特級呪『縛』師 禪院直哉くん   作:黒山羊

87 / 143
第87話

 恵君から借りた 魔虚羅(まこら)で改めて自分の立ち位置を確認したら、あとはそこから更に上に行くように己を磨くだけ。

 

 目論見通りに暇潰しのネタも幾つか手に入ったし、後は上手い事形にして、拡張術式として安定化させたいところやね。

 

 てな訳で、俺はここ数日自主練を頑張っとった訳なんやけども……まぁ流石に、不参加とはいえ交流戦の日まで鍛錬優先は人の心が無いやろな、という訳で、この週末は交流戦を観戦しとる。

 

 ちゅうても、まぁその結果は順当なモン。団体戦では粒揃いな京都校が速攻で家入さんと伊地知君を狙い撃ちにして数的有利を奪って七海君と灰原君に『囲んで棒で叩く』っちゅう戦いの基本を徹底して勝利。

 

 逆に強制的に同格ないし階級の近い同士のマッチングになる個人戦やと、無敵とクリティカルを使い熟す近接最強の七海君と、殺人殺法を笑顔で仕掛ける悪魔超人な灰原君が一方的に2勝して、マシンガンをブッ放した家入さんが向こうの祢木君に圧勝。伊地知君は負けてもうたけど、普通に白星の数で東京校の勝ち。

 

 それぞれの勝負で見どころはそれなりにあったけど、伊地知君は結界以外はからきしやね? あの子は術師やるにはちと優しすぎるかもしれんなぁ。逆に、補助監督やと式神をちょっと使えて結界が得意っちゅうんは滅茶苦茶アドバンテージになるやろし、そっちの方が向いてるんとちゃうやろか。

 

 で、そんな伊地知君と京都の祢木君がそれぞれパイロットをやっとる式神対決が、今日行われとるんやけど……。

 

「悟君 東京校の 式神の 姿は何に 見えるやろうか?」

「1/24サイズ*1のHi-νガンダムじゃね?」

「そうやんな。ところでアレの 胸部だけ 装甲めっちゃ 分厚いやんな?」

「まぁデザイン丸パクだと怒られそうだしアレンジ的な?」

「そうかいな。それで名前は 何やっけ?」

「RX-708 拝乳ガンダム」

「なるほどな。後でしばくわ 悟君」

「何で!?」

「私は『悟の入れ知恵だって即バレすると思うしやめといたら』って言った筈なんだけどね……」

「傑君、もっと強めに 止めようや」

「うーん、去年の京都校を参考に『直哉にバレたら爆散する』縛りを設けたって聞いたから、私も止めるに止めづらくてね」

「そんなもん 爆発したら ええやんけ。もっと真面目に 作らんかいな」

「直哉はそういうけどさぁ。京都校の式神も酷くね?」

「そうやろか 偶然ネタが 被っとる だけとちゃうんか ガンダム系で」

「じゃあ直哉、アレは何に見えるんだよ」

「どう見ても アレは『ノーベル ガンダム』や」

「だよな? じゃああの式神の型番は?」

「何やっけ GF3(ジーエフさん)-()106(ひゃくろく)や」*2

「じゃあ名前は?」

「名前なら 確か『サートル ガンダム』や」

「お前も入れ知恵してんじゃねえか京都に!」

「何やねん 言い掛かりやん 俺ちゃうで?」

「いや、そんなのやるやつお前ぐらいしか————」

「すまない悟、それは悟に婚約を煽られまくってキレてた時の私が犯人だ。でもこっちがガンダムネタなのと悟の性癖が金髪碧眼の北欧美人だと漏らしたぐらいだから、多分勝敗に影響はないよ。安心して欲しい」

「お前かよ傑ゥ!?」

「冤罪の 詫びは如何程 くれるんや?」

「うーん……ごめんちゃい♡

「絶対に 後でしばくと 今決めた。この間 作った技を かましたる」

「謝ったじゃん!?」

 

 っちゅうやり取りの通り、何故か式神対決の筈がガンダムファイトになっとるんやなぁコレが。

 

 まぁ本家ロボコンもパロディ機体はよう出とるけど、流石にコレは問題になるんちゃう? 次回からは『過度なパロディは禁止』とか御触れがでそうやね。

 

 ちなみに、伊地知君の紹介によると今回の式神『拝乳ガンダム』の素材はパーツ一個一個に呪いを込めつつフルスクラッチしたエポキシパテ製のHi-νガンダムらしいな。ようそんな面倒臭い事するなぁと思ったら、何でも伊地知君はこういうの得意やねんて。チマチマコツコツが得意なら戦闘は不向きでも式神とか結界には適性があるのかも知れん。つくづく補助監督向きやね。

 

 それは悟君と傑君も思ったみたいで、「伊地知が超頑張って三級呪霊を自力で倒すより、アイツが補助監督やって結界と式神で討伐のサポートした方が討伐効率いいんじゃねえの?」「それは確かに。伊地知は座学の成績も良いらしいからね。サポートして貰えるなら心強いかな」とか言い合っとる。

 

 まぁ、完全に善人タイプな人間には居づらいからなぁ、呪術界。況してや雑魚なら尚のことや。伊地知君は雑魚は雑魚なりに身の振り方考えた方がええやろね。

 

 俺は弁えとる雑魚は好きやさかい、キリキリ補助監督(パシリ)を頑張るんやったら護ったってもええしな。女と伊地知君なら女優先やけども。

 

 なんて、野次馬の俺らが下馬評を言い合っとる内に、式神勝負は徐々に決着が付き始める。今回は伊地知君の操縦が上手いんもあって東京が勝ちそうやね。……アムロばりの置きビームとかやっとるし伊地知君はやっぱり戦うより戦わせる方が向いてそうやな。あのレベルの式神をフル稼働させる呪力なんざあの子には無い*3から、やっぱり他人を上手い事差配する方がええんちゃうの? 

 

 

 そんな話をしながら、勝負を見届けた後は、例年通りの両校の非公式食事会やらカラオケ大会やらを経て、今年の交流戦は無事終了。

 

 このすぐ後くらいに、俺ら特級3人と夜蛾先生と日下部先生を交えて伊地知君と面談して、伊地知君の卒業後の進路が補助監督になるんやけど、それはまた後の話やね。

*1
大体83cm

*2
3 10 6 = さとる

*3
式神対決の式神の呪力は両校学長持ちなので、伊地知とは出力に雲泥の差がある

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。