不死の個性じゃなくて不死の"病"   作:けー

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 この話は本編とは一切関係ありません。

 ヴィランルートIFです。発掘して来たので供養がてら上げさせてもらいます。
 
 途中グロ注意。

 読まなくても本編に一切支障は出ません。


3話IF もしもあの時……

永遠(とわ)、起きて!」

 

「んぅ……未来(みく)?」

 

 朝、未来の声で目が覚める。中学に上がり、私と未来はクラスこそ別になってしまった。しかし、疎遠になることはなく仲良しのまんまでいた。

 ちなみに未来が私の部屋にいる理由は、お母さんが許したかららしい。朝早くに出ていってしまうお母さんは、一応私を起こしてくれるものの、早すぎて私が二度寝してしまうことが多々あった。そのため、インターホンを鳴らしても返事がない場合は、未来ちゃんがこうやって起こしにくる。

 

「いつもありがとね、でもめんどくさくないの?」

 

 そう聞いたこともあった。

 

「んーん、可愛い寝顔が見られるから全然問題ないよ。役得ってやつだね?」

 

 なんて笑顔で返されてしまった。

 まあ何はともあれ、未来のおかげで私は学校に遅刻することがなくなった。ただ、個性に用いる道具だけはいいところに隠さないといけなくなったのが辛いところだ。

 

「さ、朝ごはん食べよ!」

 

 そう言って未来は下に降りていく。私もそれに続いて、制服に着替えてリビングに降りていった

 

 

「ねー永遠。高校とかどうする?」

 

「未来と同じところ行こうかな」

 

 特にやりたいことなどない私は、未来と同じところに行くつもりだ。

 

「そ……っか、それならできるだけ頭いいとこ行けるように頑張らないと……!」

 

「ん、無理しなくて大丈夫だよ?」

 

「そういうわけには行かないよ! 永遠ってば無駄に頭いいんだからいいとこ行かないと」

 

「無駄にはよけい――何笑ってるの?」

 

 無駄になどと言ってきた未来に文句を言うため、彼女に顔を向けると、未来は何やら嬉しそうに微笑んでいた。

 

「ふふ、最近表情柔らかくなったなって思ってさ、ほら、あの頃はずっと無表情だったじゃん……?」

 

「んー、そんな自覚ないけど……未来と一緒にいたから……かな? ありがとね」

 

 微笑みながら、未来に感謝の言葉と共に伝える。すると未来は顔を真っ赤にして下を向いてしまった。

 

「あ、学校着いた! それじゃまた後でね!」

 

 そう言って、未来は急いで自分のクラスへと向かってしまう。残念ながら未来とは別クラスなので、学校に着いたら別れる。来年は同じクラスになれるといいな……

 

「おはよー」

 

 声をかけながら教室に入ると、まばらに挨拶が返ってくる。

 

「また未来とラブラブ登校してきたのかなー?」

 

 席に着くとすぐに、クラスメイトにそう揶揄われる。毎日手を繋いで登校して来ればそんなこと言われるのも当然なのかもしれない。

 未来と、友達と過ごすそんな楽しい毎日が3年。私が攫われたあの事件からは5年という年月が過ぎていった。

 

 

「未来、帰ろ?」

 

 授業が終わるといつも通り私は未来の教室に行き、声をかける。

 

「あ、ごめん! 残ってやらないといけないことがあって……先帰っててくれる?」

 

「それなら待つよ」

 

「ん、ありがと! なるはやで終わらせてくる!」

 

「それじゃここで待ってるね」

 

「わかったー!」

 

 ……少しだけ寝よう……

 

「……わ、永遠、起きて!」

 

 寝ていたらいつの間にやら未来の用事は済んだらしい。私の体をゆすって起こしてくれた。

 

「んぅ……おはよ」

 

「うん、おはよ。それじゃ帰ろっか!」

 

 周りを見渡すと、教室にはもう誰もいない。用事とやらは割と長めだったんだろう。時計を見ると、最後に見た時間から30分近く過ぎていた。

 

「そうだね、ところで予定ってなんだったの?」

 

「うっ……その、反省文を……」

 

「反省文……何したの」

 

 先生の手伝いかなんかだと思ってたらまさかの反省文。思わずジト目で追及してしまった。

 

「テストの名前書き忘れちゃって……それだけで反省文書かせなくてもいいじゃん! しかも800字! 何書けばいいって言うの!?」

 

 めずらしく未来がお怒りだ。でも私も一回書き忘れたことあったけど反省文は書かされなかったな……?

 

「ふーん……ねえ、それ何回目なの?」

 

「さ、3回目……」

 

「やっぱり……そりゃ書かされるよ」

 

「うぅ……だってぇ……」

 

「まあもう書き終わったなら次から気をつければいいんじゃない?」

 

「うん……次からは気をつける」

 

 そうやってしばらく談笑しながら歩いていると、突如後ろから声が聞こえた。

 

「永遠ちゃん、みぃつけた」

 

 その言葉を聞いた瞬間、口元に何かを当てられ、私の意識は遠のいていった。

 

 

 次に目を開けると、見覚えのない天井だった。この前の家じゃないんだ……

 少し鉄のような匂い……嫌な予感を覚えながら、ゆっくり顔を横に向ける。

 

「永遠ちゃん、この子は君の友達かな? どうすれば君が絶望してくれるか、ずっと考えてたんだ……」

 

 未来――!?

 

 そこにはお腹を刺されて、血を流しながらぐったりと横たわってる未来がいた。

 

「未来……?」

 

「と……わ……にげ……て」

 

 止めなきゃ。今にも未来にもう一回ナイフを突き刺そうとしてるあの(ゴミ)を。

 

 ――ああ、だめだ。間に合わない

 

「やめ……」

 

 拘束を引きちぎって必死に止めようとする私を見て、愉悦に塗れた笑みを浮かべたその男は、私の手が届くだあろうその寸前に、未来の胸へナイフを強く突き立てた。

 

「あ……ぁああ……ッ! ああああああああっ!!」

 

 感情のままに男を殴り飛ばし、私は未来に駆け寄る。

 

「未来! 未来……! 目を開けて! お願いだから……開けてよぉ……!」

 

 どれだけ声をかけても未来の目が開くことはない。呼吸音も――生命の音が何も聞こえない。

 

 ――私が殺した。私のせいで。

 

 ――違う! あいつが殺した! あいつのせいだ!

 

 私のせい、あいつのせい。私のせい、あいつのせい。

 

 未来の遺体を前に、思考がぐるぐる回る。

 結局は私のせいで、あいつのせい。

 

 ――殺さないと、あの(ゴミ)を。

 

 『ヒーローみたい!』

 

 昔、同じような状況になった時に未来に言われた言葉。

 もしかしたら、未来は私にヒーローになって欲しかったのかな。

 でも、ごめん……私はヒーローにはなれない。

 

 痛みのせいか這いつくばりながら呻いている男の腹に、鋭い蹴りを入れる。

 

「――っ! ぐぁっ……!」

 

 腹を蹴られたせいかあまり大きな声も出ないらしい。小さな悲鳴が響き、再びうめき声がその場に流れる。

 

「苦しんで苦しんで、苦しみ抜いて……」

 

 今度は男の足を全力で踏み抜く。

 耳を劈くような大きな悲鳴が聞こえるが、気にせずもう片方もまた踏み抜く。

 逃がさないように、惨たらしく殺すために。

 

「ひぃっ……許して……くれ……」

 

「……あの時命乞いした私にも耳を貸さなかった。何より未来を殺した……! その身で贖って死ね……!」

 

 指に、冷たい圧をかけていくたび、鈍い音が鳴り響く。……他にも過去に私がされたことを、これにそのまま突き返していく。

 

「ぁ……ぅ……」

 

 ほとんど意識もないんだろう。……終わらせよう。

 

 もう小さな声を上げることしかできなくなった肉塊(それ)を終わらすために、私はゆっくりと近づき―― 一つの命を終わらせた。

 

 念願叶った、というのに達成感はまるでなかった。

 胸の内にあるのは悲しい、悔しい、虚しい。負の感情ばかり。

 

 全部あの子を、私に優しく笑いかけてくれる未来(親友)を失ったからだ。

 

 すでにものを言わなくなった彼女の体を抱き寄せ、縋るように抱きしめる。

 

 あんなに暖かかった未来が、もう冷たくなり始めていて、改めてこの子は死んだんだと理解する。

 

 理解した瞬間、涙が溢れて止まらない。

 どれだけ名前を口にしても、もうその優しい声が返ってくることはない。

 その沈黙に、胸を引き裂かれるような痛みが走る。

 

 ――もう痛みなんて、ずっと感じてなかったのに

 

 いくら泣いても、喚いても、手を差し伸べてくれる人は、もうどこにも居なかった。




 まだヒーローかヴィランか決まってなかった時、どっちも書いちゃえってことで分岐書いてました。

 書いてる途中自分でキツくなったので結局ヒーロールートに笑

ヴィランルート需要あります? あるなら別枠で書くかもしれません。(余裕あれば)

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