どうせなら、笑っていようぜ。   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 クッソ長くなりました。
 ただ、分ける程の内容でもないので、長いまま投稿します。

 本家イベントです。
 1番好きなイベントはTTTです、対戦よろしくお願いします。




IF パンデミックハザード

 

 

 時刻は午前8時。

 近くで爆発音が聞こえる清々しい朝だな、サスガ修羅の国ゲヘナ。アタマ沸いてるぜ。

 

 良い子のみんな、こんにちは。

 ワタシだ、赤蛇トグロだ。

 

 普通に、特に変なイタズラとか悪巧みとか無く、普通に、遊びに来てるんだ。だからいつもの銃と機腕以外は置いて来てる。必要ないからな。ドローンは何機か待機させてるけど、それだけ。

 

 まあワタシにとっては大イベントだけどな。

 久しぶりにプライベートで会えるもん。

 

 

「久しぶりですね、トグロ。待たせましたか?」

 

「いいや?ほんの数分だな。久しぶり、セナ」

 

「3年の進学以来でしたね……おや、3年生?」

 

「ゔっ…主席日数が……てか、晄輪大祭でも会ったじゃん。ゲヘナでもちょくちょく顔出してたし」

 

「あの時はあまり話せませんでしたし、救急医療部の活動中はノーカウントです」

 

 

 セナと遊びに行くんだ、何処行くかは決めてないけど。

 ホントはもっと平和なD.U.とかに行きたかったけど、セナは非番でも怪我人は出るからあんまりゲヘナを離れる気がないらしい。

 

 ココは商業地区で、どちらかと言えばゲヘナでも平和寄りな場所だし、まぁ良いか。便利屋とかなら別にドコでもイイんだけどな。セナには怪我させたくない。

 目の前で銃撃戦が始まったけど、これは見なかったコトにし……あ~、はいはい。怪我人の応急処置だけしていくのね。気分は辻ヒール。

 

 

「さて、何箇所か行きたいお店があるので、まずはそちらから行きましょう」

 

「オッケー、ナニを買うんだい?」

 

「まずは本を買いに行きます……が、トグロ。先に何か私に言うべき言葉があるはずです」

 

「おう。清楚な雰囲気が、普段から麗美な気品のあるセナに良く調和しているね。穏やかで清潔感のある色合いがとても良く似合うな。すごく綺麗だよ」

 

「なるほど、コレは合格点ですか。せっかくですし後で服も選びましょう」

 

 

 あ、今日のワタシは8割荷物持ちだ。ヨロシク。

 

 本屋までやって来て選んでるのは、バラバラなジャンルで統一感が無いあれこれ。医療系の本でも最新機器についてのマニアックな解説とか、役に立つのかビミョーなナゾの民間療法特集の雑誌とかな。他には小説とか哲学書とか、カワイイ動物の写真集とか、湯源予測地図とか。

 

 

「トグロは何か読んでいる物はありますか?オススメがあれば聞いておきたいてすね、教えてください」

 

「ん〜…最近読んだのだと文学小説とか?名前だけは聞いたことあるみたいな有名ドコロをひたすら読んでんな、デキるだけ原本に近いヤツで。他には天気予報士とか栄養士とか整備士とかの教本とか」

 

「相変わらず、見た目の割に読書家ですね。ではコレを読んでみましょう」

 

「おう、まるでカンケーのない一冊。ワタシの話は?」

 

「勿論聞いていましたが?」

 

 

 コレだからセナと買い物するのはたまらねぇよな!オススメとか参考とかアイデアとか聞くくせに、聞くだけ聞いてスルーするトコロ。昔からコレだもん、クセになっちゃうぜ。

 

 今手に取ったのは、……えっと、なにそれ?

 え、ナニソレ??

 

 

「なにそれ?」

 

「えっと、『鼻行類』?と言う図鑑の様な本ですね」

 

「聞いたコトねぇわ、ワタシも読む」

 

 

 よーそんな面白そうな本みっけたな、この本屋がすげぇわ。いやホントすげぇわ、品揃えすげぇよこの本屋、なんでこの床面積でこの種類のジャンルが揃ってんだすげぇな!

 ……って思ったけど、多分ミレニアムの本屋がおかしいのか。特定のジャンルで1店舗だからな、今回みたいに欲しい本か複数あるとハシゴしなきゃいかんのよ。手間。

 

 

「荷物は私の家に運んでおいてください」

 

「あいよ」

 

 

 買った本はワタシがいったん預かって、買い物を終わらせてから今日の深夜ぐらいにドローンでセナの家に届くようにしとくか。どうせまだイロイロ買うだろうしな。帰りにそのまま送ってもイイし、そん時の気分で。

 

 フラフラとアチコチ見て回りながら、今度は服屋だ。

 もっと早くに言ってくれれば作って来るのになぁ〜……衣替えとかナニかしら服関連のワードが出てきてれば作って来るのになぁ〜……

 

 セナから誘ってくれたんだけどさ『◯月◯日、朝から空いてますか?』で、何時にココ集合ねって情報しか無かったんだよな。

 そーゆうヤツが多いコト多いコト、全体的に雑なんだよね、ワタシの呼び出し方。なんか気心知れた仲って感じでイイよな!ワタシはこんな呼び出しは大歓迎だ!

 

 

「トグロ!見てください。どうです?」

 

「おー!夏っぽい。試着して来てくれ、ワタシが見たい」

 

 

 目に入ったのは、白いワンピース。

 こんなん、どう考えてもセナに似合うだろコレ。着替えてるウチに、合いそうな小物探そ。

 

 やっぱ清楚系が似合うからな、本人の好みもその系統っぽいから着せ替えにもノリ気だし、スッゴい楽しい。ワタシが楽しすぎる。無限に着せ替えて写真撮っちゃうもんね。綺麗なモノを見ると、自分までキレイになったみたいになるぜ。

 

 でも1回でいいから、ゴリッゴリな地雷系ファッションとかしてみて欲しいな。フワッフワなお姫様見たいなドレスとか、The・可愛い系って感じのヤツとか、今度作って持って来るか。セナなら普通に着てくれそうな気がする。そして結局ナニ着ても似合うだろうしな、そもそも似合うと思って服作るし。

 

 

「トグロ」

 

「おおー!カンペキかよ……ちょっと会計行ってくるわ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 セナのいいトコロは、普通にプレゼントを受け取ってくれるってトコもある。本人いわく、貰えるんなら貰っとけってコトらしいけど、気に入った物なら嬉しそうにしてくれるから贈ってても気分がイイのよ。

 

 分かる?あんま表情が動かないクール系が、嬉しそうに微笑んでくれるんだぞ?しかも自分に向けて。破壊力がヤバいよね。

 

 

「さて、そろそろですね」

 

 

 お腹空いたんか?

 

 

「映画を見に行きましょう。既に2席予約済です」

 

「オッケ近くのご飯やさん探すわ、感想会しながら食べようぜ!」

 

「話が早くて助かります」

 

 

 こんなノリで、ナニを観るのか知らないままウキウキで映画館に向かおうとしたんだけどね……

 

 

「おや?すみません、どうやら緊急事態のようで……」

 

「休日とは?」

 

「多少気を抜いても良い待機時間です。それに私はこれでも、救急医療部の部長をしておりますし」

 

「そらしゃあねぇわ、憑いてってイイ?」

 

「かまいません。と言うか、現場まで送ってください。今日は徒歩で来ていますので」

 

 

 大急ぎで車まで戻って、セナにナビゲートされて現場へ急行だ。どうやら現地には先生も居るらしい。今セナが通話してて、そんな感じの会話が聞こえる。

 

 パンちゃん?料理が動く?風紀委員がやられた?

 

 はは~ん…

 なるほど、聞き間違いだな?

 

 

「──…ふむ、分かりました。よく分からないので、現地で確認します」

 

「現地はどーなってんの?」

 

「さあ?なにやら説明があやふやで、恐らく先生も状況を把握しきっていないのでしょう。まぁ、行けば分かります」

 

「それもそうか。あ、お昼ご飯どうする?」

 

「それも後で考えましょう。トグロ、この車にはどれほどの医療品がありますか?」

 

「急行医療部のやつの5分の1ぐらいだな。状況しだいだけど、現地でセナと一緒に降ろしてから買い足すわ」

 

「他の部員も来ている筈なので、薬等が足りなくなる事は無いと思いますが、その時はお願いします」

 

 

 そうして見えてきた事件現場、なにやら毒々しい色の水溜りがアッチコッチに散見してる。銃痕とかはぱっと見た感じ少なくて、ホントに事件があったのか分かんねぇなコレ。銃撃戦とかじゃないのか?ここ、ゲヘナだろ?そんなヌルイ事件起こるか?

 ……もしかして、薬物テロ?

 

 車が止まる前にセナが飛び降りて急行。走って行った方には先生とチナツ。他の風紀委員も何人か居るな、装備が戦闘向けだからどっかにイオリンも居る。イオリンの部隊にチナツが着いてきた感じか。

 危ないから、車が止まってから降りてほしい。危ないから。

 

 騒ぎ自体はある程度落ち着いてるのね。

 

 倒れてる生徒に、セナが万能薬を処方して(1発撃ち込んで)るのを眺めながら、車に積んである救急セットを持ち出してワタシも合流だ。ナニがあったのさ。場合によってはワタシもマジになるけど?

 

 

「トグロ、聞いてください。とても面しr……面白そうな事件が発生しました」

 

「言い直すんならちゃんと直しな、不謹慎かよ。で、ナニソレ楽しそうじゃん詳しく教えて」

 

「さあ?それをこれから調べようといった所ですね。分かっているのは、犯人は不味いソースを手当たり次第にバラ撒き、被害者はそのソースが口に合わず気絶しています」

 

「は?」

 

「あと、ソースはとてもベトベトしています。味は……ふむ、美味しくはないですね」

 

「どれどれ……マッズ!」

 

 

 手に付いたソースを舐めたセナを見習って、ワタシもその辺のソースを拭って舐めてみたんだけどさ、チョーマズイのね。不意に大量を味合わされたら気絶するのも分かるぐらいの味だな。

 こりゃテロだろ、飯テロ。

 

 持って来てる水で口をすすいで吐き出しておく。

 飲むワケねぇだろ、こんな得体の知れないもんを。色からしてヤベェんだぞこれ、見るからに毒だぞ。ゲテモノはキライじゃないが、食べるのはキチンと調理されてるヤツに限る。

 

 

“トグロも来てくれたんだね”

 

「今日はぁー久しぶりにぃー丸1日かけてセナと遊ぶ予定だったんですよねぇー」

 

“ゔっ…ご、ごめんね”

 

「そうだったんですね…申し訳ありませんてした……」

 

「いやジョーダンだから、コッチのが面白そうだから願ったり叶ったりだ」

 

 

 確かに遊ぶ気でいたし、中止になったのは悲しいけど仕方ないじゃん?先生とその隣にいたチナツがすこぶる申し訳なさそうにしてるのを見るに、必要に駆られての呼び出しっぽいし文句はねぇよ。

 

 だいたい、急な呼び出しは医療関係者の宿命だろ。慣れてるからイイよ。

 

 こっちは先生とセナに任せておこう。

 

 

 さて、それで。

 始めましての子が居るね。

 

 

「やあやあ始めまして。ミレニアム2年の赤蛇トグロだ、ヨロシクね。2人の名前も聞かせてくれるかい?」

 

「は、はい!ゲヘナ学園1年、給食部の牛牧ジュリです!」

  

「給食部のジュリちゃんだね。その制服、とても良く似合っているね。給食部というのは、普段からカフェにいるのかな?」

 

「いえ、今日はたまたま成り行きで……」

 

「そうかい?なら今日会えてよかった。目に焼き付けておかないとね」

 

 

 えっと…ジュリちゃん、ホントにゲヘナの子?イイ子すぎない?今会ったばっかだけど分かるよ、イイ子だろこの子。大丈夫?ゲヘナでやってける?シスターフッド紹介しよっか?連れて帰っても許される?

 

 もう1人は、ワタシの名前を聞いて硬直した子。

 さてはワタシの悪評を知ってるな?

 

 

「フウカ先輩?どうかされましたか?」

 

「フウカ、だと……?まてオマエ、まさか…あの『フウカ』か!?」

 

「えっ私!?なに!??」

 

 

 フウカだと!?

 話には聞いていたがまさか本人なのか?

 

 ヤバいぞ今の装備は戦闘に向いてない、せめて車で補充してから降りるべきだったか。

 

 

「待って待って!なんで銃を握るの!?あ(・)の(・)ってなに!?」

 

 

 例のフウカが目の前で慌ててるのを見ると、ちょっと落ち着いてきた。やっぱ自分よりヤバいヤツ見ると落ち着けるよな、その辺の民間療法とかナゾのおまじないよりよっぽど効果ある特効薬だ。

 

 

「ウワサには聴いていた……美食研究会の専属料理人、愛清フウカだな?」

 

「違いますが!?」

 

「えっ違うの?そっか、ゴメン人違いだったわ」

 

「いえ、名前は合ってるから、多分人違いではないと思うけど……それ、誰から聞いたの?」

 

「ハルナ」

 

「やっぱり……私からも聞きたいんだけど、ハルナ達の銃を作ってメンテしてるのって、貴女で合ってる?」

 

「合ってる。トグロでイイよ」

 

「「……っは〜〜緊張したぁ〜」」

 

 

 フウカの隣でジュリちゃんがオロオロしてる。かわいい。

 ひとまずは戦闘にならないコトが分かって安心した。よかった、突然包丁持って暴れ出す狂人じゃなくてホントによかった。

 だって美食研究会の専属料理人って聞いてたんだもん、あの飯テロリスト共の同類だと思うじゃん?イカれたヤバいヤツだと思うじゃん!

 

 

「ちなみに、なんて聞いてる?」

 

「趣味の為なら街の1つや2つを平気で破壊する、イカれた狂人って……」

 

「アイツ、ヒトのことをなんだと思ってんだ……」

 

 

 ワタシはモチロン、フウカも落ち着いてきたトコロでジュリちゃんの分も一緒に連絡先を交換して、今度一緒にハルナ達に文句を言いに行く約束をした。

 そりゃ文句は言いたいだろ、どんな紹介したらこーなるんだ!

 

 2人とも、めちゃんこイイ子やぞ!

 何が専属料理人だふざけんな、給食部だったじゃねぇか!

 

 フウカってときどき、シャーレでご飯作って冷蔵庫に入れといてくれる子じゃん!自由に食べてねって、置いといてくれるの。先生の夜食にもなるし、次の当番の子の食事にもなってて助かってる。

 

 なにせ美味しいからな!

 シャーレで冷蔵庫を開けるヤツぐらいしか知らないけど、あったら嬉しいって評判なんだよね。

 

 

「あっ、じゃあシャーレのキッチンの掃除とか、包丁を研いだりってトグロがしてくれてたのね。すごく綺麗で使いやすいから、私も料理してて気分がいいのよね。あとあの食洗機って、どこで買えるか知ってる?」

 

「そう言ってもらえるとメンテしてるカイがあるってもんよ、ありがとね。食洗機はミレニアム(うち)のエンジニア部ってトコで作ったらしいな」

 

「そうなのね、良ければ見積もりだけでも貰えないかしら?アレだけ便利なら給食部でも使いたいのよね」

 

「そんなに便利なんですか?見た感じ、普通の食洗機でしたけど…」

 

「ジュリは使った事なかったのね?アレは凄いわ、今度一緒に使いに行きましょう!使えば分かるわよ、アレは!」

 

「それならワタシが見積り出せるぞ、置き場所の広さと洗う食器の数を見たいから、都合のイイ日を教えておくれ」

 

 

 あの食洗機、そんなに言うほどか?

 ミレニアムだと標準的なヤツなんだけど……言うのやめとこ。

 

 ん?チナツじゃん、どったの。

 

 

「風紀委員1人と連絡が取れません」

 

「イオリンだろ?ちょっと装備持ってくるわ」

 

「よく分かりましたね、早く取ってきて下さい」

 

 

 車に向かいながら振り返ると、みんな揃って移動を始めてた。

 

 ヒドい!置いてかないで!とかなんとかみんなの後ろで騒ぎながら、ワタシはのんびり歩いて追いかける。

 そりゃ別に走って移動してるワケじゃねぇからな、視界に入ってんだから見失うこたぁない。どうせ目的地で止まるし。

 

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だよ、フザケてるだけだからね。見てごらんよ、先生もセナも、コッチを見向きもしないでしょ?」

 

「だから気になったのですが……」

 

 

 イイ子!

 なんてイイ子なんだ!!

 

 

「ジュリちゃんさ、ミレニアムに転校する予定とかない?めちゃくちゃ歓迎するよ?」

 

 

 ワザワザ引き返してワタシの様子を確認しにきたジュリちゃんに感動しながら、しばらくとことこ歩いたトコロ。

 セナと行くつもりだった映画館のワリと近所まで来たな。小腹もへったし、ちょっとおやつ買ってくるね。

 

 

「ちょっと買い物行ってくるけど、ジュリちゃんも行く?」

 

「へ?い、いいえ…出来ることは少ないですが、あまりこの場を離れたくは……」

 

「おっけー、話し相手になってくれてありがとね。すぐ戻るから、またあとでね」

 

 

 おやつ買いにゴー!

 の前に、少し早歩きしてジュリちゃんを先生達と合流させてから、いざ買い物に行こう。

 

 映画館が近いコトに気付いてからさ、ムショーにポップコーンが食べたくなっちゃったんだよね。口がもうポップコーンなの。こーゆうのって、その気分になったらなかなか離れられないよな。

 ちなみに、ワタシは映画見てる間は飲み物しか口にしないタイプだ。炭酸もダメだ。映画に集中したいからな。Sサイズで半分も減らないけど。

 

 でも、今すっごいポップコーンが食べたい。

 

 映画と言えばポップコーン!

 そんなノリで売ってる。ミレニアムとかトリニティだと他にもケッコー色んなメニューがあるんだけど、ゲヘナは意外と王道メニューしかなかったりする。

 理由?すぐ壊れるからな、店とか、設備とか。だったら確実に売れるメニューだけ絞って、楽に早く復旧出来た方がイイに決まってる。ワタシがオーナーでもそーするわな、それか別の店舗と連携して持ち込みを許可するか。

 

 車ごと持ってくりゃ良かった。なんでワザワザ歩いてんだろうな。店までは近いんだけどさ、行って帰ってくる往復はメンドーだ。車は呼び出せば無人で近くまで来てくれはするんだけど、コッチに来るまでに先生達んトコに着きそうな距離感。

 まあ呼びはするんだけどね、解散したあとにセナを家か学校に送っていく……いや、ワタシだけ帰るか?家に送るならそれでイイけど、学校に行くならみんなそーするよな、ワタシの車だと全員は乗らねぇ。乗せるなら救急医療部か風紀委員の車両になるか。

 

 あ、ポップコーン来た。

 塩とキャラメルの2種類にした、うまうま。

 

 買ったポップコーンをつまみながらトコトコ。

 

 足元に散らばる謎ソースを踏まないようにして、先生達に近付いて……

 

 

「えい」

 

「ふべッ!?マッッズ!!なにすんの!??」

 

「ふむ、やはりどの色のソースも美味しくはないようですね」

 

「ワタシで試すのヤメロ。自分で食え」

 

「マズかったです」

 

「あ、そう。ポップコーン食べる?塩とキャラメル」

 

「塩味をお願いします」

 

 

 横目でワタシに気付いたセナが、指で掬ったさっきと違う色のソースをワタシの口にツッコんできやがった。なにするん!?

 

 クソかな?ちょっと飲んじゃったし、最悪……あとで体調壊さねぇかな……

 

 

「こうして見ると、気絶する程の味とは思えませんね」

 

「これナメたの、セナだけか?私もセナも、マズイ味には慣れてんだろ。好奇心でマズイ薬の味を試してるの知ってんぞ」

 

「セナ部長…そんな事をしていたんですか……?」

 

「以前、薬を処方した際に『不味いから嫌だ』と暴れ出す方がおりまして、そこまで言う程なのかと気になって」

 

「えぇ…」

 

「まぁ薬ですし、身体に悪い物でもありませんから」

 

「わかるわ~、マズい漢方とかも気になるよな」

 

「他人へ勧める前に自分で味わっておくと、飲み方のアドバイスをしやすいですから」

 

「水で飲むと苦味が増すとか、アイスとかヨーグルトと一緒に食べるとごまかせるとか、結構色々あるよな」

 

「服薬ゼリーが1番楽でしたね」

 

「だよな、最初にアレ考えたヤツは天才だと思う」

 

「味も良いですしね、ゼリーを飲みたいから薬をくれと言われた時は驚きましたが」

 

「ゼリーだけで飲んでりゃイイのにな」

 

「薬と飲むものだからと、こだわりが強い方でしたね。仕方がないので、適当なビタミン錠を渡しておきました」

 

「ケンコーになっちまうな」

 

「アレ以上元気になられても、寝かせるスペースがありませんよ」

 

「お二人とも、移動しますよ」

 

「ん?どこ行くの?」

 

「逃げたパンちゃんを追い掛けに。ソースの色合いや量から、恐らく成長しながら移動していますので」

 

「………やばくね?」

 

「やばいですね。パンケーキハザードも近いかも知れません」

 

「パンデミックじゃん、おもろ」

 

「予約していた映画もソレでしたね、最新作でした」

 

「リアルの方がおかしくなってきてんな」

 

「お菓子ですしね」

 

「あぁ…すみません!この2人は私が連れて行くので、皆さんは先に向かって下さい!」

 

「チナツ。あまり引っ張らないでください。ポップコーンが溢れてしまいます。あ、食べますか?」

 

「コッチはキャラメルだな、どう?」

 

「部長とトグロさんはなんでこう…昔から揃うとずっと喋って……ほら、移動しますよ!先生達が見えなくなってるじゃないですか!」

 

「チナツ、安心して下さい。移動ならトグロが車を出してくれますから。行きますよ、トグロ」

 

「あいさー」

 

「移動の問題ではありません。あの車ですね、行きますよ!」

 

「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。命に別条のある被害ではありません、放っておいてもじきに目を覚ますでしょう」

 

「二次被害が起こるかも知れないじゃないですか!建物への被害も出ていますし、風紀委員として見逃せません!」

 

「まぁまぁ」

 

「トグロさんのポンコツが移ってませんか!?」

 

「え、ワタシポンコツとか思われてんの!?」

 

「チナツ。トグロはアホでもバカでも理不尽でもありませんよ」

 

「知ってますしそこまでは言ってません!」

 

「照れるぜ」

 

「おふざけの多いポンコツではありますが」

 

「照れるぜ」

 

「なんで喜んでるんですか!」

 

「チナツさ、なんかアコちゃんに似てきてない?」

 

「似てません!」

 

「はいとーちゃくゲヘナ学園!たぶん先生達追い抜いて来てるから、ちょっと休みな?」

 

「どうぞ、水も飲んでおいた方が良いでしょう。のど飴もありますよ、あとポップコーンも食べます?美味しいですよ」

 

「なんなんですか、さっきからそのポップコーン押しは……」

 

「口直しですね。ソースが不味くて」

 

「だから止めたじゃないですか……いただきます」

 

 

 

 ゴメンて、楽しくなっちゃってさ。

 チナツのリアクションがイイから喋ってて飽きないし。

 

 それにセナとの会話はテンポがイイからさ、楽しいんだよ。しかもセナが休日モードになってて、普段よりはっちゃけてるもんだから珍しくて、つい。

 普段は常識も良識も弁えた医療従事者としての言動だから隠れがちだけど、セナ自身はオモシロ側の性格してるだろ。なにせゲヘナのニンゲンだからな。そもそも、ゲヘナ的に見たらチナツとかヒナちゃんみたいな風紀委員の方が異端だからな。ブレーキが無いか緩い方が正常だ。イカれてるな、ゲヘナ。

 

 

「ふぅ…前々から気になっていたんですけど、部長とトグロさんって何処で知り合ったんですか?」

 

「そんな事が気になりますか」

 

「気になりますよ。正直言って、お二人が知り合う経緯が分かりません。私が入学してすぐに、遊びに来ていたトグロさんを紹介された時からずっと気になっていました。そして風紀委員になってトグロさんについての情報を知ってからは尚更です。悪い噂の塊みたいな人じゃないですか」

 

「悪い噂ですか……私はその悪い噂が流れる前から、トグロと知り合いだったんですよ」

 

 

 ちょっと口挟むのやめとこ。

 セナから見たワタシについてが聞ける、いいチャンスかも知れん。

 

 あ、もうすぐ先生達が到着するってさ。黙っとくけど。

 

 

「端的に言えば、ゲヘナに入学する前からの知り合いで、一緒に医学の勉強をしていた仲ですね」

 

「そうだったんですね……え、じゃあトグロさんって」

 

「どうかしましたか?」

 

「トグロさんってもしかして、ミレニアムの救急医療部の様な部活動に所属しているんですか?」

 

「まさか、トグロは正真正銘の帰宅部ですよ。よく見なさいチナツ、暇そうな顔をしているでしょう」

 

「はっ!確かに」

 

「なんだオマエ等、失礼かよ」

 

 

 いきなりなんだ、ケンカ売ってんのか?

 買うぞ?おお?ええんか、そのケンカ買うぞ?

 

 

「冗談はさておき。まぁ、内科と外科の様なもので、共に勉強こそしましたが同じ内容と言う訳ではありません。ただ、トグロの知識や技術が私達と比べて劣っている事はありませんし、衰えている訳でもありません」

 

「そう、だったんですね」

 

「意外そうですね。トグロが怪我人の手当てをしている姿を見た事はある、と記憶していますが」

 

「それは…まぁ、ありますけど……部長がおっしゃった程だとは思っていなかったと言いますか……」

 

「トグロが知識を求めた理由は『体の弱い友人へ、何処に居ても確実な処置を行える様に』と言うものです。そしてそれが可能なレベルまで修め、学び続けています。それに、1度交わした約束を反故にする事もない。噂がどうであれ、私にとってトグロは十分に信用し、信頼に足る友人ですよ。なので、安心して臨時の部員として使う事ができますから、チナツも覚えておくと役に立つかも知れませんね」

 

「はい」

 

「なんか着地した結論ズレてね?」

 

「何か問題でも?おや、先生達が到着した様です。2人とも、行きましょう」

 

 

 そういやさ、すげぇデッカイ図書館かD.U.にあるんだけど知ってる?

 昔はしょっちゅう通ってたんだよね。デカイだけあって専門書とか参考書も多くて、キヴォトスの外にある本もあるし、言語の違う論文もある程度翻訳したのが読めたりするし、当日発売の本も置いてあったりする。それに勉強できるスペースも広いし、ドリンクもサービスしてくれたり、ここネカフェだったかな?って思うぐらいには快適な最高の施設だ。

 入館するタメに会員になるのと、ほぼ誤差だろって会費が必要なくらいか。テキトーなサブスクにお金払うなら、本読むタメに施設利用の会費に使え。まじオススメだから。勉強はモチロン、本読むのがスキなら最高のテーマパークだから。

 

 その図書館にワタシもセナも通っててさ、なんか行く度に見かけるヤツいるな〜って思ってたんだよね。図書館って施設自体、たまに行くことはあってもずっと通ってるヤツは少ないからな。

 ほら、医学ってジャンルの棚から本を取り出して、そこから近いスペースに陣取りたいじゃん。セナも近い棚から本を持ってきてたワケ、どーしてもお互いの存在が目に入っちゃうんだよね。

 

 いつも居て、自分の読みたい本と似たような本を広げて勉強してるヤツがいるって感じで、ワタシもセナもなんとなくお互いの存在を認識してた。

 そんでしばらくして、目が合ったら静かに会釈する程度になって、見かけたらアイサツするくらいになったんだよ。図書館だからな、ワザワザ会話するってコトはなかったけど。

 

 読んでる本のジャンルはほぼ同じだし、そんだけ高頻度でエンカウントしてたら読みたい本が被る時が来るんだよね。

 

 キミもこれ読むの?

 いつも居るよね。

 覚えるコト多くて大変だよね。

 

 みたいな内容で初めて会話したな。

 なつかし〜。

 

 それから帰る時も声かけるようになって、休憩とか帰る時間が被ったら少し世話話したり、つまづいた勉強の仕方を相談したり、新しい論文を一緒に読んでアタマを悩ませたり。

 だんだん打ち解けて仲良くなって、連絡先を交換して、プライベート…図書館の外でも会うようになって今日まで続いてるんだよね。

 

 数少ない、順当に仲良くなって友達になったパターンだ。

 すごくない?道中で1回も銃を撃ってないんだぜ。トリニティの子達もスタートはエデン条約の事件だったし、シズコもシュンも初手事件だったし、ミレニアムもなんやかんやトラブルきっかけがほとんど。

 

 当社比で平和的ならいるけど、1回も銃を撃たないトラブルもないっての、チヒロとリオ以外だと、多分セナだけじゃないか?ここまで平和的に仲良くなったヤツ。

 ちなみにヒマリとは最初、マジで仲悪かった。当時のワタシは銃持ってなかったから撃ってないだけで、持ってたら間違いなく撃ってたレベルだ。暴力には訴えてないだけで、せんぜん平和じゃなかったな。

 

 あ、あーー……は?

 居たわ、他に2人。仲良くなるまでに暴力が伴わなかったヤツ。

 は?

 ウソやろ、ワタシの記憶違いじゃなければ……ハルナとアカリがそうだわ。うんそうだわ、そうだ。仲良くなってから誘われて行った飲食店を爆破しだして、心の底からビックリした覚えがある。そうだったわ。

 アイツ等、基本的に日常の所作はキレイだからな。あんなん詐欺だろ、本性知ってたら始めから距離取ってるわ。

 

 

「トグロ。先ほどから上の空ですが、どうかしましたか?」

 

「んぁワリィ、ちょっとセナと会った時のコトを思い出してた」

 

「ああ、懐かしいですね」

 

“へぇ、ちょっと気になるね。良かったら今度聞かせてくれる?”

 

「かまいませんよ。トグロも良いと言っています」

 

「まだなんも言ってねぇぞ。話すのはイイけどな」

 

 

 先生達が合流し直して……

 …あれ、ナニしに来てたんだっけ?

 

 

「ここに来るまでに、痕跡らしきソースを見かけました。最初のカフェ付近に比べて、明らかに量が増えています」

 

“そうだね。この増えたソースを追っていこう”

 

「確実に犯人へ近付いていくこの感じ、楽しくなってきましたね」

 

 

 休日モード、さっきまで遊んでた、オモシロそうな事件、先生と一緒。セナのヤツ、楽しそうだな。

 休日潰されたけどこれなら大丈夫そうだ。ちょっと安心した。

 

 先頭を歩くセナに連れられて、黙ってその後ろを歩く。

 

 だってさ、このメンバーなら問題は起こらないだろ。セナに先生、風紀委員。それに給食部の2人もマトモな子だったしな。町中ならトモカク、ゲヘナ校内なら他の風紀委員も来れるだろうからね。ワザワザ出しゃばるコトはないのさ。

 

 ワタシはね、学んだんだよ。

 他校の自治区で不用意に戦闘したり、ナニか壊したり、逆に物作っても手助けしすぎてもセミナーから怒られるってな。だからワタシは、怒られるのを受け入れるコトにした。

 

 

「おいみんな!なんかアッチからヘンな音聞こえたぞ、行ってみようぜ!」

 

“え!?待ってトグロ!”

 

 

 よっしゃ、最初にやられるのモブ役はワタシだぁ!

 ストーリーの導入はマカセロ!

 

 

「なんだ!?おい大丈夫か!」

 

「こ、これは……死んでます」

 

「な、なにィ!?」

 

「う、うぅ……」

 

「どうやら気絶しているだ(・)け(・)の様でした」

 

「なぁーんだ、ビビらせやがって。おいテメェなに寝てんだ、起きろ!」

 

 

 ほっぺたをペチペチしても起きないから、コイツはもうダメだ。他を探そう。

 

 

「いや待って!もっと見るべき場所があるでしょ!?」

 

「……やや深爪ぎみですね」

 

「違うわよ!ソースで磔になってるじゃない!」

 

「ああ」

 

「なんで今気付いたみたいなリアクションするの!見れば分かるじゃない!」

 

「おや?あちらから何か音が聞こえますね。行ってみましょう」

 

 

 フウカ、オマエ……イイね!そのツッコミ、楽しくなってきたな!このタイプの子がいるならもっとフザケたい。ゲヘナはみんなボケ側だと思ってたわ、いるとこにはいるもんだな、ツッコミ役。

 これは完全にワタシ側の都合なんだけど、フウカをずっとヤバいヤツだと思ってたのね。そっからのギャップだから、スゲェ感動してる。フウカ、イイヤツ、カワイイ。

 

 とかワタシが1人で思ってたら、セナが先生達を連れて移動し始めたな。当たり前みたいにワタシのコト置いて行くよな、別にイイんだけどさ。一言声かけてくれてもよくない?

 

 

「うーわ……いったん下ろすぞ、手伝ってくれ」

 

「「「……」」」

 

“えっと…手伝うよ”

 

「わ、私も手伝います!」

 

「先生、ジュリちゃん、ありがとね。オマエ等さぁ…触りたくないのはわかるけどさぁ…」

 

 

 このベタついてネバついたクソマズソースに触りたいかって聞かれたらそりゃ触りたかねぇだろうけどさ、磔ならスルーするけど逆さ吊りはダメだろ。

 どれだけこーなってたかは知らんが、長時間逆さだとアタマに血が昇ちまう。後遺症とか出たら笑えねぇぞ。

 

 にしても、ホントにソースかコレ。ヒトを吊り下げられる強度と量なんてもう、バケモンだろ。

 

 …………ん?ワタシたちって、ナニを追っかけてんの?

 マジにバケモン追っかけてんの?

 

 

「某企業の工場があった、アライグマシティのようになってしまうかもしれません」

 

“アライグマシティって、あの?”

 

「そう、あのゾンビに支配されたゲームです」

 

 

 じゃあワタシ、ソースでラクガキしておくか。

 

 かゆい

 うま…  

      …くない

 

 

 うん、イイ感じだ。日記に書ければサイコーだったが、まぁ及第点だろう。ダイイングメッセージっぽくてよさげ。

 

 

「あまり気は進みませんが、手を借りましょう」

 

 

 チナツがどっかに連絡を取ってて、全体の足が止まったな。セナは先生と給食部の2人とワチャワチャしてるし、じゃあワタシも絡みに行くしかないな。

 

 

「やぁ、イオリン」

 

「はぁ…」

 

「顔みてため息はヒドくない?」

 

「お前と外で会う時は碌な事がないんだ、ため息の一つも出るだろ。もうトグロはお菓子持ってくるだけでいいよ。あ、この前のタルト美味しかったんだけど、どこに売ってるやつなんだ?」

 

「ああアレ?ワタシの手作りだから売ってないね。ちなみに、渡してるお菓子の梱包にメーカーのロゴがないヤツは全部、ワタシの手作りだぜ?知ってた?」

 

「そうなの?…えっ、スゴイな!」

 

 

 イオリンはなぁ、こう……イイよね!

 裏表がないと言うか、コッチの言葉にそのままリアクションしてくれるから気分がイイ。だからからかいたくなるんだけど、今はしなくてもいいかな。

 

 

「今日はコッチにくる予定なかったから、お土産持ってないんだよね。ポップコーンならあるけど食べる?」

 

「ずっと持ってたのはそれか、ちょっと貰う」

 

「たんとお食べ、バカみたいにいっぱいあるから。調子乗って超特大サイズにしたのを後悔してる」

 

「みたい、じゃなくて、バカなんだろ。お前が」

 

 

 なんかさ、このポップコーン食べても食べても減らないんだよね。お腹ふくれてきちゃったぜ。キャラメルでよかった、甘ければ無限に食えるからな、塩味だったらもう諦めてた。

 

 部屋の片隅でイオリンとポップコーンをモソモソ食べてたら、なんかまた移動するらしい。ずっと歩いてばっかだな、しかもワザワザ車出すのもなぁってなる絶妙距離ばっか。さっきはセナに頼まれたのもあるけど、テキトー路駐してると車上荒らしにあうから、比較的安全な学園の駐車場に停めたかったってのも理由として大きい。

 

 

「行くってさ、イオリン」

 

「ぅ、ん!……結構美味いな、コレ」

 

 

 特に疑いもせずにヒョイパクするイオリン、かわいいよね。やらないけど、激辛ロシアンポップコーンだったらどーすんのさ、もう少しヒトから貰うときは疑いなよ?ワタシはやらないけど。

 

 なんか先生が持ってる端末から、アコちゃんの金切り声が聞こえる……先生が笑ってるあたり、今日もアコちゃんは元気に吠えてんだろうね。おちょくりたいよね、そんでキレたアコちゃんがヒナちゃんに怒られるの。何度見ても感慨深いよな、芸術だろ。

 

 

「ん、返す。ごちそうさま」

 

「ほいよ」

 

 

 そのままソースを追って校舎から出て、テクテクトコトコ歩いて町中。倒れてる被害者の数が目に見えて増えてきてるし、明らかにソースが変質してるのも見て取れる。ここまで来たらもう口に含むのすらイヤだな。味見はやめとこ。

 

 みんなは起きてる被害者から話を聞くために向こう行っちゃったから、ワタシはいつもどーり1人で徘徊しながら調べもの。

 特にこのゲロマズソース。ある程度の量は採取しておきたいんだよね、ナニカに使えそうじゃない?道中に見かけたのも、いくつか確保してるしな。変質の段階毎にサンプル集めて、調べるだけ調べておきたい。味だけもうちょいマイルドにしてイタズラように量産してみたい。多分そこそこ売れる。

 

 あっ今、ワタシのコトを集団行動出来ないタイプとか思ったヤツいるだろ、名乗り出ろ。今なら怒らないぞ、事実だからな。1発で許してやる。

 

 

「うっそん、ヤバぁ……ナニあれ…」

 

 

 先生達が慌てて移動し始めたから、ワタシも着いて行ったんだけどさ……バケモンが居たわ。

 

 

「ちょいちょい先生、ナニあれ?」

 

“あれがパンちゃん。事件の犯人のパンケーキ……犯ケーキだよ”

 

「なんかやかましいな。とんでもねぇサイズのバケモンじゃねぇか!アレ、ヒトの手に負えんの?」

 

“うーん…攻撃自体は通ってるから、多分大丈夫だと思うよ。ほら、最大HPが高いタイプのボスみたいな”

 

「なるほど、ネルみたいなタイプか。今度先生がネルのコトをバケモン呼ばわりしてたって伝えとくな」

 

“そんなこと言ってないよ!?”

 

「ははは」

 

 

 アレがクダンのパンケーキらしい。よく見りゃなんとなくそんなフォルムしてるわ、触手生えてんのが意味分からんけど。いや、そもそもパンケーキが動いてんのが意味分からんけども。

 

 で、アレやっつけりゃいいんだな。

 

 

 …さて……

 

 ふぅ、はぁ……

 

 

 やっべぇ銃弾車に置いてきちゃった!シリンダーに入ってた2発しかねぇわ!車から出た時に手に持ったの、ポップコーンだもん。アタマん中ポップコーンしか無かったんだもん!

 

 ソレも今撃ち終わったし。

 そりゃ2発しかないもんな!ヤベェ!!

 

 ドローン急げ!早く持ってきてくれ!

 

 いやまて、やっぱ持って来なくてイイかも。銃弾無けりゃ戦わなくてよくなんねぇか?いくら先生でもそんな危ない指揮しないだろ。しないよな?

 

 

“当然しないよ。そんな危ない事をさせると思われてたなんて、私ショックだなぁ〜”

 

「ごめんて」

 

“ショックだから、トグロには囮になって貰おうかな”

 

「あ、セナ見っけ。おーい」

 

 

 隠れてたセナを見っけたから、ワタシと一緒に隠れよ。

 そうだ、ポップコーンと一緒に3Dメガネ買ったんだけど使う?ワタシは使わないけど。

 てかセナもずっとポップコーン持って歩いてたよな、美味しい?

 

 

「トグロも食べます?交換しましょう」

 

「ほい。塩もウマいな」

 

「塩味と甘味で無限に食べられますね。ところで、あちらへの参加はしないんですね」

 

「弾切れしちゃったんだよね。囮にされそうだったから逃げて来た」

 

「では後始末を手伝ってください」

 

「それはモチロン」

 

 

 やること無いからワタシもポップコーン食べながら眺めてよ。コレが4DXってヤツか、迫力がちげぇぜ。

 

 

「これが4DXですか」

 

「セナってワリとイイ性格してるよな」

 

「お嫌いでしたか?」

 

「んなワケないじゃん、じゃなきゃ何年も友達やってねぇわ。変わりたきゃオーエンするけど、ワタシはそのままのセナが好きだよ」

 

「クライマックスが始まりそうですよ」

 

「知ってる見てる。ジュリちゃんがヒロインだったか、ケガしねぇよな?」

 

「その為に私達がいるのでしょう。感動的なシーッッ!!?」

 

「ぬわッ!?」

 

 

 ナニこの爆音!?

 ビックリしたぁ、どんな大砲撃ってんだよ。町中やぞ、建物ブッ壊して標的にぶつけるとかやり方が大胆すぎるだろ。ミレニアムだと窓ガラス1枚割っただけで怒られるのに、ゲヘナだと風紀委員がソレやるんか。羨ましいな、よっ!ゲヘナ!蛮族サイコー!

 

 えっ、なんだって?

 撃ったの対空砲?なんで対(・)空(・)砲を水平に撃ってんの、ワタシもやりたい!88㎜砲って言ってたぞ、アハト・アハトじゃん!ワタシも持ってる!今度一緒に撃ち比べしようぜ!

 

 

「終わったな」

 

「終わりましたね」

 

「しぼんでくな」

 

「萎んでいきますね」

 

「行くか」

 

「行きましょう」

 

 

 じゃあワタシ、負傷者を救急医療部の車に放り込んでいくね。狙いを定めて……

 

 

「死体を車に…シュゥゥゥーッ!超!エキサイティング!!」

 

「不謹慎ですよ、トグロ。時と場所を弁えてください」

 

「すまねぇ。でもワタシ、自分の心にウソはつけねぇんだ…!」

 

 

 広場になった場所で、アコちゃんがフェイスハガーに取り憑かれたのを横目で眺めながら負傷者をお掃除。ざっくり応急処置を済ませて保健室へドナドナされるのを見送った。アコちゃん、いつの間に来てたんだ?倒れてなければ絡みに行くのに……

 

 一段落したっぽいな。

 セナはこのまま保健室へ向かって細かい治療をするから解散、風紀委員も事後処理と報告の為にいったん帰るらしい。給食部の2人も一緒に帰るのか。

 

 

「じゃーな、また遊ぼう」

 

「えぇ、また連絡します」

 

「あっ食洗機の見積り!えっと…明日の夕方くらいって大丈夫?」

 

「おう。明日の夕方ね、16時ぐらいでイイ?」

 

「大丈夫よ。お願いね」

 

「オッケー、バイバーイ」

 

 

 見送って、と。

 

 ワタシは見てたぞ。きっちりとな!

 さて、さっきのバケモンの死体を持ち帰って、イロイロ調べて──

 

 

“トグロ?”

 

「ナニもしてないが?」

 

“やると思った…許可しないからね?帰るよ、シャーレまで送って”

 

「監視のつもりかよ、イイじゃん別に」

 

“後で回収とかもダメだからね?このゴミ箱の処理は私が手配したから、パンちゃんが無くなってたら分かるからね”

 

「……あい」

 

“ほら帰るよ。あ、ちょっと寄っていきたい場所があるんだけど良いかな?”

 

「……あい」

 

 

 諦めて帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 コイツ、イベントに憑いてきただけでなんもしてねぇな。
 いる意味ある?無いよね、なんでいるの?役に立たたないのに、そこに立ってて恥ずかしくないの?

 ここまで読んで下さっている方は、私の最推しが誰なのか、感付いているかもしれませんね。


なんも思い付かないから、参考までに……

  • トグロだけの小話
  • 本家イベント
  • オリジナルイベント
  • 先生視点
  • 別キャラ視点
  • よく名前の上がるキャラとの小話
  • その他
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