不死の個性じゃなくて不死の"病"   作:けー

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プロットはできてるはずなのに難産すぎた……かなり短めです。

1話上げた段階で結構反響あってびっくりしてます。コレからもどうぞよろしくお願いします。


少しだけ変わった普通の生活

 家に戻ってから三ヶ月、私はようやく学校へ行くことになった。最も、一人で登下校させてくれるわけもなく、母が毎朝学校まで車で送ってくれているのが現状だ。

 

永遠(とわ)ちゃん!? もう大丈夫なの?」

 

 教室に入るや否や、私の周りには人だかりができる。その中には私が前に仲良かった人だけでなく、全く知らない人もちらほら見受けられた。やはり学校でもかなり話題になったのだろうか?

 

 ちなみに、私に声をかけてきたのは未来(みく)ちゃん。未来ちゃんは、小学校に入ってすぐ仲良くなった子だ。まだ目に見える個性がなかった私は、いくら無個性じゃないと言い張っても信じてもらえなくて、いじめられてた。そんな中、私と仲良くしてくれたのが未来ちゃんだ。

 

「うん、未来(みく)ちゃん、もう大丈夫だよ」

 

 本来は笑顔で答えるべきところなんだろうな……ただ笑い方が分からない。

 

「永遠ちゃん……!」

 

 そんな私をみた未来ちゃんは、お母さんと同じように少し複雑そうな私を強く抱きしめた。

 

「辛かったね……無事でよかった……ほんとに……!」

 

 そして声を震わせ、私の無事を心から喜んでくれてる。

 

「うん、もう大丈夫」

 

「そっか……、永遠ちゃんと学校来れて嬉しい……!」

 

「私も嬉しいよ、未来ちゃん」

 

 そこからは比較的普通に学校生活を送れていたと思う。お母さんの車で登校して、授業を受けて、味のしない給食を食べて、そして帰りは未来ちゃんと一緒に帰る。ただ、お母さんはどうしても心配だというので、未来ちゃんの家までは未来ちゃんと一緒に帰って、そこからは毎回お母さんが迎えにきてくれている。

 

 この生活は私がもう大丈夫って言うまで、約三ヶ月間ほど続いた。

 

 

 ……どうやら私はとことん運が悪いらしい。不審者にとっては女児一人も二人もあまり変わらないのだろう。未来ちゃんと二人で帰っていて、近道をしようと脇道に入った途端にこれだ。

 

 いま、私の目の前には醜悪な不審者が、気色の悪い笑みを浮かべて舐め回すような視線を私と未来ちゃんに向けてきている。そしてここはあまり人が通らない。人が通らないところに女児が二人というのは、不審者からしたら格好の餌なんだろう。

 

「と、永遠ちゃん……! わ、私が守る……から!」

 

 そして未来ちゃんはといえば、私を不審者の男から庇うかのように手を広げて、私に背を向け立っている。

 

 未来ちゃんもきっと怖いのだろう。体を震わせながら、それでも私に心配をさせまいと気丈に振る舞っている。

 

 あの男と同じ醜悪な誘拐犯。そして震えながらも私を守ろうとしてくれている未来ちゃん。そんな光景を見て、私の胸の中からはふつふつと怒りが焼き上がってきた。あの男に向けていたのと同じ種類の憎悪だ。ただ、殺したら流石にまずい。ヒーローやら警察にマークされるなんていうのはごめん被りたい。

 

「未来ちゃん、大丈夫だよ」

 

 目の前の男が、未来ちゃんに向けて手を伸ばしてくる……けれどそれよりも、私が未来ちゃんを抱き寄せる方が一瞬だけ早かった。

 

「永遠ちゃん……?」

 

「大丈夫だからね」

 

 どうやら男はすぐに切り替えたらしい。今度は私の方に向かって手を伸ばしてきている。

 

 私はそんな男の腕を軽く掴み、そして強く握る。すると男が何かを叫び、必死に私から離れようとするが離れられない。そして私が手を離すと、男の手は醜く変形していた。

 

「いいと思う、顔と一緒で手も醜くなってよく似合ってるよ」

 

 軽く煽るだけで、男は顔を真っ赤にして何かを叫びながら再び私に襲いかかってきた。

 

 ただ、怒りに任せての突進であるせいかあまりにも直線的だ。なので合わせるのは容易い。

 

 私は男の横腹に向かって骨がへし折れる程度で済むよう蹴りを入れた。するとどうだろう。なんとも情けない声を上げながら、男は横の壁に激突することとなった。……死んだ?

 

 死んでたらそれまでだ。一応自分のスマホで警察に連絡をして、警察が到着したらその場を離れる……わけには行かないらしい。事情聴取があるみたいだ。

 

「永遠ちゃん……」

 

 ああ……もしかしたら嫌われちゃったかな……? あれだけ容赦なく男に蹴りを入れたんだ。怖がられたのかもしれない。……なんかやだな……? なんでだろ……

 

「ヒーローみたい!」

 

 しかし、未来ちゃんの口から飛び出てきたのは、予想とはだいぶ違った言葉だった。

 

 そんな言葉と共に、目を輝かせて私に抱きついてきた。

 

「……私が守るって言ったのに守られちゃった……でもかっこよかったよ!」

 

「うん、何事もなくてよかった」

 

 このあと、警察の事情聴取でかなり遅れたが、二人とも無事に家へ帰れた。

 そして私は……今日も死ぬ。




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