大阪府大阪市西成区。そこに居を構えるヤクザ系呪詛師集団『極咒會』の組事務所が存在するビルが、帳と、それとは別の結界*1によって完全に封鎖されたのは、草木も眠る丑三つ時のこと。
寝静まっていたところを謎のスポットライトによって叩き起こされた極咒會構成員達が混乱する中で、正々堂々、玄関扉を八つ裂きにしてエントリーしたのは、作戦開始前に歌姫の術式『
そんな彼に対し、まずは玄関の番をしていた三下呪詛師がポン刀を抜いて切り掛かる————が、不発。
高速の拳で振るった刀を横から殴り折られて手を痺れさせた呪詛師に待つのは、問答無用の残虐殺法。
蹴り倒し、腕を掴み、肩を踏みつけ、呪力強化に物を言わせて三下の腕を『引き千切る』。
その結果、二の腕の半ばから力ずくで腕を断裂させられ、上腕骨を引き抜かれた三下の壮絶な絶叫がビル中に響き渡り、それに釣られて呪詛師達が押っ取り刀で集まってくる。
だが、烏合が何人集まったところで、今の直哉の敵では無い。
踏みつけていた三下の仙骨を踏み砕いて無力化した直哉は、『投射呪法』で瞬間的に加速すると、手近な呪詛師の肩口に手にしていた『腕』から飛び出した骨を突き刺して、絶叫により大きく開いた口の下顎に指を掛けると、力任せにその下顎を引き千切り、呪詛師の口だった部分からは、支えを失った舌がダラリと垂れて、白目を剥いて気絶する。
そんな風に、立て続けに2人を『惨殺*2』した直哉が得たのは、ちょっとした無敵バリアー。名を『畏怖』というその防壁は、刀を構えている筈の呪詛師達が、直哉が一歩歩けば一歩下がってしまうというどうしようもない生存欲求により実現した仮初の領域。
だが、取り囲まれたままでは鬱陶しいのもまた事実。恐怖で竦んだ三下という烏合以下の集団ではあっても、その身に帯びるのは刀と呪力。
油断は禁物。此処で情けを掛けて見逃せば、その内に立ち直り、背から斬られる恐れがある。故に直哉は、情け容赦も慈悲もなく、『悪』と断じた呪詛師に余さず誅罰を加えるのだ。
亜音速の下段足刀蹴りで股関節を爆砕、クロスチョップで両鎖骨を粉砕、目潰しからの両眼球抉り出し、すれ違いざまに手刀で片足を切断。
人体破壊の限りを尽くし、特に四肢を狙って破壊するそのあり方は、筆舌に尽くしがたい恐怖を呪詛師達に齎し、失禁して気絶するものすら出る始末。
そんな中でも容赦無く雑魚の四肢や腰骨、顔面の一部などを破壊して回れば、その内ビルの一階には呻き声が響くだけになる。
そんな中、軽く上階を辿れば、それなりに大きな呪力の気配。直哉が階段を登ってくると踏んでの待ち伏せなのだろうが、そもそもそんなに悠長な手を使うぐらいなら、歌姫のバフを貰う必要などない。
一時的に増大した呪力を練り上げ、五体全てを呪力で満たした直哉が解き放つのは 極ノ番。
ただし、呪力任せの超加速を行うのは、あくまで直哉の『腕だけ』だ。
「極ノ番 変則起動・『
猛烈なアッパーカットの勢いで、天に突き上げられる直哉の拳。超加速により黒閃を帯びたその腕を、伸び切る瞬間、普段切腹に使っている落花の情の応用技術で自切する。
そんな滅茶苦茶なその技はしかし、4.8kgの砲弾として腕そのものを射出する事で、強力な遠距離攻撃として成立している。
通常の
だが、それは所詮切り離された腕。ビルの鉄骨にブチ当ればあえなくミンチになってしまうような物。だが、だからと言って運動エネルギーが消える訳ではない。
鉄骨にあたれば鉄骨が代わりに猛烈な速度で吹き飛び、その吹き飛んだ鉄骨や飛散したコンクリートが更に別の物体を吹き飛ばす。
そんな破壊の連鎖の末に上層階を丸々崩落させ、そこに居た呪詛師連中を根刮ぎ半死半生の危篤状態にまで追い込んだ直哉は、瓦礫の雨を捌きつつ、新たに生やした腕で携帯電話を操作する。
「終わったで 皆纏めて 半殺し。補助監督に 回収させて」
『ナイスよ禪院! 今、硝子と一緒にそっち向かうわ! 重症だったら死なない程度に治療しなきゃだし』
「そうやなぁ そしたら瓦礫 避けとくわ。ゆっくり来ても かまへんからな」
なんてやり取りを交わしつつ、懐から取り出した『形代』に呪力を流して雑務用の簡易な式神を呼び出した直哉は、ゆっくり伸びをして、呪詛師の回収へと移るのだった。