「あ、これお土産です」
「あ、お気遣いありがとうございます」
なんてやり取りで『
京都校のグラウンドに集合した両校の面々は、意外な人物と遭遇していた。
「や、こんにちは! 君たちは、どんな異性がタイプかな?」
「九十九さん こないなとこで どうしたん?」
「いや、東京校の学長経由で一応招待が届いたんだ。面白そうだから審査員を引き受けてみた」
「なるほどな。そういう事か 納得や。ところで好み 言わなあかんか?」
「ま、直哉君には何度か聞いてるけど、一応聞いとこうかな」
「乳と尻 それと太もも ムチムチの 肉感的な 美女が好きやね。特に乳 デカけりゃデカい 程ええな」
「相変わらずだね〜。で、君が五条くんかな? 初めまして。私は九十九由基。世界から呪霊を無くしたいだけのただの美女さ。あと『他人の好みのタイプ蒐集家』でもある」
「……ただの美女にしちゃ物騒な術式だなアンタ。好みのタイプだっけ? あんまり考えたこともないけど、今はエマ・ワトソンが滅茶苦茶アツいなとは思うよ。毎作安定して可愛いよなハーマイオニー。でもハリポタで一番可愛いのはアズカバンの囚人の2代目パンジーの子じゃねえのって毎回言ってんだけど誰も聞いてくんないんだよね、あの子はジュヌヴィエーヴ・ゴーントだっけ?」
「存外ミーハーなんだね最強。じゃあ、最近特級のお仲間になった夏油くんはどうかな?」
「私は、包容力のある年上の女性がタイプですね」
「おいボカすなよ傑。ちゃんと三十路前半くらいのちょっと天然気味だけど真面目で優しいお姉ちゃん気質な若見えお姉さんが好きって言え」
「……悟? 人の好みをガンガン晒すのは良くないよ?」
「なるほど? 良いセンスだね夏油くん」
などと、特級4人がワイワイやっている中で、新たに現れたのは呪術高専京都校学長の楽巌寺と、天元守護の関係で東京を離れられなかった東京校学長から名代を命じられた次期学長の夜蛾正道。
「ふむ……学生は揃ったか?」
「あ、お爺ちゃんじゃん。元気?」
「おい悟。失礼だぞ」
「ハァ、五条の糞餓鬼は相変わらずか……」
そんな呆れを孕んだ溜め息を吐く楽巌寺学長の横でこめかみに青筋を浮かべている夜蛾が、直後悟にゲンコツを落としたのは言うまでもなく。
悟が頭を抑えて転げ回るその中で、『第一回呪術高専東西対抗
「まず、儂と夜蛾が高専賞の審査を行う。次に審査員賞は、特級呪術師・九十九由基、特別一級術師・禪院直毘人、特別一級術師・加茂
「という訳だ直哉! 儂を味方と思うなよ! ハッハッハ!」
「オトンはな どのみち味方 ちゃうやんけ。おもろい方に 票入れるやろ」
「はいはいはーい! お爺ちゃん!
「五条家からは招待を送ったところ、『どちらを選んでも当主の不興を買いそうなので、参加しない方がマシ』との返答が来ておる。お前の人徳が伺えるのぅ」
「悟、実家で何したんだい?」
「……逆らう奴全員に男女平等パンチ?」
「逆に何故、それでご実家から人が来ると思ったんですか五条先輩」
などと東京校の面々が自然体でワチャワチャと騒いでいる一方、一世一代の勝負に臨む京都校の面々は、ヒソヒソと小声で密談中。この辺りにも両校の差が色濃く出ていると言っていいだろう。
「禪院の御当主は、あの感じだとワンチャンありそうね」
「はい先輩。私たちの式神ならきっと大丈夫です!」
「学長が縛りを宣言したんだ。公平性は担保されているとみてよさそうだね。加茂家の人は見たことがないけど……あんな
「いや、坂田家から新年の挨拶に伺った時に加茂家の御当主には会ってるけど、もっと恰幅がいい感じのおじさんだったよ。後若干、視線がキモかった」
「あー、加茂家って一夫多妻制だっけ確か」
「で、結局、あの加茂憲嗣さんは誰なんですか坂田先輩」
「わかんないなー。当主の名代とか?」
「加茂家の当主がエロ親父という情報しか得られてないんだが?」
なんて、小声で会話している彼らに対し、当の『加茂憲嗣』なる縫い目頭の人物は、にこやかな笑みを浮かべて手を振っている。
あんまりに露骨な『聞こえてるよ』というメッセージに慄く京都校メンバーだが、彼らにとって幸いだったのは縛りの存在。ちょっと加茂家のゴシップを話していたぐらいなら、評価にさほど影響はないだろう。
そんな彼らの焦りを尻目に、『式神紹介』の発表順を決める籤引きが楽巌寺学長により引かれ、紹介は東京校からの開催となったのであった。