どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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長くなっちゃった…小話なのに、1話が長くなっちゃったよ…
 
全部トグロって奴が悪いんだ、喋り過ぎなんだよアイツ。

それと、最終編も書いてきました。
良ければ見てって下さい。でも、本当にただの蛇足なので注意してください。



怪獣と追いかけっこ、コワイ

   

 

 

 良い子のみんな、こんにちは。

 ワタシだ、赤蛇トグロだ。

 

 突然だが、エージェントに狙われた時の対処法を教えて欲しい。条件を加えるなら、キレたネルが居る時のやつだ。さらにその後ろには他のC&Cメンバーも居るとする。

 

 幸いにも命を取られるコトは無いだろうが、捕まれば最後にボッコボコのフルボッコにされてしまうだろう。

 

 

「どこ行きやがった!出てこいクソトグロォォー!」

 

 

 こんな感じで追われているワケよ。

 うわコワもう少し離れよ…

 

 

「あっ、やっぱりトグロちゃんだー!みんなー居たよー!」

 

 

 とまあ、逃げても隠れても見つかるんだ。

 誰か、ここから入れる保険を教えてくれ。いやだーしにたくなーい!

 

 

「よくやった!死ねやクソトグロォォ!!」

 

 

 もうおわかりですね?覚悟の準備は出来てません。ワタシは被害者です。なにも悪いコトはしてないし、物も壊していません。問答無用で追われてます。いいですね?ワタシはなにもしていません!捕まれば最後、法廷ドコロか檻越しの再開になりそうだ。

 

 いけない、冷静さを手放すところだった。

 でも今日が、ワタシの命日なのかもしれない。取り敢えずはいつも通り煙幕焚いてこの場を離脱しよう。この距離なら、ネルからギリギリ逃げられるから。ただしアスナ、オマエだけは勘弁してくれよ。なんで逃げる先に居るんだよ、クソが

 

 

「あっははは!まてまてー」

 

「こちらコールサイン03、目標を補足しました」

 

 

 は?マジか、誘導されてたんか…気付かんかったわ、ネルしか見てなかった…てか目を離したら多分ヤラれる、コワイ!

 誘導?知ったことかよ!なあ今そんな状況じゃねえだろうが!目先の危険から逃げねぇとマズイんだって!

 

 ヤベッ、遮蔽がねぇ!

 

 

「チッ…また機腕が壊れるじゃねぇか」

 

 

 4本の機腕を展開して、2本ずつ両足に添わせて疑似骨格にする。普通に広げるとカリンに狙撃されるから…何回やられたか、ネルが殴って壊したり銃撃の途中でアスナに壊されたりアカネの爆発に巻き込まれて壊れたり…だから対人戦ではあんまり使いたくないんだよなぁ。

 でも使う。使わないと捕まっちまうからな。

 

 その足で一気にジャンプ!

 近くの建屋の物陰へ緊急離脱だ、煙幕の追加も忘れない。コレないと狙撃されて倒されるか足止めされてネルが来る。

 

 

「クッソ…なんなんだよアイツ等、マジになんなんだよ!」

 

「トグロちゃんはっけーん!ご主人様に良いとこ見せちゃうよ!」

 

 

 ホントに勘弁してくれよ。

 ワタシ、なんかしたか?

 

 ………

 

 ……は?

 

 

「おいまさか先生も居んのか!?なんでだよ!!」

 

「そこ、危ないよ?」

 

「うふふっ…耐えられますか?トグロさん」

 

「バッ…おい!」

 

 

 クソが!

 マジになんでなんだよ!?

 先生まで向こうに付いてんのかよ、は?なんで??あの人が居るだけでもバフかかるのに異次元の指揮まで入ってくんのか!?ヤベェヤベェよどうなってんだ!!

 

 でもまずはこの爆発を乗り切らねぇと。

 …ああ、そういやもうネル達に見せてもいいのか、ワタシの自己解釈。もうコイツ等と本気で敵対することもないだろうし、そうなるときはワタシが悪いだろうしな。

 

 じゃあ、多分大丈夫かもな。

 いや逃げるだけな?さすがに勝てねぇから。

 

 いきなり隠してた手札を見せるのも癪だし、勿体ぶって小出しにしていこう。まずはワタシの神秘を引っ張り出して、全身を巡らせる。普段無意識にやってるコトを、意識的に行うんだ。気を巡らせる(マジ)ってな、神秘コントロールの第一歩にしてワタシの思う終着点の1つだよ。

 

 どうやるかって?

 まずは神秘の根源を認識します。そこにある神秘を自分の意志で引きずり出して下さい。な?簡単だろ?ワタシは何回か意識がぶっ飛ぶぐらいにはアレコレ試したぞ。やれるだけやってみろってな。

 

 そんなコトは置いといて、この爆発を凌ぎきらないとだな。

 

 

押し返せ、鱗の鎧──簡易解釈:二の浪漫

 

 

 自己解釈には長ったらしい祝詞が必要だ。

 つまりそれってぇ~、簡易祝詞を用意出来るってコトでぇ〜…

 

 まあね、ほら簡易詠唱とか詠唱破棄とか短縮詠唱とか多重詠唱とか色々さ、浪漫じゃん?出来そうだったし、やりたいじゃん?そりゃ用意するでしょ、浪漫なんだもん。カッコいいんだもん。

 

 …悔しい事に少ししか用意出来なかったけどな。1〜99までとか言いたいけどさ、そんな数覚えきれねぇんだわ…そんな量いらねぇし。攻撃、防御、速度の3つありゃ十分だってのに気づいちゃったんだ、世知辛い世の中だよまったく…作った他のヤツ等が草葉の陰で泣いてるよ…

 それに所詮は簡易だからな、強化幅も微妙だ。

 

 

「…ッなんでオメェまで!チヒロ!」

 

「先生に頼まれちゃってさ、仕事ならきちんとやらないとだし。あ、みんなも居るから頑張ってね」

 

「四面楚歌じゃねぇかチクショー!!」

 

 

 神秘を盾に身を守ったとして、爆発の衝撃でワタシが吹っ飛ばない理由にはならない。

 吹っ飛んだ先かつ、狙って飛び込んだ建物だったが、待ち受けていたのはチヒロだった。おいなんでだよ。

 

 

「それじゃ、トグロ。悪いけど倒れて貰うよ」

 

「なんでだ!?ワタシなんもしてねぇぞ!」

 

「聞いてないの?トグロを捕まえたら、セミナーが報酬を出してくれるんだって、結構良い額だったし部費に困ってる所とか欲しい物がある子は割と参加してるよ。あと捕まえたら、先生が出来る限りの願いを叶えてくれるって」

 

「なんでだよ…ちなみにチヒロは?」

 

「なんとなく面白そうだったから、ちょうど時間空いてたし。それに…トグロが私達以外に捕まえられるとか、なんか嫌だ……って、もう居ないし。もしもしヒマリ?もしかしたらそっちに行くかも」

 

 

 はあ?ワタシいま懸賞金付いてんの?なんで?

 で、いくらだ?金額によっては許してやるぞ、ワタシは安くないけどな!

 

 それと、ワタシがやるべき事が明確になったな。

 この追手達をなんとか掻い潜りながら、セミナーと先生にゲンコツを落として来れば良いワケだ。勝利条件が分かれば楽しくなってくる。先生が噛んでるなら必用以上に痛めつけられるコトも無いハズだ、こりゃスリルのあるゲームが始まったな。

 

 

「居やがったなぁぁクソトグロォォーー!」

 

「ヤッベ…」

 

 

 忘れてたわけじゃないが、チヒロに気を取られすぎた。やめてくれ、マジにネルはワタシに利く。特製弾は気合いで耐えるし、ドローンとかデコイは余裕で破壊されるし、逃げ足だけじゃ勝てねぇ…速すぎんだろ、ワタシに対して特攻もってるよコイツ。

 

 けどなぁ、ワタシが追われる原因は分からんが、理由なら判明した。勝手に懸賞金とか掛けてきやがった以上、もう被害を減らすとか誰も巻き込まないとか関係ねぇ。この場に居るヤツ全員敵だ。

 

 もう、遠慮なんかしねぇぞ。

 フィーバータイムだ。

 

 

「破壊上等…やってやろうじゃねぇか。ドローン展開、デコイ設置、通信妨害開始、煙幕装置起動、追加武装用意」

 

「腹ぁくくったみてぇだな。やっとヤル気になったか」

 

「どうにも逃げるだけムダなようだからね、全力で抵抗させてもらうさ!」

 

 

 足に添わせてる機腕の動き、ヨシ。

 ネルをワタシの攻撃に備える体制、ヨシ。

 ドローン現着、煙幕も濃くなってきた、デコイも外に設置完了、ヨシ。

 

 

「ネル…今日こそ倒してあげるよ!覚悟!」

 

「こい!……………は?」

 

 

 全力のワタシは、背を向けて、全力で、逃げ出した。

 脇目も振らずに全力だ。それはもう、全身全霊をもっての全速力だ。

 

 ついでに、足元でスズミからもらったフラッシュバンを使っておく。これ、馬鹿みたいに眩しくてイカれてるぐらいうるさいんだよなぁ…ようこんなん使うわ、そのへんの爆弾よりも悪質だと思うぞ。

 

 んで、バカか?戦闘準備もなしにいきなり襲い掛かって来やがったんだぞ?対ヤベェ奴用の装備はまだ届いてないんだよ。そもそも現状は一対多なワケで、多の方にネルが居るんだ。タイマンですら勝てねぇのに、そりゃ勝てるワケねぇだろうが!ふざけるのも大概にしろよ!!

 

 幸いにもこのエリアは建物が多くて道も細く入り組んでる、相手の死角に入るのは簡単だ。いくらネルとは言え、一瞬の隙は出来るものさ。

 

 

「アッハ!なになに、ワタシが正面から戦うとでも思ったのかい?んなわきゃないじゃぁないか、ネルちゃんさぁ…そんなコトも分からないのかなぁ〜?この手に引っ掛かるのも何回目なんだい?んん~?君さぁ…ちょっとは学習したらとうなんだァ〜い?」

 

 

 せっかくの機会なので、大声で煽りながら逃げて行こう。ばら撒いてるドローン達から一斉にワタシの声が響き渡る。

 

 でもね、ネルはね、怒るとね、めっちゃ強くなるの。

 煽ったトコロでたいしたメリットはない。デメリットならたくさんだ。キレたネルにボコボコにされそう、こわい。

 

 

「そんなに死にたきゃ今すぐ殺してやるぁァァァ!!!」

 

「おーにさーんこーちら、手のなるほうへ…あ、そこ爆弾あるから気を付け、て…あーあ、言わんこっちゃない。ダッサ、そんなのも見えてないの?お目々どこでちゅかー?」

 

「そこかぁぁぁぁぁ!!」

 

「こっっわ…でもあんなホログラムに引っかかるとかウケるw」

 

 

 ネルを怒らせたのには、ちゃんと理由があるぞ。

 

 それはな、ワタシはネルみたいな子を煽るのが大好きなんだ…っといけない、つい本音が。

 

 ネルはミレニアムで知らないヤツは居ないレベルの暴力の化身だからな。そんなヤベェ奴が、ブチギレながら、悪い噂だらけでヤベェ奴らしいワタシを追っかけてんだ。普通に巻き込まれたくないだろ?近付いたら巻き添え喰らいそうだもん。別に数人なら来てくれても良いけどね、ソイツにネルを擦り付けるから。

 

 ある意味これで、追手の数を減らしてんのさ。

 

 ……まあ、減った分以上にネルが厄介なんだけど、大人数を相手にするよりはマシ…かなぁ……?

 

 

「ぷっくくく、ホントだリーダー間違って走ってる」

 

「普段から多少直情的な傾向はありますが、トグロさんを相手にするとどうしてこう暴走気味と言いますか…」

 

「確かに、いつもならすぐに気付くはず」

 

「それはほら、ネルにとってワタシは、気兼ねなくぶっ飛ばせるクソ野郎だからだね。…なんで居るの?」

 

「トグロさんの方から来たんですよ?」

 

「見逃してくれたりは?」

 

「すると思いますか?」

 

 

 デスヨネー。

 隠れようと入った建物には、C&Cの3人がこっちを見てた。やらかしたわ、もう銃構えてやがる。これは厳しいかも知れん。

 

 まあコイツ等は、多少会話が出来るからセーフ。

 いざ、滑らかに動け二枚舌、誰よりも早く回せ口車。

 

 

「これは!トグロ先輩ではありませんか!ウタハ先輩!ヒビキ!見つけましたよ!」

 

「やあトグロ、申し訳ないのだけど、大人しく私達の部費になってくれるかな」

 

「ごめんね、トグロ先輩」

 

 

 口だけ謝ってくる愉快犯共が現れた。

 

 前門のメイド、後門のバカ。

 

 狙うなら?

 モチロン、バカ共だ!

 

 

「謝るコトはないさ。なぜなら、みんなワタシの敵だからなぁ!」

 

 

 C&Cはさすがにエージェントなだけあって、ワタシの言葉に反応して戦闘態勢になるが、エンジニア部はまだ動いてない。ウタハは予想してたらしく、既に雷ちゃんを起動しているが、1年2人は反応出来てない。

 

 

「悪いね、寝ててくれ」

 

 

 強めのゲンコツで2人を気絶させるコトは出来たが、こっからだな。ウタハはこう見えてそれなりに戦える。なにせワタシと一緒に馬鹿やってたからな、戦う準備というか心構え的な慣れがあるんだ。

 

 

「行け!ミレニアムの猛獣よ、ミレニアムの悪魔を乗り越えろ!」

 

「別に本体はそこまで強くねぇんだよなぁ!」

 

 

 そう、消去法だったとは言え、速攻でエンジニア部に仕掛けた理由。戦えはするが、別に直接強いワケじゃないんだ。そりゃ慣れてる分は動けるがその程度だ、コイツの強さはワタシと同じように仕込みを行うトコロだからな。

 

 そもそも勝ちに来てないだろ、コイツ等。

 エンジニアなんだから、作ったロボット持って来いよ。なんで本人が直接出てきたんだ、バカだろ。

 

 

「お…覚えておくといい、トグロ…たとえ私が倒されようと、第2第3の私が……」

 

「どーん」

 

「グワーッ!」

 

 

 マジで冷やかしに来ただけだったわ。

 けど、してやられた感もある。だってカリンの姿が消えてるからな、アイツ移動しやがった。スナイパーだし、当然なんだけどな。C&Cが戦闘準備を整える時間を与えたワケだ、そして…

 

 

「よおぉトグロぉ…テメェよくも騙してくれたなぁぁ!」

 

 

 こういうコト。ネルが帰ってきた、こわい!

 

 

「引っかかる方が悪いだろう?あんな見え透いた罠にかかるなんて…もしかしてダブルオーのゼロ2つって、目ん玉節穴…ってコト!?もう少し周りを見る努力をオススメするよ?」

 

ブッ殺してやるぁァァァ!

 

 

 ヤッベ、距離が近すぎる!

 このままじゃ追い付かれちまう。が、今日のワタシは一味違うぜ?自己解釈を解禁してるからな、まだ使わないけどな。今の速度に、コイツ等が順応し終わった辺りで使った方が良さげだろう。そのために、今をしのぎ切る!

 

 さっき使った防御用の簡易解釈は、既に効果が切れてるぞ。もっかい使うか?いや、爆発だから使ったが、普通に銃で撃たれりゃ貫通してくるだろうし無くていいか。…ほら、ワタシ素の防御性能が低いからさ…足したって焼け石に水というか…かなしみ。

 

 なのでワタシは、このまま対処しよう。

 伊達や酔狂ではあるんだけど、これでも多趣味多技能な多芸家なんだ。この程度のピンチ、潜り抜けてやらぁ!

 

 ワタシ的厄介ランキング、堂々の1位。

 あの小さな怪獣を押しのけてのランクイン、アスナ!取り敢えず狙っとくか、このまま落ちてくれれば楽なんだけど…

 

 

「そんなの当たらないよ!」

 

「知ってるっての、でもいいのかいアスナ。これ以上避けたら後輩に当たっちまうぜ?」

 

「大丈夫。リーダー!」

 

「あたし前によそ見たぁ余裕だなぁ!トグロォ!!」

 

「ほい、起爆」

 

 

 ワタシが目立つように動いたんだから、そりゃ隠れてドローン動かすに決まってんじゃん。床と天井をそれぞれドローンの自爆でくり抜くように爆発して、新たな脱出経路を作った。

 爆発の砂埃と同時に煙幕も張り直して、ワタシは天井から上階へ、そこから別の建物へ飛び移りながらの逃走を開始する。

 モチロン、地下へ逃げる姿とかどちらにも行かずに外へ向う姿のホログラムを投影させてる。あわよくば混乱しててくれ。

 

 こんな感じで、逃げる時は煙幕と映像を多用するのが最近のワタシのスタイルだな。ここまで本気で逃げるコトは少ないが、割と使う頻度は高いんだよ。ネル煽ると追っかけてくるからなぁ…

 

 

「光よ!」

 

「っぶね!?アリスか!レールガンは反則だろ!!」

 

「アリスは新たなクエスト、[師匠を捕まえろ]を受注しました!今です、みんな!」

 

 

 見てから避ける?無理に決まってんだろ、ワタシが弾丸を避けてるのは、相手の癖と銃口の向きから動きを読んで避けてるんだ、見てからとか間に合わねぇよフザケンナ。ネルと一緒にするんじゃねぇ!

 今のも、アリスの掛け声がなかったら当たってたわ!

 

 そしてなるほど?ゲーム開発部も来てんのね、止めてくれよ。あんなかわいい子達に攻撃なんてできるワケねぇだろ!

 

 

「新しいゲームのために!師匠、覚悟ぉ!」

 

「あ、この前は買い物に付き合ってくれてありがとうございました」

 

「ご…ごめんなさい、師匠…!」

 

 

 まぁ、この程度なら特に問題はないかな。集中してれば避けきれるだろうよ、ワタシが危険視してるのは、C&Cと先生の指揮下に居る子達だけだからな。

 

 …先生の指揮下の子達 is 誰?

 会えば分かるか、有力候補はC&Cとヴェリタスかセミナーだな。警戒はしておく、特にヴェリタスにハッキングでドローンの制御が奪われないようにな、一応ヒマリが面倒臭いって言うレベルのセキュリティはしてるぞ。

 

 

拡張接続…起動補助機構:鉄蜘蛛、外部武装:電磁砲、接続確認…良好…覚悟して下さい──灯を!……チッ、避けましたか」

 

「あのさぁ、レールガンはヒトに向けない約束したじゃん?アリスと一緒にさ、忘れてない?」

 

「当然、覚えていますよ。ですが、人に向けないのはレールガンと言う名称の武器だけ、この電磁砲の名称とは一致しません」

 

「アリスのコレも、光の剣なので違います!」

 

「ズルい!屁理屈じゃん!」

 

「貴女に言われたくありせん!」

 

 

 この子達も、指揮下じゃなさそうだな。

 ワタシ相手に一塊になるのは悪手だぜ?逃げ道が多すぎるからな。広がったら、それはそれで各個撃破するけど。

 

 

「いったい!」

 

「イタッ」

 

「あう」

 

「1ダメージです!──光よ!」

 

「舐めてるんですか?──灯を!」

 

「バイバーイ」

 

 

 全員に一回ずつデコピンを食らわせてから、いざ離脱。

 取り敢えず、ワタシと出会った場所が悪いよ君達。こんな狭い場所じゃあ武器の利点を活かせないだろうに。アリスとケイちゃんはは別、レールガンを室内で使わないでくれ。避けるの難しいんだよ。

 ワタシがそれに当たったら、痛いじゃ済まないからな?マジで、冗談抜きに全治数ヶ月だからな?下手したら後遺症残るからな?ワタシの防御力をナメるなよ?

 言わないけど。

 

 

「逃げられましたか…仕方ありません。皆さんは戻りますか?」

 

「そう…だね、急に出てきたから、まだお姉ちゃんのシナリオが途中だし」

 

「あぁ~せっかく忘れてたのにー!」

 

「…ケイちゃんは、どうするの?」

 

「少し寄り道をしてきますので、アリスの面倒をお願いできますか?ユズ部長」

 

「ケイ!アリスは子供ではありません!」

 

 

 

 あーかわいい子達がかわいい話ししてる。ワタシもアッチに混ざっておしゃべりしたい。

 けど、コレどうするべよ…この怪獣さ、しつこくない?

 

 

「待てやゴラァァァァァ!!!」

 

「おっといけない、怪獣が来てるんだった。やーいやーいまた引っかかってやんの、学びは無いんですかぁ?もしかして、アナタはおバカさんであらせられる?」

 

「ブッコロしてやらァァァァァ!!」

 

 

 またネルの速度が上がった。

 困るんだよね、ただでさえ速いヤツがさらに速くなるとかさ、しかもメッチャ怖い。鬼の形相だよ、あれ。豆投げてやろうかな。そうだ、薬莢あんじゃん。

 

 

「鬼は〜そと〜」

 

Ηε⇖﹁Ⅻ◇◣◁⚪%@!!!

 

「やべぇ、人語忘れてんじゃんw」

 

 

 とうとうネルがなに言ってるか分かんなくなってきた。顔真っ赤だし、大丈夫?アタマの血管切れてない?ネルはキレてるけどな。ハハッ

 

 

「い"ってぇ!?マジかよネルアイツマジか!アレで理性持ってんのか…勘だな?野生児かよ、怪獣だわ」

 

 

 あんなにキレ散らかしてるのに、ワタシの動きを見てから対処してくるし、その先を予想して弾丸を置いてくるとか怖すぎるわ。

 

 そろそろ追い付かれそうだし、もう少し本気出そうか。

 いや、別に今まで遊んでたワケじゃないけどな?コレでも割と真剣に逃げてるからな?

 

 

『セミナーより全校生徒へ。赤蛇トグロへの懸賞金は、5分後に取り下げられます。同時に、先生からのご褒美も取り下げられますのでご、ご…「承知」ショーチおきください。繰り返します。赤蛇トグロへの懸賞金は、5分後に取り下げられます。同時に、先生からのご褒美も取り下げられますかコトをごショーチおきください。……にははー、皆さん!最後のチャンスですよ!トグロ先輩を捕まえて、一獲千金!はりきっていきましょー!!』

 

 

 コユキは、あとでシメておこう。

 あとそこにノアも居るな?もしや黒幕か?

 

 そんなコトより、ネルの相手をしないと…

 

 

「んぁ?なんだもうそんな時間か。仕方ねぇ、おいトグロ!今から本気で行くから覚悟しとけよ」

 

「イヤに決まってんじゃん。バカじゃねぇの?ブゥアァァカ!」

 

「ダァァラァァァァァァァ!!!」

 

 

 ネルは正気?

 ははっ、そんなワケ。目元とか口元とか、浮き出た血管とか、目茶苦茶ピクピクしてるからね。決壊寸前のダムみたいだ。すぐに壊れたけどね、もう少し我慢を覚えたほうがいいと思うよ?

 

 

見逃すな、白閃の瞬きを──簡易解釈:三の浪漫

 

「ッ!テメェまだ隠してやがったのか!」

 

「さすがにそろそろ厳しくてね、覚悟を決めたのさ」

 

 

 いざ、2度目の脱兎!と行きたいトコロなのだけど、もうそれは通用しないだろう。ネルは別に馬鹿じゃないからな、さすがに対応される。フラッシュバンも同じだな、もう見せたから、多分今日からしばらくは通用しない。

 

 ならどうするか、戦う?

 バカ言っちゃいけねぇ、キレたネルは強い、勝てねぇ。

 

 ワタシが追われる理由は懸賞金。だけど、多分C&Cは別の目的がある。それは分からない。が、全ての生徒共通の弱点が近くに存在してるんだよ。分かるか?先生、アンタだ。

 

 先生の居場所はさっき特定した。今はその建物のすぐに傍なんだよ、先生を捕まえて解散宣言をさせる。そうすりゃこのお祭りは終わるだろう。てか終わらせる。

 これがワタシの勝利条件だ。

 

 スピード勝負だ!

 直線速度はネルの勝ち、小回りもネルの勝ち、初速も最高速も平均速度も動体視力も反射神経もネルの勝ち……あれ?勝ってる要素が見つからないんだけど…けど、手札の未知数さならワタシの勝ちだ。まだまだ持ってる隠し芸を披露しながら逃げていこう!

 

 

「クソッ!トグロてめえ、今まで手加減してやがったのか…!?」

 

「それはない!110%ぐらいの全力出してるだけだから!勘違いすんじゃねえぞ!?」

 

 

 これは訂正しておかないとな。今後に響くから、これ基準でネルが襲ってきたら冗談抜きにボコボコにされるから、今の基準でもヤバいのに、ハードル上げられてたまるか!死んでまうわ!

 

 

「いざ、スピードランと行こう!」

 

「このビル…てめえ、そーゆう事か」

 

 

 ワタシの目的を察したのか、大人しく銃を下ろしたネル。バッカでー、隙アリ!

 

 

「グぁッ!よくもやりやがったな、クソトグロォォオ!!」

 

「ワタシの隣で銃を下ろす方が悪い!いつからここは安全地帯になったんだい?勝手な妄想にワタシを巻き込まないでほしいなぁ!」

 

 

 よーいどんよりも先に、後手に隠した銃でネルの側頭部に撃ち込んで逃げる。これ受けてすぐに起き上がって来るってもうバケモンかよ、なんで無傷なんだ!!?

 ワタシが受けたら速攻で気絶する威力なのに!下手したら大怪我する威力なのに!!

 

 でもスタートダッシュはワタシの勝ちだ。先生はこのビルの6階、1番南側の部屋にいる。ネルはこれで仮初の冷静さを奪ったから、多分ワタシを追ってくるハズ。

 先回りされないなら、なんとでもなるはずだ!

 

 

「んん~ネルちゃん居なくなぁ〜い?どこ行ったんだろうね?」

 

「クソがあぁ!」

 

「そんなトコロに居たんだ。ちっちゃくて見えなかったわ、ごめんね」

 

「ブッ殺す」

 

「やってみなよ、どうせ出来ないからさ」

 

 

 やべぇってマジで死ぬ!殺される!

 煽りすぎたか?ネルに追っかけられてからずっと煽ってるからな、それこそドローンのスピーカー越しでもずっと煽ってたし、なんなら投影したホログラムの動きでも踊って煽ってたし、マジで苛ついてる。大丈夫か?マジでキレてね?ウケる、もっかい煽っとこ。

 

 何度も言うけど、戦えばワタシじゃあネルに勝てないからな。対ヤベェ奴用の装備は、届く前に運搬ドローンが潰されたから手元に無いんだよ。誰だワタシのドローン撃ち落としたヤツは、近くまでは来てたの知ってるんだぞ。

 

 階段を昇ったり、床を壊して下に降りたり、窓から飛び出して外壁を登って上階へ行ったりして、とうとう先生の居る部屋までやってきた。

 

 問題は、この場には先生の他にリオ、ケイちゃんがいるコト。この騒ぎの原因は誰だ?全員か?

 

 

「追い詰めたぞトグロ、観念しやがれ」

 

「まだ、ラストチャンスがここにある!」

 

 

 誰を選ぶか。

 怪しすぎる先生か、ワタシに懸賞金を掛けてC&Cをけしかけたであろうリオか、両手を広げてハグの体勢になってるケイちゃんか…

 

 

「リオ先輩。赤蛇トグロを確保しました」 

 

「…残り40秒、申請を受理するわ」

 

「トグロおめぇ…馬鹿じゃねぇの…?」

 

「だってケイちゃんがハグしてくれる機会なんてそうそうないし…ってまって、イタイ!イタイッてイタタタタサバ折りぃぃい!」

 

 

 仕方ないじゃん!ケイちゃんがハグしてくれるんだよ!?普通にそっち行くでしょ!仮に、それが罠だとしてもさぁ!!

 

 猛り爆ぜるネルも落ち着いて、なんとも言えない表情でワタシを見てる。心外だ、別にワタシはふざけてないぞ。

 

 

「こいつ、マジでやってるからクソなんだよ…」

 

 

 あ、呆れてただけですか、そうですか。

 落ち着いた?落ち着いたならどっか行ってくれ、そしてもう追い掛けないでくれ、コワイ。

 

 

「これで部費はゲットです。それでは先生、リオ先輩、ネル先輩も、今日は失礼します」

 

“またね”

 

「懸賞金は明日の午前中に振り込まれるから、確認しておいてちょうだい」

 

「おう、チビ共によろしくな」

 

「赤蛇トグロ、貴女はいい収入になりました、礼を言ってあげます」

 

 

 ケイちゃんは帰って行った。

 残されたワタシ達。こうなったら取り敢えず先生に詰め寄っておこう。

 

 

「なあ先生、なんのつもりだ?ワタシ、なんかしたか?」

 

“ん?今日の私はただの観戦者だよ?C&Cがトグロを相手に捕縛訓練をするって言うから、気になって見学に来たんだ”

 

「は?捕縛訓練?」

 

「あら?先週ぐらいに、C&Cから連絡が行っている筈なのだけど…」

 

「来てないけど?ネル?」

 

「先週だろ?アスナが伝えに行くっつうから行かせたが…あの馬鹿、言ってねえのか」

 

 

 なぁーんだ、ただの訓練だったんだ、なら安心だ。

 ワタシが知らない間にやらかしたワケじゃなかったんだ、良かった良かった。なんで懸賞金とかが出るかは、また今度聞けば良い。

 

 それじゃあこれで訓練終わったよな、ワタシは帰るわ、じゃあな!

 

 

「おい待てやトグロ…てめえ人を散々煽っといて、ただで済むと思ってのか?あ"ぁ!?」

 

「じゃあいくら払えばいいんだい?懸賞金が欲しかったのかな?仕方ないなぁ、あとで払ってあげるよがめついなぁ…これくらい水に流そうとは思わないの?そんなだから歩く指定暴力装置とかワタシに呼ばれるんだぞ。さっきから叫んでばっかりだったし、声と一緒に態度もデカくなったのかな?それに、先生の前だから?大人しくしちゃってさ、そんなのい・ま・さ・ら★」

 

テメェぶっ殺してやるぁァァァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このあと、結局ネルに捕まってボコボコにされた。でも、ネルのツイン・ドラゴンの片割れを道連れに出来たから、かなり満足してる。

 

 

 

 

 その後は入院したし、入院中に先生が来て、煽りすぎって怒られた。ワタシは反省して、次からは言葉を減らして内容を濃くしようと思った。

 

 部室に居たらしいヒマリは、後日よく分からない理由でキレて電話してきた。これに関してはマジで心当たりがない。なんで来なかったって、呼ばれてねぇし用事もないし…いつの話しをしてるのかも分かんねぇし。

 

 

 

 

 

 

 





煽り魔のトグロ。
基本的にネルの前にしか現れないクソ野郎です。勝てないクセに煽り散らかしてボコボコにされるのがルーティンです。しかし、ネル曰く最近強くなってきたとのこと、良かったね、報復が強烈になるよ!

トグロよ、オモチを口に咥えて、センベイを額に当てるのだ。怪獣の悪夢が浄化されるぞ。


なんも思い付かないから、参考までに……

  • トグロだけの小話
  • 本家イベント
  • オリジナルイベント
  • 先生視点
  • 別キャラ視点
  • よく名前の上がるキャラとの小話
  • その他
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