前回自力で帰ってきたクレアは一晩で怪我を治し、その後王都にある『ミドガル魔剣士学園』に特待生として無事入学したらしい。
貴族は15歳になると学園に通うの一般的な流れらしくそれは、シドにも当てはまっていた。クレア誘拐事件から2年が経ち15歳となったシドは学園へと通うべく王都へ向かった。
去り際に『完璧なモブを目指してくるよ』と、いつもの陰の実力者ムーブを噛ましていたので今頃モブみたいな友人をつくりモブのような生活を楽しんでいることだろう。対して俺はというと、2年前の事件からしばらくし俺たちはシドの元を離れ活動を行っていた。
シャドウガーデンの構成員も人数が増え本格的に教団との戦闘も行われるようになったことで廃村を拠点とする訳にもいかず本拠点を古都アレクサンドリアに移したり、七陰それぞれが各々の活動を行うようになっていた。
簡単に紹介するとベータやイプシロンのように文学や音楽にハマった彼女達は、シドや俺が前世での物語や曲などを教えたそれらを丸パクリやアレンジしたものを彼女達は自分の作品のように出版し作家や作曲家としての地位を築き情報収集を行っていた。
他にもガンマやイータのような頭脳明晰な2人には前世の物を色々話したことで、それを再現しようと研究し出来上がったものをガンマが買収し自ら立ち上げたミツゴシ商会を使い販売することで画期的な品に王都を中心として世界中に爆発的な人気集めていた。今やトレンドといえばミツゴシと言われるまでに成長しシャドウガーデンのフロント企業としての役割を果たし俺たちの資金源となっていた。
その他にもナンバーズなど優秀な人材が集まりそれをアルファが実質的なリーダーとしてまとめあげ俺とシドは完全にお飾りのリーダーと副リーダーになってしまっていた。
デルタはなにしてるかって?彼女がまともな任務できるわけないだろ。いい加減にしろ!
あのシドに初めて挫折を味あわせた子だ。面構えがちがう。
----王都・ミツゴシ商会----
一方お飾り副リーダーはというと
「この新商品のチョコとコーヒーの組み合わせはいつ食べても美味しいな〜」
「ありがとうございます。2つともミツゴシの新商品として貴族を中心に好調の売り上げでございます。これもお二人が私に授けていただいた陰の叡智のおかげです。」
ミツゴシ商会の屋上に専用に用意されたポール専用の豪華な部屋でチョコとコーヒーを飲みながらダラダラと過ごしていた。
(ガチでみんな優秀すぎてやる事ね〜)
名誉の為に弁解するが、一応ポールにも表向きの立場として王都を中心に各国で名を知らないものはいないほどの魔剣士として有名にはなっていた。
最初悪魔憑きの少女達を治療できるのがポールとシドしかいなかった頃出向いた先の街で強そうな魔剣士をボコすというのを繰り返していたら少しずつ名が知れ渡たっていたのだが、それをみていたシドが『最初はめちゃくちゃ強くて頼りになる仲間だけど最終的に陰の実力者の仲間だったのか!っていう展開したいからポールは最強の魔剣士になっといてね!』といつもの無茶振りをされ色々な大会に勝手出場させられてはなんだかんだ負けず嫌いのポールは全て勝ち続け最終的にシドの思惑通り最強の魔剣士として名を馳せていた。
そして最強の名を手に入れたあと表向きはミツゴシのお抱え魔剣士として過ごしており王都近隣の魔物退治などで国民の人気も集めていた。
「そういえばわざわざガンマが俺のお世話をしに来てくれているってことは何かあったの?」
「はい。少しシャドウ様のことでお耳にいれておきたことが」
普段ポールの世話はカイ、オメガ、ニューの3人のナンバーズが交代で行っているのだが、なにかあったとき(ほぼシャドウがなにかやらかした時)は確定でアルファ、ガンマ、ベータ、イプシロン、ゼータの誰かがお世話をしにくる。
「……何があった。」
(絶対あいつまた変なこと始めたな……)
自分の胃が痛む未来がほぼ確定し顔が険しくなる。
「っ!先日シャドウ様がアレクシア王女と仮の関係を始めたことをご報告したのですが、アレクシア王女が昨晩何者かに誘拐されその第一容疑者としてシャドウ様が先程騎士団に身柄を拘束されました。そしてこのままシャドウ様にすべての罪を着せようとする動きがあります。」
「……教団の仕業か?」
「はい。間違いなく教団が騎士団に入り込んでいます。王女誘拐は教団の手の者です。恐らくは濃度の高い英雄の血を狙った犯行かと。」
「なら殺されることはないか……分かった俺もアイリス王女に接触してなにか掴めないか探ってくる。」
「了解しました。それと既にアルファ様にはこの事を伝えております。明日にはこちらに到着するとのことです。」
「分かった。情報が集めながらシャドウが釈放されるのをとりあえず待とう。」
「ハッ!」