薨星宮に禪院真希*1を派遣して伏黒甚爾と九十九由基*2を呼び戻し、行われるのは高専上層部と御三家、そして特級術師と有力な一級術師を交えた大会議。
その場に居る術師全員の傍らに浮かぶ『チビッツ』は『チーム外の
そんな、会議の議題は現在の情報共有。中でも現在までにチビッツを詰問して判明した『全10種の総則』は、最重要議題に挙げられる。
その内訳は、下記の通り。
① 死滅回游の開始以後、日本列島に存在するすべての『呪術の才能を持つ生物』は死滅回游の
② 死滅回游の開始から7日間を猶予期間に定める。この間コロニーの内外を問わず、全ての
③ 死滅回游の
④ 死滅回游の各コロニーに侵入する場合は、各コロニーの外縁から100m以内の位置で侵入の意思を表明する事で、内部に侵入できる。この際、侵入先は稼働中の全てのコロニーの中から任意で選択可能なため、
⑤ コロニー内からコロニー外への移動は不可能である。内部から外部に移動しようとした場合、見えない壁に阻まれる。この移動不可能な法則には、物理的な弾丸や呪術によるエネルギーなども含まれる。一方で、コロニー外からコロニー内への移動は基本的に自由である。ただし、呪術の素養を問わずコロニー内に侵入した生物は自動的に
⑥ 7日目以降にコロニー内に存在する
⑦ 全てのコロニーが稼働を停止した場合に限り、死滅回游自体は稼働を終了する。
⑧ 死滅回游側の用意した
⑨
⑩ 死滅回游の運営端末であるチビッツは特定の
そんな風に明文化され、プロジェクターで映し出されるその条件に対してまず最初に口を開くのは、頭の後ろで手を組み、チェアをギコギコと漕いでいるお行儀の悪い五条悟。
「これアレだね。チームバトルも可能なんだろうけど、少数精鋭じゃないと不利になる一方じゃない? 弱い奴は得点源にしかならないでしょ」
「言い方が悪いよ悟。でも確かに、余計な人員の投入は記載されている『受肉化術師』や『契約呪霊』に得点を献上するだけになりそうではある。事前にチームをしっかり組んだほうがいいだろうね」
「ちゅうてもな チームワークや 連携が 出来るやつとか ほぼ居らんやん」
「呪術師って基本エゴイストだからねぇ。ま、僕と傑と直哉は単身でいいでしょ。本気出すなら味方が邪魔になるタイプだし僕ら」
そうあっけらかんと『
何しろ、この儀式の内情が全て真実だとすれば、全国10ヶ所で両面宿儺の完全顕現を許すことになるからだ。
「……高専の忌庫に収容されていた宿儺の指を含め、高専側が所在を把握していた全ての指が消失している以上、宿儺の顕現は事実と仮定して動く他ない。悟の言う通り、特級術師には全力を行使してもらう必要があるだろう。……しかし、領域による必中効果を『窃盗』に応用するとはな」
「まぁ、大概の場合やろうとは思わないよね。で、その両面宿儺だけど……『チビッツ』、何かレイドボスのギミックとかあるわけ? ゲームみたいにさ」
『はい、
「はいクソボス〜。だいたい四人の公王*4かよ。いやまぁ厳密には動き方違うけどさぁ!」
「悟、ダクソネタは学長のお二人には通じないんだしやめたほうがいいと思うよ? お年寄りには優しくね。まぁでも、聞く限り確かに手強そうだ。最初は最も弱く、徐々に難易度が上がっていく。そう聞けばまぁ『ボス』としての配役的には妥当なんだろうけど、隔絶された他コロニーの状況が影響してくるのは読めなさすぎてどうしようもない」
「そうなると 最後の最後、最強の 宿儺の相手 誰がするんや? 取り敢えず、一番槍は 俺として。俺の後詰めは 誰か欲しいで」
「何で直哉が最強の宿儺の相手を最初にするの確定してんだよ。……いや、そうか。……直哉お前、大丈夫か?」
「正直な かなりキツイわ 状況が。ルールをな 聞いた時点で 選択肢 俺にないねん 残念ながら」
「……直哉を最強の宿儺に当てるために万全の状態で温存する、と僕達が判断しない場合、直哉はどうなる?」
「コロニーの 仕組み自体が 不向きやし 俺が一番 先に死ぬやろ」
「いちいち縛りに抵触するか判断しないと戦えないもんなお前。タイマンか、全員敵かの状態の方がいいってわけだ。……なら、直哉は温存だな。ま、僕達最強だし? 僕と傑で宿儺9体ぶっ殺して直哉が美味しいところ持っていって終わりでいいでしょ」
なんて、気軽にそう告げる五条に対し、溜息と共にその案を却下するのは、夜蛾学長。
「悟。イラついた時に軽薄に振る舞うのは悪癖だぞ。……正体不明の
「あー、そうか。コロニーへの参加が自由参加な以上、戦いを求める
「無人コロニー問題が最も問題なのは言うまでもないな。そして、高専勢力しか侵入しない場合でも、7日目時点でコロニーに即座に両面宿儺が顕現する」
「コロニーが10、特級が7*5。そうなると自然、コロニーが3つ余る計算だ。どうする?」
「それについてはテロ平定同様、戦闘力において特級相当の一級術師を複数派遣する他ないだろうな」
「……なぁ夜蛾のオッさん。直哉の奴が攻め込む最終コロニーは鹿児島でも良いか?」
「……理由は?」
「鹿児島コロニーに適当に呪詛師と呪霊を放り込んで時間稼ぎ、あとは直哉の突入前に北朝鮮から核ミサイルをブチ込む。そんぐらいのお膳立ては許されんだろ。あとアレだ。死刑囚満載の護送車でも準備して『コロニーの外殻を越えれば』それだけで
「……良いだろう。無期封印刑の呪詛師と、死刑囚、高専で調教している呪霊を鹿児島コロニーに投入しておく。しかし、ミサイルの工作は————」
「そこは任せろ。裏には顔が利くんでね。あの国がド貧乏なのは知ってんだろ?」
などと、多様な意見が出される中で、徐々に纏められていく死滅回游への対応。両面宿儺完全顕現を阻止し、世界を救うべく頭を悩ませる彼らの話し合いはその後、夜遅くまで続く事になるのだった。