不死の個性じゃなくて不死の"病" 作:けー
「
「んぅ……
朝、未来の声で目が覚める。中学に上がり、私と未来はクラスこそ別になってしまった。しかし、疎遠になることはなく仲良しのまんまでいた。
ちなみに未来が私の部屋にいる理由は、お母さんが許したかららしい。朝早くに出ていってしまうお母さんは、一応私を起こしてくれるものの、早すぎて私が二度寝してしまうことが多々あった。そのため、インターホンを鳴らしても返事がない場合は、未来ちゃんがこうやって起こしにくる。
「いつもありがとね、でもめんどくさくないの?」
そう聞いたこともあった。
「んーん、可愛い寝顔が見られるから全然問題ないよ。役得ってやつだね?」
なんて笑顔で返されてしまった。
まあ何はともあれ、未来のおかげで私は学校に遅刻することがなくなった。ただ、個性に用いる道具だけはいいところに隠さないといけなくなったのが辛いところだ。
「さ、朝ごはん食べよ!」
そう言って未来は下に降りていく。私もそれに続いて、制服に着替えてリビングに降りていった
◇
「ねー永遠。高校とかどうする?」
「未来と同じところ行こうかな」
特にやりたいことなどない私は、未来と同じところに行くつもりだ。
「そ……っか、それならできるだけ頭いいとこ行けるように頑張らないと……!」
「ん、無理しなくて大丈夫だよ?」
「そういうわけには行かないよ! 永遠ってば無駄に頭いいんだからいいとこ行かないと」
「無駄にはよけい――何笑ってるの?」
無駄になどと言ってきた未来に文句を言うため、彼女に顔を向けると、未来は何やら嬉しそうに微笑んでいた。
「ふふ、最近表情柔らかくなったなって思ってさ、ほら、あの頃はずっと無表情だったじゃん……?」
「んー、そんな自覚ないけど……未来と一緒にいたから……かな? ありがとね」
微笑みながら、未来に感謝の言葉と共に伝える。すると未来は顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
「あ、学校着いた! それじゃまた後でね!」
そう言って、未来は急いで自分のクラスへと向かってしまう。残念ながら未来とは別クラスなので、学校に着いたら別れる。来年は同じクラスになれるといいな……
「おはよー」
声をかけながら教室に入ると、まばらに挨拶が返ってくる。
「また未来とラブラブ登校してきたのかなー?」
席に着くとすぐに、クラスメイトにそう揶揄われる。毎日手を繋いで登校して来ればそんなこと言われるのも当然なのかもしれない。
未来と、友達と過ごすそんな楽しい毎日が3年。私が攫われたあの事件からは5年という年月が過ぎていった。
◇
「未来、帰ろ?」
授業が終わるといつも通り私は未来の教室に行き、声をかける。
「あ、ごめん! 残ってやらないといけないことがあって……先帰っててくれる?」
「それなら待つよ」
「ん、ありがと! なるはやで終わらせてくる!」
「それじゃここで待ってるね」
「わかったー!」
……少しだけ寝よう……
「……わ、永遠、起きて!」
寝ていたらいつの間にやら未来の用事は済んだらしい。私の体をゆすって起こしてくれた。
「んぅ……おはよ」
「うん、おはよ。それじゃ帰ろっか!」
周りを見渡すと、教室にはもう誰もいない。用事とやらは割と長めだったんだろう。時計を見ると、最後に見た時間から30分近く過ぎていた。
「そうだね、ところで予定ってなんだったの?」
「うっ……その、反省文を……」
「反省文……何したの」
先生の手伝いかなんかだと思ってたらまさかの反省文。思わずジト目で追及してしまった。
「テストの名前書き忘れちゃって……それだけで反省文書かせなくてもいいじゃん! しかも800字! 何書けばいいって言うの!?」
めずらしく未来がお怒りだ。でも私も一回書き忘れたことあったけど反省文は書かされなかったな……?
「ふーん……ねえ、それ何回目なの?」
「さ、3回目……」
「やっぱり……そりゃ書かされるよ」
「うぅ……だってぇ……」
「まあもう書き終わったなら次から気をつければいいんじゃない?」
「うん……次からは気をつける」
そうやってしばらく談笑しながら歩いていると、突如後ろから声が聞こえた。
「永遠ちゃん、みぃつけた」
その言葉を聞いた瞬間、口元に何かを当てられ、私の意識は遠のいていった。
ああ、見つけた……
◇
次に目を開けると、見覚えのない天井だった。この前の家じゃないんだ……
隣を見ると、未来も私同様に縛られていた。涙を流しながら、ずっと声を出している。巻き込んじゃったな……
「永遠ちゃん、この子は君の友達かな?」
ねっとりした声で、私の頭を撫でながら問いかける。本当に気持ちが悪い。
「ああ、これじゃ喋れないよね」
そう言って私と未来の口に張り付けられていたガムテープを剥がす。
「と、永遠には手を出さないで……」
こんな状況だというのに、声を震わせながらも未来は私を庇おうとする。私に対して
「未来、私はもうこいつに散々穢されたあとだから……私は大丈夫。未来まで穢される必要はないよ」
「え……? それじゃあこいつが……」
「うん、5年前の犯人」
「そんな……」
未来は私の巻き添えを食らったことに今気がついたのだろう。私に対する恨言の一つでも飛んでくるかと思ったら、未来はその顔に強い怒りを宿して、男を睨みつけていた。私の巻き添えでこんな状況になったのにも関わらず、私を恨む気持ちは一切ないみたいだ。
「お願いだから、永遠には何もしないで」
そして睨みつけながらも、男に懇願する。
「いいねえ……未来ちゃんの前で永遠ちゃんを犯して殺したらどんな反応するのか楽しみだよ……!」
しかし男には逆効果だったらしい。ニタニタと笑いながら私の方に近づいてくる。
「未来ちゃんは永遠ちゃんの個性について知ってるのかな?」
男は未来にそう問いかけ、表情を見て未来は私の個性について何も知らないということを悟ったらしい。そして何かを思いついたんだろう。ニタリ顔で私の首へと手を伸ばす。
「永遠ちゃんはねえ……死んでも蘇るんだよ、こんな風に!」
そして両の手でゆっくりと私の首を握りしめて、力をかけ始めた。
その瞬間、私は自分の手にかけられた拘束を力で無理やり引きちぎり、男を強く突き飛ばした。
「なっ――」
男は痛みで起き上がれないらしく、打ったであろう背中を押さえて体を横にして寝転がっている。
その隙に私は持っていたハサミで、未来の拘束も解いた。
「永遠! 今のうち――永遠?」
逃げようとする未来とは反対に、私は犯人である男の方へと歩みを進める。そして……その腹に鋭い蹴りを入れた。
「ねえ、私もまってたんだよ? あなたに会うのを」
そういって口元を歪ませると、男の表情は恐怖に歪んだ。
そのまま数発蹴ると突然、私の体を後ろから優しく、暖かい何かが包み込んだ。
「もう、やめて……?」
未来だ。未来が私を後ろから抱きしめている。
「今の永遠はなんか怖い……」
「永遠は可愛くて、かっこよくて、私を助けてくれるヒーローなの……今の永遠はやだよ……」
『ヒーローみたい!』
今にも消え入りそうな、悲しい声で私にそう言う未来。それと同時に、私の頭には未来が数年前に言ってくれた言葉が頭をよぎっていた。
「未来、未来はヒーローが好き?」
私が聞くと、未来は無言で頷く。
「そっか……わかった。警察に電話しよう」
その言葉を聞くと、未来は先ほどまでとは打って変わって、笑みをその顔に浮かべた。
どうやらこの犯人、詰めが甘いのか、私たちの携帯は取り上げてないみたいだった。
スマホで位置を確認して、警察に電話をして状況を伝える。おそらく5分もすれば来るだろう。
「次に私たちの前に姿を現したら殺す」
電話を終えた私は、男にそう吐き捨てて未来に寄り添う形で座った。
この後警察が来て無事男は逮捕されて、私たちは保護された。ちなみに私の行いは正当防衛として、特に罪に問われることもない。あまり危ないことをするなと警察には注意されたが、それだけだった。
◇
翌日は大事をとって学校を休み、その次の日は、普通に学校へ行った。
「ねえ、永遠……あの男が言ってた死んでも蘇るって……ほんと?」
通学中、聞きにくそうな顔をしつつも、あの男が漏らした私の個性について未来は聞いてくる。
「うん、ほんとだよ」
私が肯定すると未来は泣きそうな顔をしながら、無言で私を抱きしめた。私が何回も死んでることを察したんだろう。
そこからはしばらく無言で歩いていたが、その沈黙は私が破ることになった。固めた決意と共に。
「ねえ未来、私決めたよ」
「何を?」
「私、雄英に行く。ヒーローになるよ」
「……! そっか、それなら私も頑張らないと! 私も雄英行くから……勉強、教えてね!」
そう言って未来はとびっきりの笑顔を私に向けた。
というわけで主人公ちゃんはヒーロールートを歩むことになりました。未来ちゃん様々でございます。
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ヴィランルート需要あります? あるなら別枠で書くかもしれません。(余裕あれば)
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ある
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