どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 他事やってると、他事したくなりますよね。
 やっぱり息抜きに書くぐらいがちょうどいい。






始まる前に終わってた

 

「あ、アルちゃんだ!囲め!」

 

「ホントだ!アルちゃんだ!」

 

「えっ?なに、なにごと!?ムツキ?」

 

「カバディカバディカバディカバディカバディ…」

 

 

 

 良い子のみんな、こんにちは。

 ワタシだ、赤蛇トグロだ。

 

 ゲヘナの端っこの方を歩いてたら便利屋一行を見つけたから、取り敢えずアルの周りで反復横跳びをしてますワタシはとてもカバディ。

 

 

「もう!なんなのよ!!」

 

「カバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディ…」

 

「アルちゃーん、こっちこっちー!」

 

「なんなのッ!?」

 

 

 なんか叫んでるアルは無視しておく。

 なぜならそっちの方が面白いから。

 

 

「ふぃ〜いい汗かいたぜ。よく頑張ったな、ムツキ。オマエなら世界を目指せる。これからも精進しろよ」

 

「くふふ〜トグロちゃんもね」

 

 

 小気味良い音をたててハイタッチをしてから、近くの自販機からよさげなジュースを買って、可愛いムツキとオロオロしてるハルカに渡しておく。

 

 やっぱアルはいいリアクションするわ。可愛いムツキはノリが良くて可愛いし、ハルカはとりあえず甘やかしておく。カヨコは保護者枠、たまに一緒に猫カフェに行く。

 

 なにより、便利屋はウチの、何でも屋『鉄蛇』の常連さんだからな。元々ゲヘナのヤバイ奴一覧に載ってたコトもあって顔を覚えるのは早かったぞ。特徴あるからな、コミカル方面に。

 

 

「やあやあ便利屋御一行、久しぶりじゃあないか。どうだい?あれから不便はないかな、カヨコ」

 

「そうだね、特に無いかな。そっちはどう?この前見た時、店が壊れてたけど…」

 

 

 なんだ来てくれてたのか、なんだよもー別に店壊れてても倉庫は無事だし、買い物は出来るんだから帰らなくても良かったのに。

 まあ対応は出来なかったろうけどな、疲れすぎてて。

 

 

「顔出してくれても良かったのに。アレな、多分ワカモとやり合った後だな」

 

「あんまり無茶をしないようにね」

 

「おうとも。カヨコも便利屋の運営頑張れよ」

 

 

 そんですれ違って行こうとしたんだけどね、やっぱりね、アルちゃん。サスガだぜ。

 

 

「ちょーっと待ちなさい!トグロ、便利屋68の社長は私よ!」

 

「で、CEOがカヨコだろ?」

 

「まあ、間違ってはいないかな」

 

「ちょっとカヨコ!?」

 

「ふふ…冗談」

 

 

 アル、良いよな。いちいち良いリアクションを返してくれるもんだから、ついついボケ倒したくなる。

 便利屋のアル以外は時々1人で店に来るし、実は結構な頻度で会ってるんだよなぁ。特に可愛いムツキな、可愛いムツキは頻繁に爆弾買いに来るぞ。その次にハルカだな、ハルカには何回か植木鉢を届けに行ってるし、時々ご飯を作りに行ってるぞ。放っておくとなんか不安だし…

 

 で、ホントに用とかないんだよな。

 たまたま会っただけだから。

 

 でも暇だし、ちょっと付き合おうかな?

 

 

「そんで、オマエ等は仕事か?」

 

「ええ、近くで開かれるオークションにね。ターゲットがそこにあるのよ」

 

「あ、それ風紀委員きてるから気をつけろよ」

 

「ええ……ええ!?」

 

「ワタシが呼んだからな!ワタシも参加するし」

 

 

 だってそのオークションさ、ゲヘナの客に売ったオリジナルの装備が盗まれて出品されてんだよ。売った以上はワタシの管轄じゃあないけど、持ち主の子が泣きながら謝りに来てくれたんだ、その子がそれだけ愛着を持っていてくれたのと、誠意を見せてくれたんだ、応えないワケにはいかないだろ?

 開催場所もゲヘナに近いし、取り敢えず通報しといた。ワタシの武装は特定の手順を踏めばワタシか持ち主に連絡が行くようになってるから、そん時に取りに行けばいいハズだ。

 

 なんでそこにあるのが分かるかって?

 そんなん、発信機付けてるからに決まってんじゃん。他にも、ワタシ含めて特定の相手に銃口を向けると弾が撃てなくなるようになってるぞ。当たり前だろ?

 

 それはそれとして、ワタシも行く。盗品が出たら潰すし、出なくても違法オークションだから風紀が乗り込んで来るだろうし、せっかくのお祭りだからワタシも見てこようかと思ってさ。あわよくば面白そうな物が手に入らないかなって打算もある。

 ゲヘナのお祭りは派手で良いよな、見てて楽しいんだよ。

 

 …会場の下に温泉が眠ってるって言い触らしてみようか?やめとくか、うん、やめとこ。今日はそんな気分じゃないし。

 

 

「それで、どうするの〜アルちゃん?トグロちゃんの言う事が本当なら〜、どうせ報酬も貰えないんじゃない?それでも行く?」

 

「も、勿論行くわよ!依頼を承けたんだもの、始まる前から投げ出すなんてしないわ!」

 

「さ、流石ですアル様!」

 

「はぁ…そういう訳だから、巻き込んだらごめん」

 

「なるほど?それ絶対に巻き込まれるヤツだな、だったらワタシも手伝ってやろうか?臨時バイトのトグロちゃんだ、お安くしとくぜ?」

 

 

 アルの事だからな、多分その場のノリだけで依頼を承けたんじゃねぇの?

 ターゲットがあるって言い方からして、多分出品物関連だろうしな。ヒトが相手なら、多分アルは居るって言うハズだし。この子良い子だから…

 

 

「いらないわよ!?これ以上トグロに借りを作りたくないもの!」

 

「ああ『借り』とは思ってたんだ」

 

「ゔっ……」

 

「そのうち返してくれればいいさ。会場まで一緒に行こうぜ、すぐそこだろ?」

 

 

 可愛いムツキと一緒に先頭を歩いて会場まで。

 オークション開始までは…まだ1時間ちょっとあるな、地形の確認をしてくるか。主に逃走ルートを確保するための。

 

 

「それじゃあ私達はターゲットの確認に行くわ、何かあれば連絡しなさい。手を貸してあげるわ」

 

「そりゃコッチのセリフだ。ヤバくなる前にワタシを呼べよ」

 

 

 ここでいったん便利屋とはお別れだ。目的が違うからな、しゃあない。シレッと混ざってもいいが…いや、それもイイな。そうしよう。どうせアルは気付かないだろ、ポンコツだから。

 

 便利屋の最後尾にくっついて行くか。

 可愛いムツキとカヨコが気付いた。

 手振っとこ、いえーい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …ほう、コイツがクライアントねぇ……

 

 

『──ででででで、ですノ↑で!!?ほ、本日はべん、便利ィィ屋シ、68ォの皆様のおチチお力添ぉゔぇぇぇ…お、お力添えをオネガイモウシアゲマス。ワタクシハコレデシツレイサセテイタダキマスノデ!!!』

 

「ほぇぇ?」

 

 

 ちょっと前、ワタシの店に喧嘩売ってきたヤツだったわ。まぁ返り討ちにして2度と逆らえない程度にボコったけどな、中堅に手が届きそうな小物だった。ザコがよぉ〜

 

 で、便利屋と一緒に案内されて入室したんだよ。

 その瞬間コレよ、その小物と目があった瞬間コレよ。

 

 トラウマ、抉っちゃったぜ☆

 

 ソイツはなんか凄い勢いで部屋から出てったけどな、金置いて。

 

 

「えっ、えっ?なに?どうしたの……ってトグロじゃない!?なんで!!?」

 

「て、敵ですか?トグロさんも倒しますかアル様」

 

「お、やっと気付いた。それと撃つのは辞めてくれ、戦う気はないぞ?」

 

「アルちゃんは自分の世界に入っちゃって気付かなかったみたいだけど、最初から居たよ〜」

 

 

 特に理由はないけど、可愛いムツキを肩車しながら出てったクライアントを見送ってから、振り返ったアルちゃんがオドロく様子を笑顔で出迎えた。

 この部屋、けっこう天井高いな。ワタシが肩車しても可愛いムツキの手が天井に届かないレベルだ。いい部屋だな。

 

 ワタシの脳内では、いまだに色褪せる事なく記憶してるUnwelcome Schoolが華麗に軽快なステップを踏んで鳴り響く。まだこのストーリーが始まってすらないけど、個人的にはアルと会った時にはもう聞こえてた。今日はもう鳴りっぱなしだろうな。

 

 うんうん、やっぱりアルはこうでなくっちゃ。

 しっくりくる。

 

 

「トグロの事は置いといてさ…社長、ソレどうするの?」

 

「そうよね、お金…置いてっちゃったものね……」

 

「貰っちゃえばいいんじゃない?」

 

「ここで受け取ったら前金になるじゃない!便利屋68は成功報酬しか受け取らないわ!」

 

「それじゃ代わりにワタシが失礼して…」

 

 

 アルが受け取らないならワタシが貰ってこ。

 

 え、なに?セコいって?

 知らねぇ〜金置いてく方が悪いだろ、バカじゃねぇの?

 

 そうだ、でも念の為に手を付ける前の映像を用意して、防犯カメラにもフェイクを混ぜとくか。あのクライアントなら多分もう便利屋とは関わらないだろうし、ワタシに文句言えるほどの度胸もなさそうだからな。

 

 アルに金が置きっぱなしだって伝えてもらって、ワタシはその金を拝借していく。

 まあ、アル達の依頼がオシャカになったらコレを渡すけどな。

 

 

 そんな小話を挟んでからいざオークション会場へ。

 実はワタシ、こーゆう場所に来るのは初めてじゃないんだ。むしろ割と来てる。ブラックマーケットとゲヘナとトリニティにある会場なら、一通りは多分足を運んだな。

 一応、これでも開発技術者なので。芸術家なので。ついでに金持ちなので。

 

 出品者として色んな場所行くんだ。ついでにアレコレ買って帰る感じだな、よく『オークション荒らし』って言われる。買えないほうが悪くない?ザコが吠えてんじゃねえよ、見苦しい。

 あ、黒い方のオークションだけな?ちゃんと許可取ってる正規のオークションでは色々マナー守ってるからな?だから出禁にならないワケですし。

 出品もするし買い物もする、なんなら頼まれれば護衛もする上客だぜ。さらにさらに出資までしてるから、VIP待遇で呼ばれる時もあるし。

 

 でもなぁ…モモフレンズ限定オークションとかに呼ばれてもなぁ……ワタシ、興味ないし……一応変な格好したペロロ様を買ってヒフミにあげたけどさ…なんか謎にフロアが熱狂してた。オークションだよな、アレ…ライブじゃねえんだけどなぁ…

 

 …こわかったなぁ、参加者の目……

 

 

「まあ良いわ。何が起ころうと依頼は確実に遂行する。それが私達、便利屋68よ!」

 

「そうだぞオマエ等、ちゃんと働けよ」

 

「はーい」

 

「いい返事だなムツキ。玩具をあげよう」

 

 

 可愛いムツキが頭の上から元気よく返事をしてくれた。可愛いから玩具をあげちゃう。最近買った変な爆弾だぜ、起動させるとちっこいディスプレイに数字がランダムに表示されて、その数字の大きさで威力が変わる面白爆弾だ。

 

 

「ところでなのだけど…なんでまだトグロが居るわけ?」

 

「え、暇だからだけど?」

 

「えぇ…?」

 

「ついでに言えば、この部屋に来る間にやりたい事終わらせたから、マジでもう暇なんよ。オマエ等の依頼内容も把握したし、早速ターゲットを取りに行こうぜ!」

 

 

 ワタシの目的は盗まれた武器の回収だからな、事前にこの建屋内にはワタシの作ったロボット達を潜入させてあるワケよ。ワタシの通り名そのままの形をしたロボット、鉄蛇さんを大量にバラ撒いてある。

 だからこの施設の間取りを把握出来たし、こっそりハッキングして電子ロックの解除とかも出来てるんだ、どうだ凄いだろ。これでもワタシ、キヴォトスでも最上位を突っ走る天才達から及第点が貰える程度のレベルだから。

 

 とまあ?そんなわけで、ワタシのターゲットはいつでも回収が出来るんよ。アル達が起こすであろう騒ぎに紛れようと思ってる。

 

 だからね、ワタシは暇なんだよ。

 

 

「トグロ。話しを聞いていたなら分かるでしょう?ターゲットは厳重なセキュリティを施された保管庫の中、それもご丁寧に保管庫の存在そのものが隠されてるの。狙うならオークションが始まってからよ」

 

「いや、ワタシその倉庫の場所知ってるし。そのセキュリティも多分解除でき……あ、出来てるわ。さすがコユキだな、今度ご褒美あげよ」

 

「くふふ〜ここまでお膳立てされちゃって、どうするの〜…アルちゃん?」

 

 

 

 可愛いムツキが分かりきった答えを聞く。

 煽られたアルは、そりゃあもう分かりきった答えを出すのは見えてるワケだ。

 

 この便利屋空間。

 いるだけで楽しくって最高だな。

 

 絶対に納得してないのに、予定通りって顔してるのが面白いんだよ。これぞアルちゃん。素晴らしいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

な、なんですって〜〜!!!

 

 

 

 

 オークションが始まる少し前、そろそろですよと係員が参加者に話してた。盗品メインの違法オークションのクセに、危機感薄くない?警備をただのロボットに任せてるとか、ザルもイイところだわ。合図1つでダウンさせられるぜ。

 

 そんな気が緩んたタイミングで、ゲヘナの風紀委員が大挙してなだれ込んできた。モチロン、風紀委員長もいるぜ?お願いだから撃たないでね?

 

 

「おや、ヒナちゃん。ひさしぶり〜」

 

「赤蛇トグロ…この前はありがと」

 

「この前…?あぁ差し入れね、どーいたしまして。美味しかった?」

 

「うん」

 

 

 晄輪大祭の時、出張医務室のテントに差し入れしたんだよ。セナが来てるって聞いてたから、沢山のお菓子と飲み物を持っていった。トリニティのセリナちゃんも居たな、実はその時初めて喋った。めっちゃカワイイ、いい子だった。

 

 んで、しばらく喋ってたんだけど、奥からゲヘナの風紀委員長が出てきてビビった。なんかワタシのコトを温泉とか美食とかの仲間だと思ってたらしい。心外だ。ワタシはマトモだ。

 ってコトで誤解を解いた。でもアイツ等と友達だってのは否定しないし、『鉄蛇』への依頼なら協力するコトも伝えた。

 

 それとアコちゃんを甘やかしたいから、それ以来たまに風紀委員に差し入れ持って行ってる。イオリンが可愛いよ、いじり甲斐のあるいい子なんだ。

 

 そんな経緯があって、風紀委員会の子達とはちょっとしたお知り合いになった。

 

 

「それで、貴女はどうするの?そっちに付くなら纏めて捕まえるけど…」

 

「……臨時風紀委員のトグロちゃん。雇う?」

 

「報酬はアコと相談してね」

 

 

 と、明らかにワタシが悪いって状態じゃなければ、こんな感じで譲歩してくれる。多少ワタシに非があっても、対話から入ってくれる。話しの通じるヤツって思われてるんじゃないかな?ありがたいよ、ホント…いやホントに、いきなり攻撃してこないだけでありがたいんだ。分かるか?このありがたみが。ネルとかワカモとか…ホントさぁ…ホントに……

 

 

「やいやい便利屋共!大人しく捕まりやがれ!」

 

 

 手の平クルー!

 ワタシは今から風紀委員だ!

 正義はワタシにある!ワタシこそが正義だ!

 

 

「なんでよ!?まだ何もやってないじゃない!!」

 

 

 とかなんとかアルちゃんが叫ぶし、ハルカが既にこっちに向かって突撃してきてるし、カヨコはため息吐きながら逃走ルートを考えてるし、可愛いムツキは爆笑しながら爆弾投げる準備してる。

 さすが便利屋68(社長抜き)判断が早い!

 

 でもまぁ…便利屋はまだ何も悪いことやってないからなぁ…

 

 

「いや、便利屋はゲヘナで指名手配されてんだろ…」

 

「……そうね…」

 

「まあそれはそうとして、ヒナちゃんや」

 

「…ん?忙しいから、話なら後にしてほしいんだけど」

 

「いやね、便利屋はマジでなんもやってないからさ、ワタシが雇って手伝わせてもいいかな?」

 

「……わかった、捕まえるのは最後にしてあげる」

 

「ありがとう。今度お礼持ってくね。…聞いたな?手伝っt──痛い!イタいってイタタタッ!!」

 

「うわああああああああ!死んでください死んでください死んでください!」

 

「ストップよハルカ!ストップ!!」

 

「…!はいアル様」

 

 

 止まらずやってくるハルカ。

 そして、アルの号令を受けて秒で止まるハルカ。こわい。

 めっちゃ痛いんだけど、ネルとかワカモ程の火力はなかったけど、普段のワタシなら気絶するレベルだな。

 

 そう!ワタシは耐えきったのだ!

 ベアおばの祭壇を漁って確保した保護マスク。それを解析して、製作者や関係者に話しを聞いて、ワタシなりに手を加えた外付け防御力を手に入れたのだ!ワタシの手首に巻いていたミサンガが、砕け散った。実験は成功だ、あとで黒服と先生に自慢しに行こう。

 

 そして今、ワタシの防御力は無くなった。

 

 だって作る素材が希少だもん。だからこれしか作れてないし…量産のメドも立ってないから、1つずつハンドメイドするしかないし…量産、するかぁ……

 

 

「それじゃ、私は盗品を確認してくるから。戦う気があるならそこで待ってて」

 

「おう行ってら。建屋の見取り図送ったから参考にしてくれ」

 

 

 ヒナちゃんが会場の奥へ歩いて行くのを見送った。

 さて、そろそろワタシの作った武器も搬出が終わったハズだ。

 

 予定とはちょっと違うが、風紀委員達が突入した時の混乱に乗じて盗まれた武器は回収した。盗まれた奴、別にそんな大きくないからな。

 

 アルを連れて建屋の裏口へ回り込んで行く。指示通りに動いていれば、潜入させてた蛇のロボットが武器とかを担いで、換気口から落としてくれる。

 ついでにオマケも、これはアルにあげるやつ。

 

 

「よし、武器回収完了っと。………それと、ほれアルちゃん。オマケをどうぞ」

 

「あっ、え!わっわっと…!」

 

「なになに〜なに渡したの?」

 

「な、なんでしょうか…これ」

 

「あ、これって…」

 

 

 便利屋68が受けた依頼は、盗まれた宝石の奪取。無駄に豪勢なティアラの回収だ。どう考えてもあの小物の持ち物じゃねぇし、これ持っててもロクなコトになんねぇだろうな。まあ依頼だから一緒に回収したけどさ、不安の種だ。

 

 

「これ、トグロ!あっ待って、え…うーん…、えぇ…」

 

 

 なんかウダウダ悩んでるアルは置いておく。どうせまた借りを作ったとか、アウトローのプライドとか面白いコト考えてんだろうな。

 

 そんなコトよりカヨコだ、カヨコと相談しねぇと。

 

 

「カヨコ。これ、怪しくね?」

 

「そうだね。コレをわざわざゲヘナで売ろうとする意味が分からない。それもこんな杜撰な計画のオークションで…」

 

「だよなぁ…やるならブラックマーケットで、それも深い場所でだ。オマエ等、なんか恨みでも買ってんじゃねぇの?罠にしか見えねぇんだけど」

 

「はぁ…心当りが多すぎる……」

 

「ワタシの方でも動いていくよ、さすがにコレは心配だからね」

 

「ありがとう。私達の懸念通りなら、しばらくは警戒しておかないとね」

 

「ああ、何かあったら連絡するし、連絡してくれ。ヤバくなる前に店に来てくれれば、対応幅も広がるからな」

 

 

 ここまで話せば大丈夫だ。

 別にこーゆうのが珍しいワケでもないからね、多くはないけど、少なくもない。ウチの『鉄蛇』もそうだけど、『便利屋68』って看板も結構デカいからな。どっかで恨みを買って、それを晴らすために罠に掛けられるコトも多いんだ。

 

 正直に言えば、慣れた。

 もうね、こんな店やってるしコイツ等もこんな仕事してるから、罠にハメられるのはモチロンだけど、罠にハメる側の仕事だってやったことあるんだよ。ある程度の手口なら予想できるし、想定外でもなんとか出来る自信がある。

 

 そもそも罠にハメるって時点で、正面からじゃ勝てませんって言ってるみたいなもんだからな。全部ブチ抜いて行けば勝確だろ。 

 

 

「目的は果たしてし、ワタシはもう帰るわ。オマエ等も早めに帰れよ、じゃあな。楽しかったぜ!」

 

「またね、トグロちゃん。ばいば~い!」

 

 

 可愛いムツキに見送られて、ワタシはそそくさとこの場を離れるコトにする。すぐにあの子達も移動するだろう。ヒナちゃんが帰ってきたら捕まっちゃうし。

 

 ま、ワタシはこのまま風紀委員会の事務所に行くんですけどね。お土産買ってから。せっかくヒナちゃんに会ったんだから、他の子達にも会いたいし。アコちゃんの警戒心を解きたいし、イオリンをからかいたいし、チナツに優しく癒やしてほしい。セナにも会いたい。みんなとお喋りしたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、遊びに来た可愛いムツキから、便利屋68を狙った報復だったって聞いた。自分達だけでどうにか出来る程度で良かった。一安心だ。

 

 え、サオリも居たの?

 なに便利屋68のアルバイトだって?聞いてないけど?

 写真あるって?……あっ結構楽しそうじゃん。イイね!

 

 

 そしてその日、可愛いムツキに原価を割った価格で爆弾を売った。あの小悪魔ちゃんめ…、許さん。可愛い…許した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 どうでもいいのですが、トグロはムツキに弱いです。
 なぜなら『可愛い』を武器にしてくるからですね、トグロの弱 点属性です。ただでさえ可愛いのに、それを武器してこられたら…そりゃあもうトグロでは太刀打ちできませんよ。ハイクを詠め。

なんも思い付かないから、参考までに……

  • トグロだけの小話
  • 本家イベント
  • オリジナルイベント
  • 先生視点
  • 別キャラ視点
  • よく名前の上がるキャラとの小話
  • その他
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