目の前に広がるのは野山、璃月港の門。二年前ここに来たときと同じ門だ。しかし、見える景色は全く違う。暗がりを照らす灯りが点々とし、鮮やかな建築物と暗い海が写っている。璃月港はやはり綺麗だ。あれから璃月も大分変わったけど、あの日と同じように、俺はワクワクしながら歩を進める。
「ねえ」
「あら、堂主どうしたんです?」
後ろから声をかけられたので振り返ってみれば胡桃がいた。まあ胡桃の声だって分かってたから反応したんだけどな。そうじゃなかったら俺以外に話し掛けてる可能性があるからな。自意識過剰は良くない。
「どうしたじゃないよ!何であなたは誰にも言わないで行こうとするの」
「うーん、だって別れが必要な人なんています?」
「私がいるよ!」
いつも通りの胡桃だ。このおどけた感じがらしさなのだ。この二年それに振り回された物だ。何だかんだ言っててきとうだからな。俺がいろいろやったせいでゲームの時より売り上げは上がってるかもしれない。客からすればレベルの高いオールウェイズ出してくれるって訳だな。
「えー、だってもう辞表出した時に別れは言ったじゃないですか」
「………何だか馴れ馴れしくなってないー?」
「だってもう上司じゃないですしねえ」
「なにそれー!………煙緋さんには言ったの?」
ふざけた雰囲気から一転、彼女は真剣に問いただしてきた。でも、それには乗らない。俺はふざけ続けるだけだ。
「あー、まあ、言ったんじゃないすかね?」
「彼女、悲しむよ?」
「そこはもう、旅人がどうにかしてくれることを願ってます」
「田中は良いの?それで」
良いのかどうかで言ったら良いさ。だって彼女に別れは伝えて無いけど、ある程度計画は言ってあるから。
俺はいつか、転生で突然消えるかもしれない。その時が中途半端だったら困る。だからこういう形にしたんだ。
「ええ、その方が良いんです」
旅人に任せれば何とかなるしね。最近の彼女は旅人で持ちきりだからな。
「そう……」
「そういう堂主こそ、人の心配してる場合ですか?」
「へ?」
「ちんたらしてたら、旅人、取られちゃいますよ?何たって彼、競争率が激しいですから~」
本当に思い付くだけでも多いからな。今だと……刻晴、煙緋、申鶴、ぐらいかな。稲妻では心海に宵宮、それにあの方がいるからな。………神里家には関わりたくないもんだな。
「なっ、ななっ!田中~!ちょっと生意気だよ~!?」
「はっはっはっ!いやまあ最後ですから。伝えられることはある程度伝えておこうかと。最高の友達か、そうじゃないかは堂主が決めることですしね」
「うん、そうだよね」
良い笑顔だ。やっぱり胡桃はそうじゃないと。
「ねえ田中。あなたあの時言ってたよね?」
「どれのことです?」
まずいつの話だ?内容を言ってくれないと分からんぞおい。
「ほら、二年前さ。往生堂の面接の時、二年後には動きだしてるって。あれってどういう意味だったの?」
そんなことを、俺は言っただろうか?確かに言ったような言ってないような。まあけど、その時の俺が何を考えてたかは分かる。
「その顔、分かってて言ってるでしょ」
「うーん、でも確信が欲しいの」
「それじゃあ少しだけ、というよりかはこれが答えですかね」
彼女には恩がある。だからこそ、聞かれたなら答えよう。勿論、全ては伝えずに。でも一番重要かもしれない部分を言う。
「七国崩壊を止める男が来たでしょう?」
「やっぱり、旅人、なんだね」
うん、彼女も納得した様子だ。まあもう少し事態は複雑だし、問題は深刻なんだろうが。でも彼が来るのが重要で、それはトリガーではないけど、答えを導くのには必要だ。
「あなたって旅人の何なの?」
「何でも無いですよ?」
「旅人のことそぉんなに知ってるのに?もしかしてぇ、ストーカーとか?」
いたずらっ子な笑みを浮かべて彼女は話す。けどもっと予想外の答えを出すことになるんだよな。
「ははっ、会ったことすらありませんよ」
「…え?じゃあ、何でそんなに知ってるの?」
「それは秘密ですね」
そこは話せない。無駄な情報は与えたくないからな。それに、色々な問題を止められると分かっていて止めなかった俺はあまりにクズすぎる。信用は大事だぜ人間。
「えー、良いじゃんちょっとぐらい!」
「いやあ、これに関してはちょっとね。あと、旅人に私のことは話さないで下さいよ?」
「え、どうして?」
「面倒事に関わるのは嫌なんで」
「んー、それは良いけど、でも難しいんじゃない?」
難しい?
「そりゃどうしてです?」
「だってあなた有名人じゃない」
「は?」
「え、もしかして気づいてなかったの?」
おいちょっと待て、聞いてない!聞いてないYoそれ!どういうことだ!
「ちょっと待って下さい何ですかそれ」
「ちょっ!近い近い!離れてー!」
「さっさと答えて下さい。はよ」
「本当に知らなかったんだ……。だって璃月で田中って言ったらあなたしかいないよ?神の目を持たない英雄、天剣滅災真君なんて言われてるよ?」
何故に?おいおい、ちょ待てよ(クソブサイクなキムタク)
「何でそんなことになってるんです?少なくとも三年前はまだそんなこと無かったですよね?」
「うん、あなたが往生堂に来る前にあなたの失敗が濡れ衣だったって発表されてね、それからかな」
おいどうすんだよこれ……璃月医学部頭悪いって……。
「まあでも基本的に気付いてる人はいなかったですし、普通に生活する分には大丈夫そうですね」
「うん、確かに見た目はあんまり聞いたことないかも」
「なら…って、うわっ」
うわあ……岩神やんけ……。嫌やわあ、あんなのと関わると金せびられそう。前に会ったこと……あるか。海灯祭の時だったか。あん時は色々言っちゃったしなあ。答えるの面倒だから来ないでくれ。
「どうしたのって、あれ、鍾離さんじゃん。あの人と何かあったの?」
「ヴェッ!マリモ!」
「えぇ……何それ」
オンドゥル語を知らない?これだから最近の若者は……ウゾダドンドコドーン!(若者に対する嘆き)
さて、そろそろかな。
「時間稼ぎはもう良いんじゃないですか?」
「ええー、気づいてたの?」
「気付かない方がおかしいですから。ほら、もう良いと思いますよ、煙緋さん」
「そういうのは気付かないふりをしても良いんじゃないか?田中」
物陰から自然と現れてくる煙緋さん。恐らく仙力でも使ったんだろう。ま、煙緋さんだけは間違えないわ。分からなかったら不敬罪よ。
「何となく、そんな気がしてたんで」
「そうか……。田中、最初に会った時を覚えているか?」
「覚えてますよ、そりゃ」
だって、一番初めに会ったプレイアブルキャラは貴方なんだから。覚えてない訳がない。
「お前は最初から優しかった。最初から私に協力してくれた。ずっと私を法律家ではなく私として見ていた」
「ええ、私には煙緋さんが法律家かどうかは重要でないですから。貴方が笑えているかの方が大事だ」
「ああ、田中……今まで、ありがとうな」
そうか。今まで、そうだな。次が絶対にある訳じゃない。今、貴方に言われてやっと実感した気がする。
「それは、どれに対してです?」
「全部だ。ずっと気にしていたんだろう?この璃月を、私達を」
気付いてたかあ。この人には何も話さなかったんだけどなあ。いや、恐らくは四年前のことか。旅人関係は流石に知らないだろうな。
「でも、それも終わりです」
「………ああ」
俺はやるべきことをもう終わらせた。気にするべき物語はもう終わった。
「いつかまた戻って来てくれるか?」
「………そういうのは旅人に言って下さい」
「旅人が来たからお前は居なくなるのか?」
確かにな。そうなのかもしれない。これは人間として間違った行動かもしれない。けど
「でも、幸せでしょ?」
「………本当に、卑怯だお前は」
「それで結構。私は、貴方達に笑顔で居て欲しいですから」
これは心からの言葉で、恐らく初めて話す本心。俺の原動力、これがなければあんなに面倒なことはしないだろう。
「二人とも、これからも頑張って下さいね」
「ああ、お前に言われなくても分かってるさ」
「あなたも頑張って。依頼はいつでも受け付けてるからね?」
この世界でここまで仲良くなれる人が、しかもこの人達となれるとは思わなかった。これなら俺は俺を認められる。ほんの少しならこの人達を笑顔に出来ただろうから。
「じゃあ、最後にこれどうぞ。餞別です」
「え、何これ?写真と……」
「……青い石?」
「もし旅人に会ったら渡してあげても良いかもしれないですよ?恐らく物凄い喜びますから」
俺が渡したのは星形の青い石。上の部分はすこし緋色に染まった、まあ珍しい石だ。旅人ならこれが何かなんて、言わなくても分かるだろう。
「この石が?それでこっちのは、ってこの写真!見てたのか!?」
「私のも!?ちょっと!言ってよ~!」
「綺麗でしょ?是非思い出にしてくださいね」
それぞれが旅人と写っている写真を渡した。何個も撮ったがその中でも特に綺麗なのを選んだつもりだ。青春だねえ。俺には無かった物だ。クソッ!
本当に撮るのには苦労した。旅人の勘が鋭くて……。けどその甲斐もあったろうな。
だって、こんなに笑顔なんだから。これが見れるなんて本当に幸運だろう。
「それじゃあ、煙緋さん、胡桃さん、さようなら」
「ああ、またいつかな」
「うん、じゃあね」
振り返らず、手だけ振って返す。次があるとは限らないから、またとは言えない。それでもここにまた来たいと、そう思えた。
この世界の片隅に存在出来て、本当に良かった。今ならそう思える。俺は今日を忘れないだろう。
◆◆◆
旅人のヤること気持ち良すぎだろ!!
ということで今の俺は稲妻目指して旅の途中。と言ってもまず目指すのは孤雲閣。何故かと言えばそこが稲妻に一番近いからやね。稲妻ってさ、言っちゃえば日本よ。島国isアイランドな訳だな。となると海を渡ることになる。で、ここが問題。
海をさ、渡る手段が無いんだよね。
これどういうことかって言うと、今はまだ稲妻鎖国中。それでその鎖国の仕方ってのがあっちの神様、今は雷電将軍って呼ばれてる人なんだけど、その人が国の周りを覆って雷降らしてんのよ。
マジで何個も降らしてるから基本入れないっていう。まあラ○ュタの雷みたいなもんだ。神からすれば人がゴミのようだって言われてもしゃあなし。
あとちょっとじゃないかなあって思ってたんだけどな。旅人の問題解決速度に期待してたんだけどね。旅人のち○ぽ気持ち良すぎだろ!!(言いたいだけ)
じゃあそんな旅人はどうしたのか。それは船に乗せて貰うんだよ。璃月には南十字という武装船隊がいる。その名の通り武装してる船、もしくはその船員達のことだ。そいつらなら嵐の中さえ突っ切れる。マジで凄いと思う。ヤりますねえ!
旅人は璃月を救ったことで凝光がその船に頼んでくれる訳だな。しかし俺にはそれが無い。
え?お詫びの時に頼れば良かったって?黙れ
そんならどうやって突破すんのかってそりゃあ簡単。
当たらなければどうということは無い(赤い流星)
◆◆◆
はーい、よーいスタート。
ラピュタの雷を突破するRTA、はぁじまぁるよー!
というとこで着きました孤雲閣!
取り敢えずは準備運動にボスを狩りましょう。ここには無相の岩という元素攻撃しか通用しないボスが──
狩りました!3分クッキング完了です!神の目?元素攻撃?知らんな(チャージマン研風味)
それでは次のSTEPです!
海を歩きましょう!
え?海は歩けない?何を言ってるんですか!片方の足が沈む前にもう片方の足を前に出すだけですよ!
とまあ冗談はここまで。俺は刃牙の世界なんて行ってないので。列海王みたいなのは無理です。
普通に瞬歩使いますし六式も使います。魔法で地面凍らせるか空飛びます。その方が楽です。フリーレン達みたいに上手くありませんけど空を飛ぶのは得意。俺だってあの世界で何千何万と生きたのでね。何個か極めたんですよ。
今回は霊力で足場を作ります。考えたら瞬歩と魔法併用して走った方が速いんで。因みに剃は瞬歩と併用すると足がバグりますね。おいおい死んだわあいつ。
「よっ、と。おおー久しぶりにやるとスゲー不思議な感覚」
うんうん、このよく分からない妙な感じめっちゃ懐かしいわあ。うし、行くか。
身体に霊力流して、と。一応武装色とか……流石に要らないか。魔法で保護しとけば大丈夫だろ。速度に身体が耐えられないとか、無いよな?
《身に付けてる物を保護する魔法》《身体能力が上がる魔法》
「行きますか」
ほも、行っきまぁ~す!(ガ○ダム発進)
という訳で雷の前に着きました!良いタイムです!
次に雷を気合で越えます。この量の雷を避けるのは骨が折れますね。少しスピードは下がりますが確実に行きます!一応雷耐性が付いた防具を使いたい所ですがタイムが伸びるので却下です!
やってみせろよ、マフ○ィー!何とでもなるはずさ!ガ○ダムだと!?
越えました!稲妻到着です!タイムは7分23秒!ありがとうございました!
◆◆◆
~とある船の上のお話~
「なあ!あれ!」
「あ!?なんだようるせえぞ!さっさと仕事にかかれ!」
「違うんだよ!船長!人がいます!」
「何言ってんだてめえ!そんなのいる訳、が…………何だあれ、嘘だろ、ありえねえ!」
「おい、何処に人が居るって?」
「せ、船長!あそこです!」
「あん?おいおい……本当に人じゃないか。どうなってる?この雷の中だぞ?」
「拙者もあんなのは見たこと無いでござる……」
「うおっ、万葉!何だい、居たのかい!」
「去って行く……あれはもしや、稲妻に?」
「もしかしたら会うこともあるかもしれないでござるな」
「ま、本当に人ならあんな速さで動けない気もするが……まあ良い!ほら!さっさと動きな!船が沈むよ!」
◆◆◆
(空気が)うんまい!
着いたぜ!稲妻!上手くやらないと捕まるぜ稲妻!
という訳で不法入国完了だ。ああ、大丈夫。書類関係はバッチリだぜ。そういうのはね、抜かり無いようにやってんだ。という訳で離島が見えてきたら船を出す。
《人形を出す魔法》
船員が居るような感じで自立人形を配置する。結構な数だが、少しの間なら問題無い。頑張ればいける。
さて、上陸だ。まあ俺には案内役のトーマみたいな便利な人が居ないからな。そこんところどうするか悩み所ではある。しかしだ、許可証関係はバッチリ持ってるんだよなあ。最悪これで何とかなるぜ。理由はまた今度。過去の俺に感謝やでホンマ。
ああ、見えた。少し懐かしさを感じる建築物。咲き誇る草木。遠く見える桜色に染まった山。
稲妻。永遠の国に俺は足を踏み入れた。
皆様感想、誤字報告ありがとうございます!やっと稲妻ですね。皆様関わって欲しいキャラとかいますか?
主人公プロフィール
名前 田中 ■■
誕生日 複数
神の目 無し
所属 無し
命の星座 ………掠れて見えないようだ
以前まで往生堂で働いていたとされる人間。璃月に出てくる物語の主人公と同名だが本人は否定しているらしい。
キャラクターストーリー
解放されていません