特級呪『縛』師 禪院直哉くん   作:黒山羊

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第69話

・第一回呪術高専東西対抗式神(ロボット)コンテスト規則

 

 ① 式神の起動に用いる呪符は和紙にて作成する事。

 

 ② 公平を期す為、試合の際に式神に投入する呪力は両学長が共同で呪力を注入した燃料用の呪符3枚にて供給する事。

 

 ③ 両学長は、制作期間中に学生からの試運転申請があった場合、規定量の呪力を込めた呪符を提供する事。

 

 ④ 起動後の式神に対し、学生が生得術式、結界術および式神術(以下『各種術式』とする)で干渉することを禁ずる。

 

 ⑤ 式神の製造時に各種術式を使用する事は問題ない為、鋭意創意工夫を行う事。

 

 ⑥ 式神に後付けで武装を搭載する事を禁じる。なお『武装した式神』を術式により生成する行為はこの禁則に該当しない。

 

 ⑦ コンテストは『式神紹介』、『式神対決』の順に実施する。

 

 ⑧ コンテストの勝敗は『式神対決』の勝敗により決定する。勝利校チームには賞状と副賞が授与される。

 

 ⑨ 勝敗とは別に、『高専賞』、『審査員賞』の2つの賞を設ける。これらの賞については創意工夫に重きを置いて品評を行い、両校学長が『高専賞』、審査員が『審査員賞』を選定する。受賞校チームには賞状と副賞が授与される。

 

 

 * * * * * *

 

 

「って訳で、なんかアイデアある人〜!」

 

 そう告げて、新校舎のホワイトボードの前に立つのは五条悟と夏油傑。東京校チームの主将と副主将に就任した彼らの前に控えるのは、硝子、直哉、灰原、七海といういつもの面々に加えて、監督を務める夜蛾。

 

 実に学生らしいやり取りの中で、最初に挙手したのは、直哉だった。

 

「とりあえず、ルールの穴で 目立つんを。和紙のサイズに 指定ないよな」

「術式の組み込み方を考える上で、巨大な紙に大量の術式を刻むのは確かにアリだ。だが直哉、それにしたって限度はあるんじゃないか?」

「まぁそやね ただの和紙やし デカ過ぎる 呪符を作れば 破れるやろな」

「ま、精々デカくても障子紙ぐらいじゃねえの? 良いもん使うなら本美濃和紙とかか?」

「ではとりあえず本美濃和紙の障子紙を使うとして、どういう式神にするかだが……」

 

 と、夏油がホワイトボードに『呪符:本美濃和紙の障子紙』と書きながら振った質問に、勢いの良い挙手とともに応えるのは、このメンツで最も元気な男、灰原雄。

 

「はい! 格好いいのが良いです!」

「まぁ、それは確かに……硝子はどうだ? 男子の意見ばかりなのもアレだろうし」

「いや、私はかっこいい奴で良いよ。ダサいよりは良いじゃん。つーか、お前らに可愛いもん作らせんの無理だろ。お前らが可愛くないもん」

 

 そんな、煽るような硝子の発言は、まぁかなり的を射ている。何せ、男子連中はどいつもこいつも高身長で筋肉質。間違っても可愛いなんて事はなく、顔面の平均値がいくら高いとは言っても、可愛さとは無縁である。

 

 が、そう思わない、というか、煽りに脊髄反射で乗っかる男が、此処に1人。

 

「可愛くない事はねーだろ。————きゃるん♡*1

 

「キッショ……悟、世の中にはやって良い事と悪いことがあるんだよ?」

「顔が良い だけに心底 キモいんよ。傷害罪で 起訴できるやろ」

「婦女暴行、いや外患誘致罪で訴えんぞ五条。今のキモさは合衆国大統領が核撃つレベルだわ」

「流石に今のは五条先輩が悪いですよ」

「家入先輩、証人喚問の際は協力します」

「お前らそこまで言う!?」

 

 なんて、五条のボケに対し、息のあった悪態を返すそのやり取りは、実に学生らしい身内ノリ。1年前の五条の姿からは想像も出来ないその関係性は、夜蛾にとってはなかなか感慨深いもの。

 

 だが、ここでお目付役の夜蛾がしみじみとしていては、いつまでたっても話が纏まらない。彼がコホンと一つ咳払いをする事で、話が脱線している事を自覚した学生達は、改めて式神の仕様を吟味し始めるのだった。

 

「気を取り直して、『格好いい』以外のコンセプトはどうする?」

「そうですね……やはり重要なのは、攻撃手段と防御手段では無いでしょうか? 誰かの術式効果を載せるにしても、燃費を考えれば攻撃用1種、防御用1種が限度だと思いますよ」

「確かにな。じゃあ七海、お前ならどうする?」

「……防御面は結界術、攻撃面は呪力砲で手堅く構成するのはどうでしょうか?」

「そらちょっと パッとせえへん 造りやね。たとえ勝っても 賞は無しやろ」

「まぁ、自分で言っておいてなんですが、直哉の言う通りでしょうね。創意工夫も重要ポイントとなると、極端に手堅い手法はイマイチかもしれません」

「でもまあ、防御は結界術でいいんじゃないかな、悟。幸い、結界術なら灰原が一家言ある訳だし、良い結界を組み込んでくれると思うよ?」

「ありがとうございます夏油先輩! 頑張ります!」

「じゃあ、防御面は結界術だな。……で、攻撃面。こっちは派手なほうがいいよな?」

「まぁ守りに入ってるよりはガンガン攻めるほうが映えるもんね〜、絵的にも」

「攻撃に 向いとる術て なんやろね」

「まぁ大前提だけど、俺の無下限と直哉の投射、それと傑の呪霊操術は論外だよな。式神に自動制御させる方法が思い浮かばねえもん」

「じゃあ……七海の十劃呪法?」

「いえ、私の術式もそれなりに難解なので……」

 

 と、各人が己が術式の面倒臭さに頭を悩ませる中で、スッと上がる手が一つ。

 

「術式の調達は、私がどうにかできるかも知れない」

 

 そう告げたのは夏油傑。最強コンビの一角が、『我に秘策あり』とでも言いたげな、自信満々の笑みを浮かべてそこにいた。

*1
サングラスを取ってぶりっこポーズをキメる五条

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