一連の呪術テロと死滅回游を『平和の危機はオタク文化の危機!』と認識し、Fate/Zeroの聖地巡礼で訪れていた犬山市*1から押っ取り刀で名古屋コロニーにやってきた、というシャルルの話を聞きながら歩くことしばし。
道中遭遇した呪霊を相手に『
そんな彼を加えた4人が挑むのは、レジィがアジトにしているらしいマンション。内部から感じる複数の呪力は、レジィ以外にも伏兵が多数いるだろう証左ではあるが……今回のメンバーにとっては、あまり意味がない話である。
「みんなの思いを力に変えて! マジカル真依ちゃん、メイクアーップ!」
「Ouah!? 魔法少女!? いや、先生は常にコスプレをしておられたが、趣味ではなかったので!? *3」
「おお、新鮮な反応だな。俺らも最初はビビったわ」
「ああそっか。真依ちゃん、今日は変身前後でドレスの色設定変えてないもんね」
などと、観客3人がワイワイと見守る中で変身した真依が生み出すのは、1本の『マジカル真依ちゃんピルム』。だが、通常の100倍という馬鹿げた呪力を込めて作られたその槍は、槍というよりは破城槌に近い大きさだ。
そして、どれほど巨大であっても、それが『マジカル真依ちゃんピルム』である事に変わりは無い。空中で構築されたその大槍を真依が『投げようとする』だけで、呪力ジェットとホーミング能力を起動させたそのマジカル電信柱は、噴き出すジェットの轟音と共にレジィ・スターと思しき呪力の元へと突撃する。
が。真依達の視界がとらえたのは、空中に突如現れた大型トラックが真依ちゃんピルムに対する盾となり、マンションへの直撃を逸らす光景だった。
そして、地に堕ちたトラックが爆発炎上するその中で、マンションから飛び出して来るのは複数の呪力反応。
「おいおいご挨拶だな!? 文明が発達しても呪術師のアタマのおかしさは平安のまんまかよ!?」
「お。出てきたか。お前がレジィ・スターだよな? ボコボコにされて絶対服従の縛りを呑むか、今絶対服従の縛りを呑むか、どっちか選ばせてやるよ」
「うーんそうだなぁ……じゃあ俺は————お前らをボコボコにして絶対服従させる!」
「そう来なくっちゃなァ! 熱くなってきたぜ!」
と、予定通りのタイマンに持ち込んで獰猛に笑むのは、秤金次とレジィ・スター。
「アンタ、ブスの癖にイキった服なんか着ちゃって恥ずかしく無いわけ?」
「なんで急に自己紹介したの?」
「殺す」
「急にヒスるじゃん。更年期? エストロモン*4持ってるから飲む?」
と、眼前の蠍女を煽りまくりつつ、大胆にスカートを捲り上げて太腿のホルスターからキャリコM950リバティーⅢ*5を抜き放つのは呪術師らしい術式と、呪術師らしからぬ戦闘スタイルを両立させる現代っ子呪術師の星綺羅羅。そんな彼女に対峙する蠍女こと麗美は、いきなり持ち出された物騒な獲物を前に、露骨に狼狽の色を匂わせる。
そして、破城槌をぶん投げるというド派手な攻撃を警戒したのか、真依に対峙するのはレジィ一行でも随一の実力者、受肉術師の
「もうっ! か弱い乙女相手に爆弾なんて! そんな悪者は真依ちゃんが成敗しちゃうんだから!」
「なんだコイツ……直撃だぞ? どんな身体してんだマジで」
などとコメントする黄櫨に全面的に同意する者は現代呪術師にも多いのだが、師匠であり夫である直哉の後を追い続けていた真依の執念は、たかだか爆弾程度で吹き飛ばせるほど軽くは無いのだ。
そして、新人のシャルルと対峙するのは、怪しげな爪の男、針千鈞。
色男と色物の対決となったこの組み合わせは、リーチではG戦杖を持つシャルル、経験では受肉タイプである千鈞が有利なマッチング。臆する事なく果敢に攻めるシャルルの槍捌きは素人にしては悪く無いが、歴戦の術師である千鈞を相手取るには少しばかり拙いものだ。
だが、そんなハンデを覆す、心強いアイテムがシャルルには与えられている。
「
「棒手裏剣とは素人にしちゃ渋いが、狙いが甘————何ッ!?」
ジャケットの内ポケットから投擲するのは、Gペンほどの大きさで作り出したG戦杖。だが、その軸にアロンアルファで貼り付けられているさらに小型の『ピンクの爪楊枝』こそが、千鈞を驚愕させた『ホーミング性能』のタネなのだ。
ワクワクさんめいた工作で作られた極小のマジカル真依ちゃんピルムとG戦杖の合体武器。初見殺しでしか無いものの、確実に『
そして、インクさえ得て仕舞えば、シャルルは経験差を覆し得るだけのポテンシャルを秘めている————!
「コイツ、急に動きのキレが————! この胸の四角がタネなのはわかるが、仕掛けがわからん……!」
そう吐き捨てるように吠える千鈞を追い詰めるように、キレを増すG戦杖とその合間に差し込むように放たれるミニG戦杖。どちらかを避けようとする度に傷ついていく千鈞の身体と、それに反するようにキレを増していくシャルルの戦いは、次第にシャルルの勝利へとその天秤を傾けていく。
だが、シャルルが慌ててその戦いを打ち切り、全力で後ろに飛んだのは、その直後。
「なんだ急に、燃費切れか? なら次はこっちの————ゴボァッ!?!!? 」
そんな間抜けな断末魔を千鈞に上げさせた原因は、シャルルと千鈞が先ほどまで戦っていたその場所に千鈞を踏み潰しつつ着地した秤金次。
そして、己を叩き潰さんとするタンクローリーを頭突きで受け止めてみせた馬鹿げたパワーに拍手を送りつつ、タンクローリーを倍プッシュして金次を押し潰さんとするのは、レジィ・スター。この場における最高戦力同士の戦いは、レジィが派手に爆発させた2台タンクローリーによって決着した————かに見えた。
だが。
鳴り響く電子音楽と共に展開されるのは、秤金次の術式に元より内蔵された『領域』である坐殺博徒。
爆破で焦げた体を『反転術式で治癒』しつつ獰猛に笑う金次の周囲に現れるのは、無数の『筐体』。
術式への解釈を深め自らを鍛え上げた彼の背後で回るスロットは、レジィの直感が『絶対にヤバい』と警告を発するほどに面妖な気配を放っており、レジィに対領域防御である彌虚葛籠の使用を選択させる。
————が、しかし。
レジィが指を組むより先に、金次の領域が彼へと『必中効果』を叩き込む————!
* * * * * *
坐殺博徒——秤金次プレゼンツ・パチスロ名機コレクション——
【ルール説明】
俺の領域「坐殺博徒」は俺が今までに遊んできた名作パチンコ台達をモデルにした領域だ! ルールは簡単! 図柄を三つ揃えれば大当たり! 大当たりを引けば俺はとあるボーナスが貰えるぞ! どんなボーナスかは当たってからのお楽しみだ!
【ゲームフロー】
本来は各機種ごとにゲームフローは異なる! ただし! この領域では相手へのハンデとしてルールを簡素化しているぞ! 俺からの優しさだ!
通常
↓
大当たり↔︎確変
↓↑
時短→規定回数(70 or 30回転)で通常に戻る
【予告演出】
様々な名機から懐かしのあの演出が登場!?
ただしこちらも俺の相手をする奴の為に演出のカラーで判別可能に変更してかつ簡易化してあるから安心だ! 俺って優しすぎるよな!
色ごとの期待度は虹>金>赤>緑! 虹色はそれだけで大当たりが確定だ!
加えて擬似連の4回目でも確定大当たりになるぞ!
演出は俺が自由に発動可能! 演出を発動すればスロットが回転するぞ! 俺は次に来る演出は『分かる』が演出内容や期待度についての選択権は無い!
【チャンスアップ&リーチアクション】
こちらも様々な名機から演出が登場! 演出の中には特殊な効果を持つものもあるぞ! 出てきてからのお楽しみだ!
* * * * * *
「いや説明だけかよォ!?」
なんて、叫ぶレジィと焼死体寸前の千鈞、そしてついでにシャルルも巻き込んだ坐殺博徒の内部で派手な光と効果音が鳴り響く。
その場はまさに、金次の独壇場。
そんな中、金次が最初に『引いた』演出は————。
『無茶な作戦立てたものね』
そう告げる、泣き黒子と白衣が似合う金髪の女性がカットインし、領域内の風景が近未来的なビルが立ち並ぶ都市へと変貌する。
その演出を見た瞬間、顔を真っ青にして秤の背に隠れたのは、オタクゆえに演出の全てを理解してしまったシャルル。
「オイオイオイ!?!!? マズイマズイこれはマズイ!?!!?」
「お、わかってんじゃねえか! 流石はオタク!」
そう言って豪快に笑う秤の眼前で、レジィに向けて降ってくるのは、虹色に輝く巨大な怪物。
————CRヱヴァンゲリヲン9 より、第八の使徒VS 初号機演出。
落下する巨大質量を必死に受け止めるレジィに対し、使徒諸共にブチ込まれる初号機のポジトロンスナイパーライフルがド派手な閃光と共に爆発を生じさせ、それと同時に回転するスロットが、3つの数字を揃え————なかった。
「おっと残念。だが勝負はこれからだぜ?」
そう告げる金次に対し、滝のような汗と共に荒い息を吐くレジィの身体には目立った外傷は無い。それは、この演出があくまで『演出』メインであり、生じる現象はそれほどの威力を持たないが故。
しかしそれでも、しっかりバッチリ体力を消耗したレジィは、自身のストックしている『レシート』を一枚呪力で焼き切ると己の術式を用いて肉体疲労を回復させる。
「整体院の全身リフレッシュコースを再現、と。ぎっくり腰になるかと思ったぜ全く」
「お。そっちもまだまだいけそうじゃねえか!」
奇しくも互いに術式は『事象の具現化』。1000年前の術師であるレジィと、ガチガチの現代っ子な秤金次。対照的ながらも似通うところのある両雄が今、廃墟と化した名古屋城下で激突する————!
なお、巻き込まれたシャルルがしれっと千鈞を引きずって領域の隅まで退避し、千鈞の血をG戦杖にたっぷり吸わせて監視するという地味に有能なムーブを見せているのだが、特級呪術師並の猛者が激突するこの場においては、悲しいかなもはや些事なのであった。