どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 心配だから、部屋に閉じ込めた。


√過奪

 

 

『なんかもう、どーでもよくなってきた。』

 

 

 そう思えば行動は早かった。

 

 もとより大切なモノなんて無い。今更なんの未練も残ってなんていなかったから。

 

 退屈でつまらなくて、一切の興味が湧いてこない。

 

 じゃあもう捨ててしまおう。

 全部壊してまっさらな状態にして、スッキリさせよう。ごちゃごちゃしていて目障りだから、一度リセットさせてから考えよう。

 

 …こうならないタメに、沢山『大切』なモノを作ったのにな。

 

 だからさ、先生。

 

 

「そこ、どいてくんないかな?」

 

“それは出来ないかな。トグロ、どうしてこんな事をするの?”

 

「こんなって…どれのコトだ?ミレニアムを燃やしたコトか?トリニティに爆弾を降らしたコトか?ゲヘナで戦争を始めたコトか?あぁ〜、シャーレを崩そうとしてるコトかな?」

 

 

 色々やったな〜、どれも厄介なヤツに邪魔されてさ、完璧には成功しなかったんだよなぁ…あと何回仕掛けたら上手く出来るのか、あと何回で疲弊するのか。根比べになってるんだよね。

 

 先手が取れてるから、ワタシの方が有利だし。もうちょっと粘ってみようと思うぜ。

 

 

“そうじゃなくて。その理由を聴かせてほしい。君は、こんな事をする子では無かったはずだよ”

 

「それは買い被りだな。ワタシは元来こんなもんさ。作るよりも壊す方が得意で、自分のタメなら労力を惜しまない。自己中心的なクズ野郎さ。んで、なんでやってるかって?……そりゃあ、先生が取り上げたんだろ?ワタシが壊さない理由を、壊せない理由を、壊したくない理由を」

 

“私が、取り上げた…?”

 

 

 そんな不思議そうな顔すんなよ。

 切迫した雰囲気がなくなっちまう。

 

 ホントに先生、心当たりってないの?それはちょっとショックだわ〜、ワタシだってキズ付いちゃうわ〜。

 

 

「ウッソだろ、ホントに心当たりない?ほら先生、頑張って思い出して、ほら頑張れ頑張れ」

 

“……”

 

「しょーがないにゃあ…正解を教えてあげよう。先ずは1つは『研究』だな。危ないって言って、資料も成果も根こそぎ持ってったろ。アレはワタシのライフワークでアイデンティティで趣味だったのさ。持ってかれるならトモカク、『研究』そのものを禁止されちゃあ…困っちゃうよね」

 

 

 せっかくベアおばから色んなモンをパクったのにさ、片っぱしから没収されるわ研究資料も持ってかれるわ施設は閉鎖されるし、挙句は研究禁止ってもう…やる気湧かなくなっちゃうって。

 

 え?そりゃあ言われたら守るさ、先生がどう言うつもりかは知らんが、シャーレからの指示ってのは強制力があるからな。あと、物理的に色々封鎖されたし。サスガに施設へのハッキングも出来ないレベルで塞がれると、手出しできねぇって。

 

 

“でもそれは…”

 

「危険だってか?んなこたぁ分かってんの。でもさ、なんでもかんでも禁止ってのは無いだろ。せめて監視ぐらいで妥協してほしかったね」

 

 

 しかも監視付き。ワタシが勝手に研究を始めないか、シャーレに四六時中監視されてちゃあ困ったモンさ。プライベートなんて合ったもんじゃねぇ。別に見られるのは構わないが、自由を奪われるのは許せねぇ。そりゃ脱出だってしたくなるだろ。

 反省室に入れられたコユキの気持ちが分かっちゃうぜ。

 

 

「まぁ、臭い物には蓋をしたいからな。うん、先生の気持ちも理解するさ。管理下なら心配ないもんな」

 

“違う!そんなつもりじゃ──

 

「んで次の理由な。行動制限だけならまだ良かったんだ。ちょっと昔を思い出すくらいで、監禁生活自体には不便が無かったワケだしな。やる気が出なかろうが、まあ受け入れたさ。でも、コレだけはやっちゃダメだろ」

 

 

 ワタシが、何のために『研究』を続けてきたのか。

 ワタシが、何のために生きてきたのか。

 

 先生が知らないハズないだろうがよぉ…ワタシ達からアリスを取り返したじゃん。リオがミレニアムに戻れる様に協力してくれたじゃん。

 なんであんなコトをしたのか、話したじゃん。

 

 それなのに、それなのに

 

 

「なんで誰とも会っちゃいけねぇのさ、会話くらいさせてくれよ…せっかく()()()ヤツ等と仲良くなれたのに。『友達』にも会えないのは、悲しいじゃん…」

 

“それは、トグロがゲマトリアに会いに行こうとするから!”

 

「それはまあ…うん。でもヒマリ達くらいには会わせてくれよ」

 

 

 ヒマリとかリオとかチヒロとかもさぁ…会いに来てくれても良かったと思うんだよね。声ぐらい聴かせてくれよ、通話なら先生に言えば通してくれただろ。ワタシからは却下されたけど。

 

 数日数週間程度ならまあイイけどさ、ここまで放置されるとこう…くるものがあるよね。外の様子とか見れなかったし、時計も無かったから時間は分かんなかったけど。サスガにおかしくなりそうだったわ。

 

 アイツ等にとって、ワタシってその程度の存在だったんだって。

 なんだ、別に居ても居なくても変わんない程度のヤツだったんだって思っちゃったよね。

 

 ワタシって、要らないんだって。

 

 

「まあ、会いに来てくれないのは許そう。相手の都合ってのもあるし、そこまで自惚れるつもりもない。でも先生、ワタシから大切な『友達』まで奪ったのはサスガに許せねぇのよ」

 

“トグロ…”

 

「さて、時間稼ぎに付き合ってやったが…そろそろイイか?」

 

“そうだね、おかげでみんな揃ったよ。それじゃあ続きは捕まえてから聴くね?”

 

「はっ、やってみろよ。全部ぶっ壊してやるから」

 

 

 おぉう、各学園の最強格が勢揃いだ。

 

 イイねイイね!

 コイツ等の潰せりゃ、一気に風通しが良くなりそうだ。

 

 

「ヤッホー、ネル。久しぶり!」

 

「トグロ、テメェなんで…!だぁクソッ!とっちめて話聞いてやるから覚悟しやがれ!」

 

 

 『大切』を手放して身軽になったワタシは、壊さない様にとか繊細なコトは考えねぇぞ?

 

 今さら恥も外聞の無いし、色々壊してスッキリしよう。

 ナニも気を使わないでイイって、すっごい気が楽だなぁ!

 

 

「そんじゃ先生。ネル達も、死んで?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 安心して下さい。
 多分無い世界線の話です。

なんも思い付かないから、参考までに……

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