「神の目が必要?黙れ」ドンッ   作:I'mあいむ

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自己満足で何とか続いたわ。や っ た ぜ


愛と勇気と金が友達

 

「団長、お疲れ様です!」

 

え、何でジン?え、それにガイアにリサ。おいおいアンバーまで。どうなってんだこれ。

 

「初めまして。西風騎士団代理団長を勤めているジンだ。よろしく」

 

「え、あ、ああ。お噂はかねがね聞いております。田中です。それで、私何かしましたか?」

 

「いや何、君がモンドを出ると聞いてね、少し理由を訪ねておこうかと」

 

…………それだけが理由じゃあ無いな。こういう表情をするのは大抵何か考えてる。うおっ美人だな。綺麗過ぎてビビったわ。………言ってる場合じゃないな。

 

冷静に考えよう。俺は何かマズイことをしたか?いや?至って普通の善良な市民だ。犯罪も後ろめたいこともやってない。勿論テイワットの中ではだが。

 

なら冒険者業は?規約に抵触するようなことは?いや問題行動は起こしていない。只の失敗が多い冒険者だった筈だ。

 

戦闘面も大丈夫だ。痕跡は消してある。神の目を持ってないからな。今まで身に付けた力を使うときは周囲を警戒している。斬魄刀とか魔法とか使ったらアウトな物はいっぱいある訳で。そういうのはバレないようにやってる。

人前での戦闘は基本的な技術で対応してるつもりだ。まあそんなの使う時の方が少ないけどな。戦闘跡も残らないようにはしてるし大丈夫だろう。

 

…………いやこれじゃね?もしかしてやりすぎ説ある?戦闘跡が残って無さすぎて怪しまれてる?

 

いや待てと。いやいや待てと。それはおかしい。まずバレないだろそれ。うん。俺が戦闘したとしてだ。それをわざわざ気に止めるか?あり得ないだろう。まあ奇跡的にそれがバレたとしよう。だからなんだ?気のせいで終わるに決まってる。

 

………考えすぎだな。こういうことは結構ある。深読みしすぎて、疑いすぎて勘違い。一番恥ずかしい奴だ。自意識過剰と思われかねん。

 

しかしその疑いが当たった時が怖い。確かに当たる時があるんだよなあ。考えないに越したことは無いってことだ。考え無しに行動して策に嵌まったら一貫の終わりだ。そのせいで死んだことも何回もある。

油断は禁物、しかし考えすぎも悪とは、どうすれば良いんだろうなこういうの。頭良い奴は百発百中なんだろうが、非才の身からすると土台無理な話だ。

 

「どうしたんだ?」

 

「いえ、何でもありません。それにしても、私がモンドを出る理由ですか。お恥ずかしながら、仕事が失敗続きだったものでして。金銭的余裕もありませんし、場所を移してみようかなと。もしくは」

 

「もしくは?」

 

「いえ、なんでもありません。すいません喋り過ぎました」

 

「いや、構わない。聞いているのはこちらだからな」

 

いや天使かよ。しかしだ、流石に私事過ぎて申し訳無いわこんなの。言えるわけがない。初対面の人に何をベラベラと。長話は嫌われるってこれ真理。短く簡潔に物事は伝えよう!隠キャのお兄さんとの約束事だぞ?

 

「すまないが聞かせて貰えないか?」

 

ええ………。俺の思考全否定するじゃないですかジンさんあんた。まあ美人だから良いけど。かっこいいは正義(文脈ゴミ)

 

「あー、まあ別に対したことじゃないんです。今の仕事は止めて転職でもしようかなと」

 

「「「「え」」」」

 

「え、冒険者やめるのお前?」

 

ロレンス、上司がいる前でその口調はどうなんだお前。

 

「あー、まあ。そうなる道もあるのかなって話」

 

「やめちゃうんですか田中さん!?」

 

………初対面の筈なんですがねえアンバーさん。妙に馴れ馴れしいなあんた。……初めて見るけど赤いなあ。うん、ゲームと変わらず元気溌剌って感じだ。

 

「まああくまで可能性の話です」

 

「…………因みに何処に就職するとかは決まっているのか?」

 

何か圧が強まった気がする!怖い!何だよそれ!顔面偏差値お化けに睨まれると死んじゃうよ俺!

 

「え、えーと狛荷屋とか、考えてます」

 

「…………そうか、因みに西風」

 

「あらあジン、あまり困らせちゃ駄目よ?」

 

リサさんか。何かゲームの時のパイモンにつられてさん付けになっちゃうな。まあ会話してる時は誰でもさん付けだろうが。それにしても美人だなあ。ジンとは違う形で良いよなあ。俺なんかがお近づきなれない方々だ。

 

「私はリサ、このモンドで図書館司書をやらせて貰ってるわ」

 

「ええ、存じております。とても聡明な方だとお伺いしました」

 

「あら、お世辞が上手いのね」

 

「いえいえ、騎士団の方々の噂はよく耳にしますので。まさかこんな時に出会うとは思いませんでしたが………」

 

実際はゲームの時の知識だが。逆にその知識しかないからこの世界が原神の世界とちょっと異なってたりしたら困るんだけどな。今のところは無さげだ。有難い限りである。

 

「そうね、でもあなたはこのモンドに一年程滞在した冒険者。一応話を聞いておきたかったの」

 

ああ、それが理由か。モンドに来て一年。色々な事情なんかも知る機会がある。他国への情報流出なんかを防ぎたかった。もしくはそれらを悪用された場合のリスクが有ったと。

成る程、人柄もあまり分かってなかった訳だしな。当然っちゃ当然か。だとしてもこんな人数が来る必要は無い気もするが。

 

「ああ、成る程そういう……。まあ大丈夫だとは思いますよ。私はあまり知り合いが少ないので。私自身も無力な一般人ですから」

 

「そう、それは助かるわね。私達からの質問はこれくらいかしらね」

 

「分かりました。ではすみませんが、私はこの辺で」

 

「ああ、時間を取らせて申し訳無かった」

 

「いえいえ、こちらも色々迷惑をかけてしまっていたかもしれないので。西風騎士団の方々には感謝しかありませんから」

 

「なあ田中、少し聞いて良いか?」

 

ガイアお前、何かまだあるのか……。

 

「はい、何でしょう?」

 

「お前って神の目は持ってないのか?」

 

「………………まあ、持ってないですね」

 

「ガイア!、田中さんすまない。失礼だったなら」

 

「ああ!いえいえ!大丈夫ですから。まあ神の目が無くても逃げるくらいのことは出来ますから。………今までお世話になりました。またモンドに来る機会が会ったら、その時はよろしくお願いします」

 

「ああ、モンドは君を歓迎しよう。西風騎士団はいつでも君を待っている。………もし、何かあったら西風騎士団を頼ってくれ」

 

「はい、ありがとうございましたー!」

 

こんな感じで俺のモンド城での生活は終わった。こんなに仲良くなれそうならいつかまた来ても良いかもなあ。

 

まあ龍災とか巻き込まれたくないからそれよりは後になるだろうなあ。実際トワリンが暴れだすまで時間があるだろうか、帰ってくるのは数年先かな。

 

「ははっ、良い風だ。ウェンティでもいるのかね」

 

稲妻は鎖国中だからそろそろ蛍達が来ても良いとは思うが、龍災が起きてないのが良い証拠だ。あと数ヶ月は来ない。いやまあ封印場所を探せば何とかなるんだろうが。天理に逆らう気は起きねえわ。俺の強さはそこまでじゃないからな。

 

「もしウェンティが起きたとしたら…………早くいかないとマズイな」

 

本当にウェンティが起きたとしたら、それは合図だ。数ヶ月後には兄妹の片割れが来る。しかしだ、俺は未だにアビス教団の王子、もしくは王女の話を聞いたことがない。

 

邪魔だったから何回か奴らの拠点を潰したんだがな。

 

もしかしたら本当に来ない可能性もあるが、そん時はそん時だな。先ずはあの雪山を踏破しよう。最近失敗ばかりしているからな。修行代わりにドラゴンスパインを踏破しようと思う。あそこなら人もいないからな、存分に闘える訳だ。

 

そのまま清水町を通って俺はドラゴンスパイン前の冒険者の集まる拠点まで来た。

 

「久しぶりです玉霞さん」

 

「あら、田中じゃない。どうしたのこんな所に」

 

この人は玉霞さん。雪山、ドラゴンスパイン前の拠点のリーダーだ。サイリュスさんの姉に当たる人物で一昔前まで二人は凄腕の冒険者だったというわけだ。まあそれはゲームの時の話で実際がどうだったのかは知らないけど。

 

「ちょっとドラゴンスパインの方に挑もうかと。その為の準備が必要だと思いまして……」

 

「ちょっとそれ本気なの?」

 

「ええ………璃月に渡りたいんです」

 

「だったら別に迂回すれば良いじゃない。あんたはあそこの危険さをしってるでしょ?」

 

確かに、そうすれば楽に済む。けどそれじゃいけないんだ。ドラコンスパインでないと人に見られる可能性がある。ここは少しはぐらかすしかない。すまない玉霞さん。

 

「これを最後にするかもしれないんです」

 

「どういうこと?」

 

「冒険者を辞めようか悩んでるんですよ」

 

「続けて」

 

「俺はまだ新米ですが、これでももう三年目です。流石にそろそろ慣れてくるべきだ。でもそれとは裏腹に俺は失敗が多い。只の冒険での失敗ならそれで良い。でも俺は依頼でも失敗する。他人に迷惑をかけ過ぎるんです。冒険者に俺は向いていない。このまま行けば誰かの命が危ぶまれてしまいそうで」

 

「まあ、そうね。あんたはお世辞にも冒険者が向いている訳じゃないわ。成長も遅い方。けどだからって最後の冒険がドラゴンスパインなんて、無茶すぎるわ。それにあんたの夢はどうするの?」

 

「……あー、まあそれは果たす気です。別に冒険者じゃなくても世界は見て回れますから」

 

「そう、ならそれは良いわ。けどあんた、死ぬ覚悟は有るんでしょうね?」

 

死ぬ覚悟、か。まあ何度も死んでるから正直覚悟も何もないんだよなあ。

 

「だからこそここに寄ったんです。自殺しに行きたい訳じゃない。寒さ対策ぐらい俺もしたいんです」

 

「………確かにあんたが一年前に死にかけてた一番の原因はそれよ。けどそれだけで行ける程甘くは無いわよ。冒険者一年程度の、素人に毛が生えた程度でしかなかったあんたがあの山を渡ってこれたのは奇跡でしかないわ」

 

ど正論パンチやんけ。ま、その通りだよなあ。玉霞さんからしたら俺の強さなんか分かるわけないんだから。

 

一年前、俺は璃月からドラコンスパインを通ってモンドまでやって来た。しかし俺の想定以上にドラゴンスパインは厳しく、険しい所だった。寒さによって凍え死にそうになりながら何とかこの拠点にたどり着いた俺は、モンド城に移ってそのまま冒険者生活を続けた訳だ。

 

当時ドラゴンスパインなんて渡ったのは……まあ少し理由がある。璃月であったゴタゴタからの逃亡。色々だるくなって俺はあの国から逃げ出した訳だ。まあ犯罪を犯した訳じゃないからそろそろほとぼりも冷めてるとは思う。

 

「大丈夫です、危険は犯しません」

 

「いや行く時点で危険なんだけど………」

 

「最悪降りて来ますよ。二度目ですから、今度は奇跡じゃなくて、結果を持ってきますから」

 

「…………分かったわよ。いつかまた会いましょう」

 

「ええ、これまでありがとう御座いました」

 

少し不安げな玉霞さんの顔は、俺がこのモンドで生きてきたことを示していた。俺はしっかりと人と繋がりを作って歩んできたらしい。

 

行くぞドラゴンスパイン、リベンジだ。

 

 




次回はアルベド
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