「夏だぁ〜!」
「いや灰原、かなり前から夏でしたよ? ……まぁ言いたい事は分かりますが」
と、リムジン移動からのプライベートビーチ到着で浮かれる呪術高専御一行。
手荷物の類を五条家の別荘に運び込み終えて裏の浜に繰り出してみれば、夏満開のプライベートビーチがそこに広がっていたのだ。灰原の発言がちょっと面白くなっちゃってるぐらいはご愛嬌といえよう。
「お〜、海水浴場ほどじゃ無いけどちゃんとビーチじゃん。砂も綺麗だし」
「掃除用の式神とか居るからね。ゴミ一つない砂浜をいつでもお届けってワケ。どーする? まずはBBQからやる?」
「悟に任せるけど……道具も食材も持ってきてないよ?」
「ウチの連中に言って昨日の内に冷蔵庫に色々運び込ませてるからヘーキヘーキ。『禪院家はリムジンで送迎してくれるらしいよ』って言ったらムキになってたし、良い肉買ってんじゃない?」
「俺アレや 縛りで肉は 食えんから バーベキューなら 焼きに回るわ。 菜箸は 呪力操作で 作るから 俺は要らんで 皆で使い」
と、直哉が言えば、首を傾げるのは七海建人。
「呪力操作で箸を??? 何故そんな七面倒な事を……?」
「ある程度 重みと長さ ある箸は 棒手裏剣と 見做されるねん」
「なるほど! でも、それなら普段から呪力を使えばお箸が使えるんじゃ? 直哉っていつも木のスプーンだよね?」
「灰原、直哉は簡単にやっているように見えますが、呪力操作で道具を代用するのは普通に上級テクニックですからね」
「そうなの!? ……リアスペ*1のレイジングストーム*2くらい?」
「……私は出来ないのでなんとも。どうですか、五条先輩。どうせ出来るでしょう?」
「んー、リアスペのデッドリーレイブ*3ぐらいじゃない?」
「絶対無理な奴ですよねソレ!?」
「まぁ、私も出来ないからね……悟とか直哉はたまに意味の分からない高等技術を死ぬ程馬鹿な事に使ってるから気をつけたほうがいいよ。この前2人が作ってた結界ジェンガも『ジェンガどっかいったから結界で作ろうぜ〜』とか悟が言いだして2人で作ってたけど、アレもガロスペ*4のブラッディーフラッシュ*5くらい難しいからね?」
などと、呪術談義を行う男子達だが、その場に居合わせている観客達は、甚爾以外は『?』と頭の上に疑問符が浮かんでいるのが丸わかりな表情をしていた。
そんな中、呪力菜箸の生成と運用をテストしていた関係で静かにしていた直哉の背中が、家入や子供達によってペシペシと叩かれ、察した直哉は『紳士』として、男子の会話に介入する。
しかし————。
「君達な 餓狼以外で 例えやな 女子供が わかってないで?」
「良いんだよ直哉、俺らが判れば。なー?」
「「「ねー」」」*6
と、あえなく介入は失敗。直哉は家入にほっぺをつねられる事と相成った。そして、それだけでは飽き足らず、家入はたまたま固まっていた『女子供チーム』に振り返ると、大きな声で宣言する。
「よーし! 真希、真依、津美紀、恵、真理さん! 肉は男子に焼かせて今日はこっちは食う係だ! 私達でテーブル席を占拠するよ!」
家入、上げ膳据え膳宣言の瞬間であった。
「ほら見てみ 家入硝子 先生が おキレになって おられるやんか。野郎ども キリキリ肉を 焼いてくで」
「へーい。まぁ家入硝子大先生が言うなら仕方ねぇな。灰原と七海こっちのコンロと炭と鉄板、直哉の居るとこまで持ってってよ」
「「はい」」
「傑は俺と一緒に冷蔵庫な」
「わかった家入大先生の為だからね」
「うむうむ、良きにはからえ〜」
なんて、そんな宣言に素直に従うところまでが、内輪ノリ。
悟の号令でテキパキと動く男子はやたら良い肉*7や野菜類*8をしっかりと焼き上げて女子供チームに分配し、BBQはつつがなく執り行われるのであった。
なお、到着後フラッと姿を眩ましていた*9甚爾がイカ*10を3匹手にして帰還し、バーベキューのメニューに焼きイカが加わったのは、余談である。