どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 久しぶりに開くと、意味不明なメモってありますよね


仕込みは上々、後はお祈り

 

 

 

「分断されたか…移動する」

 

「してもらっちゃあ、困るんだよね」

 

「な、通信が──ッ!」

 

「まずは1人目」

 

 

 

 良い子のみんな、こんにちは。

 ワタシだ、赤蛇トグロだ。

 

 エリドゥのほぼ全域に通信障害を発生させてる元凶です。たった今不意打ち(アンブッシュ)を決めたのでワタシは忍者。

 

 ワタシを視界に入れた瞬間に、戦闘を避けて逃げようとしたのは流石だね。ついでに仲間達へ知らせようとしたのも偉い。まぁ、それを徹底するように教えたのはワタシなので、対策は簡単よ。

 

 通信機を奪って、お手製のスピーカーに繋いでおく。

 コレは今日の為に作った玩具の1つで、言葉選びと話し方をカリンに似せて学習させたチャットAI。C&C全員分ある。

 

 ジャミングで軽く混乱してても、先生達はアバンギャルド君と戦い続けてる。C&Cはトキがエリドゥを操作して分断、ネル以外はAMASが対応してる。

 

 で、まずは1人目カリンを撃破。

 気絶させて縛り上げて武器を取り上げて、棺にしまう。死んでないけどね、自走するしで便利なんだよ。リオに趣味が悪いって言われたけど、ワタシもそう思う。変なテンションで設計しちゃったんだ、作ってから気付いた。でも便利だから使う。

 

 次に狙うのはアカネ。アスナか先生を獲りたいけど、先生の守りは硬すぎるから無理。アロナバリアの突破は難しい。だからアスナ狙いで行くけど、サポートするアカネが厄介すぎる。視野が広くて頭が回る、戦っても普通に強いんだよなぁあの爆弾魔。なんにせよ、サポート特化には仕事をさせない事が1番だ。

 

 仕掛けられた爆弾の撤去もしたい。

 いつ仕掛けたんだよってぐらいにアッチコッチに爆弾が仕掛けてあるの、もうげんなりするぐらいに大量に。

 

 見かけた物はワタシが細工して、それ以外の場所には小型のロボットを送り込む。モデルは蛇。何処でも入れるって便利だよな。

 

 そろそろ気付かれるかどうかって距離まで近付いたら、一瞬だけジャミングを解除。全速力でアカネの下までダッシュ!

 

 

「通信回復しました!皆さん、状況を──!」

 

「オマエなら、そうすると思った」

 

「トグロさん!?」

 

 

 すぐにジャミングを再起動しておく。もう少しこれで粘りたいから。

 

 アカネ撃破。

 サポートを優先する性格と役割だ、通信障害が回復したなら伝えずにはいられないよな?そして、姿が見えない場所に居るハズの仲間の安否を、絶対に確認する。

 思考のリソースが割かせれば、意識の隙間を縫って接近出来る。

 

 近くまで来ていたアスナに発砲されるが、気付いていれば避けれるもんだ。それに今のワタシは遊んでないからな、これでも真剣だ。

 

 

「おっと!危ねえなぁアスナ。オトモダチに銃を向けるなんて悲しいぜ」

 

「あれ?トグロちゃんだ〜。なんでここに居るの?」

 

「なんでだろーな?」

 

 

 厄介だな、本当に。

 ワタシの攻撃が当たらねぇ。常に射線を切りながら移動し続けるタイプな上に、死角から攻撃してもギリギリで躱される。

 

 予測も予知もなく、動きを読むでもない。

 直感に従った獣じみた回避。

 

 本当に厄介だ。

 けど、所詮は勘頼り。

 

 心配になるほどオツムが足りてない。

 何度心配して病院へ連れて行ったか…その度に異常無し。恐いわ!本当に脳卒中の前兆じゃないんだな!?お医者さんよ、本っっ当に信用して良いんだな??アスナが突然倒れたりしたらワタシ、マジ泣きしてキレ散らかすぞ???

 

 

「あ、あれ!?どうしよう?」

 

「諦めろ」

 

「おことわり!」

 

 

 回避なんてさせない。面制圧。

 ワタシが何のためにアカネを先に狙ったと思ってる。オマエへの助言をさせない為だ。

 細工して撤去した爆弾をどうしたと思ってる。仲間の武器なら、オマエの直感が鈍るからだ。

 

 あるものを使う。

 そこにあるのなら須く、それはワタシの武器だ。

 

 

「言ったろ?諦めろってさ」

 

 

 悪いなリオ、建物3棟ぐらい壊しちゃった。

 でもこれでアスナも潰した。

 

 2人分の通信機をスピーカーに繋いで、中央タワーで合流しようって言わせておく。

 

 よし、引くか。

 

 万が一ネルが戻ってきたら面倒だ。

 ホント、アイツだけは相手にしたくない。

 勝てるビジョンが浮かばない。

 

 

 

 

 

 

 

 向こうのアバンギャルド君は、ハッキングされかかってるな。ワタシが発生させたジャミング、一応ネットワークそのものを遮断させてるハズなんだけどな。

 

 それをこじ開けるほどの解析能力だとすれば、『(ミラー)』を使ったな、チヒロ。

 厳重に仕舞い込んだんだ、脅威だからだと思うよな。

 その能力を知っているから、その強さを理解しているからこそ使いたいよな。

 

 ヴェリタスには余裕が生まれただろうな、ゲーム開発部は喜んだろうな、先生はどうだ?一度使ってるんだ、勝ったと思ったか?

 

 …アホか、リオがそんな単純な事をするわけないだろうが。本当に使われたくないのなら破壊してるわ。

 

 反鏡機構(アンチ・ミラー)、『万華鏡(カレイドスコープ)』を起動。

 

 これでこの先、ヴェリタスの助力は望めないだろうね。

 向こうは今頃、増え続ける暗号へ延々と解析を繰り返すシステムの処理に追われてるんじゃないかな。単純故に強力な多重情報爆弾ってね。鏡を2枚、向かい合わせにするイメージだ。それ以上にも出来るが、今はしてない。

 

 このままだと、ヴェリタスの商売道具達がパンクするかもな。一応最新のハイエンドモデルなら、早めに対処出来れば後遺症もなく再起動出来るハズだよ。遅れたら、熱持って物理的に爆発するかも。

 

 そもそも『鏡』の使用を止めれば勝手に止まるんだけどね、コレ。だって鏡一枚じゃ無限に続かないから。ジャミングも止めたから、ヴェリタスならすぐに繋ぎ直せるだろうよ。気付くか?

 

 止めた理由はこっちのにも多少の影響があるからってのもある。ワタシとリオとトキだけの通信は問題ないが、AMASとかの機械には若干の影響がある。それに、このジャミングもエリドゥの機能の1つだから、リソースを割き続けるのはよろしくない。

 

 

『トキ。1度引きなさい』

 

 

 なるほど?

 急げ、離脱だ離脱!

 アバンギャルド君はなんかミサイルに吹っ飛ばされて壊された。ネルと先生達がこっちに向かってる。

 

 まぁチャットAIにしては粘ったかな?

 結局は見抜かれたけど、まぁ受け答えが不自然になる事があるからな。カリンだけなら良かったかも知れないが、流石にアカネbotは無理があったか?

 ……違ったわ、ログ解析したらアスナだわ。オマエ触ってない機械バグらせるとか止めてくれよ!神秘的だなぁオイ!!

 

 違う。こんな事してる場合じゃない。

 

 大爆発起こしたからな!

 先生達が集まる前にこの場から離脱しろ!ハリーハリー!

 

 

 

 

 


 

 

 アリスはまだ眠ってる。

 ワタシももう寝たい。

 

 なんとか逃げ込んだ中央タワー。そのエントランスにはトキが休んでた。

 

 

「ようトキ。だいぶ緊張してんな」

 

「……なんだ、トグロ先輩でしたか。警戒して損しました」

 

「やっぱ緊張してんな。そんなにネルが強かったか?」

 

 

 露骨に顔を顰めやがって、表情豊かなポーカーフェイスだな。

 それにな、普段のトキならその辺のソファかなんか引っ張り出して寝転がるくらいするだろう。ワタシの洗濯物を取り込むついでに、フカフカになった布団で寝てたの忘れてないぞ。ワタシが1番に飛び込みたかったのに。

 

 それが見る影もなく……壁にもたれかかるだけ。

 これを普段と違うと言って何が悪い。

 

 

「…トグロ先輩は、対象がデータと違うと感じたらどうしますか?」

 

「機械とかならバラして調べる。生き物ならそもそもデータと違って当然だし、参考にはしても参照はしない。なに、やっぱネルに負けたのが悔しいの?」

 

「負けてません。たまたま撤退の指示があっただけで……」

 

「あのままだったらジリ貧でしたってな」

 

「チッ…」

 

 

 からかい甲斐のあるヤツめ。

 様子を見るに、武装は使っても切り札は使ってないんだな。

 

 リオに、アビ・エシュフを最初から使って一気に制圧しろって言っといたのに。

 リソースをピッタリにしたがる性格だもんな。下手すりゃ無駄打ち、しかも一時的にでもエリドゥを止める手は打たないか。

 コレがその結果だけどな。

 

 いよいよ防衛ラインが厳しくなってきたな、今までが前哨戦ってか厳しいな。

 

 

「ワタシが手ぇ貸してやろうか?」

 

「結構です。リオ様からアビ・エシュフの使用許可が出ましたし、次は勝ちます。…そういうトグロ先輩こそ、何してるんです?」

 

「ネル以外のC&Cを潰してきた」

 

「はぁ?寝言でしたらベッドまで案内しますよ?」

 

 

 ちょっと元気でたか?

 ワタシはトキと話して元気出てきた。

 

 

「お客さんだぞ」

 

「任務に戻ります」

 

 

 来るぞ。

 親方!空から強化外装が!!

 

 最初から着て来いってのは浪漫に欠ける。

 この召喚システムにはワタシも噛んでるからな、そりゃあもう演出には気を配ってる。

 

 ……だってこの外装の召喚は、元々ヒマリに車椅子を届ける為に作ったモノだから。中身変えてこんな風に使うなんて、当時は欠片も考えてなかったよ。

 

 まだ会話を続けてんな。

 1人か2人ぐらいなら不意打ち狙えるか?

 

 ヤメとこ。

 ネルの前で不意打ちかましたら、多分真っ先にこっちを狙ってくるだろうな。あのコ、アタマがちょっとアレだから。ワタシはヤンキー漫画の中では生きていけないから。

 仁義も任侠も青春も、嫌いどころか大好きだけども、『勝利』の為なら必要無いものばかりだから。

 でも浪漫は持っておく。それがワタシのアイデンティティ。

 

 ワタシも歩いて出て行くとしよう。

 

 

「やっぱ居やがったか、トグロ。連れは何処やった?」

 

「やぁネル、そう睨まないでおくれ。彼女達ならVIPルームで眠ってもらってるよ」

 

「世話んなったな…じゃぁぶっ殺してやんよ!!」

 

 

 うお、怖いなぁもー。

 ネルの相手はワタシじゃないから。 

 

 

「リベンジです。先輩」

 

「やっぱ負けてんじゃん」

 

「貴女から眠らせてあげましょうか?」

 

「よし行け、頑張れトキ。今こそ勝利を掴もうじゃないか」

 

 

 いいよなぁパワードスーツ……作るだけならワタシでも出来るんだけど、求めてる性能は出せないんだよなぁ…

 それこそエリドゥと繋いだアビ・エシュフぐらいの能力がほしいんだけど、そうすると今度は操作が出来なくなるんだよ。いっぺんやってみ?アビ・エシュフの操作。心折れるてあんなん。トキもようやるし、出来る前提で作るリオも流石だな。

 

 今回は用意してないけど、似たような強化パーツは既に持ってたりするよ。ほら、移動補助やら攻撃補助やらで腕が足りねぇってなる事があるからね。持ってきてないのは、スペックが足りなかったから。相手がC&Cじゃなけりゃ使えたかもしれない。

 

 

“ヒマリから聞いては居たけど……トグロはこれで良いと思ってるの?”

 

「先生じゃないか。どうしたんだい、こんな場所まで来るなんて。オトモダチもこんなに沢山。アッチを見てご覧、ふてぶてしいメイド(トキ)小さな怪獣(ネル)が戦ってる。いつ流れ弾が飛んでくるか分からない、危なくなる前にお帰り?」

 

“答えて”

 

 

 そんなに怒気を発しなくて良くない?

 小粋なジョークで余裕を作っていこうぜ?

 

 そうしないと、ワタシの方がヤバイかも知れないから。

 

 

「…ワタシは……ワタシとリオは、向けられる目を理解して、納得しているんだ。世界が敵になろうが、後ろ指を指される事になろうが、この先を続けられるのなら本望だとも!」

 

 

 まるで舞台役者にでもなったかのような気分だ。今ならペラペラと、いつも以上に薄っぺらい言葉を紡げそう。

 

 ワタシは話すよ、あなたに助けてほしいから。

 

 

「どうして理解してくれないの…──なんて言うと思っていたのかい?…これで良いかって?良いわけが無いだろうが!!」

 

“っ!ならなんで”

 

「…ヒマリは『全てか無』を、リオは『大多数の幸福』を、それぞれ選んだのさ。相変わらず意見が対立する2人だよ。討論なら良いけど、口論にまで発展するしで、それをたしなめるワタシの気にもなってほしいものだね」

 

“私は、トグロの意見が聞きたい”

 

 

 そんな、もっとワタシを知りたいだなんて!

 もう、ワタシ照れちゃう。

 

 えっ?そんな場合じゃないだろって?

 だーかーらー、アタマの中だけでもふざけてないとワタシの心が保たないんだって。

 外面は取り繕ってるから別に良いだろうよ。

 

 

「しょうがないなぁ~先生は、じゃあ教えよう。ワタシはね『手の届く範囲の幸福』を望んだのさ。ワタシには2人のような才能があるわけではないからね、凡人が取れる選択肢は多くないんだ。死物狂いで手を伸ばした結果が、今のこの状況ってね。満足行く答えになったかな?」

 

“ありがとう、少しだけトグロの事が理解出来たよ”

 

「へぇ…そう……」

 

 

 こんなで理解出来るなら早うワタシ達を助けてよ、救ってくれよ。

 さっさと目の前の障害を払い除けてアリスの下へ行ってやれよ。

 

 

“最後に、アリスをどうするつもりなの?”

 

()()()()()()()()()、後でワタシがヘイローを破壊するよ。管理者の居ない危険物は、処理するしかないだろう?」

 

 

 伝わった?伝わったよな?

 信じるぞ、ワタシの言いたい事、気付いてるよな!?

 

 

“全員、戦闘準備。気を引き締めて”

 

「ねぇあの人だれ?先輩達は知ってたみたいだけど」

 

「私が知ってるわけ無いでしょ。見かけた事はあるけと…」

 

 

 そうだね、才羽姉妹とは始めましてだよね。

 アリスと会うためにゲーム開発部にも足を運んだ事は1度や2度じゃない、尽くお出掛け中ってなんだよどうなってるんだ。お陰で双子にも会えやしない。

 

 

「始めましてだね、才羽姉妹。ユズとは…オンラインではよく会うけれど、オフでは久しぶりだね。そうそうワタシも君達のゲームをプレイしたよ。前作は面白いくらいのクソゲーで、一周回ってハマってしまってね。お陰で当時部員の足りないゲー厶同好会を部へと格上げしてしまったぐらいさ。2の方は1度クリアしたから、今は100%クリアを目指してやり込んでいるよ。あいも変わらず狂った難易度設定で最高だね」

 

「みんな!この人いい人だよ!」

 

「ははっ、元気だね。どうかな、一緒にゲーセンにでも遊びに行かないかい?ワタシは対戦型のアーケードゲームが好きなんだ」

 

「うん!行こう!」

 

“モモイ…”

 

「お姉ちゃん…」

 

 

 打てば響くようなレスポンスの良さ。

 この子は逸材かもしれない。

 底抜けにポジティブなんだろうね。大人しい寄りのメンバーを引っ張ってくれるタイプか。

 

 そりゃアリス、怪我させた事を引きずるわけだ。

 本人は特に気にしてないんだろうけど、周りは気にするだろうな。

 

 

「……皆…トグロ先輩は、強いよ…」

 

「知ってるの?ユズ」

 

「う、うん…昔、寮に居た時に助けてくれた人…今の部室も、この人が用意してくれたから……」

 

「めっちゃ良い人じゃん!」

 

 

 ユズ以外は会ったことも無いけどね?

 当時は酷かったからなぁ…ゲームがつまらなかったってだけで開発者に襲撃とか、やるか?普通?リア凸からの罵詈雑言を浴びせ掛けて銃撃とかさ、そんなん見せられて気分悪いったりゃありゃしねぇ。

 

 それがキヴォトス、流石キヴォトス。

 倫理と治安が終わってる。

 

 身体は丈夫でも、心はそうじゃないってのを理解してない奴が多すぎる。

 

 

「そうやって言ってもらえるのは嬉しいけれどね?今、ワタシと君達は敵同士ってのを忘れないでほしいな」

 

 

 正直に言えば、ワタシはこの子達を倒す気がない。追い詰め過ぎて、先生が『大人のカード』なるモノを使う展開を避けたいからだ。

 大体、ワタシは最終的に目的が達成されればそれで良いわけで、過程が変わった所で痛手ではない。

 

 理想として、先生達がアリスを取り戻して、それでいてリオが笑顔でミレニアムに戻って来られれば文句無し。

 

 でも次点で、リオが自暴自棄にならない事だからね。そのためならアリスだって殺すよ?

 

 それはそうと目指すは最高の結末だ。適当に時間を潰したら先生をネルへ届けないと。

 いくらネルでも、アビ・エシュフを使いこなすトキ相手じゃ勝てないだろうからね、ひとまずは理想を求めるために道化を演じよう。

 

 

「少しずつ増やしていくから、スタミナの消費には気を付ける事だ」

 

 

 ドローンを8機飛ばして襲わせてみる。

 半分はミドリの狙撃で落ちた。なかなか良いエイムをしてるね、。

 

 次はリオのAMASも一緒に襲わせてみる。

 

 

「そーれ行くぞ―」

 

 

 ここからはもう波のようにね、下手に密集させすぎるとユズのグレネードに纏めて吹っ飛ばされる。かと言って広げた所で、意外と狙ってくるモモイの乱射に巻き込まれるし。

 

 ここまで来てるんだもんね、最低限の戦闘能力はあるみたいだ。やっぱり自分の目で見ておかないと、うっかり戦闘不能にさせたら本当にアリスを殺さないといけなくなる。

 

 

「次は……ん!はぁ~」

 

 

 アリスの精神に異常有り。

 非常警報が届いた。

 

 ワタシしかこれを知らないから、そうだな……様子を見に行くか。

 リオにはまだ黙っておこう。今すぐにアリスのヘイローを破壊しろって言い出しかねない。ワタシはまだ時間を稼ぎたい。

 

 

「ゴメンよ先生達。少し用事が出来てしまったから、ワタシはそっちの対応に向かうとするよ。今機械達の出撃指令を止めたから、しばらくすれば落ち着くんじゃないかな?それじゃ、健闘を祈ってる」

 

 

 後ろで何か言ってるけど、聞いてやる余裕は無い。

 さっさとアリスの所へ向うぞ!

 流石に1人で〈Key〉を相手にするのは厳しかったか?それとも、あの子のメンタルの問題か。ある程度の支援は用意したつもりだったけど、やっぱり直接見てないバックアップでは難しかったかな。

 

 タワーに戻って、直通の通路を通ってアリスが寝てる部屋へ。

 

 ……あ、C&Cの3人起きてんじゃん。

 部屋の鍵は開けないけど、お茶とお菓子は出しておこう。その紅茶、トリニティで賓客とかにも出す良いやつらしいぞ。

 すげー混乱してる。アスナがカメラに気付いた、手振ってるわ。うん、分かった。すぐにケーキ出すから待っててくれ。

 

 なんかいらん世話焼いた気がする。

 さて、アリスの様子はいかがなものか

 

 

 


 

 

 

「あぁ〜ね、なるほど」

 

 

 フルダイブ系のVRが原型だからな、一応モニター越しに映像として投影出来るようにはしてあるんだ。やっぱ使ってる奴が、中で何してるか気になるし?

 

 

『何度も同じ事を言わせないで下さい、王女よ。在るべき場所へ、本来の玉座へ向かうだけです。私はそこへ導き、手助けする存在。王女の敵ではないのですよ』

 

『知ってます!貴女はもう一人のアリスです!』

 

『違います。私は王女を導く為の『鍵』です』

 

『内なる闇ですね!』

 

『『鍵』だと言っているでしょう!!』

 

 

 外野からすれば愉快な会話を繰り広げる。

 やってる事は主導権の奪い合いだけど。

 

 ATRAHASISの実行の権限自体はアリスが持ってて、〈Key〉はそれの補助まで。出来ても実行の手前までで、権限の解釈で障害の排除ぐらいは可能…と。

 そして基本的に全ての主導権はアリスが握ってる。

 

 この状態のままだったらヒマリの言う通り、かわいい後輩で済むのになぁ。

 こうしてAL-1Sの主導権を奪おうとしてるのをみると、世界を終焉に導く兵器ってのも納得がいく。

 

 その上、現状では精神世界でのアリスが劣勢か。

 目覚めたばかりの子供と、初めから()()()()と作られたAIでは扱える情報量に差がありすぎる。

 

 

『ならアリスも、アリスのクラスは王女ではありません!勇者です!!』

 

『なぜそこまで否定するのですか?王女…ですが、役割とは遂行されるもの。暫くの間、休んでいて下さい…───(あかり)を!』

 

 

 なんてこった、コレは参った。

 〈Key〉がアリスを抑えて主導権を握る。

 

 とか分かり切ってた事、ワタシが見過ごすハズないでしょう?

 

 全く誰がこのダイブ装着を作ったのかと、忘れてもらっては困るんだよね。お手製のモノには、細工を施さずにはいられない。浪漫を込めずにはいられない。

 蛇足を生やさずにはいられないんだよなぁ。

 

 

   警告

 精神ダイブ装着:揺り籠の使用者へ、過度な負荷を掛ける行為は禁止されています。強制ログアウトまで5…4…3…

 

 

『……はぁ?…あの女の仕業か…!』

 

「正解さ、『鍵』ちゃん。君も少し頭を冷やすと良い」

 

『待ちな── ログアウトを実行します

 

 

 うん。

 もしかしてコレ、大成功なんじゃない?

 

 アリスと〈Key〉を分離出来たんだよね?

 後は〈Key〉をどうにかするだけで良いんじゃね?

 

 

「おかえり、アリス。気分が良くないみたいだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 そもそも、開きもしないんですけど

なんも思い付かないから、参考までに……

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