つい先日やって来た教会。
その数日後に勇者4人で再び訪れていた。
「じゃあこのお花はこっちの鉢で育ててみようか」
「賛成! 色んな色のお花育てたい!」
「だよね! だよね!」
塞ぎ込んでいた璃里を半ば無理やり連れ出して正解だった。
この数日、教会の孤児達と接するうちに璃里も笑顔を見せるようになっていた。
「リューラさーん。お裁縫終わったよー」
「早いわね〜。見かけによらず」
裁縫で子供達の服を手直ししていた渚が終わったのを知らせると、リューラが驚きつつも感心する。
彼の中では渚がこういう事が得意な印象が無かったのだ。
しかしやらせて見れば、1番早く裁縫を終わらせている。
「ボクはこう見えて家庭的な女の子! 結婚相手にどうよ?」
「はっは! せめて後10年経ってから言いなさい」
なんだよーと唇を尖らせる。
自分の分が終わると他の子に裁縫を教えて回っている。
少し離れた位置で、彩那と冬美が子供達に勉強を教えていた。
「竜はかつての主の為に……」
「かけ算は倍数を歌で覚えると楽で……」
彩那が字の本を読みながら読み書きを教え、冬美は計算をそれぞれ小さい子に教えている。
20人近くいる孤児達の面倒を一気に見るのは大変なので、それぞれ分かれて得意な事を教えていた。
粗方やる事を終えると皆で昼食の準備をする。
勇者達は城近くにあるアーツが所有する屋敷に住んでいるが、大抵の事は使用人がやってくれるので料理などやる必要がない。
だが今は────。
「ほーらもう1枚っと!」
渚がお好み焼きを手早く焼いて更に盛り付ける。
幸い使えそうな材料とマヨネーズに似た調味料があったので作っている。
「どうよ! 野菜も美味しく食べられて大量に作るのにも向いててなおかつお米やパンみたいな主食も要らない! 完璧でしょ!」
フライパンでどんどんお好み焼きを焼く渚。
海が近いのに鰹節が無いのが残念との事。
彩那と璃里で魚と野菜スープを作っている。
冬美は料理が壊滅的に下手なので、大人しく子供達の面倒を見ていた。
「さぁ! 召し上がれ!」
人数に合わせて大きさ調整したお好み焼きとスープ。
「へぇ、美味しそうね」
「そう、じゃなくて美味しいんだよ!」
主張する渚。
それぞれ食卓について食べ始める。
「いただきま〜す」
4人が手を合わせていただきますをすると、リューラが不思議そうに利く。
「それ、前にもやってたけど、貴女達の故郷の風習かなにか?」
「はい。命を分け与えてくれる食材や料理を作ってくれた人に感謝して食事をしましょうって意味で、わたし達の故郷では小さい頃から教えられるんです」
「へぇ、いいわね。
リューラがそう言うと、ディノスがうげっと顔を顰める。
「別にいいだろ! 飯なんて早く食べたいし」
腹が空いてる中で余計な間を作るのを嫌ったのだ。
「数秒もかからない挨拶でしょ。ダメよ、感謝する心を忘れたら。皆はどう?」
リューラがそう子供達に訊くと、概ね賛成意見だった。
これはいただきますが素晴らしい提案だと思ったのでなく、仲良くなった4人と同じ事をしたいという想いからだ。
「決まりね」
ディノスだけが不服そうに舌打ちした。
作ったお好み焼きは子供達に大変好評だった。
「やっぱりああいうご飯がボク達には合ってるよね」
教会からの帰りに渚が言う。
屋敷の食事は美味しいのだが、息が詰まりそうなのだ。
いきなり身の丈の合わない高級店に連れてこられたような。
「お金が貯まったらだけとわ、どこかに引っ越せないかな? 四六時中監視されてるみたいでちょっと」
「彩那。それ良いアイデア」
彩那の提案に渚が指差す。
「璃里と冬美もそう思うよね!」
「うん。あの屋敷はちょっと怖いよ……」
「まぁ距離取りたいのはあるわね」
そんな風に4人で話をしていると男が近付いてくる。
「ちょっといいかな?」
「よくありません。行こ」
渚が即答して男の横を通り過ぎる。
短い茶髪にサングラスをかけた男だ。怪しすぎる。
「ちょっと待った! そんなに邪険にしないでも良くない! 俺ら初対面だよね!」
「初対面で馴れ馴れしく話しかけてくる男は信用するなってパパに言われてるんで。じゃ」
「やべぇ。ちょっと反論しづらい……」
もう逃げるように去って行こうとする渚。
他も渚にどう意見なのだが、男が引き留めようとする。
「俺、こういうモンでさ」
名刺らしき紙を冬美が受け取る。
「記者さんですか」
「そうそう。ライオス・ホールズ。よろしく」
ウインクするライオスにあからさまな警戒を見せる。
マスコミ関係なんて普通なら関わりたくない人間トップ5くらいには入る。
「少しでいいからさ。話を聞かせてよ。そこにある喫茶店でなんでも奢ってあげるよ?」
この世界では知らないが、彼女らは現代日本からやって来た存在。
この手の誘いにホイホイついて行くのは悪手だと理解している。
ただ、普通に断ってつけられそうな気がした。
「結構です。時間が無いので質問ならこの場で手短にお願いします」
「そう? じゃあ1つだけ。この国に現れた勇者って知ってる?」
「……知りませんね」
「そうなんだ。俺は最近まで他の国に居たんだけどね。隣国だとその話題で持ち切りだよ。たった4人で小国を滅ぼした魔導師ってね」
「あ……」
ライオスの言葉に初陣の記憶がフラッシュバックし、璃里が震え出す。
「何処からやって来たのか一切不明で何故かホーランドに従ってる強力な魔導師。記者としてそんなスクープ追わん理由はないでしょ。で、もう1度訊くけど、本当になにも知らない? 特にそっちの震えてる子────」
璃里に触れようと手を伸ばすライオスに渚が手を払い除ける。
「知らないっつってんでしょ? あんまりしつこいとぶっ飛ばすぞてめー。行こ、みんな!」
べー、と舌を出して立ち去って行く。
男は追わずにサングラスを少しだけズラしてポツリと呟く。
「アレが勇者様ねぇ。どこにでも居そうな普通の女の子じゃねぇか。アーツのジジイの玩具にされてかわいそうに」
するとライオスが城の方へと視線を向けた。
「まだジジイの操り人形のままなら、今度こそ俺がテメェの喉を食い千切るぜ。分かってんだろ? 馬鹿弟が」
「これからお主らに頼みたいことがある」
アーツに呼び出された4人はそれぞれが嫌そうな顔をする。
その態度にアーツは笑いを噛み殺しつつも大仰に嘆く仕草をした。
「そんな態度を取らんでもえぇじゃろうに。こう見えてわしは、お主らを自分の孫のように思うとるんじゃぞ?」
「図々しいにも程があるわ」
死ねよと言わんばかりに悪態をつく冬美。
もう半月前。
戦争をして来いと言われてから全員の中で目の前の老人への好感度は下がっていた。
このままでは話が進まないので彩那が用件を訊く。
「また、何処かと戦わされるんですか?」
また人殺しをするかもしれない。
その恐怖に身体が強張る。
しかし、アーツは首を横に振った。
「いや、その可能性がない訳ではないが、お主らに頼みたいのは王の護衛とお披露目じゃな」
「護衛とお披露目?」
「うむ。近々、大陸南部のホーランドを含めた8ヵ国で同盟を組むことが決まった。その正式な調印式にお主らも護衛として出席して欲しい。護衛させる1番の目的は勇者の存在を世界にアピールすることじゃが、問題が起きた時は王を守りつつ、速やかに事態の解決に努めて欲しい」
「まるで問題が起こるのが決定事項みたいな言い方ですね」
彩那の疑問にアーツはまさかまさかと手を軽く振る。
その仕草全てが疑わしいから困る。
「あくまでも緊急時の話じゃて。調印が行われるのは、同盟参加を表明している国で最も北に位置するシグニードという名の国。出立は1週間後じゃ。しかと護衛を頼むぞ?」
拒否は許さぬという声に4人はそれぞれ嫌そうに吐息を漏らした。
宮代冬美
眼鏡をかけた長い黒髪の少女。裸眼だと視力が0.2。
父は刑事で母は教師をしている。
ティファナを含めた5人の中で1番背が高く、顔立ちも整っている。
頭は良く、ホーランドの読み書きなども1番早くマスターした。
反面家事は壊滅的。
趣味は読書(主にミステリー系)と映画鑑賞(こっちはホラー系が好き)。
冷静そうに見えて実は短気。特に渚相手だとすぐに手が出る。
得意な魔法戦は射撃全般。
射撃、誘導、速射、砲撃のどれもが高いレベルで纏まっている反面、近接戦は苦手。特に近接防御。
なのは達が彩那の過去に対して感想を言う回はどれくらいの頻度で入れて欲しい?
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3話から5話くらい
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6話から8話くらい
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9話から10話くらい
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話の区切りがついた時に