どうせなら、笑っていようぜ。 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
それと、小話が長くなりそうなので、反省を踏まえて分ける事にしました。
その1ですね、明日か明後日ぐらいに次を投稿します。
「ん、それじゃあ行ってくる」
「ちょい待て!シロコちゃんや、なにしに行くんだい?」
「何を話したのか聞いてくる」
良い子のみんな、こんにちは。
ワタシだ、赤蛇トグロだ。
今はね、プレナパテスさんと黒シロコちゃんのお話が終わるのを待ってるの。この場に居るのはワタシと先生、ホシノちゃんにシロコちゃんの4人。
ホントはアビドスメンバー全員でって言われてたけど、ワタシが却下した。そんなコトしてみろ、黒シロコちゃん逃げるぞ。ワタシがあの立場なら、いたたまれなさ過ぎて逃げ出す自身があるね。それかなんも言えなくなる。
で、今日はプレナパテスさんの延命3日目。
初日は先生とプレナパテスさんでの話し合い。そして昨日1日かけて黒シロコちゃんをアビドス組に捕獲してもらって、一晩かけて先生セラピーで落ち着かせた。そんで今日いよいよプレナパテスさんと対面させたってワケよ。
あの子の声が聞こえない位置まで離れて来たんだけど、シロコちゃんが突撃かまそうとしてるから押さえてんだよね。
この子めっちゃ力強え…普通に押し負けました。
「イメージしてほしい。キミの心の中のアヤネちゃんは、その行動になんて言っているのか」
「……大丈夫、笑顔でサムズアップしてる」
ワタシはワタシで、アビドスメンバーとは顔合わせしてきたぜ。流石にホシノちゃんとはもう少しちゃんと話すべきかと思ってな。
ゲマトリアと繫ってるってのは伏せといて、黒服の悪口言ってたらちょっと仲良くなれたからオッケー。なぜかワタシのコトを被害者だと思ってたみたいでな、そのまま話を合わせるコトにしたんだ。
まあ進んで協力したか、脅されて協力したかの違いだからな、おんなじおんなじ、ほらどっちも協力してるし。そんな大した誤差じゃないだろ。
ごめんね黒服、オマエのコト、とんでもない悪人に仕立て上げちゃった。でもそんな間違ったコトは言ってないからさ、許せ。どうせ好感度は最悪なんだ、今更下がっても問題ないだろ。くたばれ狂人め。
なんかホシノちゃんがワタシに甘い気がするんだけど、なんで?長らく警戒されてるもんだと思ってたし、ワタシ自身が色んな所から恨み買ったりして睨まれてるから、こうも優しくされると不安になってくる…助けてシスターフッド……
あ、まだヘイローヒビ割れてるからか。これ痛いんだよねぇ…身体は平気なのにさ、こう、脳に直接『痛み』が送り付けられてる感覚?もう慣れたわ。だいぶ良くはなってきてるし、あと1〜2週間で治るんでない?
「はいは~い、いったん落ち着こうね~」
「ん、落ち着いた。」
「猛獣使いが居たわ、先生はどう思う?」
“あの雲、ソフトクリームみたいだなぁ…”
ホシノちゃんに助けてもらった。シロコちゃんはアレだね、暴走車だね。ブレーキはオプションで、しかも付けてないタイプの。
そんで先生は役に立たない。
まぁ、シロコちゃんの気持ちも分からんでもない。だってかれこれ3時間ぐらいこのままだからね。
……いいじゃん。許したれよ。どんだけの期間色彩の傀儡だったのかは知らないけどさ、少なくともまともに話は出来てなかったんだぞ。積もる話もあるだろうよ。むしろ数日ぐらい好きにさせてやれよ。
「てかさ、2人はなんで着いてきたん?いや結構な関係者だしいいんだけどさ」
「ん、あっちの私に渡したい物があるから。ホシノ先輩はその付き添い」
「おじさん捕まっちゃったよ〜」
なるほど。理解した。
もともと、ワタシと先生だけのつもりだったんだよ。黒シロコちゃんのメンタル的にも、あんまし大人数を集めるのは負担になるだろうと思ってな。そんで今日蓋を開けてみればホシノちゃんとシロコちゃんが居た。先生がオッケー出すからワタシはなにも言ってないぞ。
“あっちはお花〜”
「先生はさっきからなにやってんの?幼児退行?」
“……ん?違うよ?せっかくのんびり出来る時間が出来たからね、頭を休めようと思って”
「なんか心配になるから気を引き締めてくれ」
「ん!あっちは狼」
「それじゃあとなりはお魚さんだ〜」
やめてください。ボケ倒さないで、ワタシは別にツッコミじゃない!むしろワタシがボケたい、ふざけたい!
そんなコトしてたら、向こうが終わったみたいだ。
ねぇそろそろ正気に戻ろう?終わったって、黒シロコちゃんが手招きしてるよ、ね?帰って来て?
「ダメだ、脳みそ溶けてやがる…」
仕方ないからワタシ1人で行こう。
そっちの方が都合がいいからな、来ないなら来ないで問題ないさ。
「話は済んだかい?」
「うん。それじゃあ…行くよ」
「おう。プレナパテスさんはワタシが抱えるからな」
機腕を地面に突き立てて、背中にプレナパテスさんを背負って、黒シロコと一緒に逃避行を開始する。
ここはシャーレビルの屋上です。
やるコトと言えば1つだけ。
そう、飛び降りだ。
黒シロコちゃんとプレナパテスさんには許可を得てる。ていうか、黒シロコちゃんからの提案でな、ここのキヴォトスを見て回りたいんだって。
ワタシはその足だ。車出すし、ワタシ居ないとプレナパテスさん死ぬからな。
“まってぇぇぇ”
後ろから先生達が追っかけて来たけど、この距離ならワタシ達の方が速い。
「あばよ、とっつぁぁん!」
はい。本日プレナパテスさん最終日です。延命期間終了のお知らせです。お疲れ様でした。
いや、はいじゃないが?
まぁ待て、待ってほしい。
ワタシワルクナイ。
ワ タ シ 悪 く な い !!
ちゃうやん?ワタシただの足やん?クロコちゃん…あ、黒シロコちゃんって呼んでたんだけど、ややこしいって言われてクロコちゃんって呼ばせてもらってるんよ。で、ワタシただの延命装置やん?
キヴォトス中とは行かなくても、行ける限りギリギリまてワタシが連れ回してたんよ。ワタシが連れ回されてたんよ。
分かるか?ワタシの気持ちが。例えばアビドスのようわからん砂漠の中を案内されて
『…ん、ここ。ここで反転した』
とか言われた気持ちが!なんてリアクションとりゃあいい!?誰か教えてくれよ、他にもな
『そう。この場所で…先生を、撃とうとして……』
なぁぁあ!?
私はどうすりゃぁいいんだよぉぉぉ!!
『…この店、まだ残ってたんだね。昔、みんなで来て……でも、私が壊しちゃって…でも、もう……』
ねぇぇええええ!!?
なんなの?楽しかった思い出の次に出てくる悲しい話はさぁぁ、ワタシにどうしてほしいの???
心苦しいんだよおお!!
ワタシは!基本的にシリアス向いてないんだよ!!
出来るよ?空気呼んで神妙な顔して、なにも言わずにクロコちゃんの近くに居続けたよ!?
隣はプレナパテスさんだからな、静かにそこに居続けたよ。無視できるワケないだろ。暖かい料理を作り続けたわ、落ち着くハーブティー淹れたわ、たまにプレナパテスさんと2人きりにするために離れたわ。
そうそう、一応ランデブーする前に先生へ連絡は入れていたぞ。しばらく2人に付いてキヴォトス周ってくるって、そんで誰も付いてくるなってな。
でだ、本日プレナパテスさん最終日なワケよ。
本人は誰にも見られたくなかったらしいが、クロコちゃんがこの数日説得し続けて、お別れの立ち会いが許可された。ワタシもクロコちゃんの立ち会いに賛成してたから、折れるのは早かったぞ。2対1だからな。
お別れの場所はエリドゥ、その中にあるワタシの工房だ。万が一に備えて色々あるし、近くには黒服の隠れ家があるからそっちの手も借りようと思えば借りれる。みんなにはヒミツだけどな。
場所に関しては、プレナパテスさんにも許可をもらってる。そもそも本人が、出来るだけ各学校とは縁のない場所を希望してたからな。その学校に、自分が消えた場所っていう付箋を貼るのがイヤなんだってさ。シャーレも提案したけど、ここのシャーレは自分の場所じゃないんだって。
だから、エリドゥ。ワタシの工房。
ミレニアムの自治区ではあるけど、土地と建物の権利はワタシが持ってるし、なにかが起こってもワタシが1番対応しやすいからここにしてもらった。
「さて…プレナパテスさん、最後の確認だ。本当に、今日までで良いんだな?アンタはまだ、あと…2ヶ月ぐらいの時間を作れるぞ」
“ありがとう、大丈夫だよ”
立ち会い人は2人。クロコちゃんと、プラナちゃん。
プラナちゃんは昨日、先生からタブレットを渡されて合流した。どうにもプレナパテスさんと話すコトは少ないらしい。ホントかは知らん。あの箱舟の中での姿しか知らないし、渡されたタブレット越しだと声も聞こえないからな。画面が点滅してるし、イエス・ノーぐらいの判別は出来る。ちなみに姿も見えない。見えないのか、見せてないのかは分からん。分からんコトだらけだ。
「…そうか、どうか安らかに…さようなら──呑み込め」
「ぁ…」
プレナパテスさんに残った恐怖を、ワタシの蛇で根こそぎ呑み込んで消化する。実は結構キツイ。まだワタシのヘイローのヒビ割れ、治りきってないんだ、それも神秘系の損傷だぞ。真逆のエネルギーを回収すれば治るもんも治らねぇ。
……そうじゃん、だからずっとヘイローヒビ割れたままだったんじゃん。仕方ねぇか。
恐怖を、繋いでいた生命線がなくなったプレナパテスさんは、塵のように姿を失って、塵も残さずに消えた。そんなヒト、初めから居なかったように消えて居なくなった。
あのヒトが最後に居た場所に、青い折り鶴が落ちている。ワタシはきっと、この先もアレを拾えないだろうな。
「2人とも、よく聞け。プレナパテスさんを終わらせたのはワタシだ。まだ時間を用意出来たのにしなかった、ここでムリヤリに終わらせたのがワタシだ。あのヒトは、ワタシが殺したんだ」
冷静じゃあ居られないだろ。
冷静になる前に伝えておかないと。このヒトの後を追うなんてコトは、絶対にさせてやらないからな。ワタシ個人の意見だが、生きる理由としてもっとも強いのは復讐心だ。
ムダだとは思うけど、せめてワタシを恨んでくれ。
「ワタシは別の部屋で作業してるから、この部屋の施錠は頼むわ」
2人を残して、ワタシは離脱だ。
こんなトコロに居られるかってんだ。
ワタシはなぁ、プレナパテスさんのために泣けねぇんだよ。あのヒトに想い入れがないんだ。
こんな場所に居られるか!ワタシは帰らせてもらうぞ!
………はぁ、つら…
「そろそろ様子見とくかねぇ」
アレから半日ぐらいが経って、もう深夜だ。クロコちゃん達はどうするんだろうね。
もう工房からは居なくなったのかな?タブレットを先生に返しに行かなきゃダメだから、そっちに向かってるかもね。一応、キヴォトスを周ってた時の車をそのまま渡してる。乗ってってくれてるなら生活は出来ると思う。キャンピングカーだからな。食材も武器もお金も積んであるから、それを使ってくれるコトだろうよ。
と、思って部屋の扉を開けたら、タブレットを持ったクロコちゃんが居た。
「おや、まだ居たんだ。仇討ちかい?」
「それはッ…しない!貴女は、悪くないから…」
「そうかい。夜ご飯は食べた?」
泣き腫らした目を向けないでくれ。
強く擦ったんか真っ赤になっちゃってさ、迷子の子供みたいに不安げな表情をしてるよ。
まったく、どこの先生も罪作りだねぇ…
このあと、ご飯を食べながら泣いて、食べ終わっても泣いて、眠りながら泣くクロコちゃんに、ワタシはなにもしなかった。
「お…おはよう…」
「おう、おはよ。もうすぐ朝ご飯の準備出来るから、シャワーでも浴びてさっぱりして来い」
一晩経って、それなりに落ち着いたみたいだ。
そして、やっぱりワタシを恨むとかはしなかったらしい。まぁあんな優しい子がヒトを恨むワケないか。
「食べながらでいいから聞いてくれ。今日はまずシャーレに行くぞ、そのタブレットを返さねぇとな」
「うん」
「そんで、アンタは1回コッチの先生としっかり話し合え。ワタシはアンタに付き合ったんだ、アンタも付き合えよ?」
それじゃ準備して、シャーレに行こう。
そのタブレット、シッテムの箱だったか?これないと先生の防御力がクソ雑魚ナメクジ以下になっちまうからな。早めに返さないといかんだろ。
「もぉ〜この前は本当にビックリしたんだからね?」
「ん、旅行ならみんなで行くべき」
「ごめんて、アレが1番ストレスのないやり方だったからさ。あと別に旅行じゃないぞ」
クロコちゃんを先生に預けて、今はホシノちゃんとシロコちゃんに詰められてる。これは必要な犠牲だ。ちゃんと連絡は入れたんだけどなぁ…
これね、ワタシがずっと思ってるコトでね。先生でさえもそうなんだよ。善であるコトが正しいとは限らない、そして正しいコトが善であるとも限らない。ワタシはそう思って生きてきたワケだけど、どうにもなかなか理解してもらえないんだよねぇ…唯一リオだけかな。ヒマリもチヒロも、分かってはくれたけど認めてはくれてないし。
まぁワタシの自己満足だし、だからなんだって言われておしまいの話し。
でももうちょっとでいいから、相手の立場になって考えてくんないかな?
今回は、可能な限りストレスを与えたくなかったんだ。
既に崩壊寸前だから。
「まあまあ、……お、先生が入って良いってさ。この前言えなかったコトを伝えておいで」
「ん、行ってくる」
「トグロちゃん。こんどおじさんとゆっくりお話しよっか~」
「ういうい」
行ったな。
ホシノちゃんとお話かぁ、ちょっと…いや、かなり怖いんだけど。いきなり撃たれたりしない?ホントに大丈夫だよな?嘘吐いたのバレてない?黒服バラしてない?
「〜〜っ、よし!ワタシの出番も終わりだな」
帰って休もう。
色々研究とかやりたいけど、先にヘイロー治しとかないといかんからな。安静にしてのんびりしてよう。
そう思ってたんだけどさ
「ん、今日からここで働く事になった。よろしく」
「???」
先生が書いた、シャーレからの正式な書類と一緒にクロコちゃんが家に来た。なんか、雇ってほしいらしい。
え?アビドスに編入する流れだったんじゃないの?
後書く事がない
なんも思い付かないから、参考までに……
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