無人島試験2日目。
テントで目覚める朝は寝起きがよくない。
蒸し暑く、汗臭いため、いつもより少し早い時間に起床することになった。
誰も起こさないように静かにテントをでると、既に綾小路くんは起きていた。
「デジカメ、か.......」
綾小路くんは、伊吹さんと金田くんの鞄を開け、中身を確認していた。
一見とんでもないことをしているように見えるが、綾小路くんはそんなことしない人なので、恐らくはスパイかどうかの確認なんじゃないかと思う。
「綾小路くん、やっぱり2人はスパイかな?」
ボクがそう声をかけると、綾小路くんはとんでもない速さで振り向き、殺気を伴って睨んでくる。
「っ!...なんだ、花萌葱か」
「あはは、脅かしちゃったかな。ごめんね」
「いや、大丈夫だ。あと他に誰か起きてきたら対応を頼んでもいいか?」
「うん、任せて。綾小路くんの邪魔はさせないよ」
そう言うと、綾小路くんは水を取り出し、デジカメに注いだ。
2つとも水を注いだところで、平田くんが起きてきた。
「おはよう、花萌葱くんに綾小路くん」
「おはよう平田くん」
「おはよう」
「もしかして起こしちゃったかな?」
「いや、さすがにこの環境だと熟睡ってわけにはいかなくて。ったた.....腰が痛いよ。やっぱり下にマットか何かを敷いていないと体にくるね」
「確かに。でも仮設シャワーがある分起きた後はかなり楽だよね」
昨日Bクラスの一之瀬さんと神崎くんと話し合って購入するものを決めたのだが、その中にはもちろん仮設シャワーも入っていた。
「昨日僕たちが消費したポイントは、高円寺くんのリタイアを含めると全部で70ポイント程。皆には最低150ポイント残せるって話したけど、実際のところどれだけ残せるかは疑問だね......。そんなことを考えてたら目が冴えちゃって」
リタイアではもちろんそのクラスだけがマイナスされることになっている。高円寺くんがリタイアしたのはかなり痛手になる。
「大変だな。クラスのまとめ役も」
「僕は好きでやってるだけだから。できる限りクラスの皆が幸せでいてくれれば、それで満足なんだ。けど、それが意外と難しくて。特別試験のポイントをどれだけ残せるかは今後の学校生活を大きく左右する。無理して苦しい思いをするのも間違ってると思うしね」
「Aクラスを目指したい生徒とDクラスのままでいたい生徒がいたら、どうするんだ?」
Dクラスのまま...か。
正直綾小路くんやボクはDクラスのままの方がいいのだろう。
「難しい問題だね。上のクラスを目指すということは、それだけ全員に無理を強いるってことだから。......ごめん、答えは直ぐに出ないよ」
「綾小路くんはAクラスを目指したい人?それとも学校生活が楽しければいい人?」
「どちらかと言えば、学校生活優先だな。Aクラスに上がれるとは現実的に考えてない」
学校生活優先なのは、事実なのだろう。
ただしその理由は綾小路くんの闇の部分にある、とボクは思う。
こんな会話をしていると、Bクラスの神崎くんが起きてきた。そしてそれに続いて女の子や他の生徒もどんどん起きてくる。
「おはよう、一緒に顔でも洗いに行かないか?」
「いいよ、行こっか神崎くん」
ボクは神崎くんと一緒に顔を洗いに行った後、こんなことを言われた。
「花萌葱、今日は他クラスの偵察に行こうと思うんだが一緒にくるか?」
「うん、お供させてもらうよ」
そして自由行動の時間になったので、神崎くんと合流しようと思っていたところ。
「何だよおまえら!」
池くんの怒気を含んだ声が拠点に響き渡る。
池くんの視線の先を追っていくと、そこには2人の男子生徒が不敵に笑っていた。
「小宮と近藤か......」
そう呟くのは伊吹さん。
伊吹さんが名前を知っているということは、Cクラスの生徒なのかな。
「いやー本当に不良品共と組んでやがるよ、Bクラスのやつら。」
2人は袋菓子を口に含みながら、炭酸の清涼飲料水が入ったペットボトルを呷っている。
恐らく挑発が目的だろう。
「君たち、Cクラスの生徒だよね?」
「お、おう。それがどうかしたか?」
「ボクはさ、みんなで仲良くするべきだと思うんだ。だから君たちとも仲良くなろうと思って」
ボクは2人に近づき、少し上目遣いで話す。
「そ、そうだな/// お、俺の名前は小宮だ。こいつは近藤」
「そっかそっか。この試験が終わったらどこか遊びに行こうね」
「お、おう!じゃあな!」
そう言って2人は去っていった。
扱いやすくて助かるよ。
「あんた、ほんとにあいつらと遊ぶの?」
伊吹さんが疑いの目と同時に心配するように聞いてきた。
「うん、まぁ悪い人たちじゃなさそうだし」
「やめときな、あんたみたいにかわいい子は個室になった瞬間に襲われるよ」
「大丈夫だよ、ボク男だし」
「はっ?......え?」
「ほんとに男だよ?」
「...冗談じゃないよね?」
「こんなとこで冗談言っても何にもならないよ。ほら、男でしょ?」
そう言ってボクは伊吹さんの手を掴み、自分の胸に当てる。
「あっあんた/// なにしてっ///」
伊吹さんは顔を真っ赤にしながらも手を動かしてくる。
ちょっとくすぐったいなぁ。
「ちょっ...くすぐったいっ...んっ///」
「ちょ、ちょっと伊吹さん!花萌葱くんもしっかりして!」
さっきの騒ぎを聞きつけた平田くんに仲裁される。
この後、伊吹さんは悪くないことを伝えて伊吹さんもボクも解放されたが、伊吹さんはなぜか口を聞いてくれなくなった。
そして今、ボクは神崎くんと一緒にCクラスの偵察に来ているのだが、その砂浜の光景はとても試験を行っているようには見えないものだ。
「なにが狙いなんだ...Cクラスは...」
神崎くんはその行動目的を探ろうとしている。
それもそのはず、Cクラスはポイントを使って豪遊していたのだから。
「まぁここから考えてても仕方ないし、直接聞きに行こうよ」
「そうだな...Cクラスが何か企んでるかも知れない。気を付けろよ」
「うん、わかってるよ」
そんな会話をしてから、茂みから出て歩いていく。
するとある男子生徒がこちらに気づき、傍にいた男子に声をかける。
そして最初にボクたちを発見した男子生徒がこちらに駆け寄ってくる。
「あの、龍園さんが呼んでます......」
なんだか怯えてしまっている。
その龍園という生徒が余程怖いのだろうか。
「同じクラスメイトにこんな扱いするなんて、まるで王様みたいだな。」
神崎くんが皮肉めいた口調でそう話す。
「どうする神崎くん、行ってみる?」
「ああ、何を企んでるのか気になるしな。」
そう言って呼びに来た男子生徒に返事をし、付いていくと海の方から牛肉を焼いた香ばしい匂いや、楽しそうな声がよく聞こえてくる。
「よう。Dクラスの不良品と手を組んだってのは本当だったか。」
そう話すのが龍園という生徒だろう。
名前くらいは聞いたことがある。Cクラスを暴力で支配していると。
「この1日間過ごしてわかった。Dクラスは不良品なんかじゃない。」
神崎くんの目には一切嘘や欺瞞がなく、本心からの言葉だということがわかる。
「そうか?こいつらは実際、1か月で880CPtを吐き出したんだぞ?」
龍園くんの厭味ったらしい言い方は相手を挑発するためだろう。
「そして横のお前。お前が花萌葱か?」
「うん、ボクは花萌葱翠。よくわかったね」
「どういう容姿か聞いていたからな。本当に女みたいな顔してやがる。」
そう言うと龍園くんは小馬鹿にするように笑った。
「もうっ!ボクは気にしてないからいいけど、容姿で悩んでる人がいたら馬鹿にしちゃダメだよ」
ボクは少し頬に空気を溜め、むくれて話す。
「はっ。お前はうちのひよりと同じタイプだな」
「ひより?」
「椎名ひより、Cクラスの生徒だ。あまり争いごとに興味がないらしくCクラスの生徒の中では珍しく大人しい生徒だそうだ」
神崎くんが説明をしてくれる。
「ボクとその椎名さんがどう同じタイプなの?龍園くん」
「そいつがいるだけで場が和んじまうというか、戦闘意欲を損なわせるような感じが同じって訳だ」
それって褒めてくれてるのでは?
「ふふっ。褒めてくれてありがとね、龍園くん」
「ち。わかったらさっさと失せろ」
「そうもいかない、龍園。お前は何を企んでる?」
龍園くんがボクたちを返そうとしたところで、神崎くんがにらみを利かせながら豪遊の理由について聞いた。
「見ての通り俺たちは夏のバカンスを楽しんでいるだけさ。つまり、この試験中お前らの敵にはなりようがないってことだ。わかるだろ?」
龍園くんの性格上、本当にバカンスを楽しむなら見掛け倒しだけして、警戒心だけ向けさせるような行動をとるはずだ。
なら今警戒を解こうとさせてくるということは――――――
また森に入ったところで、神崎くんが喋りだす。
「結局、Cクラスが何をしたいかわからなかったな」
「うん、そうだね。でもボクは龍園くんと話せてよかったよ」
「そんなことを言う奴はこの学年どころかこの学校には花萌葱くらいしかいないぞ」
ええっ。龍園くんそんな嫌われてるの? いい人そうだったのに。
「次はAクラスの拠点だね。あっちの方角であってるかな?」
「ああ、さっさと向かおう」
そしてAクラスの拠点近くまで来たときに、ボクはあることに気が付く。
「.....神崎くん、ここはボク1人で行くから先に戻ってて」
「...なにがあったかわからんが、一先ずいう通りにしよう。Aクラスだしなにもないとは思うが、気をつけろよ」
「うん、ありがとう。またあとでね」
そう言って神崎くんが離れるのを確認したところでボクは声を出す。
「いるんでしょ?真澄ちゃん」
「なんでわかるのよ」
「んー、勘?」
「ふふっ。なにそれ」
ボクがさっき気づいたのは近くで真澄ちゃんが潜伏していること。
神崎くんを混乱させちゃうかなと思って返しておいたって訳ですよ。
「翠くん、ちょっとこっちきて」
「わっ。真澄ちゃん、どこいくの?」
ボクは急に真澄ちゃんに手を引かれ、森を進んでいく。Aクラスの拠点から離れていっているのだ。
そしてあるところで止まり、真澄ちゃんが振り向く。
「真澄ちゃん?」
「......ごめん、ちょっとだけ我慢して」
そう言われた直後、ボクは全身で人の温かみを感じた。
最初は何をされているのか脳が理解できなかった。
そしてはっと我に返り、落ち着いて理解したところ、ボクは真澄ちゃんに抱き着かれている。
そう理解した瞬間、身体が熱くなるのがわかる。
「ま、真澄ちゃん/// 恥ずかしいよぉ///」
真澄ちゃんは何も言わず、ボクの首筋あたりに顔をうずめている。
ちょっと、くんくんしないで。恥ずかしい。
「いい匂い...すんすん」
その後、10分ほど抱き着かれていたところ、もう大丈夫だと言われて近くの倒木に並んで座った。
「それで、どうちゃったの真澄ちゃん?」
「いや、その...ストレス...溜まってて...」
「うん?」
「だっだから!翠くんにも会えないし坂柳から色々やらされるからストレス溜まってたの!」
それでなんで抱擁に...?
「ボクに抱擁することでそれは解消されるの...?」
「した。めっちゃした」
「そ、そっか...?」
よくわからないけど真澄ちゃんが喜んでくれるならいっか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
オマケ
無人島試験が始まる少し前のとある学校の掲示板
花萌葱翠くんスレpart152
34:ななしの女子生徒 ID:PmDgOd8F/
もうすぐ1年生バカンス行くのか...じゃあ翠きゅん探しの旅しても無駄だ...
35:ななしの女子生徒 ID:G+oKLgPuf
旅(高校敷地内)
36:ななしの女子生徒 ID:VrIFL5mSG
1年マジで裏山
ヤリたい放題できるじゃん
37:ななしの女子生徒 ID:VHqxQQsIi
ヤリたい(直球)
38:ななしの女子生徒 ID:4QE9NWOgi
ヤリたい(願望)
39:ななしの女子生徒 ID:EMCbK7Pps
ヤリたい(目標)
40:ななしの女子生徒 ID:S4tUapivB
ヤる(決意)
41:ななしの女子生徒 ID:tAhN8hQHV
はいアウト
42:ななしの女子生徒 ID:Cs2V4JJUH
>>40
犯行予告したな(迫真)
43:ななしの女子生徒 ID:78LPCI9Jo
>>40
翠きゅんに汚ねぇ欲望ぶつけんじゃねぇよ
44:ななしの女子生徒 ID:S4tUapivB
は?じゃあお前翠くんでシてないの?
45:ななしの女子生徒 ID:78LPCI9Jo
毎日シてるが?
46:ななしの女子生徒 ID:o6nlYaacy
素直でよろしい
47:ななしの女子生徒 ID:u+jYl1k1o
>>45
うーんただのオナ猿
48:ななしの女子生徒 ID:Yam4spring
花萌葱より山内ってやつのほうが良くね?
49:ななしの女子生徒 ID:EOsc/wv7b
でたななりきり短小tnp丸出し男
50:ななしの女子生徒 ID:03f7kW2oc
呼び名ひっど
51:ななしの女子生徒 ID:7dKnm0W6U
>>49
ボロクソ言ってて草
52:ななしの女子生徒 ID:dNN0o6uOw
でもあってそう
53:ななしの女子生徒 ID:22Ss2J24U
まぁ翠きゅん叩くやつなんて短小以外の何物でもないし
一物だけに
54:ななしの女子生徒 ID:utJE3DOsQ
...。
55:ななしの女子生徒 ID:xQWd7zJvw
さっむ
56:ななしの女子生徒 ID:oXkcIw5ef
あれ、もう冬きたの?
57:ななしの女子生徒 ID:G/zvkOyGV
ストーブださないと...。
58:ななしの女子生徒 ID:22Ss2J24U
ぽまいらほんとひでぇな
翠くん叩きをしているどこかの山なんたらくんのIDを前回含めわかりやすくしておきました。
是非探してみてね(脳死)
オリ展開についてどう思いますか
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非常に良い
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良い
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面白くない
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非常に面白くない