どうせなら、笑っていようぜ。 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
ねえ、アビドス過去編がプロローグで終わったんだけど?え、もしかして私のブルアカ更新できてない?え?めちゃくちゃ楽しみにしてたのに!?え?本当に??ねぇ!!
ユメ先輩は先輩だったし、ホシノちゃんは可愛かったです。
良い子のみんな、こんにちは。
ワタシだ、赤蛇トグロだ。
お前ら、バレンタインって知ってるか?
ワタシは、完璧に忘れてた。
前後数日かけて、工房に引き籠もって車を用意してた。金あるんだから買えばいいじゃんってのは、その通りなんだけど、やっぱし自分の為だけにカスタマイズされた車両ってのは浪漫じゃん?
専用装備を格好良いと思わないヤツだけ、ワタシに石を投げなさい。
全力で打ち返して投げ返してやるから。返り討ちにしてやる。
なんでこんな話をするかって?
それはな?
「トグロちゃんが来るのを、待っていました。そう…ずっと…」
「ごめんよ…いや、ホントごめん。…でもさ、これなら呼んでくれても良かったんだよ?」
目の前で、ちょっと疲れた様子のサクラコが、机に積まれたチョコレートを指してワタシに言ってくるから。
最近シスターフッドに顔出してないなって思って*1、速攻で突撃をしたワケだが…そのまま別室に連れて行かれての、コレ。
「つい先日呼んだばかりでしたので…明日は休日ですし、あとで連絡するつもりではありましたよ」
「ならいいタイミングだったワケだ。それで、だいたい予想はつくけど…ソレは何かな?」
「お察しの通り、トグロちゃんへのバレンタインチョコです。受け取って下さい」
ありがたいんだけどね、パッと見て積み上がってるんだよね。多くない?
こんなに貰えるとは思ってなかった。意外とワタシ、人気ある?さっきトリニティの正門の受付の子から貰ったのが、最初で最後だと思ってた。
「それにしても…なぜ皆さん、私に預けに来るのでしょうか?」
「そりゃあワタシがココに来る大半は、サクラコ達に会いに来るのが殆どだからだろうね。代表者扱いなんじゃないかな」
「…そもそも、バレンタイン当日にトグロちゃんが来ないのがいけないのでは?なぜ来なかったんですか」
逆ギレじゃん。
にしてもサクラコ、笑いが隠しきれてないぞ。オマエめっちゃ楽しそうだな、なんか良いことあった?
「えぇー…ちょっと工房に籠もっててね。まぁ、仕事があったのさ」
「し、仕事…?」
「もしかして、ワタシを暇人かナニカだと思ってたのかな?」
「だってトグロちゃん…ミレニアムからトリニティを、こんな頻繁に行き来しているんですよ」
たしかにミレニアムとトリニティは離れてるし、通い続けるのは大変だけどな?だからって時間が作れないワケじゃないし、通い続けるんだから金持ってるに決まってんじゃん。
まって、ワタシ、トリニティで暇人だと思われてんの?心外だな。
…まぁいいか、それくらいの方が馴染みやすいからな。でも暇人か……ヤバい奴って遠巻きにされるよりはマシ、マシか?
「一応、どのラッピングが誰からの物なのかは分かるようにしておきましたので…ホワイトデー、忘れないで下さいね」
「おうともよ」
早速なにがあるかを見ていこう。
数は多いが、ワタシは極度の甘党だからな、数日で食べ切れるだろう。それにしても良い店のチョコが多いな、サスガお嬢様だ。
あれ、これサクラコ…
「私だって、トグロちゃんに用意していたんですからね?ヒナタさんとマリーさんの分もありますよ」
「ありがとう!とても嬉しいよ!2人にもお礼を伝えておいてくれるかな」
「ええ、勿論。…ふふ、喜んでもらえてなによりです」
あー嬉しい!
すっごい嬉しい!
チョコが貰えたってのはモチロン嬉しいさ。
でもね、サクラコ達が、
こうなったらお返しは何にしようか…悩むなぁ、この嬉しい気持ちをどうやって表現しようか?
「これらは纏めて包んでおきますので、忘れずに持ち帰って下さい」
「これは忘れられないよ、嬉しいが過ぎる」
「うふふ…して、本日はどうされますか?」
「いつも通りかな。着替えたらお土産を配って、聖堂周りを掃除したら帰るよ」
「トグロちゃん、そろそろシスターフッドを名乗ってもいいのでは…?」
「見習いモドキで充分さ。ワタシはシスターになりたいんじゃなくて、君達に会いに来ているワケだからね」
少し前から、遊びに来たついでに部屋の片付けとか、聖堂の掃除とか、倉庫の整理とかを手伝うようになったんだよ。きっかけはたしかに、マリーが掃除してたのを手伝ったんだっけか。まあそんな感じで、お土産を配って、サクラコとお喋りして、ヒナタちゃんかマリーのトコロへ行ってお喋りしたり手伝ったりしてから帰るのがルーティンになった。
なんだかワタシの心まで綺麗になった気分だ、サスガ光属性。心のトゲが溶けていくぜ。みんなかわいい、癒やされる。
「頑なに聖歌は歌いませんし、経典を覚えるつもりも無いのでしょう。…そんなに祈るのがイヤですか?」
「まぁ…ね、神サマってのが嫌いなんだ、みんなにはナイショだよ」
「構いませんよ。シスターフッドの全員が、教えを信じている訳でもありませんから。成績や繋がりの為という方も居りますので」
「ありがとう」
「それはそれとして、シスターフッドに所属しませんか?」
「しないねぇ」
さて、サクラコの時間がなくなって、仕事に戻って行くのを見送ったワタシは、勝手知ったる他所の家。更衣室へ向かってナゼか設置されていたワタシの名前が書かれたロッカー…あれ、これロッカーか?すげぇでけぇし、縦もだが奥行きがあるんだよ。クローゼットだよな?これ、ロッカーじゃなくてクローゼットだわ。みんなそんな大量の服仕舞ってるの?ワタシのクローゼット、4着しか入ってないんだけど。
……ん?4着?
増えてるわ、服増えてるわコレ。
冷静になって考えたらおかしいぞ。
まって、情報量が多い。ロッカーかクローゼット問題は置いておこう、別にどっちでもいいからな。
そのクローゼットにワタシの名前が書いてあるんだが、これ刻印されてんのよ。シールでいいだろ、ワタシが使わなかったらどうするつもりなんだ?これがお嬢様の価値観なのか…てかワタシは部外者だぞ……?
そんで、ワタシの制服…ワタシの制服ってのもおかしな話だな、ワタシはミレニアム生だし。でもワタシのシスターフッドの制服なんだよなぁ。元は2着、サクラコとマリーの中間みたいなデザインの制服と、悪神信仰みたいな世紀末風シスター衣装の2つなんだよ。なんか増えてる。
あ、改造されてないデフォルトのシスター服だ。これはちょっと嬉しい。
そんでもう一着は……ん?これは、男物か?神父だ、この服神父さんだ。色合い的に、あの神父に近いな。化け物と異教徒なら暴力を振るってもいい方のヤバい神父だ。──AMEN
今度、人のような化け物のコスプレしてこよう。いやまて、あの2丁の銃を用意して先生に渡してみるか?パーフェクトだって言って貰えるかもしれない。そうしよう。ワタシは執事な吸血鬼になろう、糸も探さないとな。
あぁ88mm砲を作らねぇと、素敵な素敵なアハト・アハトを用意しないと、この遊びは完結してくれない。こういうおふざけは大好きなんだ。
そんなコトを考えながら、聖堂の外壁を掃除しているワタシはスパイダー。水を流して柔らかめのブラシで上から擦って汚れを落としてる。気分は水槽のタニシ。
「あれ?ワタシ、遊びに来たんだよな?」
ふと現実に戻ったトコロで、疑問が湧いてきた。
ワタシ、遊びに来たんだよな?掃除するのはいい、別にそれはいい。なんで1人なんだ?
単独行動が苦にならないワタシの性格が憎い。
ワタシが1人で掃除してるのを見て、誰も疑問に思わなかったんか?
なぁ、サスガにおかしいだろ。いくらワタシがシスターフッドに入り浸ってるからって、スルーはおかしいよな?腰から機械の脚を4本生やしたシスターなんか居ないだろ、目立つだろ、神父やぞ、外壁に張り付いて掃除してんだぞ、見えるだろ?
ワタシがおかしいのか…?
「まあいいや、掃除しよ」
取り敢えず、今日やりたい分はもうすぐ終わるし、続きはまた今度にしよう。目指せ外壁ピカピカな聖堂、それと経年劣化の補修だな。正直、外壁そのものは綺麗には保たれてんのよ、業者呼んでるだろうからな。でもな、キヴォトスの業者ってほとんどの場合はそれしかしてくれないからさ、壁材の劣化とか装飾が欠けてたりしても、教えてくれたりはしないだろう。そのへんをワタシが見て直してる。
ん?ワタシは部外者なんだよな…?
まあいいか。綺麗になったってシスター達が喜んでくれるからな、それで満足だよ。実際喜んでほしいからやってるわけだしな。
だからこれ以上考えるのは止めておこう。うん、それがイイ。それに今のワタシは神父さんだからな。
「よっし、オッケイ!」
「わっ!ビックリしたぁ、トグロちゃんじゃん。久しぶりだね」
「ミ゜ッ??」
ミカ!?なんでココに?
あぁ~なるほど、草抜きしてるんだ、この辺は機械が入れないもんね。
体操服で土で汚れてても、美少女は美少女のままなんだなぁ…顔が良い、いつまででも見てられるわ。
「トグロちゃん?大丈夫?とうとうおかしくなっちゃったの?」
「あ、ごめん。見惚れてた」
「あっはは、いっつもそうじゃん。いい加減慣れたら?」
「ムリ!だってミカの顔が好み過ぎるからね、心の準備を整えないと直視できないのさ。ふいうちは反則だぜ?」
ずいぶんとフランクに話せるようになったよな、ワタシが。始めは緊張したり見惚れてたりでほとんど上の空だったから、ワタシが。そのせいで会話が噛み合わなかったり失言したりしたからな、ワタシが。
「………」
「トグロちゃん?」
「はっ!ごめん」
気ぃ抜くとボーっと見惚れちまう、ワタシはそれでコケたコトがあるぞ。この顔面はもう兵器だろ。
「そんなに私の顔が好きなの?」
「うん、好き。どストライクなんだよね。でも、ミカが好きだよ、こうして会話をするのも楽しいからね。顔だけなら会いに来たりしないさ」
「今日は?」
「外壁の掃除に来た」
「…えっと…え?トグロちゃんってミレニアムの子だよね?」
「いかにも」
「えっ、なんで?」
「ワタシにも分からん」
ワタシじゃないけど、ミカも最初はあんまり喋ってくれなかったんだよなぁ〜。
結構な勢いで通い詰めて、それこそ一時期はほぼ毎日通い詰めてようやく笑って話してくれるようになったんだよ。いや、顔は笑ってたけどさ、作り笑顔とか嬉しくないもん。いくら顔が好みでも、そんな風に笑ってるのはイヤだ。
ワタシはな、なんとなくそういうヒトの表情が分かっちまうんだ。便利だが、不便な時も多いんだ。
んで、ちゃんと話せるようになったのな、ワタシがミカに見惚れてすっ転んで顔面から着地したのがきっかけだな。なんかワタシの言葉を、全部冗談かなにかだと思われてたらしい。
しっけいな、ワタシは大真面目にミカと仲良くなりたいんだとか言って説明したもん。
そっからまた通い詰めてたらミカに、なんか思ったよりニンゲンで、想像以上にポンコツだって言われた。けど、そっからはこうして軽口を言い合えるぐらいの関係を築けたんだ。嬉しい。
「1人かい?結構広いよね」
「1人だよ、見張りは居たんだけどね。帰っちゃった」
「それでもちゃんとやってるんだ」
「あー…ほら、中途半端だと気分悪いし?」
ミカってさ、頭悪いワケでもバカってワケでもないし、なんなら普通に賢いタイプだよな。政治は苦手って言ってるけど、それ、目の前に居る相手のコトを考えちゃうからでしょ?
考えなしで無邪気ってのも事実だろうけど、ヒトの心が分かる優しい子だと思うんだよね。
「あ、今笑ったでしょトグロちゃん!君も結構いい性格してるじゃんね!王子様だと思ってた私の心を返してよ。幻滅だよ幻滅、腹黒いポンコツ!」
「えぇ~別に王子様なんて名乗ってないからなぁ~」
꒰λ(⸝⸝>ヮ<)つ彡
ってなってる。かわいい!美少女!
そんな風に気楽に接されたらさ、許容限界が超えちまうだろうが、ワタシの美少女耐久値がゴリゴリと削れていく。理性が音を立てて崩れていく。ヤバい、キレイ、美少女、かわいいの単語しか喋れなくなる。
「よし、今日はおしまい!そろそろ暗くなっちゃうし、トグロちゃんも帰ったら?」
「そうだね、お暇させてもらおうかな。ミカ、君に会えて嬉しかったよ。今度はゆっくり、お茶でも飲みながら話そうか。楽しい時間をありがとう、またね」
「うん、またね」
あぶねぇ、ミカが時間を言ってくれなかったらフリーズしたままになってたわ。自分でもちょっとアレだなとは思うよ?でもさ、ミカの顔が好み過ぎるのが悪いって。マジでかわいいんだって、美少女って言葉はミカの為にあるだろ。それであの性格だろ?ワタシ特攻だろ、間違いないね。世界がワタシを殺しに来てる。
メンヘラ?面倒くさい?
知らね〜!だってワタシはそんな対応されてねぇもん!!
ワタシはな、ミカともっと仲良くなって着せ替え人形になってもらうって決めてんの!ミカをモデルにして撮影会するって決めてんの!
「なにに言い訳してんだろ、ワタシ…」
脳内が散らかってんな、まだ美少女フェイスにやられたダメージが残ってんのか…
それにしてもさ、シスターフッドどこ行った?
あれ?マジで居なくない??
1人ぐらい居るだろって思って、聖堂内を探してんだけど、誰も居ないんだけど…
仕方ねぇ、事務室にお土産と置き手紙を残していこう。
普段は居るんよ、1人ぐらい居るんよ。世紀末風シスター衣装の草案を作ってくれた子が、普段は事務室で会計の書類捌いてんだけど、居ねぇ…
しょうがないから、ホワイトデーのお返しはワタシが勝手に決めちゃうぞ。リクエストが聞けなかったな、また来ればいっか。
車の運転をしながら、貰ったチョコを食べてたんだが、なんとミカからのチョコも入ってたぞ!!
嬉しすぎて事故りかけた、チョコが積んでなければそのまま事故ってたな。あの瞬間は、世界がスローモーションになった。たぶん、ワタシ時間止めたわ。
短かったですかね?
まあ小話なので、こんなもんでしょう。
余談ですが、私はHELLSINGとPokemonで道徳を学びました。
なんも思い付かないから、参考までに……
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