魔法少女ダークネス ヒメコさん   作:レイサン

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短めです。


魔法少女ダークネスの誕生

20XX年 日本

人々は仕事や人間関係等でストレスを抱え、そのストレスを力の源として、普通の人間を怪人に変えてしまう恐ろしい悪の組織が存在した。

 

しかし、そんな恐ろしい怪人を元の人間に戻すことができる妖精も存在した。

妖精は怪人を元に戻すことができるが、悪の組織はそれに対抗するため、妖精の力に抵抗できる怪人を生み出せるようになった。

 

そこで妖精は、人間に魔法の力を与えることで人間に怪人を弱らせてもらう作戦を考えた。

しかしこの方法には欠点があり、人間の中でも魔法を使える者が極小数だったのだ。

 

さらに、多くの場合適性を持つのは少女であり、妖精達はひたすら女性を勧誘せざるを得ない状況だった。

これらの苦労の末に誕生するのが、人々の平和の為に戦う魔法少女達なのだ。

 

そして今日もまた、新しい魔法少女が誕生するのだった。

 

 

 

ある日、ある女子高生達の放課後の出来事。

彼女は今日も授業を終え、いつも通り帰宅していた。

 

「今回の期末テストどうだった?私結構良かったよ!数学が80点!他は60点ぐらいだったけどすごくない?」

 

今点数を自慢しているのは加賀美 空(かがみうつほ)

青髪に眼鏡が特徴的だが、実はそれ以外に目立った要素は無いらしい。

 

「私は全部80点以上だった。」

 

「うわぁ姫子はやっぱ凄いなぁ、まぁ一番すごいのは体育だけどさ。握力280kgとか100m4秒とか異常だもん。」

 

花塚 姫子(はなづかひめこ)、あらゆる身体能力が人類を超越しており、クラスの男子からは究極生命体やらスーパーサ○ヤ人やらと呼ばれている。

緑髪に黄色い花の髪飾りをつけている。

 

まぁお察しの通りこの高校の校則はかなり緩いのでファッションセンスが爆発している生徒は多い。

 

「ホントヒメちゃんは凄いよねぇ。私でもギリギリで100m10秒代なのに。まぁ球技の時は私の方が成績良いけどね〜!」

 

姫子に唯一球技だけは勝っているクラスメイトの獅子原珠希(ししはらたまき)

オレンジに近い金髪に、ポニーテールを紅白の縄のような飾りで縛った明るい子。

ヒイラギの葉の髪飾りを付けている。

 

「珠希も十分凄いんだよ!?姫子が強すぎるだけで!」

 

「お兄に比べれば大した事ないし。」

 

「あー素手でコンクリート粉砕するんだっけ?どういう教育受けてるのか謎だよホントに。」

 

「前の学校では煙たがられたけど、この学校のやつらは大概変なのばっかりだから何だかんだ受け入れられて良かったよ。」

 

「ホントそれな〜!私なんか没個性すぎて逆に浮いてるもん。」

 

「確かにカガミンは貴重な普通枠だもんねぇ〜。ん?スマホの通知?……うわヤバ!怪人出現だって!」

 

「てか場所近くねぇか?」

 

「ホントだ!はやく避難しないとストレスでお腹痛くされちゃうよ!」

 

「あ、えっと、二人は先に避難してて!私学校に忘れ物しちゃった!」

 

「止めた方が良いのかもしれないけど…学期末に忘れ物すると夏休み明けまで置きっぱなしだもんね!体操服ちゃんともって帰るんだぞ〜!」

 

「珠希と一緒にしないで〜!」

 

「よしヒメちゃん、私達も行こっか!」

 

「あ、待った。私も忘れ物したわ。すぐ戻るから先行っててー良いよ。」

 

「え〜!?まぁでもヒメちゃん足速いし大丈夫か。危なかったらにげるんだよ!」

 

「おう、任しとき。」

 

100mを4秒で走り切る自慢の脚力で教室に向かった姫子だったが、道中で加賀美(かがみ)に会うことは無かった。

忘れ物の場所は部室か何かだろうか?

 

珠希に追いつくために近道を通った姫子だったが、そこで予想外の者を目にした。

 

「悪事はそこまでよ怪人!この私、魔法少女クリスタルが相手になるわ!」

 

「出たな魔法少女!今日こそ怪人の力でお前たちを倒してやる!やってしまえ、ブラック労働怪人!」

 

そこには、先程スマホの通知で知らされた怪人と、それを倒すために戦う魔法少女の姿があった。

しかし、姫子最大の驚きはそこでは無かった。

 

「加賀美?」

 

「へ?ひ、ひめ……じゃなくて!あなた危ないから逃げて!」

 

「ちょ、加賀美後ろ!」

 

「え?きゃっ!」

 

魔法少女クリスタルは怪人に捕まってしまった。

 

「いいぞブラック労働怪人!そのまま魔法少女クリスタルを体調不良にしてやるのだ!」

 

「うう、夜遅くまでテスト勉強した時みたいな疲労感が……。」

 

「く、くそぉ!相手が怪人じゃなければワンパンで倒せるのに!」

 

姫子は魔法少女クリスタルを助けたいが、流石のゴリラパワーも怪人には通用しない。

そんな時、姫子の元に一羽の蝶が飛んできた。

 

「き、君!こんな所にいたら危ないよ!魔法少女や僕たち妖精ならまだしも普通の人間がかなう相手じゃない!」

 

「待ってくれ、今戦ってるのは私のクラスメイトなんだ。見捨てるわけにはいかないんだよ。」

 

「そ、そう言われても……いやっ君ならやれるかもしれない!」

 

「どういう事だ?」

 

「お友達を助けたいんだろう?説明は後でするから両手を体の横に置いてじっとしていてくれ。あと胸元失礼するよ!」

 

そう言うと蝶は姫子の胸元に止まった。

すると蝶は、真っ赤な光を放ち、その光は姫子の体を包み込んだ。

これは魔法少女誕生の儀式だ。

運良く魔法少女の適性を持っていた姫子は、偶然訪れた妖精と即興で儀式を行い、魔法少女へと覚醒するのだった。

 

しかし、ここで前代未聞の自体が起きた。

 

『あ、あれ!?僕の魔力は赤色のはずなのに、何で黒いオーラが出始めてるの!?』

 

様子がおかしいので蝶が慌てている。

姫子は赤く輝きつつも、黒いオーラを漂わせはじめた。

その姿はさながら、闇堕ち魔法少女を思わせる禍々しい姿だった。

 

髪は黒く変色しており、服装は赤と黒を基調とした衣装に蝶の形の髪飾りが特徴的だ。

 

儀式の際に接触した赤と黒の蝶の妖精がいた場所と同じ位置に、蝶を思わせる形状のアクセサリーが付いており、六本の足のような留め具でしっかりと体に固定されている。

このアクセサリー、見た目が見た目なので悪の組織の洗脳装置にも見えるが、決してそういったものでは無い。

 

「な、何…?私の他にも…魔法少女が…?」

 

「な、なんだあの黒いオーラは!?ええい、ブラック労働怪人!クリスタルは適当なとこにポイしてあっちを倒せ!」

 

『まずい!敵が来るよ!』

 

「殴れば良いのか?」

 

『物理攻撃でもダメージは与えられるけど、できれば魔法攻撃の方が好ましいかも!効率的にも絵面敵にも…』

 

向かってきたブラック労働怪人に、姫子の必殺ボディブローが炸裂した。

 

「お、効いてる効いてる。」

 

「な、なんだとぉ!?結構なストレスを抱えていたブラック労働怪人がパンチ一発でひるんでいるぅ!?」

 

「これが魔法少女の力か、悪くないね。力がみなぎってくるく。」

 

そう言い放つと、姫子は持ち前の瞬足で怪人に急接近し、猛烈な連打を繰り出した。

この一発一発が、少なくとも瓦を粉砕する程度の威力を秘めているのだから恐ろしい。

 

『ストップ!もう怪人抵抗してないよ!』

 

「お、やっつけたか。お前心に直接語りかけてくるのな。てかこれで終わった感じ?」

 

『いや、まだ終わりじゃない。君と僕の力を合わせた浄化技で怪人を元の姿に戻すんだ!』

 

「おお!テレビでやってたヤツか!」

 

『魔力を一点に集中させて放出するイメージだよ!例えばほら、か○はめ波みたいな感じ!もしくははかいこうせん!』

 

「おっけ。」

 

姫子は言われた通り胸元に魔力を集中した。

すると、胸元の蝶のアクセサリーが赤く光り始めた。

 

『今だ!浄化レーザー発射!』

 

「波ーーーーッ!!」

 

胸から極太のレーザーが放出され、それを受けた怪人は元の新社会人さんの姿へ戻った。

 

「くそう!またしても我々の敗北か!覚えていろ魔法少女め!」

 

敵の幹部と思われる男は、捨て台詞を吐いたあと謎の穴に入っていなくなってしまった。

 

ちなみにその後、新社会人さんは今回の怪人化を経て転職を決意したそうです。

 

「うう…お腹が痛い…苦しい…」

 

「加賀美!大丈夫か加賀美!」

 

「大丈夫…怪人の攻撃は…魔力で直せるから…あと私加賀美じゃない……」

 

魔法少女クリスタルは白い光に包まれると、怪人にポイ捨てされた時にできた擦り傷が治り、ストレスによる腹痛も治ったようだ。

 

「ふう、何とかなった。あの、初めてお会いする魔法少女の方ですよね?助けてくださって有難うございます。」

 

「え、気がついてない感じ?私だよ、姫子だよ。」

 

『ああ、ちょっと君!魔法少女は個人情報話すの禁止!妖精側も身バレ防止に配慮しないと行けない時代なの!』

 

「え、でも見た目が……じゃなくて!姫子なんて子知りません!そんな子同級生にいないんですけど!」

 

「同級生とは一言も言ってないんだけど。」

 

「あっ…」

 

そんな話をしていると、回復で魔力を使い切ったクリスタルの変身が解けて、正真正銘の加賀美空本人である事がバレてしまった。

 

「えっと…これはその……。わ、私も新人だから自己管理甘かったって事で忘れてほしいな!」

 

「いや無理あるだろ。てかもはや同業者だから隠す必要無くね?」

 

「で、でもそういうルールだし。」

 

『大丈夫よカガミさん!知り合い同士なら隠す必要も無いと思う!』

 

加賀美の肩の上に、宝石のようなものが着いたマスコットの様な生物が現れた。

恐らく魔法少女クリスタルの担当妖精だろう。

 

『うーん、まぁ僕たち妖精としても二人がお互いに秘密を守れるなら許せるかなぁ。』

 

「そういうわけだから明日からも仲良くしような。」

 

「あぁ、うん。そ、そうだね。」

 

後日、珠希と一緒に三人で夏休みの予定を考えたのだが、加賀美と姫子の会話が少なくて気まずかったのは言うまでもない。

 

 

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