全て目を通していますが、数が多く返信が間に合わないことをご承知ください。
ここ好きの 俳句評価も ありがたく。今後の為の 指標にします。
「真依ちゃんな それは本気で 言っとんか?」
梅雨明けと共に呪霊の数もピークは過ぎ、一般人の気分もお盆や夏休みなど長期休暇で少しばかり上向くことで『ボチボチ忙しい』程度に呪霊の数も落ち着いて来た頃のこと。
なんだかんだで甚爾との契約が成立し『フィジカルギフテッドの調査』の為にちょくちょく伏黒家を訪れていた九十九が、直哉の私室に真依を連れて現れ、「真依ちゃんが直哉くんの弟子にして欲しいってさ」という爆弾を落として来た結果の回答が、先の直哉のセリフであった。
「やる!
「九十九さん? どういう意味や このセリフ。女心が とかいうアレか?」
『げんなり』という言葉の擬人化ではなかろうか、などと揶揄いたくなる程に嫌そうな表情で九十九にそう問う直哉から漂うのは、女子供に関わる面倒くささへの嫌厭と、少しばかりの真依への心配。
何せ、この男、投射呪法で無理やり『最強』を目指した挙句、自分を雁字搦めに縛り上げて生活に苦労している実績持ちである。
わずかに残る『10歳年下の従姉妹』への情が、『俺なんか師匠にしたらえらいこっちゃで?』とでも言いたげな『嫌がり方』として直哉の態度に現れてしまうのも無理はない。
だが、九十九由基は逆に、そんな直哉だからこそ『真依の師匠』に向いていると考えていた。
何しろ、規模感は違えど直哉と真依はどちらも『自分の術式では如何にもならぬ領域に手を伸ばしたい』という欲望を胸に抱いた存在で、そして直哉は『それを成功させた』例なのだから。
だからこそ、九十九は少しばかりの老婆心で以って、2人の仲を取り持とうとする。————この特級術師、裏目に出ることもあるにはあるが、基本的には面倒見が良いのである。
ただ、そこに多分に『泥臭く足掻いて踠いて強さを勝ち取る』者たちへの『癖』が含まれているのだが。
「まぁ、私に対抗したいんじゃない? 最近は伏黒君や真希ちゃんに『フィジカルギフテッド』のデータ取りに協力してもらってるからね。真希ちゃんも『うわき女! あたちを強くしろ!』とか言ってたし。……そうそう、2人とも好きなタイプは直哉くんらしいよ?」
「そんなもん、家族に異性 おるガキが この時期みんな 言うやつやんか。『将来は パパの奧さん なるからね』 とか言う時期や 本気にしなや」
「そうかなぁ? ま、でもそういうわけでしょ。この子達なりに真面目に、『うわきおんな』の私を倒せるぐらい強くなりたいんじゃない?」
九十九からそう告げられた直哉は、一つ溜め息を吐いて、残酷な事実を真依に突き付けた。
「真依ちゃんな 俺の好みは ムチムチの ナイスバディな 姉ちゃんだけや。身長は 俺より低め、ケツデカめ、乳はできたら K以上やね。酷いやろ? 男はみんな こんなんや。見た目ばっかで 酷いもんやで。せやからな 真依ちゃんホンマ やめときや。呪術では 乳尻タッパ 育たんて。考え直し、後悔すんで?」
それは、セクハラと性癖暴露を多分に含んだ内容の、『真依に嫌がられよう』という魂胆の発言。だが、そんな言葉を吐いた直哉の想像以上に、真依の決意は固かった。
「うるさい! やる!」
「まぁ良いじゃないか。どうせ術式に目覚めている以上、高専や君の実家が放っておかないでしょ?」
「……しゃあないな。せやけどコレは 言っとくで。真依ちゃん君な 才能カスや」
「カスじゃないもん! カスでも、なおやが強くしてよ!」
「無茶苦茶な……ええんかホンマ? 俺よりも 九十九さんのが 優しそうやろ?」
「いやッ! うわき女はいやッ! なおやが良い!」
「なんやねん、クソめんどいな 四歳児。……ああもうエエわ、教えはしたる。真依ちゃんな 後悔すんで 将来な。男の趣味も 師匠の趣味も」
「お、良かったねぇ。直哉くん教えてくれるってさ。……じゃ、私は伏黒君の部屋の方に居るから!」
そう告げて、そそくさと去っていく九十九由基の足取りは軽く、直哉は去り行くその背にため息をまた一つ吐いて、頭をガリガリ掻き毟る。
「自由やな 面倒なガキ 押し付けて……真依ちゃんそんで 何したいんや? 呪術のな 修行言うても 色々や。まずは真依ちゃん どうなりたいん?」
「……プリキュア?」
「プリキュアな……いや、でもそやな。アリちゃうか? 才能ないし その方がええ。真依ちゃんの 『縛り』を僕が 決めたるわ。『大きなる程 強なる』縛り」
そう告げる直哉は、明らかに悪そうな笑みを浮かべつつ、真依へと悪魔の囁きを投げかける。
「真依ちゃんは 才能無いし 縛らんと、術式強く ならへんねんな。術式の 燃費が悪い その上で 呪力の量は 雀の涙。せやからな、僕の言うこと 聞くんやで?」
そう告げる直哉の笑顔の裏で渦巻く悪意を、高々4歳の少女が気付ける筈もなく。
「うん!」
と元気よく返事を返したこの日の自分を、真依は生涯『褒めるべきかブチ殺すべきか』悩むことになるのだった。