。そうだな…1週間から10日で仕上げてやるよ、それくらいでまた来てくれ」

 

「分かりました、1週間後にまた来ます。……随分とイキイキしてますわね」

 

「服作るのは趣味だからな!」

 

 

 作業には興味無い奴だからな、そのまま出て行った。

 帰らせたのはワタシだけど、新しい用心棒の顔合わせ、忘れてたわ。どうせまた今度来るから、その時でいいや。

 

 

 


 

 

 

デザイン案>  

【画像】その1>  

【画像】その2>  

【画像】その3>  

 

どれが良い?>  

 

  <1

 

要望は?>  

 

 

〜2日経過〜

 

 

勝手にやってるからな>  

 

 


 

 

 それなりに気に入ったデザインらしい。

 文句あればボロクソに言ってくるだろうからな、お眼鏡に適ったようだ。

 

 ワカモさ、こっちの連絡をスルーするんだよ。ワタシはこういうやりとりも好きだから、ちょっと物足りない。

 

 ……しょうがない。このやるせなさを発散するためには、コユキにスタンプ爆撃するしかない。これは仕方のない事態だ、必要な犠牲だな。コラテラルコラテラル。どんまい。

 ツールは前に作ったからそれ使おう。秒間150個のスタンプ連打を5分間送り続けるように設定して、ヨシ、射出!

 これ、ちゃんと使えばその辺のサーバーなら一発で高負荷で落とせるぞ。ヴェリタスのアホ共対策に用意したんだけど、アイツ等コレの対策しやがったんだよ。無駄に能力はあるのが腹立たしい。あの中の1人でもチヒロに協力してくれればな…そうすればワタシ、もう少しチヒロと遊べるんだけど……

 

 

 さて、おおよそは完成したぞ。

 今はワカモを待ちながら小物を作ってる。

 

 黒を基調に、深緑と銀をあしらったパンツドレスを用意したぞ。和装のイメージが強いから、それと離したかった。フワッとした下半身には浅めのスリットを食わせてる。多分歩いていると、不意に足首が見える程度だろうな。それと肩から腕、手の甲を覆うように蝶と髑髏のレースを通して、エメラルドの指輪で止めてる。カッコいい系のセクシー路線を目指した。

 後、ドレスと対になるようにSR用のデカールも作った。そしてやっぱり、鬼と黒百合をモチーフにした仮面も作った。この乙女な気狂いには、顔を隠せるアイテムが必要だろうからな。顔出してると、ヴァルキューレとかSRTとか風紀守ってる勢力に追っ掛けられるから。

 狐はまぁ…今回ぐらいなくてもいいだろ。

 

 

 ───チクッ

 

 

「いて…ンン゙ッッッ!!!???」

 

「やっと気付きましたね。気を抜きすぎではありませんか?」

 

「オマエなぁ…ホント、オマエさぁぁ……」

 

 

 首の後ろに刺されるような痛みが走って、猫みたいに飛び上がって臨戦態勢を取ったら、ワカモが銃剣のナイフを弄びながらこっち見てた。クソが。

 

 うわ、ちょっと血ィ出てんじゃん。

 マジで刺したのかよコイツ、マジかよ。やっぱ頭イカれてんだろコイツ。普通に声かけろよなんで1回要らん攻撃仕掛けるんだよバカなの狂ってんだろクソがクタバレ生粋のデストロイヤーがよぉぉ!

 

 

「それで、(わたくし)のドレスは何処に?」

 

「こっちだ!取り敢えず着替えろ」

 

 

 ワカモを奥の部屋に連れてって、早速着替えさせる。

 1人で和服の着付けが出来る子だし、別に特別変わった服もでもないし手伝いは要らないな。

 

 

「んん~…ワカモ、裾を上げるかヒールを履くかどっちが良い?」

 

「どちらが美しく見えますか?」

 

「ワタシの趣味ならヒール履いてほしい」

 

 

 人ってさ、自分にないモノが美しく見えるんだ。

 ワタシがハイヒールとかの高さのある靴を履いてみろよ…身長180cmを超えるデカ女が現れるぞ。ま、ブーツはたまに履くけどな。ロングブーツが好き。というか、皮靴が好き。あの質感が良いんだ、見た目のな。それに自分の高身長が気に入ってるもん。

 だって格好良いじゃん。

 

 

「では裾を直してくださるかしら、蛇の言葉は聞かない事にしていますので」

 

「ういうい」

 

「張り合いないですね」

 

「だってオマエ、どっちでも似合うじゃん。スタイル良いし美人だし」

 

「…あらあら」

 

 

 なに普通に照れてんだよ。カワイイなぁ。

 ワタシはな、良いものは良いって言うようにしてるんだよ。誰だって褒められたり認められたら嬉しいだろう?されて嬉しい事は、する。相手が嬉しそうだとワタシも嬉しいもん。

 

 まあいいや。

 

 

「見た感じは問題ないな。着心地はどうだ?きついとかゆるいとかあるか?」

 

「特には感じませんね。見た目の割りに温かいですし、悪くありません……何をしているのですか?」

 

「ん、写真撮ってる」

 

 

 このためにドレス作ったんだ、小物作ったんだ。

 

 ハイ!ちゃんとこっち見て!

 武器構えて!

 

 いいよ!いいよ!

 格好良い!格好良いし可愛い!

 似合ってる!綺麗!!

 

 

「…ふぅ〜」

 

「満足しましたか?」

 

「写真いる?」

 

「結構」

 

 

 はぁぁぁ……満足した。

 

 

「うっしじゃあ脱いで良いぞ」

 

「ではコレでパーティーには──」

 

「あ、パーティーはいつもの服で行ったほうがいいぞ。参加者全員制服だろうし」

 

「………………は?」

 

 

 うぉっ!コワッ!

 

 別に良いじゃん!

 そのドレスあげるし、何も損してないじゃん!

 

 ワカモもそう思ったんだろ?

 だからまだ銃構えてないもんな。

 

 

「…ふむ……それはそれとして、腹は立つので。せめてもの情けです、戦うか逃げるか選びなさい」

 

「へへへ……誰がオマエなんか、オマエなんて怖くねぇ…オマエなんか怖くねぇっ!…テメェぶっ殺してやるぁぁ!」

 

 

 

 

 

 この日、ワタシの店は潰れた。物理的に。

 直すのに3日かかった。

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁぁ〜疲れたぁ……」

 

「…全く…本っ当に、面倒な戦い方をするヒトですね……」

 

「それしか出来ねぇからな、オマエが本気なら勝てねぇよ…」

 

「うふふふ」

 

 

 余裕あんなぁ…ワタシは大の字でぶっ倒れてるのに…

 ちょっと回復してきた。

 

 良かった、端末無事だった。

 ユウカァ〜

 

 

「ユウカァ〜」

 

『もしもし?トグロ先輩?どうかしましたか?』

 

 

 おお出た。

 

 

「シャーレのパーティーでさ、ちょっと頼みがあるんだけど良いかい?」

 

『出来る事なら良いですよ、何ですか?』

 

「ワタシの知り合いが参加するから、ちょっと気にかけてやってほしいんだ。オマエ企画側だろ?」

 

『ええ、分かりました。どんな子ですか?』

 

「黒髪の美人だ。たおやかな所作と品のある話し方だから、会えば分かるよ。割りと戦えるヤツだし、なんかあれば使ってやってくれ」

 

『なるほど。任せて下さい』

 

「頼む。礼はするから、欲しい物でも考えといてくれよ。じゃあな」

 

『あ、そう言えばウタハ先輩が探してましたよ』

 

「オッケー分かった、ありがとう」

 

 

 こうしとけば向こうで変に暴れたりもしないだろう。まぁ、先生居るから大丈夫だと思うんだけどさ、そこへ行くのはワカモだからな。

 

 それに頼んだのはユウカだ。

 ユウカならいける。ユウカならなんとかしてくれる。

 ワタシはユウカを信じてる。頑張れ。

 

 ん?どうした、ワカモ。

 

 

「そのように思っていたのですか…?」

 

「さっきも言ったろ。オマエは可愛いし綺麗な美人だよ。……破壊行為しなけりゃ」

 

「そんな…美人だなんて、なんだか照れてしまいますね」

 

「破壊行為さえしなけりゃな」

 

「照れますね」

 

「照れんな反省しろ」

 

「これからはもっと上手くやりますわ」

 

 

 さて、ここはブラックマーケットだし誰を巻き込んでようがどうでもいいけど、ウチの用心棒達は無事かね?修羅場は潜ってるヤツらだし、この程度なら問題ないだろうけどな。

 寝床は…ミレニアムの拠点に連れてけばいっか。そろそろここ以外にも行動範囲を広げてもいい頃のハズだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、ユウカから焦った様子でメッセージが届いた。

 面白かったから、そのまま置いといた。

 

 怒られた。

 

 

 




ワカモ、可愛いよね。

なんも思い付かないから、参考までに……

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