どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 ネタは浮かぶのに、まるで筆が進まない。
 なぜなら、基本的に読む方が好きなので、面白い話が多い方が悪いですね。


異物混入不起訴処分

 

 

 

「今日も暑いですから、お気を付けくださいね。行ってらっしゃいませ」

 

「いえいえ、ここは木陰になっていますし、風も通りますから大丈夫ですよ。ありがとうございます」

 

「急患ですッ!とりあえずお水くださぁい!!」

 

 

 

 良い子のみんな、こんにちは。

 ワタシだ、赤蛇トグロだ。

 

 今日はね、──トグロちゃーん、飲み物の追加をお願いできる?」

 

「オッケー、事務所でいいかい?」

 

「それが切らしてるんだって、近くのお店まで車出してもらってもいい?」

 

「りょー」

 

 

 さてと。

 今日はね、トリニティに来てる。

 

 クソ暑い夏が始まるからね、ヒナタちゃんに呼ばれて夏のイベントに参加してるよ。いやぁ~コレは初参加なんだよねぇ、結構楽しみにしてるぜ。

 

 夏のイベント。その名も『給水所』。その設置だ。広い場所ではちょっとしたレクリエーションとかゲストを呼んだイベントもあるよ、そっち側で呼ばれたと思ってたんだけど、なんかシスターフッド側に入ってる。つまりは設営側だね。

 もっかい言うけど設営だからね、準備段階だからね。まだ始まってもいないよ?

 

 イベントは大好きさ、楽しいからね。

 それにワタシは、その準備も楽しいし、片付けだって楽しく思えるタイプだから別に問題ない。

 

 それはそれとして、誰か部外者(ワタシ)がシスターフッドの活動に混ざってるコトに対してツッコミを入れてくれ。

 なんか当たり前のように着替えて、給水所設営の説明を受けて、当然の如くグループに振り分けられて、みんなに混じって設営作業に勤しんでるワケよ。ちなみに副班長だぞ?班長はヒナタちゃんだ、愛され班長…ハンチョウか、クセになるよな、あのシリーズ、漫画もアニメも実写も全部すき。語っていいか?ダメ?今じゃない?それはそう。

 

 

「ありがとー!えっと…いたいた、ヒナタちゃーん!一緒に行っといでー」

 

「あ、えと私は班長なので…あまり離れる訳には…」

 

「大丈夫大丈夫、もうほとんど終わってるし!それにヒナタちゃんが1番頑張ったんだから、そのまま休憩しておいでよ。みんなも良いよね?」

 

「いーよー!あっトグロちゃん、戻って来る時にアイスよろしくー」

 

「わたしもー!」

 

「おっしゃーまかせろー!」

 

 

 確かに。シスターフッドは大人しい良い子ちゃんが多いのは間違いない。

 が、別にいわゆる陽キャと呼ぶような、元気に明るく社交的な子がいないワケじゃない。他の部活とか組織よりも少ないだけだ。

 そしてシスフに居るそういう元気な子は、何故かヒナタちゃんの周りに集まりやすい。多分ヒナタちゃんは誘蛾灯か何かなんだと思う。ノリに慣れてないだけで根は明るいし、たどたどしいながらも本人も楽しんでノッてくれるから一緒にいて楽しいし、そして何より、めちゃくちゃ良い子で守ってあげたいと思えるのが良いよね。

 初めて会ったシスターフッドがヒナタちゃんで良かった。サクラコも良い子だしさ…ほんとに、シスターフッドはワタシの癒しだよね。最近はマリーも笑顔で駆け寄ってきてくれるし、本格的に誰か一人ぐらい持って帰る計画を立てるべきか悩んでる。

 

 今度イチカかツルギちゃんに相談してみよう、きっといい案を立ててくれるハズだ。ダメなら…正実の誰かを持って帰るか、本人達を連れて帰るか、スズミを拉致るしかない。

 

 なんて冗談4割で考えながら、作業に区切りをつけて車を呼び出しておく。近くに停めてるからね、もう見える位置まで来てるぞ。

 ちなみにここは、トリニティの校舎から1番離れてる公園だな。

 あと全員3年生だ。トラブルがあっても手が届きにくいから、対応力の高いヤツが集められてるんだ。

 

 ワタシ、初参加だけどな?

 

 

「で、では行ってきます。皆さんも、ちゃんと休憩してくださいね?」

 

「おー行ってくるぜー!」

 

 

 シスフのギャル…ギャル?別に服装は………ちょっと派手だけどちゃんとシスターしてるし、メイクもしてるけど常識の範囲内だし…外見はオシャレに収まってるし、…ギャルってなに、哲学?

 

 心のあり方かな。 

 最近、ゲヘナで光のギャルに出会ったから、今度聞いてみようと思う。一緒にご飯食べてカラオケ行ったぞ、あっ名前聞き忘れた。まあいいか。

 

 

 

「そんじゃヒナタちゃん、買い出しに行こうか」

 

「はい。よ、よろしくお願いしますね」

 

 

 ヒナタちゃんを助手席に放り込んで、近くのお店に向かって車を走らせる。涼しい車内はスバラしいねぇ…ホント、まだ夏始まってないだろ…えっ始まってんの?やめてくれよ、ワタシは………どちらかと言えば夏の方が好きだったな、うん。冬はね、寒いからね。

 

 

「あ、あのトグロちゃん…給水所のローテーションを、少し相談したいのですが…」

 

「下級生の配置だっけ?」

 

「はい。その、同行していただく方を選ばなくてはいけないのですが…」

 

 

 あぁ~…これはサクラコが悪いだろ。

 ヒナタちゃんに人を選べってのは結構なストレスじゃない?いや、最上級生だしやってもらわないとってのはそうなんだろうけど…それこそ他に適任いただろうに。

 

 まぁでも、ヒナタちゃん。

 もうちょい上から命令しても許されるぐらいには立場強いからなぁ〜、サクラコがいない時の代理を務めてるし、ソレに対して誰も異を唱えない程度には信頼も厚いし。

 

 

「ん~…候補はあるのかい?」

 

「は、はい。コチラの方達です」

 

「オッケー、車を停めたら見るね」

 

 

 もうすぐお店に着くからね、運転しながらは流石に見ないさ。事故ってもいいけどさ、ヒナタちゃんにケガさせたくないじゃん?

 

 ほい、到着。

 

 

「んじゃ見せてね〜」

 

 

 いや、コレはダメだろ。

 

 

「…ヒナタちゃん。ワタシはシスターフッドじゃないぞ?」

 

「へ?………ああ!ご、ごめんなさい!!すぐに作り直します!」

 

「それはしなくて良いんじゃない?サクラコちゃんがなんて言うかだけど、ワタシは参加してもイイと思ってるからね。ワタシを抜いたメンバーを考えるなら、2年生をもうちょい増やしても良いと思うよ」

 

 

 ローテーションの中に、ワタシの名前が当たり前のように入ってるのなんでさ…。

 

 ていうかさ、そのリアクションからしてヒナタちゃん…

 

 

「あ、ありがとうございます。…その、そう言えばトグロちゃん…ミレニアムの方でしたね……」

 

「やっぱし忘れてたか。じゃあ給水所の設営でワタシ呼んだのって」

 

「あ、えっと…えへへ」

 

「かわいい」

 

 

 ヒナタちゃんも、とうとうワタシへの誤魔化し方を身に着け始めたよね。ミカがシスターフッドに来る時に話してるのは知ってたけど、まさかこんな特攻技を伝授していたとは…恐るべし美少女だ。

 

 仕方ない。

 ここ大人しく笑って誤魔化されよう。

 ワタシが部外者だって忘れてるヤツ、他にも多そうだから…

 

 それにな、自然に身内認定されるぐらいには信用してもらえてるってコトだろ?

 そんなん、嬉しいに決まってる。

 

 

「んじゃ買い物を済ませちゃおうか」

 

「はい。行きましょう」

 

 

 まあ実際、買い物自体はすぐに終わったよ。ドリンクと細々した備品の追加だからね、お店の中の商品の配置だって知ってるし、迷う事もないさ。

 

 ちゃんとアイスも買ったぜ?

 ちょっとイイやつをな!

 

 ワタシも食べたいし、ヒナタちゃんがそこのお店のを食べたコトないって言ったからね。

 

 

「はむ…ふふっ、美味しいですね」

 

「そうだね、幸せだよ」

 

「?…トグロちゃん、まだ食べてませんよね?」

 

「はっはっは!」

 

 

 こんな会話を続けながら、設営場所に戻った。そして買ってきたアイスは一瞬で食い尽くされた。この子等、イマサラ遠慮しないからね。

 

 

「っはー生き返ったー!ごちそうさま、ありがとね~」

 

「おうよ、留守番サンキュ」

 

「イエイ!…にしても2人ともちょっと遅かったね〜。さっきまで先生が居たんだけど、入れ違いになっちゃった」

 

「そんな日もあるさ」

 

 

 ここに?確かにこの道沿いはシャーレからトリニティの最短ルートになってるが…え、あの距離を歩いて来たの?違う?あぁ、車乗ってきたんか。使ってくれてるんだ、よかったよかった。

 流石に歩いて来てたら説教するからな。熱中症で倒れるぞマジで、ただでさえヘイローのない虚弱体なのに、ムチャすんじゃねぇって。

 

 んで、先生のコトは別にイイよ。置いておこう。

 

 

「あの、皆さん?本当に休みましたか?わ、私言いましたよね?きちんと休んでくださいって、あれ…言ってませんでしたか…?」

 

「あ、あはは…まぁいいじゃん?ほら、設営かんりょー!今日はここまで、あとは救護騎士団におまかせってね」

 

「そうそう、早く終わったんだから良くない?ヒナタちゃんだって暑いの苦手でしょ?」

 

「たしかに、暑いですし設営が早く終わる事は喜ばしいと思います。ですが、そうではありません!だからこそ、例年よりも長く設営の時間をとっているんです。だからこそ、本格的に暑くなる前に設営を始めたんです。皆さんが倒れてしまえば…私は悲しいですよ…?」

 

 

 珍しくプリプリ怒ってるヒナタちゃんに癒やされながら、ワタシは残った機材の片付けを進めておく。持って帰る物、置いておく物を仕分けて、交代で来る子達の為に冷蔵庫とかお菓子とかをセッティングしてるよ。

 今居る子達の分は無いけど、学校に戻る時に寄り道する予定らしい。お店は知らない。案内を楽しみにしてるぜ、どこ行くんだろうね〜。

 

 

「へいへいヒナタちゃん。そのへんにしようぜ、準備は終わったんだよな?」

 

「あっと…ご、ごめんなさい、すぐに確認しますね」

 

「うん。終わってるはずだよ~っと、ふぅ…つかれたーッ!」

 

 

 ぐぃ〜〜っと伸びるのを待ってから、帰りの運転を頼む。どうせ行く場所を教えてくれないから、いっそのコト運転してもらおうと思ってな。

 まぁ、最初からそのつもりだろうけどね。この場の子達みんな、運転出来るし。

 

 

「おっけー!任せといて!わたしから言うつもりだったけどね~」

 

「んで、どこ行くんだい?」

 

「ナイショ」

 

 

 だろうね、知ってた。

 

 そろそろヒナタちゃんの最終チェックも終わりかね?

 あ、撤収準備も終わってんのね。ありがと。

 

 ちなみにだが、この給水所の実稼働はもうちょい先になる。たしかに最近だいぶ暑くなってるが、本格的暑くなるのはまだ先だ。

 いちおう、今日からシスフと救護騎士団から何人かが交代で給水所に待機してくれるから、トリニティで困ったら声掛けてみるとイイぞ。給水所だからって、別にドリンクだけじゃないからな。みんな良い子だから、普通に出張告解室みたいに使っても問題ない。まぁ、数人しか待機してないだろうから、緊急時はそっちにかかりきりになっちまうけど、

 

 

「そう言えばトグロちゃんさ、サクラコ様から何を頼まれてたの?」

 

「んー、小型空調機と冷蔵庫、ミスト散布装置とか色々。空調機以外は今日設置してくれたヤツだな」

 

「空調機は?」

 

「まだ数が揃ってないからなぁ、来週までには全員分揃えて持ってくるから待っててくれ。わるいね」

 

 

 まさか空調機を注文されるとは思ってなくてなぁ…そもそも非売品だもん、コレ。

 エイミに制服のコートぐらいは着てほしくて作ったヤツだし、持ってるのはその関係者と先生くらいか。流用パーツの少ない完全限定生産品だ。

 

 ……流石トリニティ、お嬢様学校だよな。サクラコに見積もり書渡して、その日の帰りに全額振り込まれてた。

 正直、人数分作って貸し出しにしようと思ってたから買い取りは断ろうと思ってたんだよ。でも、遅かった。断る前に振り込まれてた。

 そうなっちゃうとさぁ…やっぱナシとか言えないじゃん?ワタシ達の個人間ならまだしも、鉄蛇への注文だったし信用に関わってくるからな。

 

 この辺の詳細はサクラコと相談して、色々詰めたぞ。救護騎士団も関わるから、団長ちゃんも呼んでの商談だったな。なにげにサクラコと仕事の話するの初めてだったし、サクラコも団長ちゃんも、組織のトップやってるだけあって滅茶苦茶やりやすかった(手強かった)な。

 あの子達を相手に利益率を上げようとした商売をする時は、相当に骨が折れるだろうね。まあ普通にやる分には問題ないさ、問題のある内容を提示しなければ善良な相手だから。

 

 

「あ、やっば…今日のトグロちゃんの車ってマニュアルじゃん!ごめんちょっと運転代わってもらってくる!」

 

「おういってら」

 

 

 実はもクソもないが、売ったり貸したり譲ったりする為に結構な台数の車をイジったり作ったりしたんだが…楽しくなっちゃってさ、今6台ぐらいプライベート用の車持ってんだよね。そして、この子達が車の見た目で中身がどんなのか分かるぐらい乗り回してるし乗せてる。

 

 そういやこの前、とうとうトリニティの敷地内に駐車場を貰ったぞ。っていうか、大聖堂の裏に新しく用意してくれた。たしかに少し離れた駐車場から歩いて敷地内に入ってきてたけどさ、ここまで良くされるとなんか申し訳なく思えてくるよね。だからお礼に、何台か新しい車持って来て、シスターフッドの車を整備しておいた。資材管理を担当してる子がめっちゃ喜んでくれたよ、ワタシも嬉しい。

 

 

「そ、それでは行きましょうか。ふふっ、今度は私が運転手ですね」

 

「よろしくね、ヒナタちゃん」

 

 

 意外にもヒナタちゃんは運転出来る側の子だった。ミッションの運転出来るのは知らんかったわ。どうしよ、ゴリッゴリにレースチューンしたじゃじゃ馬スポーツカーとか運転させたいな、なんか似合いそうじゃない?

 

 よし、決めた。次はソレ作ろう。

 そしてヒナタちゃんに運転してもらおう。なんか想像したら楽しくなってきたな、こうなったら見た目にもこだわりたい。こりゃ大仕事になるぞ。ヒナタちゃんをモチーフにして、カッコいいとキレイの2つを並び立てねぇとな。

 え、ヤバい絶対に映えるじゃんそんなん。衣装も用意するか?いや、ここはあえて普段通りにシスターのままでってのもいいな…夢が広がる…!!

 

 

「トグロちゃん?どうかされましたか?」

 

「今度ヒナタちゃんにプレゼント持ってくるね」

 

「へ?あ、はい?えっと…ありがとうございます?」

 

 

 しばらくの楽しみが増えたぜ。

 さっそく帰ったらベース車両を探さねぇとな。一から作るのも悪くないが、そこまでのノウハウは持ってないからな。今回は見た目メインだし、中身は最低限レースに持っていけるだけのスペックがあれば良い。

 

 …最低限レースってなんだよ、バカじゃん。

 

 でもそれでやるけどな。

 だってカッコいいじゃん。ロマンがあるじゃん。

 

 

「──あっ、はい!今行きます!トグロちゃん、私達も行きましょう」

 

「あっごめん、すぐ行く」

 

 

 浮かれてたわ、頭ん中にデザイン案と設計図しか無かったもん。

 

 

 さて、どこへ連れてってくれるんだい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 行き先は、ハーブティーを主体にした喫茶店だった。

 お土産の茶葉とクッキーを買ったぞ。

 

 …でもごめんな、その店、何回か行ったことあるんだ。

 

 それを伝えたら、なんかめっちゃ悔しがってた。今度こそワタシの知らない店に連れて行くって意気込んでたな、楽しみにしておこう。

 まあワタシからしたら、知らない店に行くよりもキミ達と一緒に出掛けられる方が嬉しいんだけどね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 最近気付いたのですが、私生活のストレスが高い方が良く書けるんですよね。現実逃避か…

なんも思い付かないから、参考までに……

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