どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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今回は、トグロの事をあまり分かっていない先生視点です。


何を見て、何を考えているのだろうと

 

 セミナーに立ち寄った帰り、エンジニア部とは別の小さな工房。そこで、よく目立つ赤い髪を持った長身な子が、これまた見覚えのある車を弄っていた。

 

 

“おーい!トグロ!”

 

「…ん?ああ、先生じゃないか。どうしたってこんな場所に…なんか用か?」

 

“たまたま近くに来ててね、トグロが居たから”

 

「ほーん、帰るなら送って行こうか?もうじき作業が終わるからな」

 

 

 そう言って目を向ける先は、これは…バス?

 普段トグロが移動に乗っている車も、隣に停まっている。

 

 

「そう、バス…だった車だ。ってもガワだけしか残ってないけどな、中身はカスタマイズ済だぜ?」

 

“…いったいどんな……?”

 

「見てみるか?」

 

“見る!”

 

 

 油で汚れていた手を洗ってきたトグロが、車両の扉を開けてくれて、それに続いて中に入ってみる。

 あ、スゴイ!これキャンピングカーだ!

 

 

「分かるか、この浪漫が」

 

“勿論だよ。キャンピングカー…良いよね”

 

 

 パッと見た感じ、生活に必要な物が一式揃っている。

 運転席側から入って、まずあるのがソファみたいな座席、とても座り心地の良さそうだ。しかもきちんとシートベルトが付いている。けれど、私はキヴォトスでシートベルトを使っている子を見たことがない。

 その後ろにはリビングスペース、大きなテーブルが設置されている。私には分かる。このテーブル、動く!好きに見ていいと言われたから、遠慮なく触らせてもらおう。床に固定されているけれど、解除にはテーブルの側面のスイッチだけで良いみたいだ、しゃがまなくて良いのは、大人にとって嬉しい限りだ。このテーブルは、中央から2つに分かれて天面を車両の側面へ張り付けるように収納が出来るみたいだ。窓を覆い隠して、目隠しにもなっているし、テーブル裏側にはハシゴが付いてる。

 

 なるほど!外観よりも少し屋根が低く感じたのは、上にベッドスペースを作ったからなのか、いいね!こういう秘密基地的な空間は大好きだよ。しっかり電源や空調、窓等も揃っている。

 

 天井裏から降りて、リビングスペースの向こう、キッチンスペースかな?冷蔵庫のせいか、少し狭く感じるけれど……!見つけちゃったよ、不自然な継ぎ目とレール!一旦車から降りて、外からキッチンスペースの辺りを注目してみる。

 やっぱりあった、謎の鍵付きボックス。トグロから鍵を受け取って、開いてみると幾つかのスイッチが埋まっている。それぞれ名前が振られているのは親切だね。では早速、キッチンのボタンを押してみよう。

 

 これはスゴい!

 少し狭く感じたキッチンスペースが外に広がっていく。それに伴って、車体が傾かない様に補助脚が広がるのがカッコいい!絶対にそんな形してない方が楽なのに、無駄にカッコいいデザインをしてる!カッコいい!

 

 この際だから全部のスイッチを押してみよう。

 リビングとシャワーのボタンは、キッチンと同じようにスペースが広がるもので、ベッドのスイッチは屋根が持ち上がってベッドスペースの天井が高くなるものみたいだ、しかも二段ベッドにも出来る様になっていた。そこをプラネタリウムにも出来るなんて!…多分それ、使わないよね?

 

 車に戻って、キッチンの奥へ。左手にシャワールーム、右手にはトイレ。トイレはともかく、シャワールームは外に広げて使うのが前提なのか、少し窮屈だった。

 

 これがこの車の内装の全て。ではないんだよね、明らかに不明な空間が存在してる。それは運転席の上、座席の下と最後尾の壁の奥。

 

 分かってる。ここは銃社会の極みのような場所で、キヴォトスだから。あまり深くは聞かないけれど、武装が積んであるらしい。

 

 

“ハァーーーーー……スゴい…良い…!”

 

 

 総評として、百点満点です。

 ワタシの思う理想のキャンピングカーだよ、これは。

 

 前から思っていたけれど、トグロと私は似たような感性を持っているのだろう。浪漫が共有できるのは、とても楽しい事だからね。

 

 

「そんなにか」

 

“昔から憧れてたんだ。でもいざ買おうと思うと、金額とか実用性とかでね…”

 

「そうか…ならこれあげようか?」

 

 

 アゲヨウカ

 

 何を?持ち上げるの?これを?

 やったーほし……はっ!ダメだよそれは!

 

 

“受け取れないよ!いや欲しいけどさ!…でもダメでしょ!”

 

「んー…まあ受け取らないか。さすがに金が掛かり過ぎてるからな」

 

“そうだよ!気が引けてそれどころじゃないからね?”

 

「ならこれ、シャーレの備品にって言って連邦生徒会に売ってみようか、支給された物なら安心だろ?買わないなら寄付してもいいし」

 

 

 …もしかしてトグロって、金銭感覚がズレてるの?

 

 思い返してみると、トグロが金銭的に何か困ってるとかは聞いたことがない。勿論、そんな事をいちいち私に報告する必要なんて無いし、こっちから聞く事もしないよ?

 でも、そういった情報って言うのは案外見ていれば分かるもので、例えば普段身に着けている物、例えば出掛ける頻度、例えば買い物の仕方や入るお店。そこからなんとなく、その子の生活っていうのが分かってしまう。

 それが分かりにくい子っていうのも当然居る。普段から忙しそうにしている子や、特定の目的に真っ直ぐな子とかね。

 

 それらをふまえて、トグロは、私生活の想像がつかない子の1人だ。

 

 まず、トグロと会うことが少ない。

 基本的に私は、呼ばれて何処かへ向かうことが殆どで、そうじゃないときはシャーレに籠もって書類仕事をしているし、当番は立候補してくれる子を優先して来てもらってる。それでも出来るだけ公平になるようにスケジュールを作っているけれど、本人が来ないと言えばそのスケジュールに入る事はない。

 トグロは、シャーレに所属してから、1回も当番に来ていない。たまに寄ってくれたりはするけれど、何かの用事だったりすることが殆どで、ゆっくりと話したことがない。

 

 次に、トグロの立ち振舞いかスマート過ぎること。

 皆で一緒にご飯を食べに行った事があるんだけど、誰も気付かないうちに全員分の会計を済ませてて、お店を出る時にビックリしたことがある。買い物だって、何かと理由を付けて誰かの分まで買ってしまうのを見た。それも、自分が払うんじゃなくて、払わせてくれって絶妙に断りづらい言い回しをしていた。それでいて一緒に居た子が気負い過ぎない様にするんだから、あの子は人誑しとか詐欺師の才能があるんじゃないかな?

 ホストクラブとかキャバクラにでも居たら、一瞬で頂点に立ちそう…って言ったら怒るかな、でもそんな感じなんだ。普段の日常的な、トグロの素の姿がまるで想像できない。

 

 まあ…そんなだから、少なくともお金には困っていないのだろうとは容易に想像が出来るけど、普段どんな事をしているのかはまったく分からないんだ。

 何かを作ったり、誰かに会いに行っていたりはするらしいけど、それだけ。

 

 そうか…私、トグロの事を何も知らないんだ。

 今までに何度もトグロとは関わってきたし、何度も助けられてきた。でも、トグロ個人の話しをした事がない。

 本人の居ない所ではちょくちょく名前が上がるから、ずっと勘違いしていた。よく考えたら、トグロとゆっくりと話したことがない!

 

 

「どうした、なんか気に入らなかったか?」

 

“そうじゃなくて…トグロの事を何も知らないなって思ってね”

 

「…………っ!ゲマトリアはもう解散したらしいじゃねえか、ワタシは関係ねぇぞ。今までの研究内容とかのレポートも纏めて提出しただろ、まだなんかあんのか!?もう全部吐いたぞ!」

 

 

 あ、うん。

 この前、結構しっかりめに注意したからね。人工天使とか、ペロロジラとか、回転ジャーロボとか、デカグラマトンとか色々あったけど、それぞれ元凶とか原因とかを知ってる側にトグロが居たから…ね?流石の私も怒るよ。

 いくら何でも危ない事に関わり過ぎてる。

 

 この反応…もしかして、まだ何か黙ってる事があるのかな?

 

 

「まさか研究資料、それともサンプルか!?そりゃちょっと無理して集めたりもしたけど…別に誰にも迷惑かけてないぞ!ハッ、ワタシの工房まで没収するつもりじゃねぇだろうな!?それだけはイヤだぞ!」

 

“違うよ。トグロとはゆっくり話したことが無いなと思ってね、トグロが好きな物とか、何にも知らないな〜ってね。…まだ隠しているモノは、近い内に見せてもらうよ?”

 

 

 うん、トグロはこういう子だよね。

 

 自分のやりたい事をやって、やりたくない事や出来ない事はハッキリと言う。自分勝手かと思えば、頼まれればきっちりこなすし、仕事なら真剣に取り組んでくれる。引きずらないサッパリとした性格に見えて、周囲を良く観察して相手の性格や気分に合わせて態度を変えている。

 あけすけな人の様に振る舞い、その奥では全てを俯瞰して見ているみたいだ。

 

 

「話ねぇ…自己紹介から始めればいいのかな?あ、会話デッキのテーブルゲーム持ってるぞ」

 

 

 ほら、すぐに私の意図を読んで、話しを合わせてくれている。その後すぐ、誤魔化すように言葉を重ねているけれど。

 この子はきっと、自分を隠すのが上手いのだろう。相手の望みを汲み取る事が上手いのだろう。こうして、自分と大切な者達を守ってきたのだろう。

 

 初めてあったトリニティでは、明るく溌溂とした子だと思った。

 エリドゥで敵対した時は、誰かの為に戦える優しい子だと思った。

 先日の色彩とプレナパテス関連で、希望に満ちた未来を望んでいることを知った。

 

 それと同時に、ひっっっじょ〜〜ぉうに危なっかしい子だと実感した。本っ当に危なっかしいんだよ、この子は!

 何がどうなったらゲマトリアと一緒に研究とかになるわけ!?もう訳が分からないよ!しかもマエストロと目茶苦茶仲が良いし!この前、2人がトリニティのカフェで談笑してるの見かけて固まっちゃったよ。なにそれ、悪い大人相手になにしてるの???

 他にもブラックマーケットに出入りするどころか、ブラックマーケットに拠点があるってどういう事?便利屋の子達でも自治区内に事務所を置いてるのに、何でわざわざブラックマーケットに?何でも屋ってなに?今度見に行きたい、何売ってるんだろうね、気になる。

 

 あと、周りを信用し過ぎてるんじゃないかな?

 勿論それは悪い事じゃないし、他人を信じられるって言うのは素晴らしい美徳だと思うよ。でもさ、いくら信用してるからって自分の命を預けるみたいな事を軽々とするのはどうかと思うんだ。あの日、地上に生還したトグロだけど、ヒマリが見つけて来なかったら、どうなるか分からなかったんだから。それを、信じてたからって理由で任せるのは…悪くはないんだけどさ、預けられる側の気持ちも考えてあげてほしい。せめて直接言ってあげてほしい。メッセージに気付いたヒマリが、どれだけ焦っていたか…普段の余裕が全部飛んでいっていたからね?涙目になって、そのまま走り出そうとして転んでたからね?あれはトグロが悪い。

 

 

“それもいいね、時間があるなら一緒にお茶でもどうかな?”

 

「もしかしてワタシ、口説かれてる?あらやだどうしましょ、ユウカさんに嫉妬されてしまうわ……もしもしユウカ?先生とお茶してくるね。え?…うん、うん了解。いいでしょ〜」

 

 

 いい子ではある、いい人でもあるんだけど、いい性格をしてるとも言う。大切な生徒ではあるんだけど…気を抜くと、生徒ではなく友人の様な気安さで接してしまいそうになる時がある。付き合いの短い私で()()なのだから、トグロに絆される子は、それはそれは多いことだろう。

 この前、シャーレに遊びに来てくれたミレニアムの生徒に『ミレニアムイケメン図鑑』なる雑誌を見せてもらったんだけど、トグロはそれに載っていたし、一緒に持ってきていた『キヴォトスイケメン図鑑』にも載っていた。ただ、非公式の同人雑誌らしく、本人は何も知らないらしい。そして黙っていてほしいと言われてしまったので、私は聞かれるまでは黙っていようと思う。

 …『キヴォトス』の方には、私も載せられていたので、きっと許してくれるだろう。

 

 本人に会わずとも、トグロが身近に思えるぐらいには話に上がってくるのだから、この子の存在が大きいのは間違いない。そしてその内容の殆どが、何処かに行った、何かを見た、聞いた、食べた、貰った等ばかり。話題に出す子の多くは、トグロに好意的な意見であることが多い。それでトグロについて聞けば、性格は終わってる、みたいな返答ばかりなのだから気になって当然だ。

 それとトグロの噂話は、悪いものが多いのも心配なんだ。

 

 だから、ここで会えた事は素直に嬉しい。

 

 

“ねえ、トグロ。エスコートは、するのとされるの、どちらが好みかな?”

 

「?…そうだな〜たまには手を取ってもらうのも、悪くないかもな」

 

“それじゃあ、早速行こうか”

 

 

 一瞬呆けた様に固まったトグロを見て、私は少し楽しくなってきてしまった。常にどこかに余裕を持って笑っているトグロに、予想外の反撃を入れられたのだからね。

 

 って、これだよ…そう思ったばかりなのに…

 

 トグロは生徒、友達じゃない!

 この線引きだけは、大人として守らなければいけない。

 

 

「歩きか?車なら出すけど」

 

“お願いします”

 

 

 ちょっと締まらないけど、こんなにも心地良い雰囲気で接してくれるのだから、気が緩んでも仕方がないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“あれ?キャンピングカーは使わないの?”

 

「デカ過ぎるだろ、入れる駐車場が限られちまうからな。それに、あのキャンピングカーは持ち主が決まってるんよ」

 

“そうなの!?勝手に触るの不味かったかな…?”

 

「別にいいんでない?先生なら文句言わんでしょ。動作チェック動作チェック。他にもあと2台作んなきゃだから、混ぜればわからねぇだろ」

 

“売れてるんだね”

 

「格安だぜ?これが見積もり」

 

 

 へ?

 待って、え?

 

 安すぎる…おかしい…これ、詐欺?

 

 

“おかしいよコレ!『0』が4つぐらい足りてないよ!!”

 

「よそ見しながら書いたのが良くなかったかもなぁ〜」

 

 

 よそ見何てレベルじゃないよ?

 もしかして、別の通貨使ってる?いやそんな事ない、この見積もり書には普段と同じ物が使われているね…あ、コレか、この『鉄蛇オリジナルクーポン』って書いてある項目か!『割引率:気分』って何?気分%の割引って事?なにそれ?

 

 

“なら私も買う!!”

 

「まいどあり」

 

 

 …ハッ!

 溢れ出るこの思いが止められなかった。

 これじゃダメでしょ、私!

 

 

“ごめん、無し!今の無しで!”

 

「ん~でも先生、いつも歩きじゃん。バイク…は止めたほうがいいだろうけど、車ぐらい持っててもいいんじゃねぇの?」

 

“それはそうなんだけどね…いや、その通りなんだよねぇ…”

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんて話をしながら、トグロがオススメしてくれた喫茶店に到着。ここのコーヒーは香りと苦味が強めで、ミルクアイスとセットで頼むのが良いんだって。

 頼んだコーヒーが届くのを待つ間、トグロが自分の鞄に付けていたキーホルダーを差し出してきたから、取り敢えず受け取ってみる。

 

 

「それやるよ」

 

“かわいい蛇だね。あ、光った”

 

「だろ?それで電子マネー決済もできるぜ」

 

“へぇーありがとう”

 

「ちなみに、首を捻じると無人運転で車を呼び出せるぞ。手の平に乗せて、尻尾の先に車がある。あと、乗ってきた車の鍵だから失くすなよ」

 

“へぇー…へ?”

 

 

 そう言って、届いたコーヒーを飲むトグロだけれど、私の聞き間違いかな?車の鍵?それを渡すって、つまりそういうこと?

 

 

「はぁ…美味しい」

 

 

 好みの味なのか、うっとりした表情で余韻を楽しんでいる所悪いんだけど、トグロには注意が必要みたいだ。

 

 

“トグロ、こういう大切な物は、簡単に人に渡したらダメだよ”

 

「でも車があれば便利だろ?それに、新しい車を用意するトコロでな、あの車はそのまま手放すつもりだったんだ。要らないんなら捨てるだけだが、先生がほしい車を買うまでの繋ぎにでも使ってくれるなら、ワタシは嬉しいよ」

 

 

 …なんて断りづらい……要るか要らないかじゃなくて、使ってくれると嬉しいって言うのはズルいと思う。しかも私が要らないって言えば捨てるとまで言うし…乗ってきた感じ、まだまだ十分に現役だと思うけど。

 

 生徒から何かを貰えるのはすごく嬉しい事なんだけど、流石に車はね…いくらなんでも贈り物としては受け取り難いよ。でも断り難い、そうだ

 

 

“ありがとう。でもこのまま受け取るのは難しいかな”

 

「そうか」

 

“だから、自分で用意するまでの間だけで良いから、貸してもらえるかな?”

 

「ほぅ…考えたな先生?いいぜ、貸しといてやるよ」

 

 

 ほっ、乗り切った。

 これを受け取っていたら、これからも何かを受け取るだけの人になってしまいそうだったからね。私は、生徒達の未来の為に居るのだから、あの子達にもたれかかる訳にはいかないんだ。

 

 

「そろそろ良い時間だな。このあと用事があるから、ワタシは失礼するよ。車はまぁ…運転席に座れば分かるハズだ、困ったら連絡してくれ」

 

“ならお会計にしようか”

 

「済ませて来たぞ。話せて楽しかったからな、ワタシからのお礼だ、受け取ってくれ。じゃあな、また会おう」

 

 

 トグロは、軽い足取りで何処かへ歩いて行ってしまった。

 お礼なんて、私の方が言いたいというのに…

 

 さて、トグロはこんな事を他の子達にもしているのだろうか。年頃の子には、あの格好良い立ち振舞は刺激が強いんじゃないかな?いつ刺されても不思議ではない…大丈夫だよね?

 

 今更会計をやり直すなんて出来ないし、車を返すにも本人がいない。それはそれとして、せっかく借りたのだから、この車を運転してシャーレに帰ろう。

 

 実は気になっていたんだよね。

 初めて見た時から思っていたけど、この車も目茶苦茶カッコイイんだ。武装車両って言うだけあって、外観から漂う厳つい雰囲気。どこでも走破出来そうな大径のブロックタイヤ、照明や窓ガラスを保護する外付けのフレーム、車両の大きさの割に搭乗人数は4〜5人。後は…ってトグロ、武器積んだままになってる!

 

『自衛に使ってくれ』

 

 なるほど、こんな書き置きがあるって事は、トグロは初めから私に渡す気だったのだろうね。

 

 あの子はいったい、何を、どこまで考えているのだろうか…

 

 

 久しぶりの運転に緊張しながら、なんとかシャーレにたどり着いたあと、私は重要な事に気が付いた。それは、結局トグロの個人的な部分には何も聞けなかったという事だ。

 

 見事にあの子のペースに飲まれていたらしい。エスコートなんて始めから出来てない。話した内容を思い返せば、殆ど私の事ばかりだ。それを笑顔で相槌を打って、楽しげに聞いてくれるのだからトグロとの時間はとても楽しかった。聞き上手なんだね、何も聞けなかったよ…これはもう、そういう子だと思うしかなさそうだ。

 次こそは、強い意志をもってトグロの事を聞こうと思う。

 

 そう言えば、再来週ぐらいの当番が空いていた気がする。そこにトグロを推薦してみよう。次に会える日を楽しみにすることにして、私はこの車をどこに停めておけばいいのかを確認するとしよう。

 

 

 もしもし、リンちゃん?

 

 

 

 

 




知らなきゃこんな感じに見えるんですね。
一部の子達、特にシスターフッドの子達からは、さらに美化して見られている事を、トグロは知らない。今後も知る機会はない。

なんも思い付かないから、参考までに……

  • トグロだけの小話
  • 本家イベント
  • オリジナルイベント
  • 先生視点
  • 別キャラ視点
  • よく名前の上がるキャラとの小話
  • その他
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