Rusted Dáinsleif   作:暁真

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水着が難産でした。


夏の特殊作戦!RABBIT小隊と消えたエビの謎 4

 

 

「本当にカメラだけで助かりましたよ……これなら短時間でなんとか……」

『マスター、撃墜されるのが前提であったのなら修理に必要な予備パーツではなく予備機を用意しておいた方がよかったのでは?』

「まあそうなんですが……ミズガルズの収納スペースの都合上1機が限界なんですよ、それならパーツを別途輸送した方が効率的というわけです。時間はかかりますが一応予備パーツでもう1機作れたりもしますから」

『左様ですか。まあ今回は潜入任務である以上目立たないに越したことはありませんしね』

「ひとまず今はとっとと直して密輸船を抑えるが先決です」

『ところでマスター』

「なんですかグラ二」

 

 

 

『いくらなんでも冷房を効かせすぎでは?寒暖差で風邪を引きますよ』

「この蒸し暑さでまともに作業なんかやってられるわけないでしょうが」

『そうですか……』

 

 あれから日が昇りドタバタの最中私はこっそり撃墜されたドローンを回収、後輩共にバレない内にそそくさと修理を行っていた。グラニからは冷房効かせすぎだとお小言をもらったが……この蒸し暑さだぞ?1℃でも上げたら私が倒れるって。後単純に熱でパーツがイカれるのも怖いしな、主に回路類。

 

「このペースなら修理完了まであと20分ってところでしょうか」

『……しかしどうするのです?RABBIT小隊に調査禁止を言い渡した手前、こちらが調査する姿勢を見せなければならないと思いますが』

「とは言っても証言はばっちり抑えてますからね……あとは肝心の現場証拠を押さえるだけですが、こんな快晴の空でやろうもんならすぐ即バレることはあちらも承知。動くなら濃霧の予報が出てる明日でしょう」

『ではどういたしましょうか』

「どうしましょうか……」

 

後輩共に休養を言い渡した手前調査しないというのも不自然ではあるし、かと言って調査しようにも居るはずもない密輸船を押さえることなんてできやしない。予行演習でもしろっていうのだろうか……

 

「……あ」

『如何されました?』

(どうしたんです、クロ?)

「いえ、そういやこの村水上バイクの貸し出しをやってたような記憶がありまして」

『……つまり、借りる、と?』

「まあ、そうですね。明日使わないとも限りませんし」

 

実際密輸現場を押さえるなら水上での機動力は必須だ。近づく間に逃げられましたー、じゃ始末書どころの話ではないし、銃撃戦に発展した場合小回りの利かないボートでは被弾の可能性も高い。そこら辺を考えると適当なボートを拝借するよりは小回りの利く水上バイクのほうが都合が良いのだ、正式に借用するなら後でややこしくなることも多分ないだろうしな。

 

(……今日借りる必要性は?)

「念のため慣らし運転は必要でしょう」

 

一応騎乗経験はあるが最後に乗ったのは年を跨ぐほど昔だし、そもそもメーカーも違う可能性があるし慣らしがあるとないとでは本番の成功率は雲泥の差だろう。つまり今日私が水上バイクを借りることには何も不自然なことはないのである……ないったらない。

 

(ふむ、つまりクロは……)

 

 

 

 

(乗りたいんですね?水上バイク)

 

なんですか、たまにはバイク以外にも乗ってみたくなることあるじゃないですか。

 

(いえ、非難しているわけでもはありませんよ?ただホムラ先輩みたいなことを言い出したなぁって)

 

……ああ、確かにそうですね。

 

 

 

 

 

なあユキ、私自動車の免許取ろうと思うんだけど。

何ですか急に、またアニメにでも影響されましたか?

まぁそれもあるけどな。バイク以外で感じる風がどんなものなのか気になってさ。

……自動車ならオープンカーでもない限り風を感じることもないと思いますが。

わかってないな~、こういうのは風情だよふ、ぜ、い!

別に口だけで先輩が止まるとは思ってませんよ。やるなら仕事に支障が出ないくらいでお願いします。

ユキも私の扱い手馴れてきたなぁ。よし、そういうわけで教習所行ってくる!

……え、今から!?ちょ、待ってください先輩!?

 

 

 

 

(……もしかしてクロってホムラ先輩だったりします?)

 

なわけ、一体何を根拠にそんなことを……そもそも雰囲気からして違うでしょうが。

 

(冗談です……まあ、たまにはこうして息抜きするのも良いと思いますよ?先生にも言われましたしね)

 

……別に真に受けたわけじゃありません。あくまで自分のためです、自分のため。

 

(ふふ、そういうことにしておきましょう)

 

なんですかその気持ち悪い笑みは……修理ももう少しで終わりそうですし、切り替えてバイクを借りに行きますか……この部屋から出るの嫌ですけど。

 

(なんでそこはだるいままなんですか……)

 

この蒸し暑さですよ……それはそれ、これはこれです……引きこもってちゃ何も始まらないので出ますけど。

 

「グラニ、貴方はどうしますか?恐らく市販の水上バイクには貴方を接続できませんが……」

『この暑さですので、ミズガルズがやられていないか点検しようかと思います。万が一システムに異常が発生した場合任務にも支障が出ますので』

「わかりました、では修理が終わり次第ミズガルズに接続しておきましょう」

『ありがとうございます。それとマスター』

「なんです?」

『……まさかとは思いますが、その恰好のまま水上バイクを利用するつもりではありませんよね?』

「……」

『……図星、ということでよろしいですね?』

 

……仕方ないじゃないか。この服一応防水性だし、機動性も悪くないから任務でも愛用してるし。何よりラッシュガードを買い忘れたせいで水着があんな表面積の小さいのしか……!

 

『折角水着を買ったのですから着用すべきかと』

「嫌です」

『見た目は多少あれかもしれませんが機能性は大変優れて』

「嫌です」

(クロによく似合うと思うんですが)

「だから嫌です」

『そもマスターは怪しまれない行動をするようにと厳命していましたが、水上バイクに普段着で乗るのもそれなりに怪しまれる行為かと』

 

「嫌なものは!!!!!!!!嫌です!!!!!!!!!!!!!!!」

 

『……理解と反応に困ります』

(小学生じゃないんですから……)

 

黙れ元凶その1とその2!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうにか、どうにか最低限の尊厳は守り切りました.......」

(隠す必要もなかったと思うんですが.......それにこれだとワイシャツが濡れたら透けますよ?水着)

「気分の問題です!気分の!濡れた後のことなんて知りません!」

(いや見た目のことだし危惧すべきことだと思いますが.......)

「知ったこっちゃありませんシロ!さっき私が先輩かもしれないだとかなんだとか言いましたが貴方こそ先輩のセクハラ因子を継承したんじゃないですかね!」

(……そんなことはない……筈です……)

「言い淀むなぁ!!!!!!」

 

 ……結局ラッシュガード代わりに予備のワイシャツを被ることで渋々水着を着用し、水上バイクをレンタル。現在小言が喧しいシロと口喧嘩をしながら水上バイクの乗り心地を確認中、という訳だ……割とバイクとは勝手が違うな、注意しておこう。というか今更ですがよく免許持ってましたね、シロ。

 

(一時期先輩に突き合わされて色々と免許を取ってた時期がありましたから……)

 

ああ、そういえばそうでしたね、ご愁傷さまでした。

 

(まあこうやって役に立つこともありますし、人生何があるかわからないものですね)

 

全くです……よし、大体わかりました。慣らし運転と行きましょう。

 

(ないとは思いますが、転倒しないように細心の注意を。それと、どうか楽しんで)

 

当然です。私を誰だと思ってるんですか、貴方ですよ。

 

ロックプレートを取り付け始動スイッチを起動……おお、この上に上がる感覚、バイクというより暴れ馬を乗りこなしている感じがするな。久しぶり過ぎて何もかも新鮮に感じる。

あとはスロットルレバーを握りしめて……いざ、広大な大海原へ!

 

(……口では任務だの仕事だの言いますが、やっぱりこういうことしたかったんですねクロ……素直になってくれて、よかった)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっちの塗料取ってくれ」

「はいはい。安くないんだから塗り間違いないようにしてね?」

「わかってる……そういや先輩は何してるんだ?朝からずっと旅館の部屋に籠ってるが……」

「きっと先輩のことだしなにか秘密兵器の調整でもしてるんでしょ。きっと犯人を一網打尽にできるような……うん?」

「どうしたモエ……って、なあ、あれって……」

「……うん、どっからどうみても先輩だね。なんで水上バイクでドリフトしてるんだろうあの人」

「先輩のことだ、きっと何かの予行演習じゃないか?」

「私にはただ遊んでるようにしか見えないけどなぁ……でもあれだね」

「あれとは?」

「先輩、あそこまではっちゃけれる人だったんだなって」

「同感だ。でも、意外というよりは……ようやく昔に戻れたんだろうな、先輩は」

「……ねえねえ、あれビデオに撮ったら後でネタにできない?先生に送ったりとか……」

「馬鹿、プライバシーの侵害だろ……ほら、塗料さっさと取ってくれ」

「えぇ……面白そうなのに……」

 

 

 

 

 

「よし、これでモンキーフィストも結び終わりました。次は……うん?あれって……」

「……ありゃさっきの嬢ちゃんか。器用なもんだな。バイクをまるで自分の手足のように操っておる」

「……初めてみました、先輩があんな楽しそうにしてるの」

「そうなのか?」

「ええ、先輩は私たちの憧れで、でも近寄りがたかったり、不愛想だったり、そんなんだったんですが……」

「きっとあれが本当の先輩なんでしょうね。憑き物が落ちたみたいに爽やかな顔をしてます」

「……良い先輩を持ったようじゃな」

「……ええ、私たちの……自慢の先輩です!」

 

 

 

 

 

 

「えぇっと、餌はこうやって……頭から針を……」

「なるほど……うへぇ、ちょっとぶき、みぃ!?」

「だ、大丈夫ですか……!?」

「へ、平気です……なんか急にバイクの音が……」

「あ、確かに……ん、あれ……?」

「……あ、ほんとだ。あんなところで水上バイクが……ってええ!?バ、バイクで波に乗ってる……」

「……先輩、楽しそう」

「あ、お知り合いなんです?」

「はい……最近まで、ずっと無理をしてた人だから」

「楽しめてるようで、よかったです……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……悪くないですね、海のバイクも」

(結局日が昇ってる間はずっと乗ってましたね。というかなんですあの曲芸の数々は、水上サーカスでもやるつもりですか?)

「……ちょっとできるかなーって思ってやってみたらなんかできちゃっただけです。遊び心です、遊び心」

(そういうことにしておきましょう)

「何がですか」

 

 ……少し風を感じるだけ……のつもりだったのだが、気づけば夕暮れ。時間に換算すれば昼休憩を挟んで大体7時間ほど水上バイクではしゃ……予行演習を行っていたことになる。我ながらここまで入れ込むとは思わなかったなぁ……ホムラ先輩の影響だろうか?

 

(さあ?……元々ミズガルズをあそこまでチューンナップするくらいには乗り物に入れ込むじゃないですか貴方)

 

そう言われると反論のしようもないですが……元は貴方なんだから実質貴方の影響なんじゃないですか?

 

(否定はしません……さて、バイクも返しましたしそろそろあの子達と合流したほうがいいんじゃないですか?)

 

そうですね、さっき集合場所の連絡が来てましたし早めに『撮影完了』……うん?

 

「……何やってるんですか、グラニ」

『何と言われましても、先生に土産の一つもないようでは面目が立たないと思いまして』

「……土産?」

 

……いつのまに来たのやらグラニが修理したてのドローンをこちらに寄越していた……っておい。

 

「……一応確認しますが、その土産ってまさか……」

『はい、マスターの水着姿の写真ですよ?いい感じにワイシャツが濡れて水着が透けていますね』

(……これは一本取られましたね、クロ)

「……消しなさい、グラニ」

『できません』

「管理者権限です、消しなさい、グラニ」

『既に先生の端末に送信済みです』

「……こ……」

『マスター?』

 

「……こんのポンコツAIがぁ!今すぐスクラップにしてあげましょうかぁ!?えぇ!?」

『拒否します、廃棄処分になるほどの事案ではないかと』

「貴方の中ではそうでも私の中では違うんですよぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

(……やれやれ、先が思いやられますね)

 

 

 

……結局グラニの操るドローンを追いかけるのに時間を使ってしまい、合流する頃には後輩共は現地住民と海産物パーティーを開いていた……いや、一体何があったんですか貴方たち。

 

 

 

 

 




多分後1〜2話で夏イベは終わります。

何とは言いませんが

  • 先生(男)
  • 先生(男)、ミヤコ
  • 先生(女)
  • 先生(女)、ミヤコ
  • ミヤコ
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