どうせなら、笑っていようぜ。 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
無言の時間が心地良いと思えるのは、気を許して居るからですよ。
書き終わってる小話はここまでなので、ざっくり意識していた週1更新はここまでになります。
途中書きはまだ少しあるので、そのうち…
「ふぁぁあ〜ぁ……ねむ…」
「眠そうだね、まあ私もだけど」
「そりゃ寝た時間が時間だったしな~」
「おかげで助かったよ、ありがとね」
良い子のみんな、おはよう。
ワタシだ、赤蛇トグロだ。
まだ日も出てない早朝だが、チヒロと一緒にお出かけの準備をしてる。これからキャンプに行くのだ!遊びに行くのだ!向こうで一泊して、明日の夕方ぐらいに帰って来る予定だ。
2人で車に荷物を放り込んで、そろそろ出発だ。
「久し振りだよね、トグロとキャンプするの」
「そうだっけ…そうかも。てかキャンプ自体久し振りだわ、1年ぶりぐらいか」
「1年…え、もしかしてアレをキャンプって言ってる?」
「キ、キャンプだろ……多分…」
「いやいや、ナイフ一本で山の中で生活するのは違うでしょ。それ遭難って言うんだよ?…インパクト強すぎて忘れてたけど、そもそも何でそんな事やってたの?」
運転中。
キャンプ場に向かってるが、まぁ暇なんよ。
距離あるし、まだ夜中だし、チヒロには寝ててもいいとは言ったんだけどね。こうして喋ってるワケよ。
そんで、あのキャンプ…もとい遭難した話ね。
「アレはなぁ、100%自業自得だからなぁ…」
「何があったのさ」
「鉄砲水に流された」
ありゃ怖かったな、川とかじゃねぇもん。
壁だぜ、壁。土砂と一緒に水が迫ってくんの。
あん時は死を覚悟したね。
「はぁ!?……よく無事だったね」
「ホントそれな、マジでよく生きてたわ。もう雨降ったら山に入らねぇ、トラウマ出来ちゃったぜ」
「何で流されたの?そんなバカだったっけ、トグロ」
「いや、そのね…ほら気の迷いと言うかね?寝不足でイカれててね?……クワガタ捕まえに行ってた、なぜか網じゃなくてナイフ持って。おかげで助かったけどな」
「そもそも行かなきゃよかったのに」
「その通り過ぎて返す言葉がねぇ」
無事だから笑い話になるだけなんだよなぁ。
山菜はある程度知ってたから良かった。巻き込まれて死んでた動物の肉食ったし、虫も食ったな。不味かった。
死体とは言え、動物を解体するのは怖かったぞ。まあその辺は頑張った。これは聞かれるまでは黙ってようかな、心配されそう。ワタシならする。
「しかもさ、薪になりそうなモン全部湿ってて火が起こせねぇの。諦めて生水飲んだし、山菜とか木の実とかもそのまま食ってたし」
「本当にサバイバルしてたんだ…」
「ああ、カビの生えた木の実はヤバいぞ。吐くほど不味い。誇張抜きで口に入れた瞬間に身体が拒絶すんのよ、毛が逆立つってマジだぜありゃ」
いやさ、別にそこまで切羽詰まってたワケじゃないけどね、ほらせっかくだから味も見ておこうと思って。
結果、ワタシの生存本能が全力で拒否した。
「ふふっ…バカじゃん」
「寝不足と疲労って、ヒトを狂わせるんだなぁ」
「元から狂ってるのに何を言ってるんだか」
「ヒドくない?……お、そろそろキャンプ場見えてくるぞ」
「陽も出てきたね」
「霧も出てきたけどな、困るぅ〜」
早朝、山の中、霧。
ワタシだけなら事故上等の精神で運転するが、チヒロも居るし気を付けて運転しないとな。新車だし。
キャンプブームは過ぎ去って、無人の山ん中。
何もない芝生の公園程度には整備してあるが、ホントにそんだけ。端っこの方に申し訳程度の手洗い場があるだけで、電気は来てない。
車の乗り入れOKだから、適当な場所で停めて、いざ設営。
色々持ってきてるが、基本的に使わない方針だ。リフレッシュ目的もあるけど、不便を楽しまないともったいない。
「それじゃトグロは薪をお願い。私はテント張ってるから」
「あいよ」
直火はダメだが、焚き火台なら許されてる。
適当に薪を拾いをしに山の中へ。うん、寒い。
まだ冬の始まりかけ…まあ秋でも寒いし、山はこんなもんか。厚着してきてよかった。
薪も乾燥してるし、これなら着火剤はいらないかもな。もう少しタイミングをずらせば山菜もあったかもな。今日は無理そうだ。見える範囲には生えてない。
ワタシの遭難体験によるトラウマから、薪拾いがてら危険箇所を確認して、避難経路をイメージしながらチヒロの下へ戻る。うん、一部の滑落とか崖崩れの可能性がある程度かな。近付かなきゃ大丈夫そうだ。
「薪持ってきたぞ〜そっちはどうだい?」
「おかえり。準備できてるよ」
「ありがてえ。はよう火ぃ着けよう寒い」
「そうだね」
着火にはマッチを使う。
メタルマッチとかライターとかバーナーとかも持ってきてるけど、そこまでしてやりたいワケじゃない。マッチなら火を着けてそのまま投げ込むだけで済むからな、楽でいい。
「あったかい…」
「トグロって結構寒がりだよね。やっぱ蛇だから?」
「名前だけのハズなんだけどなぁ〜…チヒロは平気そうだよな」
「着込んでるからね」
ニンゲンスペックの問題か…あと確かに蛇由来の神秘だけど、別にワタシは純粋なニンゲンだからな?キヴォトス人が人間なのかは知らん。
さてと、朝ご飯は車の中で食べながら来たから、昼までは自由時間だ。
「それじゃあ、私は本読んでるから。何かあったら教えて」
「あいよ、ワタシは散歩行ってくる」
「行ってらっしゃい」
いざ、もうちょっと歩いていこう。
一緒にキャンプに来てるし、一緒ご飯も食べるけど、やりたい事は別なんだよ。チヒロはゆったり自然の中で休みたいだけだし、ワタシはチヒロと一緒に居れればそれでいいし。
まあ一緒に居たいけど、ずっと一緒に居たいワケじゃないからな。
「景色いいなぁ〜」
このキャンプ場はそれなりに拾い芝生だけど、標高自体は結構高いんだよ。平地の端っこからはなかなかいい景色が見れる。
高い所からの眺めって、よくない?
このあと、ワタシは2時間ぐらい散策した。
「ただいま~…あったけぇ、あったけぇ…」
「…ん~……」
さてと、そろそろお昼ご飯の準備しようかね。
今回は既に仕込みをしてきてるからな、簡単に終わるぞ。
一品目はアヒージョ。エビとベーコンとチーズとマッシュルームとブロッコリーとパプリカ。オリーブオイルとニンニクをぶち込んでゆっくり火にかける。時間かかるから最初にやっておく。
二品目はロールキャベツだな。まあロールするの面倒だから、簡略化したけど。キャベツ一玉の中身を芯から半分ぐらいくり抜いて、強めの下味を付けた挽き肉を詰め込んだ。肉汁が溢れないようにホイルでがっつりと包んで火の中に入れる。
ソースはトマトベースで作って来たから、直前に温めればいいな。
ついでにアヒージョ使ってパスタでも作ってもいいけど、コレは止めとくか。ここじゃあ多く作っても配る相手がいないからな。
「チヒロ、そろそろお昼だぞ」
「ん、ありがと」
「バゲットは適当に切ったが、足らなきゃ自分で切ってくれ。ガーリックバターも一緒に置いてある」
一応全体的にやや小さ目に作ってある。残したらもったいないし、夜はガッツリ作るからな。カレーってガッツリ系か?何処かの美食家のせいで分からんくなってきた。
まあいっぱい作ればいいだろう。
今回のキャンプはチヒロの発案でな、ヴェリタスメンバーをキャンプ連れ出して日の出を見たいんだって。その下見に誘われた。なるほど、無事に行けるといいな、あの出不精共…
大丈夫か?テント張る前に体力尽きない?
とか思ったけど、チヒロなら何とかするだろって事でワタシはスルーした。
「ふぅ、ごちそうさま」
「ういうい。食器洗ってくるわ」
「手伝うよ」
2人で食器を洗う。
洗い場があるキャンプ場は良いキャンプ場だ。後はゴミ捨て場があれば完璧だったが、まぁ無いもんはしゃあない。
「「寒い!」」
洗い終わった食器を拭いて水気を取って、急いで拠点まで持って帰る。寒いんだよ、水が冷たいんだ!
焚き火に手をかざすとじんわりと熱が戻って来る。
コレがまたクセになる暖かさでなぁ、冬のキャンプはこれが醍醐味だと言っても過言。もっといいコトあるから。でもコレもいい感じなんよ、ワタシは結構好き。
「はぁ~あったかい」
「冬場の水道を舐めてた…」
「ミレニアムのは全部温水になってるからなぁ~…まあ凍ってないだけありがたいわな」
「水の用意をしておくべきかな…?」
「最低限でいいんじゃね?朝夜凍っても昼間はいけるだろ。ダメなら持ってってやるよ」
暖まってきた。
やっぱ火は偉大だな、暖かいって素晴らしい。
肉も焼ける。持ってきてないけど。
そんじゃあ、のんびりするか。
「なんもしないっていいよなぁ~」
「ん〜」
ワタシは焚き火の様子を眺めながら、ボケ〜っとしてる。
こーゆう時間は大事だよな、頭空っぽにしてリラックスするのは結構幸せだ。
チヒロは本の続きを読んでる。
パチ
パチ
パチ
パチ
パチパチ
パチ
パチ
パチ
パチ
パチ パチ
パチ
パチ
火が消えないように薪を足しながら、ぼんやりしてる。
どんくらいぼんやりしてたかって言うと、そろそろ晩御飯の準備しなきゃいけない時間になるくらいぼんやりしてた。
「ふぅ…トグロ、晩御飯の準備しよっか」
「あいよ〜」
薪の量は充分だし、このまま準備するか。
まぁこれも半分ぐらい準備終わってるんだけどな、お米は洗って水に浸けて持ってきてるから、飯盒に入れて火にかけるだけ。
野菜はにんじん、玉ねぎ、じゃがいもをそれぞれ皮を剥いて一口サイズに切って、肉も一口サイズに切っておく。
これは家でやって来ようと思ったけど、チヒロが現地でやりたいって言うからそのまま持ってきた。あのバカ共にやらせる為なんだろうなぁ…アイツ等料理できるんか?カレーにエナドリ入れようとしない?
「……ダメだね、これは」
「どうしたよ?」
「トグロじゃあ、下見にはならないね。手際が良すぎる」
「照れる〜」
そりゃそうだよな。
ワタシもチヒロも普通に料理出来るからなぁ、皮剥いて切るのに失敗なんかするワケないし。しかも作るのカレーだろ?特に変わったコトしないオーソドックスな゙カレー。スパイス調合もしないし、トッピングを用意したりしないし、付け合せの料理もないし、カレーの為の漬け物を作ったりもしない。
市販の固形ルーを溶かすだけ。
ワタシとチヒロで、失敗するワケなくない?
作る手順だってお互いに分かってるから、流れが滞るコトもない。
もっかい言うけど、失敗するワケなくない?
「うん。ちゃんと美味しい」
「カレーとかどう頑張ってもうまいからな。不味く作れたら、それはもう才能だろ」
しっかり食べて、日が暮れてさらに冷え込んだ水を使って洗い物を済ませて、焚き火に手をかざして暖まる。
「明日は早いし、もう寝ようか」
「マジで日の出見るの?普通に登るだけじゃダメ?」
「せっかく来たんだから見ようよ」
「えぇ…」
「朝、起こすから」
なら寝よう。
今すぐ寝よう。
今日早かったし、寝ようと思えば一瞬で寝れるぞ。
チャチャッと身支度を済ませて寝袋に籠もる。
「しまった、湯たんぽの存在を忘れてた…」
「そういや持ってきてたね…」
完璧に忘れてたわ。
まあいいや、そのうち暖まるだろ。
「おやすみ」
「ほら起きろ〜、日の出見るんだろ〜」
「…ぅん…んん~っ、はぁ……ぉはよ〜」
「顔洗ってこい、朝ご飯作っとくから」
「わかった」
え?ワタシ別に朝起きれないタイプじゃないからな、さっき起きて身支度済ませたぞ。
てかワタシはな、自分の家の自分の部屋の自分の寝床じゃねぇと熟睡できんのよ。そりゃ寝ようと思えばどこでも寝れるけど、身体を休める程度の仮眠しかできんのよ。
それに予定があれば普通に起きれるわ。舐めんな。
朝ご飯は残ってるバゲットを使ってフレンチトーストにしよう。寒いし、甘いカロリーがほしい。ワタシの朝は、何か甘い物を食べないと始まらないからな。
超簡単、手抜きフレンチトーストの作り方。
市販のプリンを開けます。
ぐちゃぐちゃに混ぜます。
バゲットにそれを塗ります。
バターを塗ったホットサンドメーカーに挟んで焼きます。
使ってる材料がおんなじだからな、同じ様な味になるだろ(適当)。
後はホットココアと、ドライフルーツとナッツとチーズでいいか。
「おはよう」
「おはよ、ココア飲めココア。暖まるぞ」
「ありがと……はぁ~暖かい」
2人で朝ご飯を食べて、また洗い物を済ませて、軽く柔軟して身体を解して…
「さて、山登るか」
山登って日の出見て、山を降りる。
別に特にイベントのある日でもないから、ホントにただ日の出見てきただけ。山も高くないし、なんならコースがちゃんとあるから歩きやすいし、苦も無く帰ってきた。
マジで話すコトないくらいすんなりと終わった。
テントを畳んで、ゴミを纏めてる。
「そんで、アイツ等を連れ出してキャンプ出来そうか?」
「うーん…どうだろ、まあ何とかするよ。それより、カレーは簡単だけど、それじゃあ駄目かも。ありきたりだし、あの子達が飽きちゃうから」
「確かになぁ。でも時間はあるし、メニューはのんびり考えればいいんじゃねえの。一緒に料理店巡りでもするか?なんか思い付くかもな」
「ふふっ、それも楽しそうだね。次の休みは一緒にご飯に行こうか」
片付けも終わって、来たときと同じく車で帰る。
多分、キャンプ中より、行きと帰りの車の中の方が会話が多かったな。喋るのは好きだけど、チヒロと一緒だと沈黙も心地良いんだよ。黙ってても、何となくこっちに気を遣ってくれるし、言わなくても伝わるからな。
チヒロとのキャンプは、いいリフレッシュになった。
それに、来週から定期的にチヒロと料理店巡りが出来るコトになったぞ、嬉しい。
チヒロとはなかなか休日が合わなかったからね、こうして確実に会える日を作れるのは感動だよ。
ワタシはね、チヒロが大好きなんだ。
トグロに最も信用している人は誰かと聴けば、悩む素振りも無くチヒロと答えます。
あと、トグロのナイフにはメタルマッチと磁石(コンパス)が登載されており、グリップにはパラコードが巻かれています。
なんも思い付かないから、参考までに……
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