どうせなら、笑っていようぜ。 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
そして私は思い出した。そうだ、私は日常系が好きなんだ。
「コーユーキー!あーそーぼー!」
「トグロ先輩じゃないですか!にははーそんなに私と遊びたいんですかぁ?」
「たりめぇよこのクソガキがよぉ…一緒にカジノ潰しに行こうぜ!」
「いいですね!行きましょう!!」
良い子のみんな、こんにちは。
ワタシだ、赤蛇トグロだ。
セミナーに突撃して、珍しく仕事してたコユキを拉致ろうとしてるとこ。
まあ、本命はそれじゃないけどな。普通に仕事手伝いに来た。ドーモ、社畜になりかけてます。
「ト グ ロ せ ん ぱ い 〜 ?」
「安心しろユウカ、行くのは今日の夜。それまでに終わらせれば良いんだろう?」
「へ?まぁそうですね。日を跨ぐ量でも無いですし……もしかして、手伝ってくれるんですか?」
「そのつもりだ。さっきリオに呼ばれてな、忙しいから手伝ってくれって。晄輪大祭も近いし、準備もあるだろ。ユウカもノアも、まわせる仕事はワタシに任せな」
行くには行くけどな、カジノ。
最近、ブラックマーケットにある拠点の近くに出てきてさ、ただでさえ終わってる治安がさらに悪くなって来やがったからな。
黙らせに行ってくる。でもその前に、せっかくのカジノだから遊びたいじゃん?コユキはこういうの好きだし、ワタシはコユキ好きだし。
「にはは、ありがとうございます!それじゃ失礼して……」
「ただしコユキ、テメーは駄目だ!」
「なぁんでぇぇぇえ!??」
よし。ノルマ達成。
やっぱ1回はコレ聞いとかないと、コユキに会った実感がないもんな。
そして実際、ワタシはコユキの仕事は手伝えない。と言うか、手伝っちゃいけない。だってコイツの作業、セミナーの機密とかセキュリティ系の内容だもん。部外者が見ちゃダメだろ。
「良いじゃないですか別に。だってトグロ先輩は元セミナーだったんですよね?そもそも、なんで辞めちゃったんですか?仕事出来るじゃないですか」
「オマエ…留年してて悪い噂が絶えないワタシが、生徒会に居られるワケねぇだろ……」
実質、セミナー追放だからな。
セミナーに居た期間は、半年ぐらいか?元々1年で辞めるつもりだったし、ワタシ的には何も問題ないけど。セミナーも、半ば無理矢理に所属させられたから、ヒマリに。
アイツ、自分がセミナーに入りたくないからってワタシを生贄にしやがったんだ。確かに入試の成績はリオに続いて2位だったけどさ、銃の実技があったから総合で高いだけだぞ?実技が出来ないヒマリは、座学だけで全体3位だったし。
「それなら私だって同じじゃないんですか?」
「……コユキにあって、ワタシに無いもの。分かるか?」
はぁ…まぁコイツは無自覚だしなぁ……
これ、ワタシに言わせんなよ、悲しいだろ。
「それはな、才能だ。コユキが息をするように解ける簡単な問題が、ワタシには解けないんだ。コユキの当たり前は、ワタシにとっては全力で勉強してようやくなんだ。まっ、レベル10のオマエと同じステータスがほしけりゃ、ワタシはレベル50にしなきゃいかんのさ」
「それはつまり、私は…スゴイ……?」
「調子に乗らない。確かにコユキの能力は評価しているわよ。でも今さら、ミレニアムの機密情報を知っているコユキを野放しになんて出来る訳ないでしょ。まぁ…トグロ先輩と違って逃げられないってのもあるでしょうけど」
「……ん?まって下さい。それじゃあ、私の仕事は……」
「コユキ1人でやりなさい。もちろん、これからもよ」
「うわぁぁぁぁん!やだぁぁぁ!」
コユキの悲鳴は心地良いなぁ~。
さて、ワタシも仕事しますか。
「おーい。オマエ等生きてるかー?」
ワタシの仕事は簡単な雑務がほとんどだ。量はあっても内容は薄い。だから割りと早めに終わらせられる。
終わらせて、コイツ等の好みに合わせたドリンクと軽食を配ってた。コユキの仕事待ちだ。
「置いておくよ、ノア」
「ええ、ありがとうございます。またお願いしても?」
「しばらくは通うつもりさ。リオが良いって言うまでは手伝うよ」
「トグロ先輩!それは本当ですか!?」
「うおっ!」
ワタシの背後から、ユウカの悲鳴にも似た声がかけられた。
なんだよ、ビックリさせないでくれ。ワタシは中身の入ったコップ持ってんだ、溢したらどうする。
「なに?そんな今ヤバいの?」
「今はまだ大丈夫です。けれど、来週辺りからは…帰る時間も無いかもしれません」
「えぇッ?私、聞いてないですよユウカ先輩!?」
「コユキは言ったら逃げるでしょう?…て言うか、あんたもセミナーなんだから把握ぐらいしときなさいよ」
そうなのか、今週ぐらいのつもりでいたんだけど……
とりあえず、ユウカの仕事は少し減らせるからやっとくか。どうせ謎の予算と壊れた何かしらの修理費だろうからな、規模がデカくなりやすい所に釘刺しといてやろう。
「んじゃちょっと変なもん作ったり、物を壊すなって言って回ってくるわ。今の3年がいる場所はそれで黙るだろ。ノア借りるぞ」
「ではユウカちゃん、借りられて行きますね」
「コユキ、帰って来るまでに仕事終わらせろよ。カジノ行くからな」
「はっ!そうでした、こんなのさっさと終わらせちゃいますよ!トグロ先輩、ノア先輩、行ってらっしゃい!」
あの張り切り具合から、本当にさっさと終らせるんだろうな。そしてその後、こんなに早くできるなら次から量を増やすとか言われて悲鳴上げてるんだろうな。
みたいな話をしながら、ワタシとノアでミレニアムのイカれた頭を持った部活を訪問して回った。ノアは証人な、目の前で自分はしばらく何も壊さない騒ぎも起こさないって誓わせて証書を書かせた。記憶力の良い書記は怖いぞ。
「そう言えば、トグロさんは晄輪大祭には出場しないんですか?」
「ん~…特に出るつもりは無いかな。何かあるのかい?」
「少し意外だなと思いまして。トグロさん、こういった催しが好きそうだったので」
あぁーそれね、モチロン好きだよ?
でもワタシ、お祭りは参加するより見てるほうが好きなんだ。ヒトの動きや流れを観察してるのが楽しい。
あと、純粋に売店を回りたい。
百夜堂来るらしいし、シズコをからかいに行かないといけないからな、忙しいんだ。
「今回は普通に売店回りたいんだよ。ノアも一緒に行くか?」
「いえ、私はユウカちゃんの勇姿を見ておきたいので」
ノア、ユウカの事好きすぎじゃない?
まぁ…ワタシも人のこと言えないんだけどさ、それにしてもオマエはべったりし過ぎてない?気持ちは分かっちゃうんだけどね、ユウカも可愛いもんな。見てて飽きないし、一緒に居て楽しいし。
ヒマリもリオも、もう少し危なっかしい性格してたら多分ワタシもそうなってるから。チヒロは心配いらない。アイツは止める側だし、ちゃんと考えるヤツだからな。
「そろそろ戻りますか?3年生の居る部活は、先程の場所が最後のハズです」
「そうだな。付き合ってくれて助かった、ありがとな」
「あら…ふふ、どういたしまして」
あ、すまん。
完全に無意識で撫でてたわ。
最近はトキが今まで以上にグイグイ来るんだよな。リオがだいぶ丸くなったし、もう遠慮なく甘えちらかしてるぞ。ペット枠だろアイツ。幸せそうでなによりだよ。
そのせいか、なんか最近は目の前に頭があると勝手に体が動くようになってきた。この癖は治しとかないとな。他人に頭触られるの、嫌なヤツは本気で嫌がるから。
それにしてもノアは撫で心地がいいな。
真っ直ぐでサラサラな長い白髪は綺麗で、本人の雰囲気も相まって儚げで幻想的な印象がある。脳内は割りとはっちゃけてるけどな、強かな享楽主義だろコイツは。普段からユウカ弄って愉しんでるし。
外見詐欺だよ、いや…詐欺でもないか。でもやっぱり詐欺かもしれない。もうね、ノアっていう生き物だよね。強い。
「うわぁぁー!なぁぁんでぇぇぇーー!!?」
「サスガだぜコユキぃ!これで半丁全敗、美しいまでの負けっぷりだぁ!」
はいどうも、コユキと違法カジノに来てるぜ。
今は半丁やってる。
勝ち分は置いといて、当たるかどうかはほぼ1/2なのにな。
ワタシは隣でイカサマして馬鹿勝ちしてる。多分ここのカジノの経営組から目を付けられてる。何も言われないのは、コユキが無限に負けてるからだな、胴元からしてもワタシ達合わせて多少のマイナス程度だからな。
まああれだ、このカジノは潰すが先に遊びたいじゃん?
どうせ潰すなら、ここのクレジット回収してから潰したい。勿体ないじゃん。
それにさ、なんやかんや言ってコユキも頑張ってる子だからな。ご褒美は必要だろ。
「見ろコユキ。ここに積み上がってるチップを。ワタシの勝ち分だ!」
「トグロ先輩…人の心とかないんですか……?」
「コユキのチップ…ごっつぁんです!」
「うわぁぁぁああぁぁん!!!」
でもやっぱり、思い切り煽っておく。
最っ高の気分だ、コユキはカワイイなぁ。
「次、次に行きましょうトグロ先輩。えーっと、あっ!あれやりましょうポーカー!今度は負けませんよ!!」
「おうよ」
ワタシ達はポーカーテーブルへ向かう。
フロップ・ポーカーか、ルールはテキサスホールデム。このカジノ、ブラックマーケットで開いてる割にはポピュラーなゲームが多いな。ジャンルは目茶苦茶だな、多分責任者の趣味なんじゃねぇの?
「にはは〜、ポーカーは運だけじゃ勝てませんよー?今度は私がボコボコにしてあげますよ!」
それからしばらくして、
「えっ、よっわ……ざっっっこ、クソ雑魚じゃん…あんなにイキってたのに、ねぇ今どんな気持ち?ねぇねぇ今どんな気持ちぃぃコユキちゅわぁぁん!!」
「うわぁぁぁああーー!!なぁんでぇー?どぉぉーーしてぇぇえ!!!??」
コユキにボロ勝ちした。
なんなら同じテーブルに居る他の客からも巻き上げたし、ディーラーは3回ぐらい入れ替わった。
そりゃあね。ワタシ、最初から最後までイカサマしてるからな。
コユキ以外の全員がそう思ってるだろうな、でも方法が分からないから指摘出来ない。優越感がスゴい。
でもまあ…このまま店出れば襲撃だろうな。
「コユキ、そろそろやるぞ~」
「もうですか?分かりました、やりましょう。この気持ちをぶつけてやりますよ!」
襲撃はこっちからする。
だってこの辺は、ワタシの縄張りだからな。
無法には無法の法があるんだ、それを破るってのはどういう事か知らしめてやろう。
この辺一帯じゃ、ワタシが法だ。
「お客様、オーナーがお呼びです」
「あ、呼んでるだぁ?頭が高ぇな。1分待ってやる、テメェが来いって伝えろ」
「は?」
「時間は有限だぜ?」
おいおい、固まってんじゃねえよ。
店員のロボットの頭に銃口を押し付けながら、ワタシはいい笑顔で言ってるんだろうよ。
忘れてねぇか?
ここはブラックマーケットで、ここにいるのは『鉄蛇』だぞ?
「テメェ等!今からこのカジノをブッ壊す!!ただの客ならさっさと逃げろよ!巻き込んじまうからなぁぁ!!」
「にはははは!もう始まってますけどねー!!」
ワタシが呼んだ大量のドローンとデコイが、既に店の周囲を囲んでる。コユキがMGを乱射したのを合図に店内に突入させた。
ワカモも呼んでやれば良かったかもな。無理か、アイツギャンブルやらなさそうだし。でも強そうだし、今度来たらやらせてみるか。
「アイツ等だ!捕らえろ!!」
やっと警備が動いたか。
遅くない?用心棒は選ぶべきだぞ?
「雑魚が群がって来たぞ」
「にっはっは、ちょろいちょろい!」
今までの鬱憤を晴らすように弾幕を貼るコユキ。何も反省してないけど、後で謝ってあげようかな。
それにしても楽しそうだな、コイツ。
コユキが笑ってるとこっちまで楽しくなるから良いよな。そういう明るく巻き込んでくれるトコロは、コユキの長所だと思うぞ。それと同じくらい悲鳴も好き。
こうして、カジノは潰した。
何も特筆することもないぐらい簡単に潰した。よくこの程度でカジノ開いたな。
オーナー引っ張って来て、話だけは聞いた。
他でビジネスに成功して調子乗っただけだった、つまらん中堅程度のヤツだよ。バックに大物でも付いてたらお祭りに出来たんだが、単発で終わった。
「じゃあなコユキ。楽しかったぞ、ありがとう」
「にはは〜、私も楽しかったですよ。また遊びましょう!」
コユキを送って、今日はお開きだ。
さて、カジノの跡地を掃除するか。
火事場泥棒とかが増えるし、あの辺はブラックマーケットの割りに静かな場所だからな。それを壊すヤツにはお仕置きしとかないと。
こんな感じでラインを引いて、超えたら潰すってのをしてるから縄張りなんだよ。だからって挨拶に来ても何もしないけどな、たまに勘違いヤツが襲撃したり、逆に部下に売り込みに来たりする。全部追い返してるけど。
上納品とか要らんから、場所代とか取ってないから、別に代表でも何でもないから。どうせ来るならデカい規模で抗争に来いよ、そっちのが楽しいから。
セミナーみんな好き。
なんも思い付かないから、参考までに……
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