すべての説明が終わった後にボクは一つの策を思いついた。
【リーダーを当て合わない契約をしてBクラスと共同生活をする】
これなら使うポイントも抑えられるし、有事の際には助け合える。
そう思ったボクはすぐさま平田君と櫛田さんに伝える。
「平田君、櫛田さん。ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど...。」
「なにかな?花萌葱くん。」
「なぁに?翠くん!」
「この試験、お互いリーダーを当て合わない契約をしてBクラスと共同生活するっていうのはどうかな?」
「!...確かに、Bクラスとは協力体制があるし、それが最善かもしれないね。」
「うん!今の翠くんの案、すっごくいいと思った!」
2人は頭のいい方なのですぐ理解してくれた。
「2人には、クラス内の説得を頼みたいんだ。Bクラスとの契約はボクがするから。」
そう言うと2人は頷き、応援してくれた。
そしてボクは契約書の準備をしてから単独でBクラスが集まっているところに行く。
「ごめんBクラスのみんな、ボクはDクラスの花萌葱なんだけど、提案があって来たんだ。」
Bクラスの面々からは警戒心を犇々と感じる。
「提案ってなにかな?」
そう言うのは一之瀬さんだ。
前に職員室で話したことがあったね。
「そんなに警戒しないでよ。ボクが提案したいのは、お互いリーダーを当てない契約をして、DクラスとBクラスで共同生活をしない?っていう提案なんだ。」
「そんなの信じれる訳ねぇだろ!」
Bクラスの男子から怒号が飛んでくる。
「一先ずこの契約書を読んでよ一之瀬さん。」
「うん、わかったよ。」
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契約書
Bクラス(以下、甲とする。)とDクラス(以下、乙とする。)は、次の通りに契約を締結する。
・この試験で甲は乙のリーダーを書かずに提出する。
・この試験で乙は甲のリーダーを書かずに提出する。
・甲が他クラスのリーダー情報を得たら、それを乙にも渡す。
・乙が他クラスのリーダー情報を得たら、それを甲にも渡す。
・甲は他クラスに乙のリーダー情報を渡さない。
・乙は他クラスに甲のリーダー情報を渡さない。
・甲と乙は同じ生活区画で生活し、ポイントの負担を二等分する。
・甲と乙は生活区画にある物資を自由に使ってよい。
これを破った場合、相手に毎月のPPtの支給額の半分を1年間譲渡する。
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「...みんな、これは受けるべきだよ。」
「おい一之瀬!Dクラスの言うことを聞くのかよ!」
「これはこっちにも圧倒的な得があるからね。それにAクラスとCクラスが組む可能性だってあるし。」
一之瀬さん、頭切れるなぁ。
「Bクラスのみんな、正直に言うけど、ボクはこの提案を飲んでほしいと思ってる。これはDだけが得をするようなものじゃないのはわかってると思うし、この試験が終わったときにDクラスと組んでよかったと思わせるような結果にするから。」
「どうか、お願いいたします。」
ボクは頭を下げる。
するとBクラスのみんなは驚いているようだ。
「うん、やっぱりDクラスと組むべきだよ。」
一之瀬さんのその言葉をきっかけに、皆の表情が変わってくる。
「確かに、一之瀬の言う通りかも...。」
「私たちは帆波ちゃんの判断を信じるよ!」
徐々に賛成の意見が増えてきて、Bクラスは受けると返事してくれた。
なのでお互いの担任を交えて、正式に契約を締結した。
「翠くん、やっぱりうちのクラスにこない?」
「だから星之宮、花萌葱は私の生徒だ。」
こんな会話にBクラスの面々は苦笑いしていた。
「ありがとう、Bクラスのみんな。じゃあDクラスのみんなを連れてくるね。」
ボクはそう言ってBクラスが集まっていた場所から離れ、Dクラスのみんながいるところへと戻ってきた。
「平田君、櫛田さん、そっちはどう?」
「大丈夫だったよ。しっかりメリットを説明したら男子は幸村君中心に賛成してくれてね。」
「こっちも大丈夫だよ!Bクラスには優秀な人も多いしね!」
よかった。これもBクラスの日ごろの行いあってこそだろう。
「じゃあみんな、Bクラスのところに向かうけど、大丈夫かな?」
ボクは少し声を張り、後ろの方にいる人にも声が届くようにする。
大丈夫なようなのでBクラスの方に向かう。
「一之瀬さん、Dクラスのみんなを連れてきたよ。」
「うん、Dクラスのみんな、よろしくね!知ってるかもしれないけど、私は一之瀬帆波!これから仲良くしようね。」
そういうと池くん山内くん等の男子が雄たけびをあげている。
「ここで長話するのもなんだし、拠点の場所でも探しに行こうよ。」
そう言って30分くらいすると、Bクラスの男子が水場が近い場所を見つけてくれたそうだ。
なので今は全員でそこに向かっている。
「綾小路君、今回はどうするつもりなの?...あ、堀北さんが、だっけ?」
ボクは前のことを思い出し、とってつけたように言う。
「今のところはポイントを節約しながらスポットを占有するしかないんじゃないか?」
「まぁ、そうだよね。またなにかあったら教えてね。」
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歩くこと10数分、ボクたちはスポットのある浜辺にでた。
ここならDクラスとBクラスの2クラスでも過ごせる広さだし、森に入れば食料もそこまで困らなさそうだ。
スポットの占有に関しては、交互に行うことになった。
なのでリーダーは実質16時間おきにスポットを占有することになる。
「みんな、食料を調達しに行こうと思うんだけど、着いてきてくれる人はいるかな?」
平田くんがこの場にいる全員に聞こえるように言う。
するとBクラスからも、Dクラスからも半数くらいの人が行くようだ。もちろんボクも行くつもりだし。
「うーん...この人数だと逆に動きづらくなるね...。」
平田くんが困っているようなのでボクは助け船を出す。
「じゃあ3人か4人になって探しに行けばいいんじゃないかな?」
この意見に反対はなく、数人で動くことになった。
ちなみにボクと一緒に食料調達に行く人はBクラスから姫野さん、神崎君。Dクラスから松下さんの4人だ。
神崎君は話したことがあるんだけど、姫野さんってどういう人なんだろう。
ボクは気になったので、早速姫野さんに話しかけてみる。
「よろしくね、姫野さん。」
「はぁ、だる...別に仲良くする義理はないでしょ。」
「確かに仲良くする義理はないよ。でもボクは姫野さんと仲良くなりたいと思ってる。」
「なにあんた、私のこと好きなわけ?」
「うん、好きだよ。」
好きか嫌いかで言えば好きだ。
しっかり意見を言えるし、流されやすいBクラスに彼女は必要な存在だと思うからとても好感が高い。
「きもちわる...まぁ、すこし話すくらいなら別にいいけど。」
「うん、今はそれで充分だよ。」
なんて話していると、神崎くんが木の実がいくつも生えている場所を見つけた。
「うーん、これやっぱり学校側が整備してるよね。」
さすがにわかりやすすぎる。
まるで宝探しゲームのような感覚だ。
「そうだな、恐らく定期的にこの無人島を訪れては植物を植えたり危険な野生動物がいないかのチェックをしていると思う。」
神崎くんが言ったことは八割九分あっている気がする。
「千秋ちゃん、ちょっとあっちに木の実見つけたから一緒にとりに行こ。」
「いいよ翠くん。行こっか。」
「俺たちもついていったほうがいいか?」
「うーん、そんなにいっぱいあるわけじゃなかったから大丈夫だよ。先に戻ってて。」
神崎くんと姫野さんを拠点に返し、千秋ちゃんとボクは進んでいく。
「千秋ちゃんってさ、なんで実力隠してるの?」
「...それを聞くために神崎君たちを返したってことね。なんでわかったの?」
「なんとなくだよ。ボクも同じようなものだから。」
「同じ...?翠くんはいつも成績上位にいるけど...もしかして。」
「そう、そのもしかしてだよ。いつも狙って4位か5位くらいをキープしてる。」
「つまり本気をだせば1位は容易ってことか...私はAクラスを諦めてるからさ。私一人が本気を出したところでさほど変わらないってわかってるんだ。」
だから不用意に目立たないようにしているのか。
「千秋ちゃんはさ、Aクラスに行きたい?」
「もちろん、できることならAクラスで卒業したいよ。」
「なら、そんな千秋ちゃんにボクから一つヒントをあげましょう。」
「ヒント?」
「うん、ヒント。Aクラスに上がりたいなら、Dクラスに隠れた真の実力者を見つけることだね。」
もちろん、それは綾小路君のことだ。
「ちょっとまって、翠くんは本気を出さないの?」
「ああ、ボクは目立っちゃダメな理由があるんだ。ごめんね。」
「...うん、そっか。じゃあそこまでは踏み込まないから。」
やっぱり賢いね。多分学年でも上位に入るくらいには頭いいんじゃないかな。
「これからも表向きはいつも通り頼むね。でもほんとうに困ったときがあったら教えて。そのときは力になるよ。」
ボクは千秋ちゃんの目を見て力強く約束する。
「うん、わかった...じゃあ、戻ろっか。」
この後、Cクラスから伊吹さんに金田くんが拠点に来たり、高円寺くんがリタイアしたりしたけど、無人島一日目は凡そ難なく過ぎていった。
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