どうせなら、笑っていようぜ。 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
※ゲマトリアへの強い解釈違いが起こる可能性がありますので、合わないと思ったら早めに引き返して下さい。
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良い子のみんな、こんにちは。
ワタシだ、赤蛇トグロだ。
今日?今日はね、ゴリッゴリの居酒屋に居るよ。もう夜だし、なんならもうじき日付変わるぜ。この店は夜中…と言うか早朝ぐらいまで営業してるし、今回は貸し切りにしてるから営業時間延長もわけないぜ。
あ、ワタシだけじゃないぜ?
いやぁ~…ね、正直帰りたい。お腹もだいぶ膨れたし、眠い。そして何より、この場が酒クセェんよ。
「おや?トグロさん、食が進んでいませんね。どうかされたのですか?…ふむ、なるほど。──すみません、追加の料理をお願いしたいのですが…皆さんはどうされますか?」
「メニューを見せてくれ」
「私はいい、後で頼むからな。トグロよドリンクバーに行くぞ!新たな境地へ向かうのだ!」
「そういうこった…」
「そろそろフランシスを返してやれよ」
「そういうこったぁ!」
………ちゃうねん。
ワタシ、ゲマトリアとちゃうねん。
なんでワタシがゲマサーの飲み会に参加してるか。それは、黒服に丸め込まれたからだ。してやられたぜ。しかも支払いもワタシ持ちだしよぉ、大人が子供にタカってんじゃねぇよ。
まあ、この程度でコイツら3人の研究資料の一部を貰えるんなら安いもんだけどな。
でも何より痛手なのが、そろそろ来るであろう──
“おまたせトグロ!珍しいね、こんな時間に会いたいだなん、て……トグロ、集合”
はいそこ、少し黙ってようね〜
先生からの信用を失いかねないと言う恐怖だ。
先生には、飯奢るからこの時間にこの店に来てくれとしか言ってないんだ。だって
そんで、店に来た先生に呼び出されて、そのまま店外へ。
“私が言いたい事、トグロなら分かるよね?”
「マジごめん」
“はぁ~…それで、……ちょっと言いたい事が多すぎてパッと出てこないんだけど、取り敢えず、どうして?”
「アイツ等が、先生と話す場が欲しいって言って来てさ。うっかり前払いの報酬をもらっちゃってな、開かざるを得なくなっちまった」
“全く…明日の朝一番でシャーレに来ること。お説教と仕事の手伝いで許してあげる。…それで、私は何をすればいいの?”
「特に何もしなくていいぜ。アイツ等と一緒にメシ食って、適当に相槌打ってくれればそれでオーケー。あとアイツ等、酔うのかは知らんけど、既に酒入ってるから気を付けてくれ。先生も飲んでいいぞ、ワタシが酌してやるし、潰れて介抱するとこまではサービスだ」
“そう言えば、久しく飲んでないなぁ…”
明日お説教が確定したが、仕方ない。ゲマトリア連中と会ってる以上は避けられないからな。会わなきゃいいんだが、アイツ等めっちゃ面白いし研究者としてはすこぶる優秀だし面白いから…
切り替えて行こう。
てか先生、酒飲むんだ。そんなイメージないけど、飲めると聞けば普通に飲んでそうでもあるな。
そもそも、キヴォトスじゃあ酒は手に入りにくいんだよなぁ、料理酒ならともかく、普通のスーパーとかにはまず置いてない。酒を売ってる店はだいたい飲食店だが、料理とは別で許可を取らないといかんから取り扱いのある店自体が少ない。なんなら置いてあっても種類も少ない。
個人で買うなら許可は要らないが、売ってる店が殆ど無いし、酒そのものが馬鹿みたいに高い値段してる。なら外から持ち込もうにも、密輸扱いで厳しく取り締まられてるから多分無理。ヴァルキューレこわい、SRTこわい。
そんなワケで、キヴォトスで酒を飲む機会はかなり少ないし、無理して飲むにも割が合わない。そんなに飲みたいヤツはキヴォトスから出ていく方が早いし楽だからな。
タバコもおんなじだぞ、喫煙可能な場所が少なすぎるから、下手したら酒よりも面倒かもな。
“店員さーん、取り敢えずビール!あと焼き鳥の盛り合わせと湯豆腐とタコワサ、あっチョレギサラダと玉子焼きをお願いします”
「ククッ…先生もなかなかイケる口ですね?すみません、私もビールをお願いします」
“キヴォトスに来てから飲む機会なんて無かったからね。あと私、お酒好きだし。あーあ、君達さえ居なければもっと美味しかったのになー”
まだ飲んで無いのにキレッキレだな先生。
そこまでこの倫理皆無面白ダークサイド大人達が嫌いなのかね、飲まなきゃやってらんねーってか。ちょっと悪いコトしちまったかな?今度お詫びの品でも送っとこ。
そして、そんなコト言われてるゲマサーはみんなご機嫌だ。特に黒服、先生の向かい側に座ってずって先生を見てる。先生を見て酒飲んで、先生を見て料理を食べて、また先生を見ながら酒飲んで先生を見て先生を見る。キッッッッモ!!
そしてフランシス君は……あれ、居なくない?
「待てマエストロ、何をしようとしている?待てと言っているだろう。違う、そうではない。私は盆の代わりではない。そうだ、一度手放せ。…待て、何故飲み物を混ぜようとしている。混ぜるなとは言っていない、全てを混ぜるなと言っている。待て、私は飲まないぞおい止めろ押し付けるな!溢すな!」
「おいたわしやフランシス君。キミには少し優しくしてやろう」
「デカルコマニー!トグロ!お前達の管轄だろう」
「ちょっと何言ってるか分からない。な?デカルコマニー」
「そういうこったぁ!」
マエストロって、酒に弱かったんだな。
初めて知ったわ、別に知りたくなかった。
そしてフランシスは中々良いヤツだな。話し方が少しばかり高圧的だが、内容はただのお節介焼きだもん。ゴルコンダばりにワタシ、懐いちゃうぞ。ただし酔っぱらいの相手は代わらない。むしろ一緒に絡みに行くなら行ってやるが、そうじゃないならメンドくさすぎるからな。勝手に頑張ってくれ。
黒服はご機嫌、マエストロは酔っぱらい、フランシスは絡まれ、デカルコマニーは諦めてる。
ワタシ、帰って良いかな?
先生呼び出したし、約束は果たしたじゃん?
帰って良いかな?
まぁでも、帰らないんですけどね。帰りたいけど。
だってここの会計をしなきゃダメだし、先生を無事にシャーレか家まで送らなきゃだし、最悪はゲマサー連中も送ってやらなきゃいかん。バカ共は路上に放置してもいいけど、流石に先生にはちゃんと礼を尽くさなきゃいかんからな。
………酔った先生を放置してみろ、血みどろの奪い合いが起こるぞ。純粋に、怖いだろ…そんなん…見たくねぇよそんなキヴォトス……
“梅酒と煮浸し、追加の玉子焼きをお願いします”
「私にも同じ物を」
「馬鹿が貴様走るな!マエストロ!聞いているのか!?溢れているだろうが、走るな!」
「見てくれ先生、最高のブレンドが完成したぞ!さあ、是非に飲んで感想を聞かせてくれたまえ!」
“なにそれヘドロ?いらないから帰って”
どうしよ…マジで帰りてぇ…
先生は先生で、ゲマトリア連中と対話する気ゼロだし、もうワタシがなんとかするしかねぇってのかよ…
「ヘイ!マエストロ!」
「ん?どうした、今先生に至高とは何たるかをはなして──」
「なんとココに画材があります!」
「ほう」
「そこに先生もいます」
「そうだな」
「今この瞬間、今しかないこの感情の昂り、湧き上がってくるだろう…?オマエは、このインスピレーションを形にしなくてもイイのかよ。ロマンってのは、一瞬を彩る芸術の爆発だろうが!!」
「ハッ其れを寄越せ!今この時を!この感情を!私が創らねば!!」
よし、バカが1人釣れたな。
「フランシス、デカルコマニー。もう疲れただろう?酔っぱらいの相手は面倒だもんな。もう帰って休め、な?先生との対話…は難しいかもだが、伝言なり手紙くらいならワタシが繋げてやるからさ。ジュースで汚れちまったんだろ、早めに落とした方がイイぜ?」
「………帰る」
「そういうこった!」
マジでストレスだったんだな、
何も言い返さずに帰ってったわ、今度何か良さげな本を買って持って行ってやろう。
「黒服──…は、まぁ良いか」
「クックック…すみません、あちらと同じ物をお願いします」
先生にガン無視されてんのにメッチャ嬉しそう。キモ…ヤベェヤツじゃん、ヤベェヤツだったわ。アレは放っておこう。
「どうだい、先生。旨いか?」
“すごく美味しいよ。それに、お酒なんてひはしぶりだー”
「…お冷を1つ」
“まだ大丈夫だよ?”
「大丈夫なうちに水飲んどけ、多めに」
よく考えたら、この時間まで仕事してから来てるんだよな。空きっ腹に酒とか、絶対に酔うだろ。結構な勢いで飲んでるし、二日酔いにならなきゃいいな。
先生がどんだけ飲めるかは知らねぇけどさ、程々にしといた方がいいと思うんだけど…誘ったのはワタシだし、満足するまで飲んでくれて結構だがな?それで後悔すんなよ?
“トグロ”
「うい」
“そこに正座”
「は?」
“正座”
ん~~、さては酔ってんな先生。
コイツあれだ、酒好きだけど強くないタイプだ。
パッと見た感じはシラフと変わんねぇから分かんねぇけど、多分すぐ酔うタイプだコイツ!
いや、結構飲んでるしこんなもんか?比較対象が無いから分かんねぇな。お酒って、どんぐらいが標準なんだ?
取り敢えず、ワタシは大人しく正座しとくか。
もしかしたら普通に言いたいコトがあるんかも知れんからな、酔っぱらってるって免罪符が欲しいってのも考えられる。
“トグロはね~頑張ってるよ!えらい!”
「やっぱ酔ってるわコイツ。なぁ先生、そのへんに──“うるさい!”…ワァ、めんどくさぁ……」
“トグロはね!悪い噂ばっかりで、悪い大人相手にしてるし、悪い事も仕事ならしちゃうけどね、全部誰かの為なんだよ!もっと認められて良いと思います!”
「はぁ…そろそろ帰るぞ、黒服もいいな?」
「ダメです。まだ私は満足していませんので」
「クソが」
“コラ!そんな言葉使いしちゃいけません!”
「クソが!」
あ゛ぁーめんどくせぇー!!
黒服が満足したのは、先生が酔い潰れるまでだった。
ワタシの足はしびれたし、会計の金額を見て先生の意識は酔いから覚めたし、バカ共は路上に捨てていった。
ちなみに、黒服は普段通りの足取りで歩いて帰って行った。アイツヤベェなウワバミかよ。
「おっと、しっかり捕まってろよ?転けても知らねぇぞ」
“ごめんね、本当にごめんね…コートの内ポケットに鍵があるから……う゛っ…”
「ほいよ、開けたぞ。靴脱いだな?ベッドは……あっちか」
“ここまでで良いよ、これ以上は大人としての…なけなしのプライドが”
「だいぶ覚めてきたな、でも取り敢えず今日もう寝ろ。全部明日に回そうな」
はぁ…まさか人生初の酔っぱらい介抱の相手が先生になるとはな…もうちょい先で、チヒロかウタハ辺りだと思っていたよ。人生ってのは何があるか分かんねぇな。
もう寝息を立ててる先生から、首に掛けてる社員証とネクタイを回収して、床に投げ捨てられたコートと一緒にハンガーに掛けて分かりやすい場所に置いておく。洗濯は、まあしなくていいか。数日分は溜まってそうだが、普通に下着とか干してても気まずくなりそうだ。
さて、二日酔いになるかは分かんねぇが、胃に優しい朝ごはんを作ってから帰るか。ワタシも眠いんだよ。
「ほーん…なるほど?」
冷蔵庫ん中空っぽだったわ。正確には、調味料が最低限とエナドリとゼリー飲料と、貰ったであろう冷蔵のお土産。シャーレって、やっぱブラックなんだな…
お米はあった。
仕方ねぇな、ワタシの持ってる食材使うか。
酒飲んだ翌日の朝ごはんと言えばシジミの味噌汁だろう。でもハマグリしか無いから、ハマグリの味噌汁にしよう。ご飯よりはおかゆの方が良さげか?玉子粥に梅干し乗っけとけばいっか、鶏ガラで味付けとけばそれなりに食欲出るかね。他は適当に品数増やしときゃいいだろうな。
先生が店での注文を見てた感じ、少量多種ってのが好みそうだったからそれに沿っておくか。となるともう2〜3品は欲しいな………
てな感じで献立を考えて、備蓄食材をピックアップしてドローンで運ばせておく。食材に限らず、ワタシの管理してる備蓄は無人で仕入れから運び出しが可能だ。ワタシのやっといて良かった事ランキングの上位だな、準備はクッッソ面倒だが軌道に乗ればめちゃくちゃ便利だぞ。
ついでに、日持ちする食料も持って来ておくか。冷蔵庫にぶち込んとけば適当に食うやろ。
「やっべえ、朝じゃん」
1日24時間ってさ、短くない?
こりゃぁ完徹コースだ。まぁ昨日はちゃんと寝たし、1日2日寝なくても問題ねぇけどな。ワタシ、若いから!
触っても問題なさそうな場所を掃除して時間を潰してたら、無事に食料が到着したらしい。
下処理はしてあるから、パパッと料理して、持って来た食料と余った食料とか保存食とかを仕舞って、洗い物を済ませて、先生の家から出て玄関の鍵を閉めて、鍵はポスト…と見せかけて換気口から蛇型のロボットで侵入して鍵置き場に返却しておく。
後は帰ってシャワー浴びてシャーレに行くだけ。
説教されにシャーレか…うわー行きたくねー、でも行かないともっと面倒臭そうだし行くしかねぇ。
トグロは健全な奴なので、やらしい雰囲気にはならないでしょう。ただし、普通に揶揄われます。
フランシス君さぁ…キミ、ちょっと本編の台詞少なくない?もうちょいメインはっても良いキャラしてると思うよ?デカルコマニーに全部持ってかれてるよ。
なんも思い付かないから、参考までに……
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