どうせなら、笑っていようぜ。 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
赤蛇トグロは動く。
「やぁ、みん…な…、あれ?なんか人多くない?」
「それはそうでしょう。さあ、早く支度してください。皆さん、トグロちゃんを待っているんですよ」
「んん?」
良い子のみんな、こんにちは。
ワタシだ、赤蛇トグロだ。
今日はね、と言うか今日もトリニティ。シスターフッドに来てるよ。みんな可愛いね、幸せ。
さて、ワタシがやる事は簡単だ。告解室に入って、順番にお悩み相談をする。内容によっては割とガッツリぶった切っても良い。たまにうっかり素で暴言吐いちゃうけど、それも許されてる。みんな優しいね、好き。
事の発端はそう…どこぞの漫画家みたくキョーミ本位で開いてた小部屋に入ったら、なんか懺悔やら相談やらが持ち込まれたのさ。
違うトコロは、始めから間違って入ったって言ったコトだな。なんか、それでもイイから聞いて!って言われたから、そのまま流れで今日に至る。
「それにしても皆さん何故、トグロちゃんが告解室に入っている事をご存知なのでしょうか?」
「それは多分、ワタシがカーテンを開けっ放しにしてたからだね」
「…ちゃんと閉めてください。まあトグロちゃんなら大丈夫だとは思いますが」
「まぁ…話の7割以上がただのお悩み相談だからね」
告解室やぞ、告解しに来いよ。
罪の許しを求めに来てくれ。
なにがソシャゲの高レア出ないから代わりにガチャ回してくれだ、なにが最近フライパンに料理がくっつくだ、なにがよく消える消しゴムはどれだ。
知らねぇよ!勝手に回せよ確率だろ、買い換えろよ、冒険せずに大手メーカーの看板商品使えよ。なんでワタシに聞くんだ!?
みたいな内容ばっかりだからね…
ここ、大喜利会場だっけ?
だから、ワタシからもそれ相応の対応をするんだ。文句は受け付けないぞ。
「はーいチューモク!今日は集まってくれてありがとね、半分は遊びに来てるでしょ?帰ってもいいよ!それじゃあ順番にお話を聞くからね、入っておいで」
「ではトグロちゃん、本日はお任せしますね」
「おうとも。サクラコも会議頑張ってね」
サクラコちゃんの姿が見えなくなると、トタンに雑談が増える。やっぱみんなちょっと勘違いしてるよね、サクラコちゃんのコト。あの子、めちゃくちゃ優しい子やぞ。一個人として接すれば大抵のコトは笑って許してくれるぞ?
シスターフッドの長として話したときは、まぁ…うん。立場があるからね。それは仕方ないよ。
あんな愛らしい笑顔が怪しく見えるとか、人間不信が多すぎるよねトリニティ。もうちょいゲヘナを見習おうぜ、気楽に息が出来ると思うよ。
「最初の子、入っといで〜」
そんなワケで、ワタシも相談対応窓口を始めよう。
今日は長くなりそうだ、泊まりは決まったな。
「1コメ」
「は?」
え?なに?
「よし!」
ヨシ!じゃねぇよ、ナニしに来たんだコイツ。
え、待ってホントに帰んの?
…マジで帰りやがった……
告解室にコメント残していきやがった…場所間違ってんだろうが、せめてガチャの結果くらい教えてくれよ。あの後どうなったんだよ…
出鼻をくじかれたが、気を取り直していこう。
次は誰が来るかね?
コッチから向こうの顔は見えないから、まともな相談であるコトを祈るしかない。
「1コメ」
「2人目ぇ!」
やっぱそうなるよな!知ってるよ、最初のヤツと仲良いもんな。
「そ、そんな…!『1コメ取られた、低評価』っと」
「クソコメを残すな、告解室やぞ」
コレやりたかっただけだろ、その為だけにココに来てるんか?暇人かよ。ホントにコイツ等お嬢様かよ、ノリがオタクなんだよなぁ。入る学校間違えてるって。
アレで救護騎士団ってナニカのバグだわ。ハナエちゃんにチェーンソーをプレゼントしたのアイツ等らしい、ぶっ飛ばすぞ。マジでビビったからな、アレ。
「あっははは!…じゃあ、帰るね」
「はぁ…じゃあな。またミレニアムに遊びに来いよ。オマエ等と仲良くなれそうなヤツを紹介してやるから」
「その時はよろしく!またね〜」
はぁ…なんか疲れたな…
まだ2人しか来てないんだけど、後何人来るのか。少なくとも、聖堂のイスが埋まる程度の人数は間違いないな。
気合入れていこー!
「やあトグロ。先日ぶりだね」
「セイアじゃん、何か悩み?」
知ってたさ、最前列に居たもんね。見えてたよ。君の周りだけ少し空間が出来てたもんね。トリニティのトップが気軽に一般生徒に混ざらないでもらえるかな?どうしたらイイのか分かんなくって混乱してたよ、周りの子達が。
……アイツ等、コレを押し退けて1コメ言いに来たんか…度胸あるな。
「いやなに、大した事ではないさ。以前のお礼も兼ねてネルやリオ達を招待したいのだが、如何せん都合が合わない事が多くてね。ならばまた、私がミレニアムに出向うにも、暫くは大人しくしろとナギサに止められているのだよ」
「仕事しな?ナギちゃんさまが困ってんじゃないの?」
「失礼な。ミカと違って私はきちんと終わらせてからこの場に来ているとも」
「ミカも来てるのかい?見てないけど」
「後で来ると言っていたから、その内来るだろう」
あ、この子喋りに来ただけだわ。
セイアはこの前の博覧会にトリニティ代表で来てて、そん時に仲良くなった。なんかリオとネルと一緒に楽しそうな事してたから、ワタシもそっちに参加したんだ。楽しかった。
元々ミカ経由で、セイアとナギちゃんさまには挨拶してるんだよ。ほら、トリニティの学園祭あったじゃん?そん時に軽く顔見せはしてる。あんなデカいイベントなだけあって、ティーパーティーも忙しくってね、ホントに顔見せだけで終わったから全く喋ってないけど。アイドルやってるサクラコちゃん達は最高だった。
ミレニアムではタイミングが良かったね。お客様だったし、博覧会事態それなりにゆとりのある日程だったから。あとこの子、聞いてた以上にお転婆でビビったわ。ずっと療養生活だったんじゃないの?ミカに連絡して聞いたら、帰ってきたらお説教だって言ってたし。多分されたんだろうなぁ…だってミカが笑って教えてくれたからね。
脳内はこんなだが、ワタシも答えていこうか。
「招待するのならワタシの方から日程を伝えておくよ。だいたい1週間くらい前に教えて貰えると、確実にスケジュールを合わせられる。それともセイアが来るかい?リオもネルも、セイアと同じで気軽にミレニアムを離れられないからね。来てくれればアスナやカリンも喜ぶだろうし、博覧会には並ばなかった物も見せられる。アイツ等全員と会えるかは保証出来ないが、いつでも歓迎するよ」
「ああ、それも良いね。トグロが迎えに来てくれるなら許可も出るだろう。ナギサに相談してみるとするよ。だがやはり、私としてはトリニティでもてなしたい気持ちもある。折を見て、こちらから連絡させてもらうよ」
「分かった。リオ達にはワタシからも伝えておくね」
だいぶ仲良くなってたもんな。特にネル。アイツめっちゃ気に入ってたな。ちっちゃいものクラブって呼んだらボコボコにされた、ついでにセイアからはボロクソに言われた。心も体も傷付いたよね。事実陳列罪ってヤツだな。
「あぁそれと、ナギサが改めて君に挨拶をしたいと言っていたよ。お茶会への誘いだ、空いている日を…いや、案内を寄越すから、今日のコレが終わったら来てほしい」
「どれだけヒトが来るか分からないから、明日には出来ないかな?あと、スケジュールならミカに渡したハズだけど」
「そうなのかい?私達には届いて居ないが…ミカの奴め、忘れているな。いや、わざと渡していないのか」
なんか納得してる。
そしてミカ、ちゃんと渡してくれ。あれ割りとダイジな書類なんだ、正式なヤツなんだ。ちゃんと渡さないと、ワタシがセミナーに怒られるタイプのヤツなんだ。
「理由が気になっている様だね。姿は見えないが、そのくらい分かるさ」
うん、確かに気になってるけどさ…そろそろ帰ってくんねぇかな。オマエ特に話したい相談とか悩みとかないだろ、あってもワタシに話せる内容でもないだろ。ホントに喋りに来ただけなんだろオマエ。
さてはセイア、仕事サボるついでに来てんな?
「最近のミカは非常に機嫌が良くてね。シャーレで先生に会うのもそうだが、君と遊びに行く事も多いだろう?半ばティーパーティーの業務から外れている事もあって、ミカは今、過去最高に自由を満喫しているのだよ。まぁその分、ナギサや私に振り分けられる仕事量が増えた訳だがね…とは言え、私は元々の体質の事情もあってあまり量は多くないからまだマシさ。ナギサは…うん、そうだね。頑張って貰う他ない。彼女の派閥は人材の層が厚いし、あまり大きな問題はないだろうが…。それで私達が揃って居る中で、ミカは『何処どこへ行く』だの『アレそれを見て来た』だのとよく話していてね。私もミレニアムに行くまでは半ば聞き流していたのだが、いざ自分で行動するとミカの気持ちも分かるというもので、聞いていた情報と体験した情報は語る時の刺激の強さが違う。コレがまた楽しくてね、つい話し過ぎてしまうのだよ。いやはやミカの事を悪く言えなくなってしまったが、まぁ今の方が楽しいと胸を張って言えてしまうのだから──」
なっが。
この子こんな喋る子だっけ?
なんか会うたびに元気が増してる気がするんだよね、初対面の時はこう…もっと穏やかなで物静かな感じだったと思う。アレだ、ネルの影響だな。きっと知能指数も落ちてるに違いない。怪獣予備軍として警戒しておこう。
さて、ヒマリばりに長い話をしてるセイアを置いといて、告解室の外で待機してるであろうティーパーティーの付き人を呼ぼう。セイアにはお帰り願う。まだ3人目だからね、雑談に時間を取られるワケにはいかんのだよ。
そっとカーテンから顔を出して…あ、いたいた。
「へい、そこなかわい子ちゃんや。サアヤちゃんや。君が今日のセイア様係だよね?…うん、じゃあよろしく頼むよ。あとコレがこの前言ってたミレニアム産の紅茶とお茶菓子、みんなでどうぞ」
「うん?まて、まだ私の話は終わっていないぞ?あ、こら引っ張らないでくれ。なに?トグロの指示だと?どうなっているんだトグロ、君は客を追い返すような──」
「ばいばーい」
よし!
「次の子どーぞ」
この後、悩みとか愚痴とか相談とか色々話を聞いた。
特別変なヤツはこれくらいだったな。
他にインパクトがあったのだと、ダイエットメニューを聞かれたり、恋人が出来たって報告されたり、パン焼いたってお裾分けを貰ったり、ペロキチが謎のモニュメントを担いで告解室に入ってきたり、幽霊を見たって報告されたり、ミカがロールケーキを持って来たりしたな。
完全に日が落ちちゃったね、アトリエに泊まるしかねぇな。ミレニアムに帰ってたら夜中になっちまう。だったらコッチで休んだ方が効率的だ。
じゃあ今日は、最後にちょっとだけ働いてからお暇しよう。
「で?キミ達さぁ、勘違いしてるよね。あぁイイのイイの、別に返事なんか聞いてないから。キミ達にある選択肢は2つだけ、『ココで死ぬ』か『手を引いて今すぐ消える』かだ。好きな方を選びな。死んどいた方が、マシかも知れねぇなぁ?」
…うーん、やっぱドコの学校にもイジメはあるねぇ。
今回はワタシが脅す程度でなんとかなりそうで良かった、ワタシが出資してるグループのお嬢様だったからな。その辺りをテイネイに教えてやれば顔色変えてた。
まあ、出資は止めるけどな。
あの子、しばらくしたらトリニティから居なくなるんじゃねぇの?ワタシの知ったコトじゃねぇ。ああいうヤツは、どうせまた繰り返すから。居ないほうが空気がキレイになる。その後どうなるか様子を見て対応を変える予定だ。
「さてと…
「あっ、あの…ありがとうございました…」
「お礼なら、『友達を助けて』って言いに来たあの子にしな。ソレがなければワタシは気付かなかったからね。イイ友達じゃないか、大事にしなよ」
……あの大喜利ラッシュの後に来たイジメ相談の落差はヤベェ。次から簡単なアンケート取ってから告解室に入ろうと決意したね。次があるのか…ありそうだな…
今回の、サクラコちゃんにも伝えておくか。
あの様子だと、多分他にもやらかしてそうだからな。
気を取り直して、もう休もう。
明日は珍しくスズミと遊ぶ約束してるからな、色々とネタを仕込んで行かないと。どれだけあの子を驚かせて笑わせられるかが勝負だ。ワタシはそのタメだけに新しい手品を覚えてきたんだ、本気だぞ。
アトリエで休んだ結果、スズミに渡す予定のお土産をマエストロに持っていかれた。キレたワタシがマエストロを追い回したのは言うまでもないだろう。
仕方ないから、腹いせにマエストロの製作途中の作品をブッ壊してからスズミに会いに行った。
今回コイツは、ずっと神父衣装です。
トグロは意外にも名前を覚えているタイプです。友好的な場で名乗ると確実に名前を覚えてくれますし、ちょっとした雑談も覚えていて、次に会う時にそれが反映されたお土産が出て来ます。
日頃の行いを詳しくは知らないトリニティ生は、多分トグロを勘違いしている。気付いて!
なんも思い付かないから、参考までに……
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