Rusted Dáinsleif   作:暁真

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大変お待たせしました。


夏の特殊作戦!RABBIT小隊と消えたエビの謎 1

 

「RABBIT小隊にアイスを?」

「うん、この暑さでしょ?」

「まあこの馬鹿みたいな暑さには同意しますが……わざわざ?」

「一応私はRABBIT小隊の処遇を任されてる立場だからね」

「そういえばそうでしたね。どうぞ行ってらっしゃい、私はこの部屋から出たくな……仕事を片付けなければならないので」

「今さらっと外に出たくないって言わなかった?」

「言ってません、気のせいでは?」

「いや絶対言った……」

「細かいことは私が気にすることです、考えないでさっさと行ってください……仕事のせいで涼みにも行けないんで寧ろ仕事してるのが一番涼しいんですよ」

「アッハイ」

 

 季節は蝉の大合唱が煩くなってきた夏真っ盛り。ヘルメットを被るだけで蒸し暑くなってかなり気が滅入る今日この頃、私はいつものようにシャーレの仕事をこなしていた.......しかしこいつは後輩共にアイスを持っていくなどと言っているが、果たしてこの暑さの中無事届けに行けるのだろうか.......いや絶対徒歩だと倒れるなこれ。

 

「……まあこの暑さです、徒歩で行くのは無茶でしょう。あれならミズガルズを使って下さ「いいの!?」うわ食い付きが早い……」

「だってあんなカッコいいの乗ってみたいに決まってるじゃん!一応私二輪免許もあるし」

「あ、持ってたんですか。なかったらグラニに頼んでオートで運転してもらう所でしたよ」

「グラニってたまに来るユキそっくりなあの子?」

「ええ、元々彼女は私の思考ルーチンを元に作った補助AIです。というかあの体は機械で作られた素体ですよ、ある意味アリスちゃんと同じです」

「……え、あの子アンドロイドだったの?今の今まで知らなかったんだけど?」

「そりゃあ聞かれもしなければ言ってもいませんから。というか普通気付くでしょう先生、いつぞやの電子の歌姫様の時にキヴォトスのロボット工学技術は知っていた筈ですが」

「普通にユキの親戚か妹辺りだと思ってた……」

「えぇ……」

 

うそでしょ……お前の天然は知っての通りだが全く同じ見た目の人間が2人も居たら普通怪しむだろ。だから全部バレるまでグラニの存在はなるべく隠しておいたってのに……これ私が疑り深すぎただけなのか?違うよな?

 

「はぁぁ……まあいいです、行くならさっさと行ってさっさと帰ってきてください。後輩たちは待ってくれるかもしれませんが仕事は待ってくれませんよ?主に今日が提出期限の書類達が」

「行ってきまぁす!」

「素直でよろしい」

 

書類の話を出した途端慌てて支度を始めた先生を見送りつつ、こっちはこっちで別の仕事……連邦生徒会からの書類に目を通す。

どうもクーデターの影響がまだ微妙に残っているらしく、業務に支障が出ているため手伝ってほしいと会長代行直々に頼まれたのだ……いいんだろうか、私そのクーデターのどさくさに紛れて色々とやらかした側だぞ。

 

(……先生に大きな貸しができてしまいましたね、私)

 

まったくです、幾ら暴走というかヤケクソになっていたとはいえあんな愚行に走るとは……当時の私に弾倉1つ分くらいは撃ち込みたいですよええ。

 

(そんなものでいいんですか?)

 

過ぎたことを悔やむのはもうやめましたから......貴方だっていつまでもホムラ先輩のことを引き摺っている訳にもいかないでしょうシロ?

 

(……そうですね、私も貴方と一緒に前を向いて歩きだそうと思います。まあまず意識を完全に定着させるところからですが……ん?)

 

どうしました?

 

(……気のせいでしょうか、今クロと同じことを考えた瞬間接着剤でも使ったみたいに意識がくっついた感覚が)

 

気のせいじゃないです?そんなオカルト染みた……いや、シロが私の中に残っていること自体オカルトのようなものだから今更ですか。まあ深くは考えないでおきます、仕事に戻りましょう。

 

(少しは気にした方がいい気もしますが……ん?クロ、会長代行からメールですよ)

 

おや珍しいですね、いつもなら電話をかけてくるものですが余程忙しいのでしょうか。直々ということならかなり重要な案件ですしそっちを優先して今日の残りは先生が帰ってきたらやらせるとしましょう。さて内容は......

 

 

差出元:連邦生徒会

件名:調査願い:DU地区の海老の流通について

 

いつもお疲れ様です、連邦生徒会会長代行、七神リンです。

ここ数か月の間、DU地区で突然海老の流通がストップした、という報告を多数の飲食店や企業から受けています。

こちらとしてもDU地区の飲食業に少なくない被害が出ているため早急に解決すべき問題ではあったのですが復興作業と先日のクーデターの影響により他に優先すべき事項が進んでおらず、手を付けられていない状況です。

このままでは問題の解決に着手するまでに年単位の時間がかかる恐れがあるため、本件についてはシャーレに全権を委任し、事態の解決にあたってもらいたく存じます。

 

お忙しいところ恐縮ですが、何卒ご検討くださいますようお願い申し上げます。

 

 

 

 

(海老……ですか)

 

言われてみれば最近海老、見かけませんね。どこに行っても売り切れだったり提供中止だったり……ここまで大きな問題だったとは。

 

(どうします?優先するにしても一日そこらで終わるものではありませんよこれ)

 

悩ましいですが……先生にこの案件をお願いすると困るんですよね、主に提出期限が迫っている書類の数々が。とはいえこの問題も無視できるものではありません。

 

(……ちゃんと先生に一報は入れましょうね?)

 

何当たり前のことを言ってるんですか、ちゃんと入れますとも……少なくとも今日終わらせる分の仕事を終わらせた上で。

 

(終わるまでに先生帰ってきませんそれ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい?出張?そんな予定ありましたか?」

『あーその……SRTの皆が調査に行くって言うから一応世話役としては付いていかないわけにも、ね?』

 

 数時間後、なんか戻ってくるの遅いなあいつ……と思っていたところに連絡。厄介ごとに巻き込まれる時特有の音信不通でないことにひとまず安堵しつつ先生の用件を聞いていた……後輩共が調査って……一体何処に?

 

「失礼ですが何処に?どうせ帰ってきたら書類を書いてもらうので後ででも良いですが……」

『八戸浦村。最近海老の流通がさっぱりでしょ?それで生産地に直接調査に行こうって提案を』

「なるほど、話は理解しました」

 

随分とタイミングの良いものだな……とはいえお前には山積みの書類が待ってるんだ、悪いが一人だけ観光の引率ができると思うなよ。

 

(流石に先生でも観光目的で提案したわけではない気がしますが……)

 

気持ちの問題です、気持ちの。

 

「奇遇なことにこちらも連邦生徒会から海老の流通について調査を依頼されましてね、あとでそれについて連絡するつもりでした」

『あ、だったら話早いや、それについては私が行くからユキがやる必要が……』

「残念なことに今溜まってる期限が差し迫った書類に先生じゃないと処理できないものが多数ありまして、恐らく貴方に今出張をする余裕はないかと」

『えっ』

「事実です、当番の生徒たちに見せていいものではない書類も複数ありますし……また期限内に提出できなくてリン会長代行から雷を落とされたいんですか?」

『それはちょっと嫌だけど……RABBITの皆も放っては置けないし書類よりは……』

「……はあぁ」

 

相変わらずの生徒第一だなぁお前は。けどそれは仕事をおろそかにしていい理由にはならんぞ。

 

「何のために私が居ると思っているんですか貴方は?」

『……もしかして、代わりにやってくれたり?』

「な訳ないでしょう、私言いましたよね?貴方じゃないと処理できないものが多数ある、と」

『じゃあ手伝ってくれたり……いやそれだと間に合わないしなぁ』

「簡単な話ですよ、先生」

 

 

 

 

 

「後輩たちの面倒は私が見ます。なので先生は安心して書類と雷に追われてください」

『ねえ後半若干皮肉入ってない?』

「いつものことでしょういつもの、そういうわけで出張の書類を書いておきます、帰ったら目を通しておいてください」

 

……思えば私がこういう形で出張に行くのは始めてな気がするな。前は書類もそこまで多くなかったから先生が毎度行っていたし。

 

『行ってくれるのは嬉しいけど……その、大丈夫なの?』

「大丈夫とは?」

『一応ユキは皆の先輩だし世話役は問題ないと思うけど……あの時の件とか色々引き摺ってたりとかは』

「あるわけないでしょう、感謝こそすれど拒否感なんて出る訳ありませんよ……あの子達が頑張ってくれなかったら私は正気に戻っていませんでしたし」

 

それに遭遇当初はSRTにあるまじき行動や覚悟の甘さから距離を置いてはいたが……今のあの子たちならしっかり自分の足で立ってやっていける。大丈夫だろう、多分。

 

(私も復活しましたし、最悪仲介しますよ……入れ替われるのは多分今だと3時間くらいですけど)

 

最初よりはかなり伸びましたね……って今はその話じゃなかった。

 

「ともかく、八戸浦村には私が行きます。準備も必要なので今日の仕事は早めに切り上げますがよろしいですね?」

『いいけど……』

「なんですかその言い淀みは。自分が行けなくなったからって拗ねてます?」

『いやそうじゃなくてさ、RABBITの皆について』

「それについてはさっき話したでしょうが、問題はないと」

『ああいやそうじゃなくて』

 

 

 

『観光客のフリをして潜入調査する……とか言ってたし、ユキも観光気分で楽しんできたら?って』

「やっぱり自分が行けなくなったの拗ねてません?」

『だから拗ねてないって、シャーレは冷房効いてるしね』

「ならいいんですが……一応これは正式な仕事ですよ?あくまで業務の一環として処理します」

『いつものことだけど頑固だなぁ……それじゃあ切るね、もう少ししたら帰る』

「わかりました。間違ってもはしゃいでミズガルズを壊さないでくださいね?」

『壊さないよ!?』

「ならいいです、では」

 

先生との連絡を終え、少し椅子の背もたれを下げて考え込む……観光、かぁ……

 

(一応仕事ではありますが……いい機会です、少しくらい息抜きをしても誰も文句は言わないと思いますよクロ)

 

そうは言ってもですね……お目付け役の私が気を抜いてたらシャーレとしてどうかと思うんですよシロ。

 

(別に観光中だからって気が抜けるわけでもないでしょう。それに潜入調査ならSRT時代に幾度かやりましたし瞬時の切り替えは貴方にもできる筈です)

 

……そこまでして楽しもうという気は起きませんが……確かに多少は遊び心を持たないと後輩たちの邪魔になりそうですね。

 

(そういうことです、書類を書き終わったら水着でも見繕いに行きましょうか)

 

そうですね……え、水着?

 

(海辺に観光に行って海に行かない観光客がどこに居るんです、怪しまれますよ?)

 

……ま、まあ言われてみれば確かに。何か裏を感じますが……行きましょうか。

 

(全く失礼な、貴方の大本は私ですよ?あくまで任務に必要、というだけです)

 

ならいいんですが……ひとまず書類、書きますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マスター、もう少し遊び心のあるものがいいかと』

(あ、あれとかどうです?先生の好きそうなデザインですし)

「グラニは少し黙っててくださいあとさっきの建前は一体何だったんですかシロォ!」

(応援はしてますから)

「何を!?」

 

 

……結局、帰りに寄ったモールで適当な水着を選ぼうとしたらシロはともかくグラニにまで口を挟まれ結局水着を選ぶのに小一時間かかった……この仕事が終わったら着ることもないだろ……なんでそこまで拘るんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




不定期更新とはいえここまで遅くなってしまい申し訳ございません……エッチな方も現在進めていますので何卒……

何とは言いませんが

  • 先生(男)
  • 先生(男)、ミヤコ
  • 先生(女)
  • 先生(女)、ミヤコ
  • ミヤコ
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